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  • 最速で子宮を腟から回収する方法

    最速で子宮を腟から回収する方法

    腟からの子宮の回収は得意ですか?

    AT,TLH,RASH後で地味に時間がかかるのが腟からの全摘した子宮の回収ですよね。

    今回は、最速で子宮を腟より回収する方法を解説します。

    これまで何100(何1000?)の子宮を回収してきました。キロ越えの子宮の回収を何度も行っています。そこで見つけたコツを余すことなく解説します。

    最速で子宮を回収する方法

    子宮が小さい場合 200g程度まで

    基本的に図のように切ればすぐに出ます。

    コツは子宮頸管を引っ張って腟内に入れた後に子宮体部と頸部の間(体部下部)より左の卵管角に向かって切開を入れていってください。

    出来上がりとしては一本の細長い棒になります

    子宮が大きいが 多発の場合 何gでもOK

    考え方は、何よりも筋腫を核出すること。

    ”切開をするのは筋腫を核出するため”

    コツは、筋腫の位置を完全に把握しどれから取るかイメージすること。

    よくあるミスが切りやすい子宮実質を切っていき、筋腫だけ残ってしまうことです。

    これは子宮筋腫の遺残にもつながるので避けましょう。

    具体的なやり方は後述します。

    子宮が大きくて筋腫が単発 または 腺筋症

    単発のでかいやつは一番大変です。なかなか膣の中に入ってこないので切ることができません。

    この1番の問題は、腹腔内での操作になるため、腸や腟切開部を傷つける可能性が高いことです。

    解決策として大きな袋に入れて回収しましょう。

    おすすめは⇩になります。

    https://appliedmedical.co.jp/Products/Alexis/CES

    まず、大きさが最大級です。径が17センチの物は6Lまで入ります
    正直17センチのものは使いにくいので14センチで十分です。

    単品で袋が3つセットのものがあるのでそれが一番コスパ良いと思います。

    袋の端にリトラクタが付いているので巻き巻きすると膣壁が広がって操作しやすいです。

    そして何より袋の素材が分厚く裂けにくい!!EZパースなど他の袋は安いですが薄くて扱いにくいですよね。

    回収の仕方は筋腫をブロック状に切開して地道に回収するしかありません。

    この時はなるべく長細くなるように回収していきます。

    するといつか膣内に筋腫が降りてくるようになり、一気に回収することができます。

    根気よく頑張りましょう。

    実際切る時の動き

    大きさによる場合分けが終わったところで、実際の動きについて解説してきます。

    基本の動きは”C”

    切開方法は基本的にCを描くように切っていきます。

    うまいこと行くとりんごの皮剥きみたいに1mほどの一直線の筋腫棒ができます。

    組織が大きくて、引っ張ってこっれない時は、諦めてブロック状にして出しますが、この時も初めはCにきります。

    基本は長クーパーで切開しますが、初めのとっかかりはメスですることもあります。

    子宮体部は膨らんでいますので、奥の方できる時は、真っ直ぐではなくやや外側に向かって切るとうまいこと行きます。

    で必ず守る!!腟切開部は絶対に切らない!

    よくあるのが、腟の断端部が裏返っていて腟の切開部を誤って切開してしまうことではないでしょうか。

    これを防ぐにはこの二つを守ってください。

    を必ず根元まで(奥まで)入れる
    見ている範囲で切開する

    腟断端の縫合がかなり難しくなるので必ず腟を保護しましょう。

    切開の方向を考えて何度もの位置を変えて、保護します。

    とりあえず引っ張る

    テンションがかかっていないと切開ができないので必ず強い力っで引っ張りましょう。

    まずはそれからになります。

    コツは体重を乗せること。つまり体制を後ろにして後ろにひっくり返るように体を倒してください。

    イメージは綱引きです。体重を乗せましょう。

    うまく引っ張れている基準は、腕が痺れること。

    それぐらい引っ張り大事です。

    単鈎鉗子や双鈎鉗子で把持して引っ張り倒しましょう。

    筋腫の位置イメージが最も大切

    オペ中にどこに筋腫があるのかしっかり覚えておきましょう

    ”切開をするのは筋腫を核出するため”の原則に従うために筋腫に向かって切開していく必要があります。

    どこにメインの筋腫があるのか、どのようにアプローチするのかはかなり大きなポイントになります。

    これをしないのは地図を見ずに走り出すようなものです。

    しっかりイメージしてから切開に移りましょう。

    持ち前のエコーは、指!

    子宮の位置を確認していてもよく筋腫の位置がわからなくなることがあります。

    そんな時は、指でどこに何があるか確認してください。

    産婦人科の指は内診を経て精密機器と化しています。

    これを用いない手はないですね。

    膣に指を突っ込んで子宮の位置や筋腫の位置大きさを確認します

    筋腫の核出は”層”を意識する

    筋腫の位置を確認できればそちらに向かって切るのですが、このとき筋腫と子宮実質の間の層をしっかりと見極めます。

    コツはしっかりと筋腫の中心に向かって切開することです。

    実質の方が柔らかいので実質だけ切ることができ容易に筋腫の表面の層に入ることができます。

    ねじって展開してから切る

    最後のコツはねじって展開してから切るになります。

    上側を切る時は、左手を時計回りに捻り下に引っ張ることで、切開するべき場所が出てきます。

    逆に、下側を切る時は、左手を反時計回りにねじり上に引っ張ることで、切開できます。

    また、展開はハサミでもできます。ハサミの片刃を入れてから、ハサミを閉じずに子宮を押すように動かすことで展開を加えることができます。

    まとめ

    今回は、子宮を膣より回収する時のコツについて解説しました。

    大きさや筋腫に位置を確認し、腕が痺れるぐらい引っ張り、腟を保護しながらCの字に切開してください。コツは、捻りとクーパーの使い方です。

    ではでは。更新はXで告知してますので、少しでも役に立ったという方はフォローをお願いします。

  • LC(腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術)のマスターガイド

    LC(腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術)のマスターガイド

    今回は、私が卵巣機能を温存するためにこだわってやっているLC(腹腔鏡下の卵巣腫瘍核出術)の術式を記載します。

    記載と言ったのは、この記事ではガッツリ術式だけを記載していきます。

    他の施設でLCをどのようにやっているか 気になりませんか?

    かなりこだわりのある術式ですが見やすいように、シンプルに記載します。

    LCなんて初心者の術式なんじゃない?と思いますよね。

    確かに、出血がしにくいといった理由で早めにやることが多いですが、卵巣機能を温存するという意味合いではかなり重要で気を遣う手術になっています。

    この記事を読んでLCがうまくなれば、以下の大きなメリットが得られます。
    ・卵巣機能を温存できる
    ・術中破綻のリスクが軽減する
    ・術後出血がなくなる
    ・妊娠につながる!!

    TLHなどは認定医ビデオの題材にもなっているので詳しい解説が多いですが、逆にLCの解説は逆にすくなく珍しいのではないでしょうか。

    卵巣腫瘍は女性の生殖健康に影響を及ぼす可能性があるため、この手術は患者様の質の高い生活を支えるために不可欠です。お見逃しなく。

    セッティング

    ポート配置とトロッカーの選択

    基本的にLCは20-30代の若い女性が対象となることが多いです。そのためダイヤモンド配置を希望される方が多いです(患者さんに選んでもらっています。)

    また、整容性を考慮して傷をなるべく小さくするために、左手ポートと助手ポートには3mmトロッカーを使います。

    執刀医の右手も3㎜にしたいのですが、使えるデバイス制限が大きいのでここは5mmトロッカーでやっています。

    ただ、癒着が強い症例は腸損傷のリスクや他臓器損傷のリスクを考慮して全て5mmトロッカー+パラレル配置で行っています。

    エネルギーデバイス

    電気メスで行っています。

    刃先で剥離をするときがあるのでシザーズ(ハサミ)型の鉗子にモノポーラーコードをつけて行っています。

    卵巣腫瘍核出術の基本手順

    ①切開ラインを決定する

    切開ラインはズバリ「卵管の対側で固有策から遠い部分」になります。

    腫瘍の大きさを見て赤道ライン(腫瘍の一番大きな径)を通れる切開の大きさにします。

    ②卵巣表面の切開

    電気メスの凝固で表面を凝固します(CUTですると穴が開きます)。

    凝固した部分を鈍的に裂いて卵巣表面を切開します。

    ③層の同定

    卵巣と卵巣腫瘍の間の層を同定します。

    つるつるの層が出てこれば正解です。入りやすいところではなくつるつるしたところです。(卵巣実質に入っていることがある)

    ④卵巣腫瘍の剥離

    卵巣腫瘍の実質が残るように、かつ腫瘍が破綻しないように剥離をしていきます。

    ③で見つけた層を広げていきます。

    剥離は一方向を深くするのではなく、幅広く全周性に行っていきます。

    ⑤切開の追加

    剥離が出来れば必要に応じて切開を追加していきます。

    この時、電気メスを使わなくてもよいです。コールドで切ったほうが破綻はしにくいです。

    ただ、手前に切るときは②の切開方法と同じく、凝固し裂いて切開を追加していきます。

    ⑥卵巣の皮をひっくり返す

    腫瘍の大横径(一番広いところ)まで剥離と切開が進めば、次は皮(卵巣実質)をひっくり返します。

    (個人的には、この大横径を”赤道ライン”とかってに言っています。赤道という言葉を使うことで上下の意識が生まれます。)

    手首を回外(開いていく)しながら、裏返すようにずりおろします。

    もし切開が足りない場合は、無理をせずに剥離と切開に戻ってください。

    ⑦栄養血管を処理

    卵巣腫瘍の栄養血管は骨盤漏斗靭帯側から来ています。

    そのため、⑥の工程が終わり南半球にくれば(勝手に呼んでます)栄養血管が通っていると考えながら剥離を進めていきます。

    具体的には、鈍的に引きちぎるのではなく、細かい血管の凝固をしながら、テンションをかけ過ぎずに鋭的に切開します。

    ⑧卵巣腫瘍核出と止血の徹底(+縫合)

    栄養血管は骨盤漏斗靭帯側にあり、それを避けるために切開ラインは骨盤漏斗靭帯の反対側になっています。

    そのため、⑦の栄養血管の処理がうまくいかなかった場合は出血が、核出後の袋状の卵巣の”底”におこります。

    そのため止血が難しくなることが多いですが、展開を助手+重力と共に行い、出血点をしっかりと同定し止血します。

    ここで止血を雑に行うと卵巣内に血種が起こります。

    縫合はどちらでもよいみたいですが、私は元の形にしたいので縫合しています。

    以上になります。詳しい方法やコツは随時記事にしていきます。

    チョコレート嚢胞ではやり方が変わってきます。

    更新情報についてはXにて行いますので、どこの記事かわからなくなる前にぽちっとフォローをお願いします。

    まとめ問題と解説

    問題:

    卵巣腫瘍核出術における切開ラインの決定方法について正しいのはどれか?

    A. 腫瘍の一番小さな径を通る切開の大きさにする

    B. 卵管の対側で固有策から近い部分にする

    C. 卵管の対側で固有策から遠い部分にする

    D. 卵巣表面の最も薄い部分にする


    正解:

    C. 卵管の対側で固有策から遠い部分にする

    解説:

    卵巣腫瘍核出術において、切開ラインは腫瘍と関連する解剖学的構造に配慮して決定されます。この手順では、切開ラインを卵管の対側で固有策から遠い部分に設定することが推奨されます。このアプローチは、腫瘍を適切にアクセスし、取り除くために必要な視界と操作空間を確保するためのものです。また、腫瘍の大きさを見て、その一番大きな径(赤道ライン)を通れる切開の大きさを選定します。これにより、手術中に腫瘍を効果的に扱えるようになります。選択肢Aは誤りです、なぜなら切開の大きさは腫瘍の一番大きな径に基づくためです。選択肢Bは切開ラインの決定方法に反しています。選択肢Dは切開ラインの決定基準としては適切ではなく、卵巣表面の最も薄い部分ではなく、解剖学的位置に基づいて決定されます。

  • RASH開始記録② 初執刀

    RASH開始記録② 初執刀

    RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。

    初めはアームの動かし方もわからないところから始めて、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。

    この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。

    これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。

    初執刀のメンタル

    初執刀は、CIN3の症例でした。閉経後でしたので、子宮は正常大~やや委縮気味ぐらい。

    感想としては、

    こんなの余裕だぜ!

    ではなく、

    慣れない!怖い!こんなんやってられるか!!!

    でした。

    というのも普段、TLH(腹腔鏡下子宮全摘術)ではエネルギーデバイスをメインで使っています。

    エネルギーデバイスで最も良いところは、挟んで切れるところなんですよね。

    圧倒的な安心感、挟んでから少し展開して後ろを確認することもできるし、挟んだところしか切れないといった安全システム。かなり安心して切開が出来ます。

    今回、電気メスはほとんど使ったことない状態でのRASHの初執刀でした。

    もちろん、原理や使い方、それにアニマルラボと準備はたくさん積んできましたが初めてのことってやっぱり緊張と不安で押しつぶされそうになりました。

    自転車で初めて補助輪を外したようなそんな怖さと緊張感がありました。

    初執刀の感想

    実際はやってみた時のとしては

    近い!

    でした。

    臓器がかなり手前にあるように感じましたね。

    というのも、ロボット手術では3D視野で本当に目の前にあるような見え方になります

    手前にあるものは当然すごく強調されますし、奥にあるものは認識が甘くなります

    腹腔鏡での2D視野の場合は、手前にある卵管も、奥にある膀胱も大きさは変わりますが、良くも悪くも

    ”同じ視野内のモノ”

    として扱うことが出来ましたが、

    これが出来なくなったので、思ったより近く見えて、驚いたのを覚えています。

    そのため、だいぶ恐る恐るアームを動かしていきました。

    この時のメンタルとしては、アームが動くと動脈がとんでしまう。そんなぐらいの気持ちでやっていました。ビビりすぎですね。

    終わってみて

    終わってみて、コンソール(ロボットを動かすための操作台)から頭を挙げたときはかなりの達成感がありました。

    子宮は閉経後のCIN3でしたので小さかったですが、達成感はものすごく大きかったです。

    練習に付き合ってくれた企業の方や、見守ってくれた上司やプロクター(他病院からの招聘した指導資格を持った医師)、およびスタッフの方々に感謝の気持ちがわき出てきました。

    あの安堵感と達成感と感謝が混じった体験はなかなかないと思います。

    この初期のの気持ちは忘れずにやっていきたいですね。

    ここまで体験記といった感じでした。

    次からは実際に、RASHとTLHでどう違うのか、本気で考察していきたいと思います。

    お楽しみに!

  • LM(筋腫核出)の筋腫を取るまでの全体像 北半球と南半球

    LM(筋腫核出)の筋腫を取るまでの全体像 北半球と南半球

    LM(腹腔鏡下子宮筋腫核出術)を執刀する自信ってありますか?

    なかなか自信あります!とは言えるひとは少ないと思います。

    正直言うとTLH(腹腔鏡下の単純子宮全摘術)よりも難しいです。

    それは子宮を残すからです。

    残さなくていいなら、血管をつぶして、層をつぶしても大丈夫なのですが残すならそうはいきません。残すのは取るよりも難しいのです。

    ジェンガを思い出してください。

    倒すだけなら適当に押すだけでいいですが、倒さないようにするには、場所や力加減、方向が大切になりますよね。

    子宮筋腫核出術は女性の生殖に影響を及ぼす子宮を温存しつつ筋腫を除去する手術であり、子宮の機能を最大限に保ちながら、症状を緩和し、将来の妊娠の可能性を維持するというとても困難で意味のある手術です。

    この手術の技術を習得することは、女性の人生において重要な役割を果たすことができます

    ただ、子宮筋腫核出術は筋層の切開、筋腫と筋層の同定、さらには手術操作の経時的な変化に至るまで、多くの細かな技術が必要となります。

    今回の記事では、これらの課題に焦点を当て、この重要な手術技術を習得するため全体像の理解を深めることを目指します!

    子宮筋腫核出までの基本

    子宮筋腫核出術において成功を収めるためには、筋層切開の位置と深さ、筋腫核と筋層の間の同定、および経時的変化の認識が極めて重要です。以下、これらの要素について詳しく解説します。

    筋層切開の位置

    子宮筋腫核出術の最初のステップは、子宮の筋層を適切な場所と深さで切開することです。

    筋層の切開は、筋腫を取り囲む健康な組織を最小限に損傷するように慎重に選択する必要があります。

    簡単に言うと筋層の一番薄いところです!

    もちろんそれだけではありません。

    切開の位置は、筋腫の位置、大きさ、および数に基づいて術前にある程度決定します。

    術中に触りながら場所を最終決定することが大切です。

    もちろん、薄いから取って血管や卵管に近いなどあれば避ける必要があります。細かい基準に関しては別記事に譲ります。

    切開の幅や深さ

    切開の深さは、筋腫に十分にアクセスできるようにしながら、周囲の健康な組織への影響を最小限に抑える必要があります。

    つまり、広すぎず狭すぎず、そして浅すぎず深すぎず。

    筋腫ごとの大きさや深さによって切開の幅や深さは変わってきます。

    当然ですが、狭すぎたり浅すぎると取り出すことはできませんし、広すぎたり深すぎると出血量が増えたり筋層の損傷が増えることとなります。

    (このちょうどいい塩梅は言語化できるのですが、1記事かかるので後日記載します。それぞれの項目でより詳しいことをまた解説していきますね。)

    筋腫核と筋層の間の同定

    筋腫核と周囲の筋層の間を正確に同定することは、筋腫を効果的に除去し、子宮の機能を保存する上で非常に重要です。

    つまり、筋腫がつるつるに向ける層を同定できると子宮筋層は損傷少なく、出血は減り、縫う量も減ります

    この同定プロセスは、特に筋腫が子宮壁に深く埋まっている場合には、かなり技術的な挑戦となります。

    当然、深いものを見つけるって難しいですよね。

    正確な層の同定には、高度な視覚的判断と繊細な手技が必要とされ、これには豊富な経験と練習が必要です。層のずれや内膜の損傷を避けるためには、細心の注意を払う必要があります。

    初めにきれいな層を見つけられるかどうかが最も大切な部分になります

    北半球と南半球での操作の違い

    私が勝手にいってる用語は何個かありますが、その一つを紹介します。

    北半球と南半球

    この用語はLMを理解するにあたってとても手助けとなる単語となっています。

    単語は存在することで人間の認識を変えることが出来ます

    例えば、人間を認識するときに、性別という単語があるので男性と女性が分かれます。
    貧富という単語があるの貧乏とお金持ちに分かれますよね。

    このように、単語があることで特定の認識をしやすくなるのです。

    この北半球と南半球という単語があることでLMの手技の理解が深まるなら導入しないわけにはいかないですよね。

    LMにおける北半球と南半球

    上半分と下半分です。(切開部より)

    あえて北半球と南半球という用語を使うことで、認識が進み手術手技を理解できるのでこのブログではこの用語を使っていきます。

    もう少し詳しく掘り下げると下記のようになります。

    • 北半球: 筋腫の上半分。筋腫と子宮筋層の間を剥がしやすい傾向にあります。これは、上から手が入る腹腔鏡では上半分へのアクセスが比較的容易であり、筋腫を包む筋層剥離が比較的容易であるためです。その結果、スムーズに進行しやすくなります。
    • 南半球: 筋腫の下半分。手術はより複雑になります。この領域では、子宮と筋腫の間で適切なな角度を取ることが難しく、また、栄養血管の存在により、層を追っての手術や出血が原因で視野を確保することが困難になります。このため、南半球での筋腫核出術に特に注意を払う必要があります。

    南半球まで処理が終われば筋腫の核出は終了となります。このあと縫合に移るのですがいったんここまでとしておきます。

    まとめ

    子宮筋腫核出術は、研修医が習得すべき重要な手術技術の一つです。

    この手術は、子宮の機能を保持しつつ、女性の生殖健康に関わる問題を効果的に解決できますがその分難しい手術になります。

    子宮筋層の適切な切開、筋腫と筋層の間の正確な同定、および手術操作の地理的な違いへの適応は、成功のために不可欠な要素です。

    子宮筋腫核出術の成功は、手技、判断力、そして経験に大きく依存します。

    この記事が、子宮筋腫核出術の重要な側面を理解し、研修医がこの貴重な手術技術を習得するための基礎を築くのに役立つことを願っています。

  • 超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    最近の動向を見ていると、医学生さんや研修医の先生が見てくれていることも多くなってきました。

    内容としてはかなりマニアックなブログですがもう少し歩み寄って、専門用語をかみ砕きまくった、ゆる解説をしていくシリーズを行います。

    そもそも子宮全摘の方法を何個かに分けて説明したいと思います。これは開腹(AT)でも腹腔鏡手術(TLH)でもロボット支援下(RASH)でも共通した内容になります。

    臓器を取るとは

    そもそも臓器を取るについてゆるーく考えてみましょう。

    一般化して、ふつうにものを取るときってどうしますか?

    ものって”持ち上げる”と取れますよね。

    落ちてるボールを拾うときは持ち上げるだけでボールを取ることが出来ます。

    では、土に埋まっているジャガイモを取り出すときはどうでしょう。

    ただただ取ろうとしても引っかかりますよね。根っことか周りの土など。なのでついている根っこをはぎ取り、土をはらいますよね。

    引っかかるものがあればそれをどけて取ります。

    他の例なら、洗濯物の山からズボンだけを取り出すとき、山に手を突っ込んで、ズボンを引っ張ってその周りのパンツやシャツをどかして取り出しますよね。

    そんな雑なことはしませんか?(笑)

    言いたいことはわかりますよね。

    ものを取るときには、引っ張って周りのものをどける

    これがものを取るときの方法になります。

    実は、手術でもこの単純な作業をしています。

    もちろん手術をするということは生半可な事ではダメで、人の命に係わり、医師免許がなければ傷害罪であり、産婦人科であれば生命の誕生にも関わるとてもとても大切なことです。

    ただ、こういった意義的なところを無視し、している事だけを注目すればやっている作業としてはジャガイモや洗濯物の例と変わりないです。

    実際手術でやっていることは、引っ張りながら膜や血管や隣接臓器をはがして引っこ抜いて終了。

    かなり暴論ですがこれが真理となります。

    この考え方で子宮全摘を見ていきましょう。

    超ゆる子宮全摘

    子宮を取るときって、子宮は持ち上げてもとれません。何がついているのでしょう。

    この画像を見てもらうとわかりますが、上部靭帯と下部靭帯があります

    子宮を引っ張りながら、この上下の靭帯を切って最後に膣を切ったら子宮は取れます。

    以上が子宮全摘術となります。

    これでは抽象度が高すぎるのでもう少し具体的な話をします。少し具体的になるので難しいかもしれません。

    困難は分割せよ

    ”困難は分割せよ”

    デカルトの言葉ですね。

    すべての現象に当てはまることですが、難しいことは分割して考える必要があります。

    旅行に行く → いつ、どこに、誰と、お金はいくら?などなど

    自分のできる範疇にまで分割して考えることで、実際に行動が出来るわけです。

    今回、超ゆるーく子宮全摘を

    引っ張って上部靭帯と下部靭帯を処理したらできると説明しました。

    これも一つ一つ分割して処理するだけです。

    上部靭帯→ 円靭帯、卵巣、卵管 →それぞれの切開ライン、切開方法、展開方法 →腹膜の切開、血管の切開、把持部位

    という風に分割していき、自分がわかる範囲まで考えればいいのです。

    ちなみに、どこまで分解し解像度を上げられるか。それがどれだけ熟達しているかを分ける一つの指標になります。

    これらはすべてのことにおそらく共通していて、

    全くしたことないですが、メイクであれば

    顔にメイク用品を塗る → 部位によってメイク用品を変える → 塗り方を変える → 色や材質をこだわる 

    といった風にどんどん上達するにつれて細かくなっていくのではないしょうか(やったことないので間違っていたらすみません)

    他には、日本を旅行するときに、東日本、西日本という分け方しか知らない人と、関西地方の大阪府の難波の通天閣までわかっている人とどちらが慣れているかは一目瞭然ですね。

    手術の分割した内容に関しては

    TLHまとめページ – 産婦人科医ごっそのラパロなブログ (sogogyne.online)

    こちらを参照してください。読んでいただきありがとうございました。

    まとめ

    1. 一般的な物を取る方法:物を取るときには、引っ張って周りのものをどけるだけ
    2. 手術における同様のアプローチ: 物を取る際の考え方は手術においても同様である。手術においても、周囲の組織を処理し、必要な部位を引っ張って取り除く作業が行われる。
    3. 子宮全摘術の手順: 子宮を取り出す際には、上部靭帯と下部靭帯を切ってから、膣を切開するだけである。
    4. 困難を分割して考える: 困難なことは分割して考える必要がある。具体的には手術であれば手順を細分化して考えることが重要である。
  • RASH開始記録① 1例目執刀するまで。開始に大切なのは技術?メンタル?それとも・・・?

    RASH開始記録① 1例目執刀するまで。開始に大切なのは技術?メンタル?それとも・・・?

    RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。

    初めはアームの動かし方もわからないところから、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。

    この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。

    これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。

    執刀資格と資格枠の取り方

    1例目を始めるまでは結構大変です。

    腹腔鏡みたいに特に資格なしでできるわけではなく、ロボット支援下手術をするにはちゃんと執刀資格を得た上で執刀をする必要があります。(オペ室や看護師さんとの調整も結構大変ですがそれは割愛します。)

    この執刀資格を取るのがかなり大変です。簡単に列挙すると

    MRさん(営業)との練習を何回か → 見学 → 資格を取りに東京へ 

    期間で言うと始まってから数カ月かかります。費用も22万ほどかかりなかなかハードルが高いです。

    さらに、資格を取る枠の確保が難しいです。何ならここで一番つまづくかもしれません。

    私は、運よくロボット手術立ち上げチームの二番手として入ることが出来たので。立ち上げから3カ月ほどで資格を取ることが出来ました。

    いまはロボット手術の流れが来ているので、執刀資格を取る枠は1000人単位の待ちがあるとの噂を聞いたことがあります。すごいですね。

    ここで枠を取る秘訣を3つ

    ①MRが優秀であること
    ②信頼関係がある程度できていること
    ②MRさんに情熱を伝えられていること

    実は資格を取るための枠を取るのはMRさんです。

    そのため、資格を取るためにはMRさんがどれだけ本腰を入れて枠を確保してくれるのかそれにかかっています。枠が空いた瞬間に全国のMRさんの枠の取り合いになります。

    本腰を入れてMRさんに競争してもらう必要があるわけです。

    ではそのMRさんが力を本気を出してくれるのはどのような時でしょうか。

    MRさんが本腰を入れるには、もちろん営利企業ですのでMRさんに利益がある(症例が十分ある)ということは大きなウェイトを占めます。

    もう一つ大きなfactorとして”推しになってもらう”ということがあると思います。

    どの様なビジョンで手術に取り組んでおり、どのような今後の大きな展望があるのかを明確に伝える必要があるわけです。MRさんも人間です。頑張る気がある人を応援したくなるのも当然ですよね。

    少なくとも、MRさんをないがしろにしていると枠はなかなか確保できないと思います。

    なんなら今は、やりたい医者が多いのでMRさんのほうが立場が上であると考えたほうがよいかもしれません。

    始めるには、MRさんと二人三脚で行います。そのイメージが大切です。

    脅されまくる初執刀までの練習

    執刀の枠が決まれば、次にMRさんとの練習が始まります。

    正直、かなり脅されますw 足ガクブルです。

    特に事故症例、死亡症例について毎回教え込まれます。

    ここでメンタルやられそうになりました。

    この動きをすると危ない、この動きで動脈がとんだ。など聞くだけで足が震えるような内容を教え込まれます。

    やめてくれと正直思っていましたが、今となれば必要だったと思います。

    MRさん教えるのが下手かというとそうではなく、むしろ優秀な方が多く、教えるのも上手です。

    途中で担当のMRさんが変わりましたが、それぞれ内容は異なるもの、教え方はとても分かりやすかったです。

    かなりプレッシャーをかけられながらも、二人三脚で一歩一歩ステップバイステップで着実に上達できるようにプログラムが組み込まれています

    優秀なに人は、何が大切かわかっています。

    それは、事故を起こさないこと

    死亡例や損傷例をめちゃめちゃ教え込まれましたが、これってあれと同じですよね。

    自動車教習所

    教習所ってめちゃめちゃ事故の場面を教え込まれませんか?

    ボールが転がってきたら子供!

    この意識を刷り込まれますよね。

    でも、現実世界で子供が出てくるのって年に一度あるかないかではないでしょうか。

    動脈を飛ばすのなんでめったにない。けど大切。

    MRさんの脅しも必要な脅しだったというわけですね。

    まとめ

    執刀資格取得のプロセス

    1. MR(医療機器営業担当者)との練習: 手術に必要な技術と知識を習得するために、MRと何回か練習を重ねる必要があります。
    2. 見学: 実際の手術を見学し、手術の流れや必要な技術を学びます。
    3. 資格取得のための東京への旅行: 資格を取得するためには、東京にある特定の施設や機関で必要な試験や講習を受ける必要があります。この過程には数ヶ月かかり、費用は約22万円となります。

    資格取得の難しさ

    • 資格取得枠の確保: 資格を取るための枠を確保することが一番の難関であり、全国のMR間で競争が発生します。現在、ロボット手術の需要が高まっているため、資格を取得する枠には1000人単位の待ちがあるとのことです。

    枠を取るための秘訣

    1. MRが優秀であること: 枠を確保するためには、MRが積極的に動いてくれることが必要です。
    2. 信頼関係の構築: MRとの信頼関係がある程度築かれていることが重要です。
    3. 情熱の伝達: 自身のビジョンや手術に対する熱意をMRに伝えることで、MRが枠を確保するために本気で動いてくれるようになります。

    初執刀までの練習

    • プレッシャーのかかる練習: MRとの練習は、事故症例や死亡症例に関する知識を重点的に学ぶため、非常にプレッシャーがかかります。しかし、これらの練習は事故を避けるために非常に重要です。

    結論

    ロボット支援下手術の執刀資格を取得する過程は、MRとの練習、資格取得のための出張と費用、そして資格取得枠の確保という複雑なプロセスが必要。MRとの良好な関係構築と情熱の伝達が成功の鍵であり、事故を避けるための徹底した練習が必要です。

  • TLH 目次ページ

    TLH 目次ページ

    このページは目次としてTLHに関して場所ごとにまとめています。

    セッティング

    TLH パラレル配置、前方アプローチ、マニュピレーターあり、エネルギーデバイスメイン(ハーモニックまたはソニシジョン)

    RASH 5ポート、前方アプローチ、マニュピレーターなし、電気メスメイン

    前方アプローチのTLH術式

    円靭帯の切開

    前方アプローチのTLHでは円靭帯をまず処理します(膀胱のところもありますが)。簡単そうに見えてめちゃめちゃ大切な円靭帯処理の解説です。

    円靭帯なめてません?
    ・円靭帯の切開でその後の処理の難しさが激変する。
    ・円靭帯裏の血管に注意
    ・いろいろ切開パターンはあるが円靭帯は単離しよう。

    切開場所、言語化できてますか?
    ・切開位置はとりあえずは真ん中では成長しない
    Point1 子宮動静脈上行枝から離れている。
    Point2 骨盤漏斗靱帯から離れている
    Point3 子宮から遠すぎない。

    円靭帯と”あるもの”の距離を見れば広間膜の癒着がわかる。
    ・骨盤漏斗靭帯との距離で癒着具合がわかる。
    ・円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が近いときは癒着有る

    ”とりあえず真ん中”で!!ダメ場合っていつですか? 
    ・癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近いとき
    ・巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき

    広間膜腔の展開

    子宮全摘のハイライトである、広間膜腔の処理について、箱のメタファーを用いてこれまでになく詳しく解説しています。

    広間膜腔は箱イメージ 円靭帯切開との秘密の関係 
    ・広間膜腔は人工的に作るもの。
    ・箱のイメージで広げていくとうまくいくことが多い。
    ・円靭帯の切開から広間膜腔の展開は始まっている。

    腹膜の本当の姿しってる?
    ・腹膜には広い意味と、狭い意味がある
    ・腹膜の下には腹膜下筋膜(硬い層)がある。
    ・この硬いところも切りきらないとラップがかぶったようになり広間膜腔を展開できない。

    前葉はなるべく子宮に近くで切るほうがよい。なんで?前葉の切開ラインと、切り方を徹底解説
    ・広間膜前葉の切開は円靭帯から子宮動脈または膀胱まで。
    ・子宮に”寄って”切開することが何よりも大切
    ・離れるときれいに腔が展開できず、子宮に組織が残る。

    ④広間膜腔は人工的に作られるものであり、作り上げるにあたって正しい形を知る必要がある。目指すべき形は箱をきれいに開けたような姿(詳しくはこちら

    ⑤具体的な広間膜腔展開の手順 (詳しくはこちら

    ⑥脂肪は脈管の所有物で、所を示す指標になり手術を安全に行う道しるべとなる(詳しくはこちら

    尿管子宮動脈交差部の同定

    ①前方アプローチは難しいだからこそ困難症例に向いている。(詳しくはこちら

    ②尿管同定方法は、側方アプローチ型、子宮動脈アプローチ型、前方アプローチ型の3つ。前方アプローチ型は尿管と子宮動脈を同時に見つけることができ、非常に強力(詳しくはこちら

    ③発生学的を知っておけばパッキングされた構造の理解と認識が進み、交差部の同定が容易となる。(詳しくはこちら

    ④子宮動脈と尿管は平行に走っている場面のほうが多いので注意。(詳しくはこちら

    膀胱の剥離

    ①膀胱剥離は必要ない?膀胱剥離の理由は膣を安全に縫うため。(詳しくはこちら

    ②膀胱が剥離しにくいのは筋膜が癒合して癒合筋膜となるから。(詳しくはこちら

    ③膀胱剥離の正面突破の4STEP(詳しくはこちら) 

    ④膀胱剥離がうまくできない時の対策3つ(詳しくはこちら

    ⑤膀胱剥離のサイドからの3STEP(詳しくはこちら

    ⑥膀胱剝離のサイドからのコツ① 子宮動脈から考える(詳しくはこちら

    ⑦膀胱剝離のサイドからのコツ② トンネルの作り方(詳しくはこちら

    骨盤漏斗と子宮附属器の処理

    ①骨盤漏斗靭帯の処理① 3ステップ(詳しくはこちら

    ②骨盤漏斗靭帯の処理のコツ。白色凝固を意識すると止血効果が高い(詳しくはこちら

    ③子宮附属器のメタファーはクローバーよりも冊子のほうがよい説(詳しくはこちら

    ④子宮附属器の処理のコツは、切りたい部分とその腹側の組織を同時に持つこと(詳しくはこちら

    広間膜後葉と仙骨子宮靭帯と子宮傍組織の処理

    ①広間膜後葉処理の”詳しすぎる”手順とコツ 仙骨子宮靭帯、筋膜を認識せよ(詳しくはこちら

    ②仙骨子宮靭帯は存在しない。ただの腹膜のたるみをそう認識しているだけ。(詳しくはこちら

    ③子宮傍組織のメタファーはシャンパンタワーがよい。位置を変えるには剥離。(詳しくはこちら

    ④子宮動脈上行枝の切断は”安全な高め”が無難(詳しくはこちら

    腟管切開+縫合

    ①腟管切開はリングのイメージが出来ていると失敗しない(詳しくはこちら

    ②超具体的な腟管の切開方法(詳しくはこちら

    ③腟断端の1層目は層を合わせることから始まる(詳しくはこちら

    ④腟断端の2層目は減張を意識、真皮縫合と同じ原理(詳しくはこちら

    コラム

    なぜ側方アプローチではなく前方アプローチ用いているのかは患者への侵襲を考えて(詳しくはこちら

    鈍的剥離と鋭的剥離どちらが良いかは状況による。常に鋭的剥離がよいわけではない(詳しくはこちら

    鈍的剥離は悪ではない、正しいテンションと方向を見極める(詳しくはこちら

    縫合の原則は層と減張(詳しくはこちら

  • 医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

    医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

    読者さんから質問が来ました。

    医学生の方で、うれしいことに産婦人科希望。

    熱心に腹腔鏡の練習と勉強をされているみたいで、わざわざネットで調べてメールをくれました。

    質問はこちら(本人に同意を得たうえで掲載。一部省略しています)

    初期研修はどのような病院で行う事が理想でしょうか
    先生はどこの病院で、またどんな初期研修を行っていましたか?

    個人的にお答えするにつれ、多くの人にとってメリットの大きい内容になりましたので、思い切って記事にしました。

    質問は初期研修病院についてですが、少し大きな枠でとらえて研修病院の選び方について解説していきたいと思います。

    研修病院をどのように選べばいいのか、根本からきっちり言語化しました。

    その分ボリュームが多くなりましたが

    研修病院選びをどのように行えばいいのか迷っている医学生や研修医、修練医には道しるべとなる最適なガイドラインとなった自信があります。

    今後、後悔したくない人生にしたい人はどうぞお見逃しなく。

    ”理想的な”研修病院とは

    そもそも理想的な研修病院とは何かについて考えていきます。

    そもそも物事を考えるには、軸となる基準が必要です。

    食事で言うなら

    誰と(友人、家族、上司、後輩、初対面など)
    どのような形で食べるのか(立ち飲み、コース、アラカルトなど)
    他には、金額は?おすすめ料理は?立地は?

    もちろん研修病院選びにもいろんな軸があります。

    研修体制という軸はもちろん、場所、給与、人数、上級医の学年、強い科(その中でも強い分野)、立地などの軸が挙げられます。

    といったところでしょうか。

    そのため、一般的に理想的な研修病院といえば、

    友人や家族の近くで立地がよく、給料がべらぼうに高く、やる気のある謙虚で優しい同期がいて、やる気があり優秀な上級医がおおく、すべての分野で強い病院。

    ・・・あります?

    ・・・ありませんよね?

    こんな病院はないですよね。

    ちなみに”理想”に関しても、人によって違います。

    新しい環境に身を置くことが好きな開放性が高く外向性が高い人は地元より東京など遠く離れた場所が理想的となるかもしれません。

    家がかなりのお金持ちで給料は理想の軸に入らないかもしれません。

    ひとりでやることが好きな人には、やる気がある人がいると逆にしんどくなることがあります。

    近しい上級医が多いとそれだけできる手技が減るとも考えられます。

    ある分野が強いところに行くと、発展していく過程を見ることが出来ないこと自体が機会損失になっているのかもしれないです。

    ”理想的な”研修病院とはの答えは・・・

    存在しない

    が結論になります。

    終了。

    ・・・

    ではだめですね(笑)

    これでは意味のない返答になるのでもう少し深堀しましょう

    ”個人の理想”の病院とは

    ”一般的な理想”などありえないうえで、考える必要があるのは、”個人の理想”とはなにかではないでしょうか。

    食事でも、お肉が好きなのか、魚が好きなのか、野菜が好きなのかで変わりますよね。

    一般的な理想病院などないことがわかったところで、”個人の理想的な研修病院”の探し方について具体的解説します。

    個人の理想の研修病院を見つけるには以下の3つのポイントがあります。

    ①データ集め
    ②自分の価値観の明確化
    ③捨てる覚悟になります。

    それぞれ軽く説明すると

    ①データ集め:
     判断材料。ネットの情報だけでなく人から聞くことが最も大切になります。
    ②自己の価値観の明確化:
     判断基準。自分とは今まで何が好きで、どうゆう状況で成長したのか、逆に何が許せず、ストレスになるのかを明確化する必要があります。
    ③捨てる覚悟:
     エッセンシャル思考。何を選ぶのかというのは”何を捨てるのか”と同じ。何を選ぶのかではなく、何を捨てるのがとても大切になります。

    そして決断時の最後の最後は”縁と直感と勇気”になります。

    これだけでは正直何が何かイメージしにくいと思いますので。具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

    個人の理想を達成する、具体的なアクションプラン

    では具体的なアクションプランの例として、

    私個人がどのように初期研修病院を選んだのかという話を一つの例としてお伝えします。

    ①見学に行く病院の設定

    まず、自分に病院がわからなかったので、病院の属性で分けて見学に行く病院を決めました

    市中病院なのか大学病院なのか、市中病院でも大きい病院と小さい病院(100床行かない程度)

    救急が忙しいのかどうか いわゆるハイポとハイパー

    田舎なのか都市部なのか

    住んでいるところからの遠さ

    給与が高いのか低いのか

    といった、属性で探しました。

    で気になるところ(先輩が行っているところなど)を何となくピックアップして見に行ってみました。

    初めの病院選びは何となくでよいですよ。

    実際行ったのは、今の淡〇医療センター以外に、丸〇町音〇病院(市中の小さい病院)、滋〇済〇会病院(市中の大きい病院)、湘〇鎌〇総合病院(救急日本一の病院)、亀〇総合病院(ド田舎のドハイパー病院)、京〇府〇医科大学(出身大学)となります。

    これらすべての見学に行きました。確かあと二個ぐらい行ったと思います。

    ②データ集め

    それぞれ、行く前に評価項目を作っていきました。

    あとから設定しては聞き逃したり、比較するときに困ることを避けるためです。

    立地、給与、研修医の数、学年の近い上級医の数、学年の遠い上級医の数実際の忙しさ、人間関係などなど聞いておきたいことを決めていきました。

    これらをそれぞれの病院に行ったときに研修医の先生と直接お話をし(できれば1対1)データを集めてメモをしていきました。

    必ず、実施に働いている医師に確認できるようにお願いしました。

    ここでは研修医の先生からの情報が最も大切になります。

    行く予定の年から待遇が変わったりしないか。

    手技を上級医がさせてくれるのか。

    実は無駄な作業ばかりに時間を取られていないのかなどなど。

    あんがい車で移動すれは都市部に近かったり、駅まで院内バスが出ていたりします。

    ここでのデータが今後の判断でかなり大切になってくるので必ず、事務さんだけでなく近い年代の医師と直接話せる時間を作ってもらいましょう

    ③自己の価値観の明確化

    次は価値観の明確化になります。

    と言われても、自分の価値観はわからないし、価値観ってそもそも何なのかもわからない。

    という人が多いのではないでしょうか(私もまだまだ探求中)

    ここでの価値観は”何が好きで、何が嫌いで、何を選び、何で後悔したのか”という定義?にしておきます。

    価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください

    逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

    自分は、部活が体育会系だったので救急が強いハイパーなところがあっていると思っていました。

    実際、何か手を動かし、自分で考えて練習したり、成長していくのが好きです。

    人と接するのも好きですが、一人で黙々と作業や勉強をするのも好きです。

    つまり”私が”最も成長したり楽しかったのは自分でやりかたを考えコツコツ努力したとき。

    でも、”やるべきだからやる”とか、”脳死でこうしたほうがいいらしい”とか、”みんながしているからする”とかは嫌いでした。

    やらされた宿題とかをやるのは嫌いで、軽く請け負った作業で後悔することがしばしばありました。

    とくに、最も堕落しつらかったタイミングは中学の時の部活教師の体罰が最もパフォーマンスを落としたと思っています。

    自由が制限されハラスメントが横行している組織には絶対いてはいけないと思っています。

    なので方針としては、自己成長が出来、がちがちに縛られているところは避けよう、自分で考えて決める方針としました。

    繰り返しになりますが、

    価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください

    逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

    自分の価値観が明確化するのに大きなヒントが隠れています。

    ④捨てる覚悟

    次は捨てる覚悟になります。

    これは集めたデータを自分の価値観に照らし合わせることで行います。

    湘〇鎌〇総合病院に行ったとき、知り合いのキラキラしていた先輩の眼が死んでいました(西医体優勝していたような体力ばりばりの人)。

    忙しすぎたのです。

    確かに力はつくかもしれませんが、自由な時間が必要な自分の価値観に照らし合わせ、

    自分で考える時間がなく自分なりの研鑽が出来ない病院はやめることにしました。

    ここで、”忙しすぎて自分で考えて研鑽できない病院”が捨てる対象となりました。

    上で言うと、亀〇総合病院、湘〇鎌〇総合病院となります。(時間がないかどうかは個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

    このように、今あるデータを解釈し、自分の価値観に照らし合わせていきます。

    みんながよいと言っている事に疑問を持ち、悪いと言っているところの良いところ、良いと言っているところの悪いところを考えていきました。

    例えば、大学のタスキが最もよい(市中と大学が両方経験できる、最新の治療が学べるから)と言われていましたが、あえて悪いところ(同年代が多いので手技が取り合いになる、給与が悪い、学生とかわらない可能性があるなど)を考えていきました。

    逆に、不人気な病院のいいところ(自由な時間が多い、自分次第で手技が転がっているなど)も考えていきました。

    これを突き詰めて、”一般的に良いとされている病院”を捨てました。それは立地がよかったり、知り合いが多かったりするところです。

    理由としては、人気なところというのは病院側が人を選び、条件が悪くなることが多いと考えたからです。滋〇済〇会病院などが消えました(条件が悪いかどうかは当時の私個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

    そして自分は好奇心が強く、新しいところや物が好き(趣味は旅行)という価値観を優先しました。

    新しいものと出会うには今までの環境や知り合いを捨てる(完全に捨ててはない)こととしました。

    ここで、京〇府〇医科大学は消えました。

    最新の医療は大学でなくてもネットや動画でいくらでも学べるいまの情報供給の変化も大きいです。

    ”学年の近い医者が多いところ”も捨てました。学年が近い医者が多いと手技が回ってこないからです。

    逆に、学年の離れた先生が多いと、やらせてもらえるチャンスも多いと考えました。

    ⑤最後は縁と直感と勇気

    ここまでで、したことは

    病院をいろんな属性で選び、データを直接集め、自分の価値観を明確化し、捨てるものを選ぶ。

    これらによって見つけた”私の理想の研修病院”の条件とは

    人気病院を避け、知り合いが多いところは避け、近い学年の医師がいるところは避ける

    といったかなり一般的ではない理想となりました。

    決断の時です。”個人の理想”の病院選びのの最後の決断になります。

    最後の決断で大切なことは”縁と直感と勇気”になります。

    初期研修病院として実は今いる淡〇医療センターを選んでいます。

    理由としては

    縁:腹腔鏡のプロであり尊敬できる先生がいたこと、事務の方の雰囲気がよかったこと

    直感:この病院は盛り上がると思った。これから研修医を増やそうという意気込みがあり、いわゆる殿様病院とは違った。

    勇気:実は自分の1つ上の研修医は2人しかいなかったし、先輩で行っている人も知り合いもいなかった。一番の親友にはやめておけと言われた。が、自分の直感と縁を信じた。

    こんな感じで決めました。

    当時の病院の状態としては、一般的な人から見たら激悪です。

    まず研修病院として定員割れしている不人気病院。滋〇という田舎で立地は最寄りの駅より徒歩20分、学年の近い医者がほとんどいないといったところでしょうか。

    激悪ですね。

    でも結局、行ってみると自分に合っていて”自分にとって理想的な研修”を受けれたと思います。

    確立した研修システムがなかった → 自分がしたいようにできた。そのため毎日腹腔鏡の練習をすることが出来た。今の時代ネットや本でいくらでも学べた。

    若い医師が少ない → 手技はやり放題であった。CV挿入はもちろん、外科ローテの時に腹腔鏡下虫垂切除を完全執刀させてもらえた。

    研修医を集めている時期 → 給料はいいし、待遇もよかった。

    研修医が少ない → 個人の先生として覚えてもらえた(研修医の先生たちというくくりではなく)

    立地がわるい → 今の時代タクシーもすぐ呼べるし、京〇の友達と飲みに行くのに1時間とかからず(本やスマホで時間つぶせばいい)、つながりは消えなかった。

    田舎 → 人混みを避けられるし、自然でストレス解消が出来た。都会に行くとすごく新鮮で楽しめた。

    一般的に理想とは程遠い病院でも、個人的には理想となるわけです。

    まとめると、

    ファクトフルネスなデータを集め、自己省察で価値観を具体化し、エッセンシャル思考で自分が捨てるべきものを理解できれば、最も優先すべきものがわかり、納得感と勇気をもって”理想的な”研修を受けることが出来る。

    結局、理想を達成することは難しいのですが、これは本当に自分で考えて決断するしかないと思います。

    見学生にここまでやっている人は見たことがないと言われたことがあります。

    しかし、ここまですると後悔することはないと思いませんか?

    ここまで読んでいただきありがとうございます。

    皆様の人生が後悔をするとしても、納得した後悔のできる人生になれば幸いです。

    もし研修先を悩んでいる人がいましたら、このURLでも送り付けてやってください。皆さんがハッピーで理想的な研修を受けられるますように願っています。

    ではでは。

    まとめ問題と解答解説

    問題:
    文章に基づき、理想的な研修病院を見つけるために考慮すべき要素はどれか?次の選択肢から最も適切なものを選びなさい。

    A) 立地の良さ、給与の高さ、知名度のある病院
    B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟
    C) 他人の推薦、医療設備の充実、病院の規模
    D) 上級医の学年、研修医の数、病院の名声

    答え:
    B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟

    解説:
    この文章は、医学生や研修医が理想的な研修病院を選ぶためのアプローチに焦点を当てています。理想的な研修病院を見つける上で重要なのは、個人の価値観を明確にし、必要なデータを集め、そして何を優先し何を捨てるかの覚悟を決めることです。立地の良さや給与の高さ、病院の名声などは重要な要素かもしれませんが、文章は個人のニーズと価値観に基づく病院選びの重要性を強調しています。そのため、選択肢Bが最も適切です。

  • 腟断端縫合② 2層目は真皮縫合と同じ?

    腟断端縫合② 2層目は真皮縫合と同じ?

    縫合の原則に基づいた、腟断端縫合シリーズの第二弾!

    1つ目は層を合わせる。2つ目は創部の減張でしたね。

    今回は”創部の減張”にフォーカスを当てた腟断端の縫合を見ていきましょう。

    2層目は真皮縫合と同じ

    腟断端の一層目は前回説明しました。

    筋層→粘膜→粘膜→筋層と筋層同士、粘膜同士が合わさる様に縫合しました。

    薄い粘膜がきれいにくっつくように1層目を取りました。

    2層目は創部の減張が一番の目的になります。

    ここで最も大切なイメージが皮膚における”真皮縫合”になります。

    真皮縫合は、真皮を幅広くとることで、表皮での減張を達成していますよね。

    これと同じことを腟断端で行えば良いわけです。

    イメージとしては以下のようになります。

    表皮→筋膜として、真皮→筋層として考え、筋層を幅広く、奥まで取れればよいわけです。

    腟をよこから見たのイメージはこんな感じです。

    減張するためには2層目は図のように運針するのが望ましいです。

    これによって中の筋層と粘膜が減張され傷の治りが理論的に良くなります。

    実際の縫合の仕方

    まずは筋層を展開します。

    この時のポイントとしては、メリーランド型の鉗子で筋層の外側、つまり筋層側を薄く持ちます。

    真皮縫合で表皮を持ち上げるようなイメージです。

    筋層に針を挿入していきます

    この時のイメージはやや奥(腟の尾側)に向かって運針するイメージで奥の組織を取れるようにします。

    筋層をひっかけながら手前に針を出す

    つぎに筋層をひっかけながら針の先端を軸にして針を手前向きにします。

    一層目ぎりぎりに出します。

    これで片方の運針が完了します。

    反対側も同様に

    反対側も同様に、筋層を展開し奥目に運針、針の先端を軸にめくりあげ、手前に運針します

    これをを繰り返して終了です。

    所属施設では年間200-300件ほどTLHやRASHを行っていますが、ここ数年腟断端離開は行っていないのでこのやり方でおそらく間違いはないと思います。

    ただこのやり方がその施設にとってベストかどうかは不明です。

    一層目を前層縫合して、プラス正中Z縫合や腹膜縫合でもよいと思います。閉経後など膣壁が薄い時はよくやっています。

    縫合後の腟断端の強さを調べれたら一番なのですがなかなか難しいですね。

    なので、今回のやり方も私が考える理論上よい2層縫合になります。

    めくりあげて、なるべく奥を取るような運針が必要となるためやや技術が必要となりますが、ぜひ参考にしてみてください

    これでやっとTLHが終わりました。今後は、他の術式についても詳しく解説していこうと思います。もしかしたらパラレル配置のTLHより需要があるかもしれませんね。もう少しコラム的なものも増やせたら良いなぁと思っています。よろしくお願いいたします。

    まとめ問題と答え

    問題: 腟断端の2層目縫合についての説明の中で、正しい記述を選択してください。

    A) 2層目縫合では筋層を薄くを取り縫合を目指す。
    B) 真皮縫合のイメージを参考に、筋膜ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。
    C) 筋層は分厚く持ち上げ、扱いながら縫合する。
    D) 一層目の縫合は筋層を中心に行い、二層目では粘膜のみを縫合する。

    答え: B) 真皮縫合のイメージを参考に、表皮ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。

    解説: 腟断端縫合の2層目では、真皮縫合のイメージを用いて筋層を幅広く縫合することが重要です。この方法は、表皮での減張を達成するのと同じ原理で、筋層を幅広く取ることにより、創部の減張を目的としています。これにより、傷の治りが理論的に良くなるとされています。他の選択肢は、このテキストに基づいた正しい手法を反映していません。

  • ”Googleの猫”と”手術”の共通点

    ”Googleの猫”と”手術”の共通点

    ディープラーニングの元祖”Googleの猫”と”手術”って同じですよね。

    え、違います?

    今回は、研修医の先生とともに手術に入ったときに必ず伝えている重要な手術習得の要素について説明していきます。

    読み終われば、すっきり間違いなし!

    手術への認識ががらっと変わります。

    ぜひ楽しんでいってください。

    Googleの猫

    皆さん”Googleの猫”って知っていますか?

    医療業界では全く聞いたことない人も多いのではないでしょうか。

    実は、はやりのAIやディープラーニングにかかわる人なら必ず知っている衝撃的な研究結果になります。

    それは

    「Googleの猫」とは、2012年に発表されたAIの研究結果です。
    Google社の研究チームは、ディープラーニングという手法を用いて、YouTubeに投稿されたビデオの中から無作為に一千万枚の画像を取り出してAIに学習をさせました。
    その結果、AIが「猫が写っている画像を見分けられるようになった」と発表したのです。
    この研究で特に注目されたのは、人がAIに「猫」という概念を教えたわけではない
    参照;2012年にAIの歴史が動いた!ついに猫認識に成功した「Googleの猫」 | マルチナ、永遠のAI。 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

    つまりか~なり雑に1行にまとめると

    教えてないのにAIに画像を見せまくったら猫って勝手に認識した。

    ということになります。

    これってものすごくないですか?

    コンピュータに対して指示がないのって考えられないですよね。

    普通は必ず指示は行いますよね。

    例えば、猫の耳の形を指定して、この形の耳を持つものは猫という風に、どこがどうなっているかを説明することでしかコンピュータはわからなかったはずです。

    これをぶち破ったのが”Googleの猫”というわけです。

    ”Googleの猫”と手術の共通点

    ここで本題に移りましょう。

    ”Googleの猫”と手術の共通点です。

    それは

    ”ある閾値を超えると急にわかる”

    ということです。

    よくわかりませんか?

    具体的に見ていきましょう。

    例えば、初めて子宮全摘の術野を見たときを考えてみると、始めはよくわからないですよね。

    子宮はわかるけど、膀胱や尿管なんて言われてもよくわからなった記憶はありませんか?

    しかし、ある時ふと”尿管だ!!!”と認識できたことありませんか?

    これが卵巣で子宮の後ろについているのか!と分かった経験ありませんか?

    今まで見えてこなかった、血管が急に見えて、認識できるようになったことはありませんか?

    これこそ”Googleの猫”との共通点になります。

    ここまでくれば何となくわかったと思います。

    つまりまとめると

    Googleの猫は、大量に猫の画像をAIに見せまくったらいつの間にか猫を認識していた。

    手術は、大量に手術を経験していたらいつの間にか尿管を認識していた。

    となるわけです。

    つまり、大量に経験を積むこと(画像を見る)ことで”モノ”を認識できるというわけです。

    数多く見ることで、ある段階を超えると急に臓器が認識できるわけですね。

    共通点からの学び

    この共通点からの学びは何でしょう?

    陳腐な結論を言ってしまうと、

    経験を積むとよいになってしまいます。

    しかし、もっともっと大きな希望に満ちた結論があります。

    実は、ディープラーニングは人間の学び方と同じと部分があるといわれています。

    そして、人間の学び方、手術の上達とディープラーニングが同じであるならば、焦ることは必要ないわけです。

    よってこのように言うことが出来るのではないでしょうか。

    今わからなくても大丈夫。いつかわかるときがくる。

    そんな希望のある話になるのではないでしょうか。

    なので、もし今何か認識できない臓器や血管走行や手技があったとしても大丈夫です。

    いつかわかるようになる。それでよいのです。

    焦らなくても大丈夫。ではまた。