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  • 2024 ロボット認定医 チェックポイント抜粋

    2024 ロボット認定医 チェックポイント抜粋

    婦人科内視鏡学会のHPの審査指針と評価表を参照

    合格点

    初年度は合格点を中央で決める。66点満点。

    ロボット操作

    ロールインロールアウト

    いつも通りで良い。
    インスツゥルメント抜去時にカメラで追わなくて良い。
    ポート抜去や針の抜去はカメラで追う。

    ロボット操作

    リストとしっかり曲げて使ってアームの干渉を防ぐ

    組織は愛護的に

    静止しているアームがカメラ操作によって視野外に出ることは構わないし、静止させているアームをわずかにテンションのために動かすのは良い。

    ただし、見えていないアームを動かすのは基本やめた方が良い。視野外で見失うのもダメ。

    縫合の針をもって視野外に移動したら明確な減点対象

    カメラ操作

    少し汚れても操作に問題なければ大丈夫。

    中心に視野を持ってくる方が良いが、アーム干渉を防ぐためならずれてても良い。

    エネルギーデバイスの過剰な放電は減点対象。

    バイポーラーの先が汚れていても止血に支障がなければ減点とならない。

    子宮動脈と尿管と基靭帯

    子宮動脈

    本幹同定はしなくて良い。

    尿管

    尿管走行の確認が必要。尿管の露出はしなくて良い。

    基靭帯

    膀胱をしっかりおろし、基靭帯背側(広間膜後葉側)の剥離を行うこと。

    切断時は1㎝以上尿管から離れていること

    結紮はいらない。

    腟切開、回収、腟縫合

    腟切開は何で切っても良い。

    子宮回収の様子は動画におさめる。回収をカット編集しても良いがレポートに記載を。

    縫合は結紮が必要。

    腹膜縫合はどっちでも良い。腹膜縫合したらその分減点のリスクあり。

    その他

    マニュピレーターでも良いが穿孔したら減点。

    癒着防止剤は採点対象外

    卵巣の温存や切除に関しては理由をレポートにしっかり書くこと。

    卵管の切除理由はレポートにいらない。

    膀胱鏡は採点対象外 どちらでも良い。

  • 「ここ、どこ切る?」と迷ったら三角形を探せ!切開ラインの大原則

    「ここ、どこ切る?」と迷ったら三角形を探せ!切開ラインの大原則

    キレるラインがわからない、どこから剥がすべきか…

    術中と手が止まったこと、ありませんか?ありますよね???

    解剖書を読んでも、教科書的な層の名前はあれど、実際の視野はもっと複雑。どこが膜で、どこがただの癒着なのか。そう、現場では教科書は黙っています。

    上司はこう言います。

    「適切な、テンションをかけると自然と見えてくるラインだよ」

    それがどこかわからないんだよ!!

    でも、もしも目の前に“ヒントの形”が現れていたとしたら?

    何も迷いなくズバズバ切れる。そんな秘密知りたくないですか?

    そう考えると、ちょっと面白くなってきませんか。

    この記事では、術中に見える秘密の扉「三角形」が剥離層のガイドになる理由と、その活用法について解説します。

    三角形は自然がくれた層のサイン

    まず一言でまとめましょう

    ズバズバ剥離したいなら、三角形を探せ!になります。

    「三角形は、膜と膜に囲まれた“ゆるいゾーン”の地図」です。もう少し具体的に説明しましょう。

    これには、剥離ゾーンに関する知識が必要になります。

    剥離するラインは接着剤のライン

    基本的に体は、膜や層構造になっています。

    まるで玉ねぎみたい

    さまざまな層が重なって人体が構成されています。

    子宮:筋層、漿膜・・・
    腹壁:腹膜、脂肪層、筋膜、筋肉、筋膜、脂肪、浅筋膜、脂肪、真皮、表皮

    そしてその間には、接着剤となる疎な結合組織が存在します。

    疎な結合組織が切れるライン=剥離ライン

    となります!

    そしてこの、「膜間層(膜と膜の間のゆるい結合組織)」を象徴しているのが三角形なのです。

    参照リンク↓

    https://sogogyne.online/結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?%E3%80%80/

    三角形を構成するものは?

    三角形の三辺はそれぞれ独立した“膜”でできていています。

    そして三角形の中はふわっとした結合組織。

    つまり、

    三角形の中は“剥がしても安全な空間”

    言い換えれば“自然が用意してくれた安全な道”なんです。

    ハサミやバイポーラーで軽く触れればスーッと剥がれてくれる、あの「気持ちいい」層。

    しかもこの“あわあわ”ゾーンは、構造的に血管や神経が走っていないことが多く、

    いわば“ローリスク剥離ゾーン”

    無理に牽引して破くのではなく、三角形の中にそっと入り込んで拡げていくと、自然に展開が進んでいくのです。

    実際やってみよう!!

    次の円靭帯の切開時の画像をみてどこに剥離のできる三角形があるかわかりますか?

    大きな三角形を作ってみてください

    ヒントは切開された円靱帯が一辺になります・

    そうです!これはわかりますよね!!

    三辺は以下のようになります

    ①切開された円靭帯(広間膜前葉)
    ②骨盤側の腹膜
    ③骨盤漏斗靭帯側の腹膜

    では、もう少し解像度を上げた三角形を作りましょう

    そうするとこうなります。

    もはや無限にできそうですね。今回は円靭帯間膜が一辺になっていますね。

    では次の画像をで大きな三角形を作ってみてください

    ヒントは腹膜ですね。

    これも簡単ですね。

    3辺は

    ①広間膜前葉
    ②広間膜後葉
    ③骨盤壁

    と言う大きな三角形になります。

    次はできるだけ小さな三角形をみてみましょう

    これだけたくさんの剥離の腔(層)が出てきます。

    どのルートを取るかはまた別の話になりますが、三角形を意識すると術や認識が大きく変わるのがわかりますよね。

    解像度に関しては↓参照

    https://sogogyne.online/kaizoudo/

    三角形は「見つける」より「浮かび上がらせる」

    注意点もあります。三角形は、いきなりは見えません。繊細な牽引、丁寧な圧排、そして「膜を膜として尊重する」姿勢が必要です。

    強引な操作では、膜が破れて三角形は跡形もなく消えてしまいます。

    術野の中にじっと目を凝らして、細かいラインを読む。

    すると、ほんのわずかな光の反射や牽引の方向で、膜と膜の「接し方」が変わり、三角形が“浮き上がって”くるのです。まるで3D映像のように。

    これを感知するには、経験も必要ですが、何より「形に注目する」という視点が大事。

    解剖学的名称ではなく、「形」で理解する。これが、迷子になりがちな術野の中で、あなたを導く新しいナビになります。

    「適切な、テンションをかけると自然と見えてくるラインだよ」

    この言葉の意味が分かりましたでしょうか??

    まとめ

    「どこを剥がせばいいか迷ったら、三角形を探せ」

    この言葉は、もはや私の座右の銘です。膜と膜が自然につくる三角形は、剥離の層そのものであり、中の“あわあわ”こそが進むべき安全地帯です。見つけ方のコツは、強く引かず、よく観察し、少しずつ広げていくこと。形が教えてくれるルートを、信じて進んでみてください。

    もし次の手術で迷ったら、「三角形、ないかな…」と心の中でつぶやいてみてください。きっと術野が変わって見えるはずです。

    問題

    問題
    手術中に膜と膜に囲まれた三角形が見えた場合、その中の構造として最も適切なのはどれか?

    A. 密な結合組織(dense connective tissue)
    B. 骨膜
    C. 疎性結合組織(loose connective tissue)
    D. 平滑筋層

    解答
    C. 疎性結合組織(loose connective tissue)

    解説
    三角形に囲まれた領域は、通常膜と膜の間に存在する疎な結合組織であり、水分を多く含む柔らかい構造。これは“剥離しやすい層”として、血管や神経のリスクが低く、手術的に展開しやすいゾーンである。Aは靱帯などの構造、BやDは膜層の外に存在するため不適切。

  • 「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    手術中、「もう1本手があったらなぁ」と思ったこと、ありませんか?
    そしてきっと、その手は「右手」ではないでしょうか?

    ずっと手術を見ていた私が見つけた、うまくいっている執刀者とうまくいっていない執刀者の違いがあります。

    なんとなく展開がうまくいかないと悩んでいる方、後輩指導の言語化に困っている方、さらにうまくなりたい方は必見です。

    この記事でわかること:
    ・手術における“展開”の決定的コツ
    ・視野が崩れない助手の使い方
    ・なぜ「右手」を渡すのが正解なのか?

    展開は「右手を渡す」が正解

    なぜ展開するのか

    それは剥離や凝固切開を行うためです。

    広間膜の腹膜を持ち上げることで広間膜腔が広がり、あわあわや毛細血管が見え、奥にある尿管や子宮動脈を見つけていくのです。

    つまり、触りたい腔を作り、その奥を操作するわけです

    絶対ルール

    展開で迷ったら、まずこのルールを思い出してください。


    「両手で開いて、右手を助手に渡す」


    つまり、両手の鉗子で展開したのち、右手の鉗子で持っていた部分を持ってもらう。これだけで視野の安定度がぐんと上がります。

    なぜ左手鉗子側じゃダメなのか?理由は単純です。

    左手鉗子を渡してしまうと視野が崩れてしまうからです。

    展開後にやることは、右手で操作をします。

    上記の通り触りたい腔を作り、その奥を操作するため、両手で触りたい腔を作り、その奥を右手で操作するため、右手をフリーにする必要があり右手の組織を助手に持たせると訳です。

    ポテチ袋に学ぶ展開術

    イメージがしにくい時はポテチ袋を考えてください。

    みなさん、ポテチ好きですよね。どのように中のポテトを食べますか?

    袋を開けて食べますよね。

    これをもう少し解像度を上げてみましょう。

    両手で袋を開け、右手を離してポテチを取るということができます。

    普通に持ってもいいのですが、この時に、袋をうごかざすにポテチを取り出すにはどうすればいいでしょうか。右手を離すので右手の袋の端を固定する必要がありますよね。

    ではここで助手を呼びましょう笑

    あなたが助手と一緒にポテチの袋を開けて右手でポテチを取るとします。

    まず、両手で袋を開けますよね?
    このとき、どちらの手の端を助手に持たせますか?

    右手ですよね。


    なぜなら、左手で持っていても、結局は右手で中身を取るからです。


    手術もまったく同じで、「開いた後、右手で奥を操作する」という行動が前提になります。


    だからこそ、右手側を助手に任せれば、自分は左手で手前を持ちつつ、視野を保ったまま右手で自在に動けるのです。

    ミリ単位の配慮が、術者の未来をつくる

    こうした細やかな展開の工夫は、術者としての信頼を積み上げる土台となります。


    助手に「この人の視野は崩れないな」と思ってもらえたらしめたもの。

    「先生の展開綺麗ですよね」と言われたら、もう勝ちです。

    たった一つの意識が、手術の質を左右することもあります。


    だからこそ、両手で展開し、右手を助手に預ける。この原理原則を、明日からでもぜひ実践してみてください。

    まとめ

    手術の展開で迷ったときは、まずポテチの袋を思い出してください。
    両手で開いて、右手を助手に渡す。それだけで視野は安定し、動線はシンプルになります。
    展開がうまくいけば、術者の動きもスムーズに、術野も美しく保たれます。

    助手とのコンビネーションが決まる瞬間――それは、小さな工夫の積み重ねから。
    次の手術からぜひ、「その手、右手でお願いします」と心で唱えてみてください。

    更新情報はX(https://x.com/gossogyner)でお知らせ予定です。フォローしてお待ちください!


    問題

    手術中の展開操作において、「右手を助手に渡す」ことの主な利点はどれか?

    A. 視野を助手にまかせきれるから
    B. 左手でより繊細な操作ができるから
    C.術野が崩れることなく術者が右手で奥を操作しやすくなるから
    D. 助手が操作の主導権を持つことになるから

    解答:C
    解説:術者は通常、右手で奥を操作する。そのため、右手の持ち位置を助手に預けることで視野が崩れず、術者の操作性も保たれる。左手を渡すと、持ち替えなどで視野が不安定になるリスクがある。

  • 【外科の術野展開】三角形を作るには・・・手が足りない?いや、子宮があるじゃないか!術野展開の原理と工夫!!

    【外科の術野展開】三角形を作るには・・・手が足りない?いや、子宮があるじゃないか!術野展開の原理と工夫!!

    手術中、「あと一本、手があればなあ…」と嘆いたことはありませんか?

    とくに婦人科の腹腔鏡手術では、その嘆きがデフォルトです。でも実は、そこにこそ“職人技”が光るのです。

    この記事でわかること
    ・外科における「三角形」の基本構造
    ・婦人科手術における手数の違いとその意味
    ・“子宮の押し上げ”がなぜ重要なのか


    外科の術野展開では「三角形」が基本形

    一般外科では、腹腔鏡手術の展開において「三角形を作る」ことが鉄則です。「面を作る」と言われることもあります。


    これは、助手の固定が2点を取りで構造物を安定させる。術者が操作することで、テンションを処理したい組織にかける。
    テンションを幅広く適切にかけることができ、物理的にも安定性が高く、手術視野を保ちやすい。

    そのために、ポートは5つが標準装備。術者が2本、助手が2本の鉗子を持ち、加えてカメラのポートがあります。

    面と線、処理範囲が大きく違う

    面を作れると、下のような大きな三角形の範囲にテンションをかけることができます。

    そのため持ち替えが少なく、場を安定させたまま広く処理ができます。

    一方で、2点の線の展開だと幅がなく、持ち替えがかなり多くなります。

    なるべく、面を作るように展開ができると視野展開が綺麗に安定し、手術が綺麗にできるのです。

    婦人科?基本は「4ポート」

    婦人科の腹腔鏡手術はというと、基本は4ポートですよね。
    術者が両手で2本の鉗子を持ち、助手はカメラともう1本の鉗子。
    つまり、助手は原則「1本しか」鉗子を持てません。

    つまり、「2点保持」が原理的に難しい。
    外科的には禁断の「二角形」…安定性に欠けます。

    ここで多くの術者が呟くのです。「もっと、子宮をうまいこともってくれ…!」

    その一手、「子宮の操作」を侮るな

    実はこの子宮操作こそ、婦人科における影のMVP。
    たとえば、骨盤内で子宮を押し上げるだけで、視野は劇的に改善します。
    腹腔鏡の世界では、視野の確保が手術そのもの。

    子宮操作ができるだけで、靭帯の切離、血管の処理、尿管剥離まで、すべてが滑らかになります。

    面で展開できると、処理範囲が広く取れるので持ち替えが劇的に少なくなります。

    私の知人の若手医師も、最初は「視野が取れない」と苦戦していました。

    ところがある日、ベテランの指導医に「マニピュレーターの押し上げが足りない」と一言アドバイスされ、次の手術では劇的に安定。助手の手がもう1本生えたようだと感動していました。

    子宮は固定臓器

    外科と比較しましたが、外科は腸間膜の脂肪同士の剥離など、可動性がよく柔らかい組織を相手にします。

    一方で産婦人科は骨盤内臓器なので可動性が悪い。よく言えば固定がされている。

    つまり、固定されている部分を一つの手として考えることができます。

    ※左上の助手が子宮に変わっています。

    練習問題

    術中常に、どの面で展開ができているか考えながら手術を行うと確実に上達します。
    たとえば以下の左広間膜腔の展開の場面だとどうなりますか?

    答えはこうなります。

    助手の手はもはや消えました。

    骨盤と子宮マニュピレーションで広間膜後葉という面ができ、執刀医の左手が前葉を持ち上げることで、綺麗な三角形ができているのがわかります。

    本当に子宮のマニュピレーションは大事ですよね。


    まとめ

    婦人科手術では、ポートの数が少なく、「三角形」を作るには工夫が必要です。その中で「子宮の操作」は、視野確保と展開を助ける非常に有効な戦術です。

    子宮マニピュレーターを駆使することで、助手の手が一つ増えたような効果が得られます。

    このような工夫と解説を今後もブログで紹介していきますので、X(https://x.com/gossogyne)での更新もチェックしてみてくださいね!


    問題

    婦人科腹腔鏡手術で「子宮の操作」が重要とされる理由として最も適切なものはどれか?

    A. 子宮が硬くて動かないから
    B. マニピュレーターを使うと手術が自動化されるから
    C. ポート数が少なく、助手の鉗子が1本しか使えないため
    D. 子宮の押し下げによって視野が悪くなるから

    解答:C
    解説:婦人科の腹腔鏡手術では、基本的に4ポートで助手が持てる鉗子が1本のみ。視野の安定性に欠けるため、子宮を押し上げることで補助的な「もう一本の手」として活用される。これは視野確保と術野の展開において極めて重要である。

  • 背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    手術室で「もう少しで終わるはずなのに、ザクロが切りきれない・・・」と汗をかいた経験はありませんか?

    子宮全摘のクライマックスで立ちはだかるのが 仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい:子宮を仙骨に繋ぎ骨盤奥で支える太い靭帯)です。

    ザクロをしっかり切りきれていないと腟管切開が本当に難しくなりますよね。

    実は、切りはじめの場所を変えるだけで、その“ラスボス感”はあっけなく消えます。

    この記事でわかること

    ・なぜ上から切ってはいけないのか
    ・背側アプローチが楽になるメカニズム
    ・具体的な切り方と注意点

    仙骨子宮靭帯、まずは位置をイメージ

    子宮頸部の両サイドから斜め後方へ伸び、仙骨側に固定される腹膜下の繊維組織のたわみ――それが仙骨子宮靭帯です。

    前面はマニュピレーターやロボットアームで持ち上げるとたわみますが、背面は骨盤壁にピタッと貼り付きほとんど動きません。この「背側で固定、腹側で可動」という二面性が切離方向のカギになります。

    https://sogogyne.online/sacro/

    背側から切ると何が起こる?

    核心は一文でいうとこうです。

    靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる。

    わかりにくいので、何個かに言い換えてみます。

    上(腹側)から切るとずり落ちるので、下(背側)がさらに切りにくくなる

    組織を切ると、子宮の可動性が上がり子宮が上に上がるが、ザクロは背側に固定されているので相対的に背側に落ちる。

    基本的に人間上から処理したくなります。開腹の時代から上から上から処理していますし、ダイヤモンド配置(術者の右手が下腹部正中)の場合も上からになります。

    しかし、仙骨子宮靭帯は幅広い組織になるため、上から切るとどんどんずれ落ちていきます。

    画像で見る

    少しわかりにくいので画像で見ていきましょう

    こちらは仙骨子宮靭帯の処理の場面です。バイポーラーで掴んでいる部分をザクロとします。

    わかりやすくするため、

    左上から

    赤いボックス①

    黄色いボックス②

    青いボックスとします。①が一番高く、③が一番低い位置に存在しています。

    上から切ると

    例えば、上からつまり、①を切ると子宮が上のテンションかかっていると、②③が想定的にずり落ちます。①は外れて縮みます。

    さらに上から②切ると残った③がさらに下に下がります。
    そうすると、元々下にあった③がさらに下に行くことで処理が難しくなり、結果残ってしまいます。

    下から切ると

    次にしたから切ってみましょう。つまりから切ると、同じように①②が下がりますが、元々高い位置に存在するので多少ずり落ちても大丈夫です。

    上記のように、元々下にあるものは先に処理してしまった方が良いのです。

    腹側を先に切る: 支点が残ったままテンションが逃げ、靭帯が下へ滑落 → 毎回持ち直し&深追いで時間と出血が増える。

    背側を切る: 固い固定点を解除 → 靭帯全体がふわりと前方へ緩む → 下端が視野中央に留まり処理しやすい。

    いろんな言い換えをするなら、いわゆるアルドリッチになるので、やりにくい下の部分を先に処理してしまおうということです。

    追加考察:周辺組織の影響

    もう一つ、したから行くとずれにくい理由があります。

    それは、内側より外側の方が硬いから

    尿管下腹神経筋膜などの組織の存在。外側(①側)には尿管下腹神経筋膜や上行枝につながる組織がたくさんあります。

    一方で内側(③側)には何もありません、直腸腟間隙ですので可動性がとてもいいです。

    可動性がいい方が残ってしまうと、より下にずり落ちやすくなります。

    しっかりと固定されている①側はズレにくいので残してあとから処理してもいいのです。

    イメージはカーテン。カーテンレールに引っかかっているカーテンです。

    上を外してしまうとばさっと全て落ちてしまいますが、例えばカーテンをしたから切っても(どんな状況・・・?w)上は固定されままですよね。そんなイメージです。

    たった2つのポイントとつまずきポイント

    1. まずしたからたわみを確認します。できれば処理する手でたわませるとわかりやすいです。
    2. 子宮を軽く前屈マニュピレーターや膣パイプで頸部を前へ押すと靭帯がストレッチされ背側が白く浮き上がります。

    よくあるつまずきポイント

    • 「最後まで靭帯が残ってしまう」→ すでに腹側から攻めているサイン。背側を確認して切り直すと一刀両断。
    • テンション不足で靭帯が太く見える→ 子宮をもう前屈。助手に「カウンターのテンションお願い!しっかり子宮あげて!」と声をかけましょう。
    • 尿管との距離が不安→ 背側を切る位置は子宮頸部外側の骨盤壁寄り。尿管はさらに外側を走るので、白い筋が視野に入る程度なら安全圏です。

    まとめと次のアクション

    仙骨子宮靭帯は“支点外し”が肝。背側から先手を打てば、靭帯はおとなしく処理を待ち、手術全体のリズムが格段にスムーズになります。

    次の症例でぜひ試してみてください。きっと「最後に靭帯が残る地獄」とサヨナラできます。

    更新情報はXでお知らせしていますのでフォローもお忘れなく。https://x.com/gossogyne

    復習問題

    問題
    仙骨子宮靭帯を背側(下方)から最初に切離すると処理が楽になると本文で述べられています。その直接的なメカニズムとして最も適切なのはどれでしょうか。A〜D から 1 つ選んでください。

    A. 背側を先に切ると子宮が前方に垂れ下がり、靭帯が自然に外側へ開くため
    B. 背側を先に切ると支点が解除され、残りの靭帯がずり落ちず視野中央にとどまるため
    C. 背側を先に切ると尿管が内側へ引き寄せられ、損傷リスクが減るため
    D. 背側を先に切ると腹側の可動域が固定され、子宮が過度に前屈しなくなるため

    解答
    B


    解説
    背側(支点側)を最初に切ることで靭帯全体の固定点が解除されます。これにより残存部分が下方へ滑落せず、処理したい端が視野中央にとどまるため、持ち直しや深追いをせずに一気に切離できます。本文では「靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる」と述べられており、これが背側アプローチの核心です。選択肢 B が最も正確にこの機序を説明しています。

  • 【手術の本質】”手術のうまさ”は解像度だった。

    【手術の本質】”手術のうまさ”は解像度だった。

    早速ですがこの場面を見てどこまで細かく見ることができますか?

    「ん?なんかこの先生と手術の話があわないなぁ。なんでだろう?」そんな疑問。

    「お腹の中ってすごー、これなんだろー」初めて内視鏡モニターをのぞいた学生あるある。

    実はこれらは同じ1つの本質によって説明ができます

    この記事を読めば、手術上達の本質を理解でき頭がスッキリ、今後の上達に役立つこと間違いなしです。

    最近手術をしながら、指導をしながらやっと辿り着いた本質です。

    そんな本質を今大流行りの京都観光を例にわかりやすく説明していきます。

    京都を「とりあえず京都」と思っていた観光初心者が、金閣・清水を巡り、ついには錦市場で「あの鯖寿司が推し!」と言えるようになるのと同じことが、手術室でもおこります。

    最後では“解像度アップ術”を一緒に探検します。旅気分でどうぞ!

    1. 手術うまさは解像度だ

    まず、手術のうまさは解像度だという話をします。

    腹腔を初めて開けたとき、景色は一枚の謎ポスターのようなものです。

    急に知らない土地に放り出されたような絶望感。

    ところが達人には同じ術野でも、毛細血管の一本一本がありありと並び、脂肪の丘が見えない道を示すコンパスに見える…。

    同じ画面なのに、なぜ“見え方”が違うのでしょう?

    それは脳での認識の違いです。

    同じ視野を見ても、荒い解像度でとらえる段階の脳も、もっと細かい解像度で見ることができる脳もあります。つまり、初学者と上達医との脳の認識の違いです。

    解像度が高いと、何が起こるでしょうか。

    結論、うまくなります。

    この間、上司から言われた言葉です。

    「昔のATは、どれだけ早く子宮を取れるが味噌だった。出血させながらでも、よく見えない中でもどれだけ早く取るか。早さで出血量を減らす。手クーパー、千切れくとみーだったよ笑。それが今は安全だよね。血管一本一本が見えて処理できる。そりゃ手術も上手くなるよね。」

    手術は荒くいうと、剥がしてちぎって切って焼いて縫うぐらいしかすることがありません。

    ただ、細かさが違うと操作が変わり、安全性も段違いです。

    疎な結合組織を毛細血管を破綻させないようにちぎり(鈍的剥離)、毛細血管一本一本を焼いて切る(凝固切開)。腟断端を粘膜組織、筋層、筋膜の層がずれないように縫う。

    こんなことをしている医師がいたら”うまい”となりますよね。

    つまり 上達=解像度の高まり。こう言えそうです。

    2. 解像度を高めるとは

    解像度を高めるにはどうするかという話をします。たとえば京都観光。

    京都に初めて来たとき、多くの人は「とりあえず京都に来た!」くらいの感覚かもしれません。

    だけど、金閣寺に清水寺、祇園の花見小路、錦市場のにぎわい……何度も訪れるうちに、地名も方角も自然と身体に染み込んでくる。

    やがて「あの漬物屋さんの向かいにあるお茶屋の抹茶が絶品」なんて、細部までわかるようになるのです。

    実は、手術の視野認識もまったく同じ構造をたどります。

    最初は“お腹の中”という大ざっぱなイメージしか持てなかったとしても、経験と知識を重ねることで、子宮動脈上行枝、尿管下腹神経筋膜、果ては毛細血管の拍動までがくっきりと浮かび上がってきます。

    初めの画像を熟達度別に見るとおそらくこんな感じです。

    もっと、もっと細かく認識している先生もたくさんいると思います。

    そう、「解像度を高める」とは認識をより具体的に細くしていく旅なのです。では、どうすればその“高画質”な視野を手に入れられるのでしょうか?3つのステップでご案内します。

    3.手術の解像度を上げる3つのステップ

    知識を入れる:まずはうす〜い観光ブックを読め

    解像度は脳の認識に依存しています。

    解剖書、術式動画、論文はまさに、未来を照らす地図です。

    例えば京都に行くとして、“漫然観光”の場合は時間がかかります。

    今日京都観光するとして、お寺の配置だったり歴史がわかっていると感じる情報量も桁違いですよね。

    ただ、知識を入れる時に気をつけないといけないのは、分厚い資料を読まないこと。まずは、薄いわかりやすーい本から読み始めてください。

    初めから論文ベースで知識を入れようとすると潰れます。続きません。スモールステップが最強です。

    ある意味このブログも旅行ブログと同じといえますね。このブログで物足りなくなってから、論文ベースでもいいと思います。

    経験を積む:そうだ、京都にいこう

    観光ブックを眺めるだけで京都を語れますか?

    語れたとしてもしれはきっと薄い内容で、実感を伴うようなものではありません。

    さらにいうと、一度行っただけで京都を語れますか?
    有名な観光地はわかるかもしれませんが、きっと路地の匂いは分かりません。

    手術も同じです。何度も経験することでしかわからな聞いことがある。

    症例数は解像度向上の原油なのです。結局経験しないと、熟達者になれません。

    料理本しか読んでいない人が、プロ並みの料理を作れるはずがありませんよね。

    経験数がものを言う。これは残酷な真実です。

    言語化する:土産話をするように語れ

    見た聞いただけでは記憶はすぐに霧散します。

    経験の記憶も同様で、すぐに忘れてしまいます。そのため、終わればその時の難しかったところを他の人に話してみましょう。

    自由に話すだけで記憶には残ります。一度思い返すので。

    さらに上達につながるコツは、言語化をしっかりすること。解像度をなるべく高くしましょう。

    ❌今日のオペやばかったですねぇ。
    ⭕️今日のオペ、膀胱剥離が難しかったですね。なんでだと思いますか。
    ⭐️膀胱剥離時に、外膜と筋膜の癒合が強くてなかなか層が見つからなかったですね。

    言葉にした瞬間、脳内マップは保存されます。

    4. 超具体的な練習法

    • ズームイン法:手術動画を適当に停止。どんどんと解像度を高めていく。お腹の中→子宮→頚管→頸部筋膜
    • ネーミング:手術中に全ての組織に名札を付けていく。これは子宮の底部の円靱帯など
    • 色鉛筆マッピング:血管を赤、膜を青で手描きトレース。手と一緒に脳が活性化できるのでかなり認知が深まります。
    • 高解像度の会話:同僚と話す時にあえて細かい単語を使う。頸部筋膜の処理って・・

    まとめ

    • 手術の上達は術野認識の解像度の高まりと言える
    • 視野認識の解像度は、経験(現地歩き)+知識(旅行ブック)+言語化(土産話)で跳ね上がる。
    • 解像度が上がると、操作も細かくなる。つまり熟達者となる。

    次のオペでは「今日は尿管下腹神経筋膜を呼べるか」をミッションに!

    この記事が手術観光のコンパスになれば幸いです。更新情報はX(@sogogyne)で発信予定。フォローして、次の観光地——いえ、このブログでお会いしましょう!

    【問題】

    手術の「視野認識の解像度」を高める方法について、本文の説明として正しいものはどれか

    A. 解像度は経験の積み重ねだけで自然に向上するため、意識的な訓練は不要である。
    B. 術野の細部を捉える力は、手術用語の暗記とは無関係である。
    C. 解像度向上のためには、経験、知識、言語化の3つをバランスよく行うことが重要である。
    D. 細かい部分に注目することは初学者には不要であり、熟練者にしか意味がない。


    【正解】

    C. 解像度向上のためには、経験、知識、言語化の3つをバランスよく行うことが重要である。


    【解説】

    本文では、視野認識の解像度を上げるための3つのステップとして「経験を積む」「知識を入れる」「言語化する」が提示されており、それぞれが相互補完的な役割を持つと説明されています(例:京都を巡る旅になぞらえた観点)。AとBはその意図に反する内容であり、Dについてもむしろ初学者こそ意識しておくと視野を動的に理解する助けになります。従って、Cが最も適切な選択肢です。

  • 内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    「尿管と子宮動脈、どのアプローチが一番スマート?」


    そんな疑問、内視鏡認定医ビデオ撮影前に一度は頭をよぎりますよね。

    内視鏡認定医試験は、知識だけでなく、手技の選択眼も問われる試練。前方、側方、後方と3つのアプローチから選ぶ必要があり、どれを選ぶかで評価が大きく変わることも。

    今回は、この選択の迷宮から抜け出すための3つのポイントを届けします。

    1. 自身の経験を第一の羅針盤に

    「慣れた道を選べ」――迷ったらまずは足跡を辿る

    まず最初に言いたいのは、「試験本番で実験しないで!」ということ。10回以上こなしたアプローチがあれば、それがあなたのゴールデンルールです。

    「いや、他のやり方も試してみたいんだよな…」なんて冒険心は一旦棚に上げてください。本番での「未知のアプローチデビュー」はリスクが高すぎます。


    どんな迷路でも、何度も通った道ならば自然と足が進みますよね。同じように、試験でも自分が10回以上手掛けたことのあるアプローチを選ぶのが最も確実です。慣れた動作は緊張した場面でも手が覚えており、余計なミスを防ぎます。

    仮に複数の道が「慣れた道」ならば、次に考慮するのは採点者の視点です。それは、観光ガイドが観光客に一番の見どころを選ぶようなもの。採点者にとってなじみ深いアプローチを選ぶことで、評価も好印象となるでしょう。

    2. 採点者が見慣れた風景を意識せよ

    採点者が馴染みのある「風景」を再現する
    内視鏡認定医試験の採点者は多くの場合、50代前後のベテラン医師たち。彼らの経験に基づく偏りを逆手に取ることが試験攻略の鍵です。


    採点者は長年の経験から、特定のアプローチに馴染んでいます。腹腔鏡手術でよく選ばれる側方アプローチは、彼らにとって「定番の観光スポット」のようなもの。

    一方、開腹手術での経験もなじみがあります。開腹では上部靱帯の処理から入りますよね。それは前方アプローチ。開腹経験があるため前方アプローチも親しみのある選択肢です。


    後方アプローチは「知る人ぞ知る名所」――興味を引く一方で、理解が追いつかないことも。採点者の年齢層や背景を考慮すれば、側方か前方を選ぶのが無難です。

    3. 剥離しすぎない――「触りすぎると爆発する地雷」と考える

    「剥きすぎ注意」――過剰な展開はリスクを招く

    尿管の同定に関して、「見つけなくてOK」と言われると拍子抜けするかもしれませんが、実はこれ、真実。学会の指針にも書いてあります。腹膜越しに尿管の位置を確認し、適切な距離を保てれば合格ラインです。


    尿管の位置は「地図に書かれた地雷ポイント」のようなものです。それを大げさに探し回る必要はありません。

    腹膜越しに確認でき、広間膜を適切に展開できていれば問題なし。剥きすぎると尿管という繊細な地雷を爆発させるリスクが高まります。

    また、剥離が広範囲に及ぶと、脂肪組織を傷つけ静脈出血が多きやすく見にくくなったり、結果として大量出血や他臓器損傷のリスクが増大します。「適度な距離感を保つ」ことが安全への鍵です.

    結論:どのアプローチを選ぶべきなの?

    結局どれを選ぶべき?

    最優先すべきは、やり慣れているアプローチです。練習で培った自信が何よりも力になります。ただし、迷った場合は、採点者が見慣れている側方アプローチや、開腹でオーソドックスな前方アプローチを選ぶと無難です。

    注意点として、側方や後方アプローチは剥離範囲が広がりやすいため、必要以上の剥離をしないように心がけましょう。試験では、「確実性」と「適度な範囲」が評価されることを忘れずに!

    1. やり慣れた道を進む
       試験という迷路で迷わないためには、自分の経験という羅針盤を信じましょう。
    2. 採点者に馴染みのある風景を意識
       側方アプローチは最も採点者が慣れている道筋。前方も開腹に近い形で馴染みがあります。
    3. 剥離のリスクを抑える
       「触れすぎると爆発する地雷」を避けるように適切な距離を保ち、尿管の位置を確認しましょう。

    さらなる実践のヒント

    試験の練習では、側方アプローチを中心に、前方アプローチの手順も確認しておくと安心です。剥離作業は、適度な力加減とテンションを意識することが大切です。視野展開をスムーズに進めるためには、出血しない範囲での剥離を徹底しましょう。迷わない準備が、合格への第一歩です。

    剥離に関してはこちらでガッツリ解説していますのでぜひ参考にしてみてください!

    https://sogogyne.online/hakurinogokui/

    この記事が試験準備の道しるべとなれば幸いです。次回は、各工程で大切にすることについて詳しく掘り下げます。X(旧Twitter)で更新情報をお知らせしますので、ぜひフォローを!

  • 内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    「内視鏡認定医ビデオって、どうやって評価されるの?」
    「いい感じのビデオ撮れたけど、なんだか点数が伸びない・・・」

    こんな疑問を抱える方、意外と多いのではないでしょうか。

    今回は、内視鏡認定医のビデオ作成を攻略するための根本の根本のポイントを解説します。

    「なんとなく操作を撮影するだけ」で終わらせるのはもったいない!正しい見せ方とアピール方法を押さえれば、採点基準に沿った高評価が狙えます。

    この記事を読めば、安全性と主体性を最大限アピールし、採点者の心を掴む動画作りの基本が身に付くはずです。

    これから提出する人はもちろん、指導予定の方も大きく関係してきます。見逃しなく!

    1. 内視鏡認定医ビデオの考え方 ~OSCEと同じ「見せる試験」~

    内視鏡認定医ビデオは、医学生が受けるOSCE(客観的臨床能力試験)やBLS(一次救命処置)と似た形式です。ただ技術を披露するのではなく、安全性と主体性をいかに「見せる」かが重要なポイント

    例えば、OSCEの救命では「周囲の安全を確認し、心肺蘇生を開始します!」と声を出しますよね。

    私は、ど緊張していて噛んでしまい、演者に笑われるという恥ずかしい思い出となっています笑

    実際の現場で言いますか?コードブルーで走って到着したのちに宣言している人いますか?

    これはただ、安全確保をゆうせんしてますよ〜というアピールにすぎません。

    これと同じことが、内視鏡手術認定医ではビデオ内で求められます。

    • 安全性を示す: 例えば、「尿管の位置を確認して進めています」と鉗子で尿管をさし示す。
    • 主体性を示す 「助手に展開を指示」して、自分が手術の主導権を握っていることを示す。

    それではもうアピールの仕方を少し詳しく見ていきましょう。

    2. 安全性をアピールするための具体策

    安全性は、採点基準で最も重視される要素の一つ。

    尿管の位置も確認せず、出血は放置し、カメラは汚れている状態での手術なんて怖くて見れないですよね。具体的には、以下の点に気をつけましょう。

    視野の確保

      • カメラは常に綺麗に。曇りや汚れがないか頻繁に確認。
      • 手術中、視野が狭くなったらすぐに修正。
      • 処理したい組織が展開により見えているか確認。

      他臓器損傷を防ぐ工夫

        • 優しい鉗子(例: 腸鉗子)を選び、組織を傷つけない操作を心がける。
        • 剥離範囲を必要最低限に抑える。広げすぎるとリスクが増えるので注意。

        出血の管理

          • 小さな子宮の擦過傷であれば焼いて血が垂れないようにする。
          • 血管出血が起きたら焦らず対応。「止血のため尿管位置を確認して進めます」と助手に声を出し、冷静さと慎重さをアピール。
          • 吸引やガーゼで血を除去しなながらまずは尿管走行をカメラで映す。安全なマージンがあれば止血する
          • 止血作業が終われば数秒は確認のためにカメラを動かさない。

          3. 主体性を強調するための工夫

          主体性もかなり言われています。前立ちが展開をほとんど行い、”ここ掘れわんわん状態”ではダメだよねというものです。

          認定医というだけあって、例えば新しい赴任先でも腹腔鏡を安全にできるように自分で考え、自分で展開し、自分で処理できる力が必要だということですね。

          主体性を示すには、器具で「自分が操作を指示している」ことを見せるのがポイントです。

          • 助手の待機時間をあえて作る
            助手から動くことを禁止します。自分が展開した組織を助手に保持させ、「次はこの方向に引っ張ってください」と具体的な指示を出す。ここは手術前に話し合っておきましょう。
          • 積極的な計画立案
            操作を始める前に「この範囲を剥離します」と声を出し、助手に対して計画を明確に示す。
            こうすることで自分が主導権を握ることができる。

          助手の先生が上級医の場合はなかなかコントロールが難しいこともあると思います。この時は、話し合いでこう言ってください。

          「認定医って主体性が結構の配点に入ったって聞きましたけどどうでしたっけ?」
          「主体性をビデオで見せるにはどうすればいいんでしょうか?」

          基本はアドバイスシーキング、つまりアドバイスを求める体でいいように誘導してみてください。

          ビデオ外の手術室でも主体性を見せることで、ビデオにそれが移り、採点者に「この医師は手術全体をしっかり把握している」という印象を与えられますよ。

          まとめ

          内視鏡認定医ビデオで高評価を得るには、安全性と主体性をいかに見せるかが鍵です。そのためには、以下の3つのポイントを押さえましょう。

          1. 安全性を強調する操作を意識
          2. 主体性を示す計画と指示を実践
          3. 細かな行動まで声に出して助手と意思疎通を行っておく

          ぜひ、今回の記事を参考にビデオをブラッシュアップしてみてください!次からは「選択すべきアプローチ」「各工程の注意点」をテーマに解説しますのでお楽しみに。

          この記事を通じて、皆さんが内視鏡認定医への道をさらにスムーズに進めることを願っています。更新情報はX(Twitter)でお知らせしますので、フォローをよろしくお願いします!

        1. 「ググっても出てこない」ロボット手術、ラパロとの術野展開の違い本質3選

          「ググっても出てこない」ロボット手術、ラパロとの術野展開の違い本質3選

          「ロボット手術の術野展開って、難しくないですか?」

          この質問、よく耳にします。多くの方が抱える共通の悩みみたいです。

          今回は、ロボット手術特有の課題を解き明かしましょう。ラパロとの違いを軸に、術野展開の本質に迫ります。これまで曖昧だったポイントがクリアになり、ロボット手術の真価をより深く実感できるはず。

          個人の経験に基づく、考察になります。おそらく他にないはず。

          ロボット手術が急速に普及する中、理解を深めることは未来への一歩です。「ちょっと気になる」その部分だけでも構いません。一緒に考えてみませんか?

          ロボット手術と腹腔鏡手術の展開違いの本質3選

          ロボット手術は、ぶれない3D視野と手首のように動くアームが大きな特徴になってきます。これらの特徴から次も三つの違いが出てきます。

          1:展開の自由度が高い
          2:組織テンションの向き
          3:鉗子の入れ替えが困難

          ちょっと小難しい話っぽいですか?

          大丈夫です!このブログではなるべく簡単にわかりやすくをモットーにしています。

          それぞれひとつづつ見ていきましょ〜

          1. 展開の自由度が高い

          「あー角度がとれない」

          ラパロ手術中に聞いたことありませんか?

          特に巨大子宮筋腫などで展開が難しい症例でよくあります。「角度が取れない」というのは処理したい組織に適した角度を取れないという意味です

          基本的には組織に対して垂直に角度を取る必要があります。これをロボット手術は簡単にクリアすることができます。

          腹腔鏡手術:直線勝負の世界

          腹腔鏡手術の鉗子は、例えるなら「レーザービーム」のようなもの。真っ直ぐな動きしかできません。

          そのため、ポートの位置と処理する場所に応じて、「角度」が決まってしまいます。
          (一回ロボット学会で発表したスライドの一部です。)

          この制約をクリアするためには、展開によってピッタリの角度を取る必要があります。

          まるでパズルを解くような作業になり、ひとつひとつ場を作る必要があります。

          例えば左の上行枝の処理の時を考えてみましょう。マニュピレーターで右に大きく子宮を振り、円靱帯で直線化し捻れや角度を調整してバイポーラーが垂直に入る角度を展開します。

          ロボット手術:手首のしなやかさがカギ

          一方、ロボット手術は鉗子に「手首」がついている感覚。リストのように動くおかげで、処理に最適な角度を自由自在に取れます。そのため

          1. 見やすさを優先した展開が可能。
          2. 展開がちょっと甘くても問題なし。
          3. ただしアームの干渉を気をつける必要あり

          画像は左の上行枝を処理している場面。見えてさえいれば基本処理することができます。

          要は、ロボット手術は「職人の手のひら」を装備しているようなものなのです。

          2. 組織にかけるテンションの向き

          展開時にどちらに引っ張るかは目的によって異なります。

          腹腔鏡ではどれだけ右手の鉗子を処理したい組織に垂直に入れれるかが大切になります。つまり右手の位置によって取るべき組織の展開が決まってきます。

          手首のように動く鉗子によって、ロボット手術では展開の目的は見えやすさを優先できるが、アームの位置を考慮することになると先ほどお伝えしました。

          腹腔鏡手術:右手と垂直が命

          腹腔鏡手術では、右手の鉗子に対して組織を垂直にテンションをかける必要があります。ほとんどの場合、手前側に引っ張る作業が主流となります。広間膜③より抜粋

          組織が右手に対して垂直になるように左手を手前に強く引っ張っています。

          腹腔鏡では「右手の鉗子のための展開」となっているのです

          ロボット手術:みやすさとアーム同士干渉を優先

          ロボット手術では組織のテンションの方向よりも、見やすさとアーム同士がぶつからないことが最優先事項となります。

          どういうことかと言うと、

          3rdアームを「外側に」配置しスペースを確保します。
          ②手首の向きも基本的には外側にアームがくるように曲げます。(手首を内側にまげる)

          内側に幅広い展開可能となり、小さな展開を1.2番アームですることで手術を進めていきます。

          子宮の腹側を処理する時は、3rdアームの手首を腹側に向けてアームが背側に行くようにします。(そうすることで腹側側(図の赤丸)に空間ができる。)

          その後の処理ですが、1st,2ndアームで小さな展開を繰り返し、大きく展開を変えずに処理で来ています。

          3rdアームで大きな展開を取り、その後2本のアームで小さく処理していくイメージです。

          3. 鉗子の入れ替え問題

          腹腔鏡手術:鉗子はお好みで

          腹腔鏡手術では、多種多様な鉗子を使用可能ですよね。

          バイポーラー、メリーランド、腸鉗子、ハーモニックなどなど一つのポートでさまざまな鉗子を出し入れすることが可能です。

          そして、左手を展開専用に使うことが可能です。

          左手で組織を固定し、右手でバイポーラーで凝固してからハーモニックで切開といったアクロバティックな作業も簡単にできます。言うなれば、「道具のフルコース」を楽しめる状態です。

          子宮傍組織の処理②の右上行枝処理しているところですが、バイポーラーで凝固したのち、ハーモニックで切開しています。展開も全く変わっていません。

          https://sogogyne.online/%e5%ad%90%e5%ae%ae%e5%82%8d%e7%b5%84%e7%b9%94%e2%91%a1%e3%80%80%e3%82%82%e3%81%86%e5%87%ba%e8%a1%80%e3%81%97%e3%81%aa%e3%81%84%e3%80%81%e5%ad%90%e5%ae%ae%e5%82%8d%e7%b5%84%e7%b9%94%e5%85%a5%e9%96%80/

          ロボット手術:道具はシンプルに 3rdアームに命をかける

          ところが、ロボット手術ではコストや労力の観点から鉗子の頻繁な入れ替えが難しいのが現実。

          そのため、基本装備だと左手バイポーラー、右手モノポーラーといった状態で円滑に手術を行う必要があります。

          ここで鍵を握るのが3rdアーム。この1本で展開をしっかり固定する技術が必須となるのです。


          まとめと問題

          腹腔鏡手術での展開は「各工程で明確に決まっている」、なぜなら処理できる角度が決まっているため展開を右手に合うように調整する必要がある。

          ロボット手術はより自由度の高い展開が可能。なれれば効率性が一段上という印象です。ただし、3rdアームによる展開が全てと言っていいほど大切。

          手術の進化に驚きつつ、知恵と技術に改めて感謝ですね!

          また更新頻度を高めようかなと思っています。Xで通知しますのでよければフォローをお願いします。

          問題: ロボット手術と腹腔鏡手術の展開の違いについて、以下の記述のうち正しいものはどれですか?

          1. ロボット手術では、鉗子の入れ替えが非常に簡単で、複数の鉗子を使用することができる。
          2. 腹腔鏡手術では、鉗子の動きは直線的であり、展開には常に一定の角度が必要になる。
          3. ロボット手術では、鉗子の手首部分がないため、組織のテンションの方向に制限がある。
          4. ロボット手術では、展開の自由度が低いため、すべての角度を調整しやすいわけではない。
          5. 腹腔鏡手術では、3rdアームを使って展開の自由度を高めることが可能である。

          解答と解説:

          • 選択肢1:誤り。ロボット手術では鉗子の頻繁な入れ替えが困難であり、基本的には3rdアームで展開を固定しながら手術を行う必要があります。
          • 選択肢2:正しい。腹腔鏡手術では、鉗子が直線的にしか動かせないため、角度を調整するために展開を工夫する必要があります。
          • 選択肢3:誤り。ロボット手術では鉗子に「手首」のように動く部分があるため、組織のテンションの方向に自由に対応できるという特徴があります。
          • 選択肢4:誤り。ロボット手術は展開の自由度が高く、適切な角度を簡単に取ることができるため、効率的な手術が可能です。
          • 選択肢5:誤り。腹腔鏡手術には3rdアームがないため、鉗子の入れ替えを工夫して展開を進める必要があります。

          正解:選択肢2

        2. 術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          今回は、術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則について解説していきます。

          まず、術野展開について述べる前に、手術で絶対に欠かしてはダメなこと

          それは、愚直に安全に手術を終了することです。

          そんなの当たり前だと思いますよね。では、毎回毎回ちゃんとめんどくさがらずにできてますか?
          一度失敗して、修正しても少し経ったらまた同じ失敗を繰り返す。そんなこと起きてませんか?

          術野展開は手術の安全性を担保するための一番大切な要素です。
          前立ちが変わると手術がうまくいかなくなったりしませんか?それを前立ちのせいにしていませんか?

          術野展開も含めて全て自分の責任です。その術野展開を理解するには根本であるたった2つの原理原則がわかれば大丈夫です。

          対象としては初心者〜中級者がメインですが、上級者でもこの二つに場合分けできている人は少ないでしょう。必見です。では早速いきましょう。

          術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          術野展開で求められている目標はたった二つに絞ることができます。

          ①見たい組織を見れるようにする
          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          細かく見ていきましょう

          ①見たい組織を見れるようにする

          視野の展開なのでこちらはすごく理解が簡単だと思います。

          例えば、腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理をする場面になったとします。

          この時、ザクロは子宮の頸部後面についているので
          子宮を上げる→腸をどけることで見ることが可能になります。

          Screenshot

          あたりまえ体操ぐらいあたりまえですね。

          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          ①の見れるようにするというのは簡単でしたが、②の処理したい組織を処理できるようにするというのは少し難しいです。

          観察するだけなら、目の前のものをどけるだけで良かったです。
          しかし、ここに”処理をする”ための展開となると難しくなります。つまり、処理ができる空間、角度とテンションを取る必要が出てきます。

          特に、腹腔鏡での手術ではポートの位置が決まっており、また鉗子も真っ直ぐなので組織を動かして処理できる角度を作らないといけません

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)での仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理をする時を考えてみましょう。

          観察するだけなら、子宮をあげて腸をどけるだけで良かったです。
          しかし、ここに”処理をする”ための展開となると難しくなります。つまり、把持ができる角度とテンションを取る必要が出てきます。

          ザクロの処理では、前屈(アンテ)させたマニュピレーターの角で引っ掛けてテンションをかけた上で、鉗子が掴みやすい角度になるように動かす必要があります。

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)での広間膜腹膜の切開

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において広間膜腹膜前葉の切開をする時を考えてみましょう。

          観察するだけなら特に何もしなくて良いです。まぁヘッドダウンして腸をどかしたり、後屈の子宮を真っ直ぐにする必要はあるかもしれません。

          実際切開するには子宮を押し込み、腹膜を程よくいい場所に持ち上げる必要があります。これは、処理するためには角度とテンションが必要だからです。

          例えば、TLHにおいて腹膜を切開する時に腹膜は右手の鉗子と垂直に当たるように上に引っ引っ張ります。例えば、変に奥に引っ張ると切開する角度が取れません。

          そして引っ張り具合としては、細い血管が切れないぐらいのテンションでぐっと引っ張ります。テンションをかけないと綺麗に切開できません。

          よくあるミスや注意点

          よくあるミスや注意点として、

          見えているが、処理できる展開ではない

          ということがよくあります。引っ張る向きが悪かったり、引っ張り方が甘かったりします。

          ・見えているのにうまくいかない時
          処理できる展開を目指して、鉗子の方向を確認して処理しやすい方向考えて展開してみましょう!

          ・チェックポイント
          そもそも子宮の向きは合っているか
          子宮は捻れていないか
          いつもと違う場所に腫瘍がないか
          ポート配置的に手が入らない位置ではないか
          力はしっかりとかかっているか

          ここら辺を見てみましょう。

          まとめ

          今回は視野展開の原理原則二つに絞って解説しました。

          ①見たい組織を見れるようにする
          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          聞いてみればあたりまえですが、この二つを認識して手術している人は少ないと思います。

          次からは、腹腔鏡手術(TLH)とロボット支援下手術(RASH)における展開の違いについて解説していきます。

          更新の通知はXにて行います(X)。ではまた!

          練習問題

          問題: 術野展開において、次のうち正しいものはどれですか?

          1. 観察するだけの場合、組織の処理を意識する必要はない。
          2. 腹腔鏡下手術では、ポートの位置に関係なく、どの角度でも処理が可能である。
          3. 見えている組織があるならば、そのまま処理に進んでも問題ない。
          4. 組織を処理するためには、適切な角度とテンションを確保する必要がある。

          正解: 4. 組織を処理するためには、適切な角度とテンションを確保する必要がある。

          解説: 観察だけではなく、実際に組織を処理するためには、角度とテンションを適切に調整する必要があります。腹腔鏡下手術では特にポートの位置が固定されており、適切な処理角度を作ることが重要です。他の選択肢は、観察と処理の違いを理解していないか、誤った手術手技を示しています。