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  • RASH開始記録② 初執刀

    RASH開始記録② 初執刀

    RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。

    初めはアームの動かし方もわからないところから始めて、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。

    この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。

    これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。

    初執刀のメンタル

    初執刀は、CIN3の症例でした。閉経後でしたので、子宮は正常大~やや委縮気味ぐらい。

    感想としては、

    こんなの余裕だぜ!

    ではなく、

    慣れない!怖い!こんなんやってられるか!!!

    でした。

    というのも普段、TLH(腹腔鏡下子宮全摘術)ではエネルギーデバイスをメインで使っています。

    エネルギーデバイスで最も良いところは、挟んで切れるところなんですよね。

    圧倒的な安心感、挟んでから少し展開して後ろを確認することもできるし、挟んだところしか切れないといった安全システム。かなり安心して切開が出来ます。

    今回、電気メスはほとんど使ったことない状態でのRASHの初執刀でした。

    もちろん、原理や使い方、それにアニマルラボと準備はたくさん積んできましたが初めてのことってやっぱり緊張と不安で押しつぶされそうになりました。

    自転車で初めて補助輪を外したようなそんな怖さと緊張感がありました。

    初執刀の感想

    実際はやってみた時のとしては

    近い!

    でした。

    臓器がかなり手前にあるように感じましたね。

    というのも、ロボット手術では3D視野で本当に目の前にあるような見え方になります。

    手前にあるものは当然すごく強調されますし、奥にあるものは認識が甘くなります。

    腹腔鏡での2D視野の場合は、手前にある卵管も、奥にある膀胱も大きさは変わりますが、良くも悪くも

    ”同じ視野内のモノ”

    として扱うことが出来ましたが、

    これが出来なくなったので、思ったより近く見えて、驚いたのを覚えています。

    そのため、だいぶ恐る恐るアームを動かしていきました。

    この時のメンタルとしては、アームが動くと動脈がとんでしまう。そんなぐらいの気持ちでやっていました。ビビりすぎですね。

    終わってみて

    終わってみて、コンソール(ロボットを動かすための操作台)から頭を挙げたときはかなりの達成感がありました。

    子宮は閉経後のCIN3でしたので小さかったですが、達成感はものすごく大きかったです。

    練習に付き合ってくれた企業の方や、見守ってくれた上司やプロクター(他病院からの招聘した指導資格を持った医師)、およびスタッフの方々に感謝の気持ちがわき出てきました。

    あの安堵感と達成感と感謝が混じった体験はなかなかないと思います。

    この初期のの気持ちは忘れずにやっていきたいですね。

    ここまで体験記といった感じでした。

    次からは実際に、RASHとTLHでどう違うのか、本気で考察していきたいと思います。

    お楽しみに!

  • 良性最難関LMの考え方。薄さと半球概念しると良いぞ!【LM①】 

    良性最難関LMの考え方。薄さと半球概念しると良いぞ!【LM①】 

    専攻医時代、不満を持っていた。

    LMは一切触らせてもらえなかった。

    でも今ならわかる。「最も執刀力が必要」な術式はLM(腹腔鏡下子宮筋腫核出)がなのだと。

    今回は良性最難関LMについて解説します。

    LMはTLH(腹腔鏡下子宮全摘術)よりも技術と度量が必要ですよね。ジェンガを倒さないようするようなもの。倒すだけなら力任せに押すだけでいいが、倒さないようにするには、場所や力加減、方向が大切。

    そんな最も難しいとされるLMの核出までの基本(縫合を除く)と、LMにおいて最も重要な概念の一つ、北半球南半球についてごっそりお伝えしていきます。

    子宮切開の基本 薄さと狭く深く

    LMの核出時(縫合時ではなく)のメインゴールは二点

    ・子宮のどこを切るか
    ・筋腫と筋層の境はどこか

    キーワードは「薄さ」と「狭く深く」

    筋層切開の位置はうすいところ

    最もいい切開位置は「一番薄いところ」。馬鹿らしく聞こえるかもしれないが、これこそ本質。本質はいつもシンプル。

    薄いことは正義。薄いと筋腫が同定でき、出血が減り、縫合が簡単になる。切開の深さが減る→出血が減る→視野が確保しやすい。処理や縫合の容易さが段違い。

    さらに、薄いと筋腫は自ら出てくる。薄いところを切るとすぐに筋腫が見えてくる。加えて相対的に分厚いところが残る。そこが収縮し、筋腫が突出してくる。当然、薄いと摩擦が少なくでやすい。

    なので、MRIで見るポイントは筋腫ではなく筋層。筋腫の位置大きさが議題に上がりやすいが、一番見るべきはどこが薄いか。

    術中は最終確認。ここでは視覚と触覚が生きる。押してみて凹み具合を確認。場所が決まれば次は、層を見つけにいこう。

    薄いところがわかれば、

    血管が表面になく
    付属器から離れ
    縫合しやすい向き(後日解説します)


    を考慮して最終決定。エネルギーデバイスで切開のラインをマーキングして切開ライン決めは終了となります。

    切開は「狭く深く」

    切開する1番の目的は、筋腫と筋層の境を同定すること。1番避けたいのは大量出血。そこで大切なのが狭く深く。

    Screenshot

    切開は狭く深くが基本。一般的な手術の切開剥離では広く浅くが基本となるが、LMの核出時では逆となる。

    補助的であるが、切開が小さいと筋腫がターニケット代わりとなり、筋腫が筋層を圧迫し止血できる。当然、切開が小さいと子宮の損傷が減り縫合自体も減る。

    ちなみに、切開を深くして困ることはない。筋腫が削れるだけだから。むしろ少し削るぐらいがちょうどいい。

    北半球と南半球での操作の違い

    私が勝手に本質的と考え、使用している用語を紹介します!

    「北半球と南半球。」

    なんだそれ?状態だと思いますが、ただただ筋腫の核出始め側を北半球、根元側を南半球と呼んでるだけです。

    「そんな単語必要か??」

    そう思うかもしれません。

    この、半球概念はLMの戦略をかなり手助けとなる考え方なんです!

    単語は存在することで人間の認識を変えることができる。

    例えば、資本主義というの単語があると、社会主義の分断が意識される。貧富という単語があるから貧乏とお金持ちに分かれる。

    つまり、単語があることで特定の認識をしやすくなる。

    「北半球と南半球」という単語があることで上半分と下半分がわかる。LMの手技の理解が深まるなら導入しないわけにはいかない。

    騙されたと思ってお付き合いください

    LMにおける北半球と南半球とは

    これの半分を分ける、つまり、上半分と下半分です。(切開部近くが上半分、北半球)

    北半球と南半球で気をつけることが違います。

    北半球はささっと。筋腫と子宮筋層の間が剥がしやすく、”手前”なのでアクセスが容易。筋層の剥離しやすい部分となる。血管と正常筋層を確認は当然必要となる。意識的にツルツルの筋腫層に沿ってささっと進めていこう。

    一方で南半球はじっくり処理する必要がある。手技がより複雑になる。南半球では栄養血管が出てくるため、無理に力を入れると大量出血となる。

    しかも、南半球では組織が筋腫に残りやすい。残った組織が内膜だと先行することになる。

    組織の残った筋腫は、天空の城ラピュタみたいになります。こうならないように注意。

    組織が残るということは、子宮側に深く核出するということ。内膜の穿破リスクとなる。南半球では適切な角度を取ることが難しく、こまめに筋腫の位置を調整して角度を作りじっくり進めていこう。

    南半球まで処理が終われば筋腫の核出は終了となります。。

    まとめ

    切開ラインの決定:MRIで筋層を確認→術中押して薄いところを探す→マーキング

    切開から核出まで:狭く深く切開する→筋腫と筋層の境を同定→北半球をスピーディーに核出→南半球をゆっくり核出

    特に、今回は薄さと半球概念だけ覚えて帰ってください。LMへの苦手意識が少しでも減る人がいれば幸いです。

    記事を更新はXで行っています。Xでも他の本では学べないような概念や考え方の1次情報を若手だった自分が読みたい文体で発信しています。ぜひフォローと共有を!

    ではまた。

    まとめ問題

    問題1

    術前MRIで、筋腫の腹側筋層は3mm、背側筋層は12mmでした。腹側から安全にアプローチできる場合、腹側切開を選択する理論的根拠として最も適切なのはどれでしょうか。

    A. 厚い筋層を温存することで、切開距離、出血量、縫合負荷を減らせるから
    B. 薄い筋層は血流が多く、凝固しやすいから
    C. 厚い筋層ほど筋腫との境界が不明瞭になるから
    D. 筋層の厚さは切開位置の決定に影響しないから

    解答:A

    解説:
    薄い部位から切開すれば、筋腫までの距離が短くなります。その結果、筋層損傷と出血を抑えつつ、相対的に厚い筋層を残せます。残存筋層の収縮によって筋腫が突出しやすくなることも利点です。


    問題2

    LMにおいて「広く浅く」ではなく「狭く深く」切開する戦略を最も正確に説明しているものはどれでしょうか。

    A. 筋腫表面を削らず、筋層のみを広範囲に切開する戦略
    B. 小さな切開口を保つことで筋腫の圧迫効果を残し、出血と子宮損傷を抑えながら境界層を同定する戦略
    C. 子宮内膜を早期に開放し、筋腫の位置を確認する戦略
    D. 縫合操作を省略するため、切開を深部まで延長する戦略

    解答:B

    解説:
    LMでの切開の主目的は、筋腫と筋層の境界を同定することです。切開口を狭く保つと筋腫が周囲筋層を圧迫し、止血効果が期待できます。深く入りすぎても主に筋腫表面を削るため、浅い層を横へ広げるより合理的だという考え方です。


    問題3

    北半球と南半球で手術操作の速度を変えるべき理由として、最も適切なのはどれでしょうか。

    A. 北半球では筋腫が悪性化しにくいから
    B. 南半球では腹腔鏡の視野が必ず上下逆になるから
    C. 南半球では栄養血管、残存筋層、操作角度の問題が重なりやすいから
    D. 北半球では子宮内膜が存在しないから

    解答:C

    解説:
    北半球は切開部からアクセスしやすく、筋腫表面の滑らかな層を追いやすい領域です。一方、南半球では栄養血管が現れ、筋腫側に筋層が残りやすく、適切な剥離角度も取りにくくなります。そのため、北半球では迅速に、南半球では慎重に操作するという戦略が成り立ちます。


    問題4

    南半球で筋腫側に厚い組織が残ったまま牽引を続けた場合、最も懸念される組み合わせはどれでしょうか。

    A. 漿膜損傷と皮下気腫
    B. 栄養血管損傷と子宮内膜穿破
    C. 尿管損傷と膀胱穿孔
    D. 卵管損傷と骨盤漏斗靱帯断裂

    解答:B

    解説:
    南半球では栄養血管の処理が必要になります。また、筋腫側に残った組織を誤った方向へ牽引すると、本来温存すべき筋層を筋腫側へ付着させたまま進み、子宮内膜を穿破する可能性があります。


    問題5

    LMの核出中、北半球では滑らかな層を追えていましたが、南半球に入ると層が不明瞭になり、牽引によって出血が増え始めました。次の行動として最も合理的なのはどれでしょうか。

    A. 牽引力を増やし、残りを一度に引き抜く
    B. 切開口を全周性に大きく拡張する
    C. 筋腫の位置と牽引方向を変更し、血管と残存組織を確認しながら細かく処理する
    D. 出血部を確認せず、筋腫核出後にまとめて止血する

    解答:C

    解説:
    この状況では、北半球と同じ速度や操作を続けないことが重要です。筋腫を回転・移動させて適切な接線方向を作り、栄養血管と筋腫側に残る組織を識別しながら処理します。南半球は高速道路ではなく山道じゃ。牛車で駆け下りれば、牛も術者も困るでおじゃる。

  • 超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    最近の動向を見ていると、医学生さんや研修医の先生が見てくれていることも多くなってきました。

    内容としてはかなりマニアックなブログですがもう少し歩み寄って、専門用語をかみ砕きまくった、ゆる解説をしていくシリーズを行います。

    そもそも子宮全摘の方法を何個かに分けて説明したいと思います。これは開腹(AT)でも腹腔鏡手術(TLH)でもロボット支援下(RASH)でも共通した内容になります。

    臓器を取るとは

    そもそも臓器を取るについてゆるーく考えてみましょう。

    一般化して、ふつうにものを取るときってどうしますか?

    ものって”持ち上げる”と取れますよね。

    落ちてるボールを拾うときは持ち上げるだけでボールを取ることが出来ます。

    では、土に埋まっているジャガイモを取り出すときはどうでしょう。

    ただただ取ろうとしても引っかかりますよね。根っことか周りの土など。なのでついている根っこをはぎ取り、土をはらいますよね。

    引っかかるものがあればそれをどけて取ります。

    他の例なら、洗濯物の山からズボンだけを取り出すとき、山に手を突っ込んで、ズボンを引っ張ってその周りのパンツやシャツをどかして取り出しますよね。

    そんな雑なことはしませんか?(笑)

    言いたいことはわかりますよね。

    ものを取るときには、引っ張って周りのものをどける

    これがものを取るときの方法になります。

    実は、手術でもこの単純な作業をしています。

    もちろん手術をするということは生半可な事ではダメで、人の命に係わり、医師免許がなければ傷害罪であり、産婦人科であれば生命の誕生にも関わるとてもとても大切なことです。

    ただ、こういった意義的なところを無視し、している事だけを注目すればやっている作業としてはジャガイモや洗濯物の例と変わりないです。

    実際手術でやっていることは、引っ張りながら膜や血管や隣接臓器をはがして引っこ抜いて終了。

    かなり暴論ですがこれが真理となります。

    この考え方で子宮全摘を見ていきましょう。

    超ゆる子宮全摘

    子宮を取るときって、子宮は持ち上げてもとれません。何がついているのでしょう。

    子宮には上部靭帯と下部靭帯があります。

    子宮を引っ張りながら、この上下の靭帯を切って最後に膣を切ったら子宮は取れます。

    以上が子宮全摘術となります。

    これでは抽象度が高すぎるのでもう少し具体的な話をします。少し具体的になるので難しいかもしれません。

    困難は分割せよ

    ”困難は分割せよ”

    デカルトの言葉ですね。

    すべての現象に当てはまることですが、難しいことは分割して考える必要があります。

    旅行に行く → いつ、どこに、誰と、お金はいくら?などなど

    自分のできる範疇にまで分割して考えることで、実際に行動が出来るわけです。

    今回、超ゆるーく子宮全摘を

    引っ張って上部靭帯と下部靭帯を処理したらできると説明しました。

    これも一つ一つ分割して処理するだけです。

    上部靭帯→ 円靭帯、卵巣、卵管 →それぞれの切開ライン、切開方法、展開方法 →腹膜の切開、血管の切開、把持部位

    という風に分割していき、自分がわかる範囲まで考えればいいのです。

    ちなみに、どこまで分解し解像度を上げられるか。それがどれだけ熟達しているかを分ける一つの指標になります。

    これらはすべてのことにおそらく共通していて、

    全くしたことないですが、メイクであれば

    顔にメイク用品を塗る → 部位によってメイク用品を変える → 塗り方を変える → 色や材質をこだわる 

    といった風にどんどん上達するにつれて細かくなっていくのではないしょうか(やったことないので間違っていたらすみません)

    他には、日本を旅行するときに、東日本、西日本という分け方しか知らない人と、関西地方の大阪府の難波の通天閣までわかっている人とどちらが慣れているかは一目瞭然ですね。

    手術の分割した内容に関しては

    TLHまとめページ – 産婦人科医ごっそのラパロなブログ (sogogyne.online)

    こちらを参照してください。読んでいただきありがとうございました。

    まとめ

    1. 一般的な物を取る方法:物を取るときには、引っ張って周りのものをどけるだけ
    2. 手術における同様のアプローチ: 物を取る際の考え方は手術においても同様である。手術においても、周囲の組織を処理し、必要な部位を引っ張って取り除く作業が行われる。
    3. 子宮全摘術の手順: 子宮を取り出す際には、上部靭帯と下部靭帯を切ってから、膣を切開するだけである。
    4. 困難を分割して考える: 困難なことは分割して考える必要がある。具体的には手術であれば手順を細分化して考えることが重要である。
  • RASH開始記録① 1例目執刀するまで。開始に大切なのは技術?メンタル?それとも・・・?

    RASH開始記録① 1例目執刀するまで。開始に大切なのは技術?メンタル?それとも・・・?

    RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。

    初めはアームの動かし方もわからないところから、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。

    この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。

    これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。

    執刀資格と資格枠の取り方

    1例目を始めるまでは結構大変です。

    腹腔鏡みたいに特に資格なしでできるわけではなく、ロボット支援下手術をするにはちゃんと執刀資格を得た上で執刀をする必要があります。(オペ室や看護師さんとの調整も結構大変ですがそれは割愛します。)

    この執刀資格を取るのがかなり大変です。簡単に列挙すると

    MRさん(営業)との練習を何回か → 見学 → 資格を取りに東京へ 

    期間で言うと始まってから数カ月かかります。費用も22万ほどかかりなかなかハードルが高いです。

    さらに、資格を取る枠の確保が難しいです。何ならここで一番つまづくかもしれません。

    私は、運よくロボット手術立ち上げチームの二番手として入ることが出来たので。立ち上げから3カ月ほどで資格を取ることが出来ました。

    いまはロボット手術の流れが来ているので、執刀資格を取る枠は1000人単位の待ちがあるとの噂を聞いたことがあります。すごいですね。

    ここで枠を取る秘訣を3つ

    ①MRが優秀であること
    ②信頼関係がある程度できていること
    ②MRさんに情熱を伝えられていること

    実は資格を取るための枠を取るのはMRさんです。

    そのため、資格を取るためにはMRさんがどれだけ本腰を入れて枠を確保してくれるのかそれにかかっています。枠が空いた瞬間に全国のMRさんの枠の取り合いになります。

    本腰を入れてMRさんに競争してもらう必要があるわけです。

    ではそのMRさんが力を本気を出してくれるのはどのような時でしょうか。

    MRさんが本腰を入れるには、もちろん営利企業ですのでMRさんに利益がある(症例が十分ある)ということは大きなウェイトを占めます。

    もう一つ大きなfactorとして”推しになってもらう”ということがあると思います。

    どの様なビジョンで手術に取り組んでおり、どのような今後の大きな展望があるのかを明確に伝える必要があるわけです。MRさんも人間です。頑張る気がある人を応援したくなるのも当然ですよね。

    少なくとも、MRさんをないがしろにしていると枠はなかなか確保できないと思います。

    なんなら今は、やりたい医者が多いのでMRさんのほうが立場が上であると考えたほうがよいかもしれません。

    始めるには、MRさんと二人三脚で行います。そのイメージが大切です。

    脅されまくる初執刀までの練習

    執刀の枠が決まれば、次にMRさんとの練習が始まります。

    正直、かなり脅されますw 足ガクブルです。

    特に事故症例、死亡症例について毎回教え込まれます。

    ここでメンタルやられそうになりました。

    この動きをすると危ない、この動きで動脈がとんだ。など聞くだけで足が震えるような内容を教え込まれます。

    やめてくれと正直思っていましたが、今となれば必要だったと思います。

    MRさん教えるのが下手かというとそうではなく、むしろ優秀な方が多く、教えるのも上手です。

    途中で担当のMRさんが変わりましたが、それぞれ内容は異なるもの、教え方はとても分かりやすかったです。

    かなりプレッシャーをかけられながらも、二人三脚で一歩一歩ステップバイステップで着実に上達できるようにプログラムが組み込まれています

    優秀なに人は、何が大切かわかっています。

    それは、事故を起こさないこと。

    死亡例や損傷例をめちゃめちゃ教え込まれましたが、これってあれと同じですよね。

    自動車教習所

    教習所ってめちゃめちゃ事故の場面を教え込まれませんか?

    ボールが転がってきたら子供!

    この意識を刷り込まれますよね。

    でも、現実世界で子供が出てくるのって年に一度あるかないかではないでしょうか。

    動脈を飛ばすのなんでめったにない。けど大切。

    MRさんの脅しも必要な脅しだったというわけですね。

    まとめ

    執刀資格取得のプロセス

    1. MR(医療機器営業担当者)との練習: 手術に必要な技術と知識を習得するために、MRと何回か練習を重ねる必要があります。
    2. 見学: 実際の手術を見学し、手術の流れや必要な技術を学びます。
    3. 資格取得のための東京への旅行: 資格を取得するためには、東京にある特定の施設や機関で必要な試験や講習を受ける必要があります。この過程には数ヶ月かかり、費用は約22万円となります。

    資格取得の難しさ

    • 資格取得枠の確保: 資格を取るための枠を確保することが一番の難関であり、全国のMR間で競争が発生します。現在、ロボット手術の需要が高まっているため、資格を取得する枠には1000人単位の待ちがあるとのことです。

    枠を取るための秘訣

    1. MRが優秀であること: 枠を確保するためには、MRが積極的に動いてくれることが必要です。
    2. 信頼関係の構築: MRとの信頼関係がある程度築かれていることが重要です。
    3. 情熱の伝達: 自身のビジョンや手術に対する熱意をMRに伝えることで、MRが枠を確保するために本気で動いてくれるようになります。

    初執刀までの練習

    • プレッシャーのかかる練習: MRとの練習は、事故症例や死亡症例に関する知識を重点的に学ぶため、非常にプレッシャーがかかります。しかし、これらの練習は事故を避けるために非常に重要です。

    結論

    ロボット支援下手術の執刀資格を取得する過程は、MRとの練習、資格取得のための出張と費用、そして資格取得枠の確保という複雑なプロセスが必要。MRとの良好な関係構築と情熱の伝達が成功の鍵であり、事故を避けるための徹底した練習が必要です。

  • 医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

    医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

    読者さんから質問が来ました。

    医学生の方で、うれしいことに産婦人科希望。

    熱心に腹腔鏡の練習と勉強をされているみたいで、わざわざネットで調べてメールをくれました。

    質問はこちら(本人に同意を得たうえで掲載。一部省略しています)。

    初期研修はどのような病院で行う事が理想でしょうか
    先生はどこの病院で、またどんな初期研修を行っていましたか?

    個人的にお答えするにつれ、多くの人にとってメリットの大きい内容になりましたので、思い切って記事にしました。

    質問は初期研修病院についてですが、少し大きな枠でとらえて研修病院の選び方について解説していきたいと思います。

    研修病院をどのように選べばいいのか、根本からきっちり言語化しました。

    その分ボリュームが多くなりましたが

    研修病院選びをどのように行えばいいのか迷っている医学生や研修医、修練医には道しるべとなる最適なガイドラインとなった自信があります。

    今後、後悔したくない人生にしたい人はどうぞお見逃しなく。

    ”理想的な”研修病院とは

    そもそも理想的な研修病院とは何かについて考えていきます。

    そもそも物事を考えるには、軸となる基準が必要です。

    食事で言うなら

    誰と(友人、家族、上司、後輩、初対面など)
    どのような形で食べるのか(立ち飲み、コース、アラカルトなど)
    他には、金額は?おすすめ料理は?立地は?

    もちろん研修病院選びにもいろんな軸があります。

    研修体制という軸はもちろん、場所、給与、人数、上級医の学年、強い科(その中でも強い分野)、立地などの軸が挙げられます。

    といったところでしょうか。

    そのため、一般的に理想的な研修病院といえば、

    友人や家族の近くで立地がよく、給料がべらぼうに高く、やる気のある謙虚で優しい同期がいて、やる気があり優秀な上級医がおおく、すべての分野で強い病院。

    ・・・あります?

    ・・・ありませんよね?

    こんな病院はないですよね。

    ちなみに”理想”に関しても、人によって違います。

    新しい環境に身を置くことが好きな開放性が高く外向性が高い人は地元より東京など遠く離れた場所が理想的となるかもしれません。

    家がかなりのお金持ちで給料は理想の軸に入らないかもしれません。

    ひとりでやることが好きな人には、やる気がある人がいると逆にしんどくなることがあります。

    近しい上級医が多いとそれだけできる手技が減るとも考えられます。

    ある分野が強いところに行くと、発展していく過程を見ることが出来ないこと自体が機会損失になっているのかもしれないです。

    ”理想的な”研修病院とはの答えは・・・

    存在しない

    が結論になります。

    終了。

    ・・・

    ではだめですね(笑)

    これでは意味のない返答になるのでもう少し深堀しましょう

    ”個人の理想”の病院とは

    ”一般的な理想”などありえないうえで、考える必要があるのは、”個人の理想”とはなにかではないでしょうか。

    食事でも、お肉が好きなのか、魚が好きなのか、野菜が好きなのかで変わりますよね。

    一般的な理想病院などないことがわかったところで、”個人の理想的な研修病院”の探し方について具体的に解説します。

    個人の理想の研修病院を見つけるには以下の3つのポイントがあります。

    ①データ集め
    ②自分の価値観の明確化
    ③捨てる覚悟になります。

    それぞれ軽く説明すると

    ①データ集め:
     判断材料。ネットの情報だけでなく人から聞くことが最も大切になります。
    ②自己の価値観の明確化:
     判断基準。自分とは今まで何が好きで、どうゆう状況で成長したのか、逆に何が許せず、ストレスになるのかを明確化する必要があります。
    ③捨てる覚悟:
     エッセンシャル思考。何を選ぶのかというのは”何を捨てるのか”と同じ。何を選ぶのかではなく、何を捨てるのがとても大切になります。

    そして決断時の最後の最後は”縁と直感と勇気”になります。

    これだけでは正直何が何かイメージしにくいと思いますので。具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

    個人の理想を達成する、具体的なアクションプラン

    では具体的なアクションプランの例として、

    私個人がどのように初期研修病院を選んだのかという話を一つの例としてお伝えします。

    ①見学に行く病院の設定

    まず、自分に病院がわからなかったので、病院の属性で分けて見学に行く病院を決めました。

    市中病院なのか大学病院なのか、市中病院でも大きい病院と小さい病院(100床行かない程度)

    救急が忙しいのかどうか いわゆるハイポとハイパー

    田舎なのか都市部なのか

    住んでいるところからの遠さ

    給与が高いのか低いのか

    といった、属性で探しました。

    で気になるところ(先輩が行っているところなど)を何となくピックアップして見に行ってみました。

    初めの病院選びは何となくでよいですよ。

    実際行ったのは、今の淡〇医療センター以外に、丸〇町音〇病院(市中の小さい病院)、滋〇済〇会病院(市中の大きい病院)、湘〇鎌〇総合病院(救急日本一の病院)、亀〇総合病院(ド田舎のドハイパー病院)、京〇府〇医科大学(出身大学)となります。

    これらすべての見学に行きました。確かあと二個ぐらい行ったと思います。

    ②データ集め

    それぞれ、行く前に評価項目を作っていきました。

    あとから設定しては聞き逃したり、比較するときに困ることを避けるためです。

    立地、給与、研修医の数、学年の近い上級医の数、学年の遠い上級医の数、実際の忙しさ、人間関係などなど聞いておきたいことを決めていきました。

    これらをそれぞれの病院に行ったときに研修医の先生と直接お話をし(できれば1対1)データを集めてメモをしていきました。

    必ず、実施に働いている医師に確認できるようにお願いしました。

    ここでは研修医の先生からの情報が最も大切になります。

    行く予定の年から待遇が変わったりしないか。

    手技を上級医がさせてくれるのか。

    実は無駄な作業ばかりに時間を取られていないのかなどなど。

    あんがい車で移動すれは都市部に近かったり、駅まで院内バスが出ていたりします。

    ここでのデータが今後の判断でかなり大切になってくるので必ず、事務さんだけでなく近い年代の医師と直接話せる時間を作ってもらいましょう。

    ③自己の価値観の明確化

    次は価値観の明確化になります。

    と言われても、自分の価値観はわからないし、価値観ってそもそも何なのかもわからない。

    という人が多いのではないでしょうか(私もまだまだ探求中)

    ここでの価値観は”何が好きで、何が嫌いで、何を選び、何で後悔したのか”という定義?にしておきます。

    価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください。

    逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

    自分は、部活が体育会系だったので救急が強いハイパーなところがあっていると思っていました。

    実際、何か手を動かし、自分で考えて練習したり、成長していくのが好きです。

    人と接するのも好きですが、一人で黙々と作業や勉強をするのも好きです。

    つまり”私が”最も成長したり楽しかったのは自分でやりかたを考えコツコツ努力したとき。

    でも、”やるべきだからやる”とか、”脳死でこうしたほうがいいらしい”とか、”みんながしているからする”とかは嫌いでした。

    やらされた宿題とかをやるのは嫌いで、軽く請け負った作業で後悔することがしばしばありました。

    とくに、最も堕落しつらかったタイミングは中学の時の部活教師の体罰が最もパフォーマンスを落としたと思っています。

    自由が制限されハラスメントが横行している組織には絶対いてはいけないと思っています。

    なので方針としては、自己成長が出来、がちがちに縛られているところは避けよう、自分で考えて決める方針としました。

    繰り返しになりますが、

    価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください。

    逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

    自分の価値観が明確化するのに大きなヒントが隠れています。

    ④捨てる覚悟

    次は捨てる覚悟になります。

    これは集めたデータを自分の価値観に照らし合わせることで行います。

    湘〇鎌〇総合病院に行ったとき、知り合いのキラキラしていた先輩の眼が死んでいました(西医体優勝していたような体力ばりばりの人)。

    忙しすぎたのです。

    確かに力はつくかもしれませんが、自由な時間が必要な自分の価値観に照らし合わせ、

    自分で考える時間がなく自分なりの研鑽が出来ない病院はやめることにしました。

    ここで、”忙しすぎて自分で考えて研鑽できない病院”が捨てる対象となりました。

    上で言うと、亀〇総合病院、湘〇鎌〇総合病院となります。(時間がないかどうかは個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

    このように、今あるデータを解釈し、自分の価値観に照らし合わせていきます。

    みんながよいと言っている事に疑問を持ち、悪いと言っているところの良いところ、良いと言っているところの悪いところを考えていきました。

    例えば、大学のタスキが最もよい(市中と大学が両方経験できる、最新の治療が学べるから)と言われていましたが、あえて悪いところ(同年代が多いので手技が取り合いになる、給与が悪い、学生とかわらない可能性があるなど)を考えていきました。

    逆に、不人気な病院のいいところ(自由な時間が多い、自分次第で手技が転がっているなど)も考えていきました。

    これを突き詰めて、”一般的に良いとされている病院”を捨てました。それは立地がよかったり、知り合いが多かったりするところです。

    理由としては、人気なところというのは病院側が人を選び、条件が悪くなることが多いと考えたからです。滋〇済〇会病院などが消えました(条件が悪いかどうかは当時の私個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

    そして自分は好奇心が強く、新しいところや物が好き(趣味は旅行)という価値観を優先しました。

    新しいものと出会うには今までの環境や知り合いを捨てる(完全に捨ててはない)こととしました。

    ここで、京〇府〇医科大学は消えました。

    最新の医療は大学でなくてもネットや動画でいくらでも学べるいまの情報供給の変化も大きいです。

    ”学年の近い医者が多いところ”も捨てました。学年が近い医者が多いと手技が回ってこないからです。

    逆に、学年の離れた先生が多いと、やらせてもらえるチャンスも多いと考えました。

    ⑤最後は縁と直感と勇気

    ここまでで、したことは

    病院をいろんな属性で選び、データを直接集め、自分の価値観を明確化し、捨てるものを選ぶ。

    これらによって見つけた”私の理想の研修病院”の条件とは

    人気病院を避け、知り合いが多いところは避け、近い学年の医師がいるところは避ける

    といったかなり一般的ではない理想となりました。

    決断の時です。”個人の理想”の病院選びのの最後の決断になります。

    最後の決断で大切なことは”縁と直感と勇気”になります。

    初期研修病院として実は今いる淡〇医療センターを選んでいます。

    理由としては

    縁:腹腔鏡のプロであり尊敬できる先生がいたこと、事務の方の雰囲気がよかったこと

    直感:この病院は盛り上がると思った。これから研修医を増やそうという意気込みがあり、いわゆる殿様病院とは違った。

    勇気:実は自分の1つ上の研修医は2人しかいなかったし、先輩で行っている人も知り合いもいなかった。一番の親友にはやめておけと言われた。が、自分の直感と縁を信じた。

    こんな感じで決めました。

    当時の病院の状態としては、一般的な人から見たら激悪です。

    まず研修病院として定員割れしている不人気病院。滋〇という田舎で立地は最寄りの駅より徒歩20分、学年の近い医者がほとんどいないといったところでしょうか。

    激悪ですね。

    でも結局、行ってみると自分に合っていて”自分にとって理想的な研修”を受けれたと思います。

    確立した研修システムがなかった → 自分がしたいようにできた。そのため毎日腹腔鏡の練習をすることが出来た。今の時代ネットや本でいくらでも学べた。

    若い医師が少ない → 手技はやり放題であった。CV挿入はもちろん、外科ローテの時に腹腔鏡下虫垂切除を完全執刀させてもらえた。

    研修医を集めている時期 → 給料はいいし、待遇もよかった。

    研修医が少ない → 個人の先生として覚えてもらえた(研修医の先生たちというくくりではなく)

    立地がわるい → 今の時代タクシーもすぐ呼べるし、京〇の友達と飲みに行くのに1時間とかからず(本やスマホで時間つぶせばいい)、つながりは消えなかった。

    田舎 → 人混みを避けられるし、自然でストレス解消が出来た。都会に行くとすごく新鮮で楽しめた。

    一般的に理想とは程遠い病院でも、個人的には理想となるわけです。

    まとめると、

    ファクトフルネスなデータを集め、自己省察で価値観を具体化し、エッセンシャル思考で自分が捨てるべきものを理解できれば、最も優先すべきものがわかり、納得感と勇気をもって”理想的な”研修を受けることが出来る。

    結局、理想を達成することは難しいのですが、これは本当に自分で考えて決断するしかないと思います。

    見学生にここまでやっている人は見たことがないと言われたことがあります。

    しかし、ここまですると後悔することはないと思いませんか?

    ここまで読んでいただきありがとうございます。

    皆様の人生が後悔をするとしても、納得した後悔のできる人生になれば幸いです。

    もし研修先を悩んでいる人がいましたら、このURLでも送り付けてやってください。皆さんがハッピーで理想的な研修を受けられるますように願っています。

    ではでは。

    まとめ問題と解答解説

    問題:
    文章に基づき、理想的な研修病院を見つけるために考慮すべき要素はどれか?次の選択肢から最も適切なものを選びなさい。

    A) 立地の良さ、給与の高さ、知名度のある病院
    B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟
    C) 他人の推薦、医療設備の充実、病院の規模
    D) 上級医の学年、研修医の数、病院の名声

    答え:
    B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟

    解説:
    この文章は、医学生や研修医が理想的な研修病院を選ぶためのアプローチに焦点を当てています。理想的な研修病院を見つける上で重要なのは、個人の価値観を明確にし、必要なデータを集め、そして何を優先し何を捨てるかの覚悟を決めることです。立地の良さや給与の高さ、病院の名声などは重要な要素かもしれませんが、文章は個人のニーズと価値観に基づく病院選びの重要性を強調しています。そのため、選択肢Bが最も適切です。

  • ”Googleの猫”と”手術”の共通点

    ”Googleの猫”と”手術”の共通点

    ディープラーニングの元祖”Googleの猫”と”手術”って同じですよね。

    え、違います?

    今回は、研修医の先生とともに手術に入ったときに必ず伝えている重要な手術習得の要素について説明していきます。

    読み終われば、すっきり間違いなし!

    手術への認識ががらっと変わります。

    ぜひ楽しんでいってください。

    Googleの猫

    皆さん”Googleの猫”って知っていますか?

    医療業界では全く聞いたことない人も多いのではないでしょうか。

    実は、はやりのAIやディープラーニングにかかわる人なら必ず知っている衝撃的な研究結果になります。

    それは

    「Googleの猫」とは、2012年に発表されたAIの研究結果です。
    Google社の研究チームは、ディープラーニングという手法を用いて、YouTubeに投稿されたビデオの中から無作為に一千万枚の画像を取り出してAIに学習をさせました。
    その結果、AIが「猫が写っている画像を見分けられるようになった」と発表したのです。
    この研究で特に注目されたのは、人がAIに「猫」という概念を教えたわけではない
    参照;2012年にAIの歴史が動いた!ついに猫認識に成功した「Googleの猫」 | マルチナ、永遠のAI。 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

    つまりか~なり雑に1行にまとめると

    教えてないのにAIに画像を見せまくったら猫って勝手に認識した。

    ということになります。

    これってものすごくないですか?

    コンピュータに対して指示がないのって考えられないですよね。

    普通は必ず指示は行いますよね。

    例えば、猫の耳の形を指定して、この形の耳を持つものは猫という風に、どこがどうなっているかを説明することでしかコンピュータはわからなかったはずです。

    これをぶち破ったのが”Googleの猫”というわけです。

    ”Googleの猫”と手術の共通点

    ここで本題に移りましょう。

    ”Googleの猫”と手術の共通点です。

    それは

    ”ある閾値を超えると急にわかる”

    ということです。

    よくわかりませんか?

    具体的に見ていきましょう。

    例えば、初めて子宮全摘の術野を見たときを考えてみると、始めはよくわからないですよね。

    子宮はわかるけど、膀胱や尿管なんて言われてもよくわからなった記憶はありませんか?

    しかし、ある時ふと”尿管だ!!!”と認識できたことありませんか?

    これが卵巣で子宮の後ろについているのか!と分かった経験ありませんか?

    今まで見えてこなかった、血管が急に見えて、認識できるようになったことはありませんか?

    これこそ”Googleの猫”との共通点になります。

    ここまでくれば何となくわかったと思います。

    つまりまとめると

    Googleの猫は、大量に猫の画像をAIに見せまくったらいつの間にか猫を認識していた。

    手術は、大量に手術を経験していたらいつの間にか尿管を認識していた。

    となるわけです。

    つまり、大量に経験を積むこと(画像を見る)ことで”モノ”を認識できるというわけです。

    数多く見ることで、ある段階を超えると急に臓器が認識できるわけですね。

    共通点からの学び

    この共通点からの学びは何でしょう?

    陳腐な結論を言ってしまうと、

    経験を積むとよいになってしまいます。

    しかし、もっともっと大きな希望に満ちた結論があります。

    実は、ディープラーニングは人間の学び方と同じと部分があるといわれています。

    そして、人間の学び方、手術の上達とディープラーニングが同じであるならば、焦ることは必要ないわけです。

    よってこのように言うことが出来るのではないでしょうか。

    今わからなくても大丈夫。いつかわかるときがくる。

    そんな希望のある話になるのではないでしょうか。

    なので、もし今何か認識できない臓器や血管走行や手技があったとしても大丈夫です。

    いつかわかるようになる。それでよいのです。

    焦らなくても大丈夫。ではまた。

  • 結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?

    結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?

    今回はコラム的に普段、質問を受けるものに答えていきたいと思います。

    質問はこちら

    ”鋭的剥離と鈍的剥離はどっちがいいの?”

    剥離って大切ですよね。どんな手術でも必要な剥離技術。剥離こそが手術という意見もあるぐらい大切なスキルですよね。

    手術ばかりをやっている婦人科医だけでなく、帝王切開ばかり行っている産科医にとって大切な内容になります。もちろんその両方を行っている産婦人科医にも、つまり全産婦人科医にとって必見の内容になっています。

    一昔前は、手クーパ、チギレクトミー(手で組織引きちぎる様)という用語が出来るほど鈍的剥離がメインの産婦人科手術でした。

    最近は鋭的剥離が隆盛を極めていますが、本当に鋭的剥離がいいのか考察していきたいと思います。

    そもそも剥離とは?

    そもそも剥離とは、物と物の間をはがしていくことを言います。

    いうならば、段ボールに張られたガムテープをはがすようなものです。

    剥離を細かく順序で述べるとこうなります。

    ①物と物の間の接着剤となるものを伸ばす

    ②その伸びた接着剤となるものを処理する。

    段ボールで考えると、少し引っ張るとまさに接着剤が線状に見えますよね。これを処理すると剥離が完成するわけです。

    術中うまく剥離が出来ると、組織同士が離れるため他臓器損傷や出血を抑えることが出来ます。

    逆に、下手に剥離を行うとかなり危険な状態になります。

    ガムテープをテキトーにはがすとびりびりにガムテープが裂けたり、逆に段ボールが一部ガムテープに付いてきますよね。

    例えば腸管が子宮に癒着している間をはがすときを考えると、下手に剥離を行うと腸が損傷したり、子宮が裂けて出血したりするわけです。

    手術は合併症なく終わらせることが何よりも大切です。そのため”剥離こそが手術だ”という言葉の重みが増すと思います。

    鈍的剥離と鋭的剥離ってなに?

    剥離の手順と重要度がわかったところで”鋭的剥離”と”鈍的剥離”について考えていきましょう。

    わかりやすく、先ほどの段ボール、ガムテープスキームを用いましょう。

    鈍的剥離とは、指でガムテープを引っ張るなどをして、間の粘着剤を”引きちぎる動作”になります。

    鈍的剝離の手順としては

    ①テンションをかけて接着剤となる部分を線状に出す

    ②そのままテープに力を加えて接着剤を引きちぎる

    となります。

    一方、鋭的剥離とは、ガムテープにテンションをかけて、先のとがったもの(レターオープナー)などを用いて間の粘着剤を”切る動作”になります。

    鋭的剥離の手順としては

    ①テンションをかけて接着剤となる部分を線状に出す

    ②テンションを追加せず、接着剤の部分を器具で処理する

    となります。

    ①のテンションをかけて展開するは同じですが、②の間の組織の処理が異なるわけですね。

    ガムテープスキーマの用語をを手術の用語に反映していくと、

    段ボールとガムテープ = 組織や筋膜や膜などテンションをかける対象となる部分

    粘着剤 =あわあわの層やFascia、フィブリンやコラーゲンなどのテンションのかかる部分

    鈍的剝離の指 = 指や鉗子や吸引管など力を加える装置

    鋭的剝離のレターオープナー = 電気メスやハサミやエネルギーデバイスなどの切開装置

    になります。

    先ほどの段ボールスキームを言い換えると

    鈍的剥離は”もの”と”もの”の間にテンションをかけ展開し、Fasciaなどの間の組織を張力を強めることで引きちぎり処理すること。

    鋭的剥離は”もの”と”もの”の間にテンションをかけ展開し、Fasciaなどの組織を切開し処理すること。

    こう言い換えることができます。

    結局間の接着剤の部分を、そのまま組織に力を入れて引きちぎるのか、器具で処理するかの違いになります。

    ”引きちぎる鈍的剝離”と”切開する鋭的剥離”ということが出来ますね

    結局、鈍的剥離と鋭的剥離どっちがいいの?

    長々と剥離について説明しましたが、本題に移りましょう。

    結局、鈍的剝離と鋭的剝離どっちがいいの?

    結論・・・

    リスクが高い場面では細かく処理のできる鋭的がよいが、時間、集中力の節約のためリスクが低い場面なら引きちぎる鈍的がよい。

    と考えています。

    リスクの高い場面とは、出血や他臓器損傷があり得るような、腹部腫瘍既往、内膜症、CS後などの症例における癒着部位を指します。

    え?あらゆる場面で安全な鋭的剝離こそ最強じゃないの?

    と思いますよね。

    そんなことはありません。この世の中にはある制限があります。

    それは、時間と集中力です。

    つまり、鈍的剥離が勧められる理由としては、手順を省略できることが大きな理由になります。

    なぜ省略できるのか。

    引きちぎる鈍的剥離の場合、テンションをかける(展開)と間を処理する(引きちぎる)をテンションを強めるという同一動作で行うことが可能だからです。

    まだ、納得できてませんよね。大丈夫です。さらに深堀していきます。

    次回は産婦人科手術のこれまでの流れを含めた詳しい理由と、どうすればうまく鈍的剥離を行えるのか、つまり”安全に引きちぎる鈍的剝離方法”に関して解説していきます。お楽しみに!

    PS:X(Twitter)にて更新報告しますのでよければフォローをお願いします。(こちら)

    まとめ問題と解答


    問題: 以下の選択肢の中から、文章の内容に最も適したものを選びなさい。

    A. 鋭的剥離は時間がかかるが、リスクが低いので、どのような場面でも推奨される。

    B. 鈍的剥離は、リスクが高い場面でも、時間と集中力の節約のため推奨される。

    C. 鋭的剥離は、リスクが高い場面で細かく処理ができるため推奨されるが、リスクが低い場面では鈍的剥離が推奨される。

    D. 鈍的剥離と鋭的剥離は、どのような場面でも同じ効果が得られるので、どちらを選んでも良い。

    答え: C. 鋭的剥離は、リスクが高い場面で細かく処理ができるため推奨されるが、リスクが低い場面では鈍的剥離が推奨される。

    解説:剥離は、物と物の間をはがすことで、術中うまく行うことで他臓器損傷や出血を抑えることができます。特に「鈍的剥離」と「鋭的剥離」という二つの剥離の方法に焦点を当てています。鈍的剥離は、物と物の間にテンションをかけ、間の組織を引きちぎることで処理する方法で、鋭的剥離は、物と物の間にテンションをかけ、間の組織を切開することで処理する方法です。リスクが高い場面では細かく処理できる鋭的剥離がよいが、時間や集中力の節約、リスクが低い場面では鈍的剥離が良いと考えています。 結論として、「リスクが高い場面では細かく処理のできる鋭的がよいが、時間、集中力の節約のためやリスクが低い場面なら引きちぎる鈍的がよい。」ため、選択肢の中では、Cが最も適している。

  • 【前方アプローチ】尿管同定① 「前方が安全であり困難」な理由を側方、後方と比較

    【前方アプローチ】尿管同定① 「前方が安全であり困難」な理由を側方、後方と比較

    子宮大きすぎて、子宮の横に手が入らない・・・
    尿管見つけずに怖くて進めない・・・

    この悩みを解決するのが、前方アプローチによる尿管同定。つまり、円靱帯から前葉を切開し、尿管子宮動脈交差部あたりで尿管を同定する。

    前方アプローチは横に迫り出しているような大きな筋腫でも比較的安全に対応できるアプローチ方法。

    しかし、前方アプローチは難しい、わかりにくいと一般的に言われる。

    今回はなぜ尿管を見つけにくいのか、そして、見つけにくいはずなのになぜ安全なのか。独自の観点からわかりやすく説明します。

    側方や後方アプローチの理解もグッと深まる内容なのでお見逃しなく!

    そもそもアプローチって何に対するアプローチ?

    そもそも前方、側方、後方アプローチとありますが、何に対するアプローチなのでしょう?

    正解は、”尿管(及び子宮動脈本管)に対するアプローチ”になります。

    わざわざ手技の流れに”アプローチ”と名前を付けるぐらい尿管及び子宮動脈本管を同定することはとても大切な作業。大型犬、小型犬という分類があるのは犬の大きさに意味があるから。

    同定が大切な理由は、尿管を同定し剥離することで尿管損傷のリスクが軽減し、子宮動脈本管を同定し止めることで子宮本体からの出血が減るから。

    そのため安全に手術を行うために、尿管と子宮動脈本管を同定するようになり、おそらくアプローチというカテゴライズが行われているのです。(そもそも、剥離範囲を広げて尿管同定が必要かどうかの議論は今回は割愛)

    前方アプローチだけの特徴

    簡単に、前方アプローチと尿管との関係を深く理解するための三つの質問。

    ①尿管ってどこについていますか?

    広間膜後葉。

    ②子宮体部の近くを走っていますか?

    いえ、どちらかと言うと子宮体部より骨盤側を走っています。

    つまり尿管は、広間膜の後葉の子宮体部からはなれた位置を走行している。

    では、最後の質問です。

    ③前方アプローチの切開ラインはどこですか?

    広間膜前葉の子宮体部よりです。

    これらを合わせると、どうですか、わかりませんか。

    尿管は後葉の骨盤よりを走行、前方アプローチの切開は前葉の子宮より。

    ・・・・

    気づきましたか?そう、

    ”前方アプローチの切開位置は尿管と真反対の位置”

    だからこそ、安全であり困難。

    つまり、子宮より離れ、後葉にある尿管は、子宮近くの前葉切開から始める遠くからのアプローチであれば、そりゃ尿管に当たるのは遅れる。だから安全で困難。

    ここで一旦、他のアプローチも合わせて、切開ラインと尿管走行の関係を整理しましょう。

    他アプローチ(側方、後方)との比較

    他のアプローチはどうなっているのでしょうか。このブログで提言している広間膜箱(広間膜腔を箱に見立てたもの)で考えてみましょう。(左広間膜腔)

    前方アプローチ

    右上の辺が切開ラインで左下の辺が尿管になり、つまり位置関係的には対角

    側方アプローチ

    側方では前葉を切るのですが、尿管のすぐ真上の外腸骨のすぐ横の広間膜前葉を切って尿管を同定します。

    そのため切開ラインは左上で尿管は左下となり、先ほどより近くなる。

    後方アプローチ

    最後に後方。こちらが一番近い。地雷の場所を先に同定するスタイル。

    腹膜越しに尿管を視認したのち、尿管のすぐ横の腹膜(広間膜後葉)を切開して尿管を同定します。後方アプローチが最も尿管と近い部位を切開しているので尿管の同定剥離が最も早くなります。

    つまり切開ラインは左下、尿管走行も左下。切開ラインと尿管走行とが同じとなる。

    各アプローチと尿管の走行

    側方後方アプローチはそれぞれ尿管近くの広間膜前葉及び後葉を切開しているのに対して、

    前方アプローチでは切開ラインが尿管から離れている。そのため、尿管を見つけるタイミングが他のアプローチよりも遅くなり、難しく感じるわけです。

    前方アプローチがより安全な理由

    では前方アプローチが難しいと感じる理由が距離が離れていることがわかったところで、最後に前方アプローチが安全な理由を述べていきたい。

    突然ですが皆さん、地雷処理を行ったことはありますか?

    え?私?私は・・・

    もちろんない

    皆さんもおそらくないと思いますので、一緒に想像してみてください。

    追手に追われており、地雷が落ちている地域を地雷処理した後に急いで進まないといけないという状況があるする。

    どんな状況だよ!というツッコミは置いといて、次の条件の場合進み方はどのようになりますか?

    • 地雷が見えている場合
    • 地雷が見えていない場合

    地雷が見えている場合は、安全な距離をある程度取りながらも近くを通り地雷処理していくが可能ですよね。確認しながら近くを通ればいいのです。

    地雷が見えていない場合はどうでしょう。なるべくなさそうなところを探りながら、周りの状況を把握しながら少しでも手がかりをつかみながら進むのではないでしょうか。

    前方アプローチが巨大子宮でも安全に手術ができる理由がここにあります。

    そうです。この地雷がTLHにおける尿管となります。

    地雷を尿管として考えてみると、こう言い変えることが出来ます。

    尿管が見えている場合は、尿管近くの腹膜を切開する後方アプローチや側方アプローチでも近くを通りながら処理していくことが可能です。

    尿管が見えていない場合は、尿管からなるべく離れた、構造のわかりやすい円靭帯と前葉を切開する前方アプローチであれば尿管を傷つけることなく周りを処理した後に尿管を処理できる。

    正直、子宮を前屈させることで尿管がわかるような比較的簡単な症例では後方アプローチや側方アプローチのほうがわかりやすいと思います。

    しかし、すでに説明した通り、尿管や子宮動脈の走行がわからないほど大きな子宮の困難症例では、危なくないところから手をつけることのできる前方アプローチが最も安全に手術を行うことができそう。

    そのため常日頃から比較的容易な症例でも、困難症例を意識して前方アプローチで丁寧に広間膜前葉腔を展開し、尿管を同定する作業と経験をつむことで、ステップバイステップで困難症例に臨むことが可能になる。

    どれだけ強力な武器でも、使い慣れていない武器ほど使えないものはないですよね。

    更新は不定期ですが、Xで報告しています。よければフォローをお願いします。

    今日からできること

    選択したアプローチによる尿管の見つけやすさを意識する

    まとめ問題

    前方アプローチが困難な症例でも安全に手術を行うことができる理由はどれでしょう?

    • A. 尿管が見えている場合、尿管近くの腹膜を切開する後方アプローチや側方アプローチでも近くを通りながら処理していくことが可能である。
    • B. 前方アプローチでは尿管から離れた位置で切開を行い、構造のわかりやすい円靭帯と前葉を切開することで、尿管を傷つけることなく周りを処理した後に尿管を処理できる。
    • C. 前方アプローチでは尿管の位置を正確に把握できるため、尿管損傷のリスクが低い。
    • D. 前方アプローチでは子宮動脈本管を早期に同定し止めることができるため、子宮本体からの出血がかなり減る。

    正解: B

    解説: 前方アプローチが困難な症例でも安全に手術を行うことができる理由は、尿管から離れた位置で切開を行い、構造のわかりやすい円靭帯と前葉を切開することで、尿管を傷つけることなく周りを処理した後に尿管を処理できるからです。選択肢Aは後方アプローチや側方アプローチの説明であり、選択肢Cは前方アプローチの特徴ではありますが、安全性の理由としては不十分です。選択肢Dは前方アプローチの利点の一つですが、安全性に直接関係するわけではありません。

    次回はいよいよ、尿管の同定の具体的な方法になります。お楽しみに。

  • 前方アプローチ、広間膜腔の展開① 箱イメージと円靭帯切開の秘密の関係

    前方アプローチ、広間膜腔の展開① 箱イメージと円靭帯切開の秘密の関係

    ”初めに円靱帯を完全に切断する”

    ここに疑問を持った方はいるのではないでしょうか。
    初めに円靭帯を切る理由は何でしょうか?

    その理由はズバリ

    広間膜腔の展開が圧倒的にやりやすいから

    その理由を具体的にかなりかみ砕いてお伝えします。

    広間膜腔を作るもの

    広間膜腔を展開するには広間膜腔を知らないといけない。

    魚を捌くには魚に骨と皮と肉と臓器があると知っておかないと、捌くときにぐちゃぐちゃになる。

    それぐらい手術に関して構成している要素を把握するということは大切になってきます。

    ではいきましょう!広間膜腔とはっ!!!

    ”広間膜を広げた時にできる腔”

    ・・・・

    当たり前。今言っているのは「京都市は京都にあるよ」ぐらい当たり前の話。もう少し解像度を高めて話をしていきましょうか。

    広間膜腔とは 

    ”広間膜前葉と後葉の間の組織を広げた腔”

    やっと、「京都市は京都の南の方」ぐらいの解像度。

    ではぐっっと解像度を高めてみよう!

    広間膜腔とは

    ”広間膜前葉と後葉を広げ、子宮と基靭帯と骨盤壁と円靭帯(附属器)の間に作った腔”

    ・・・

    ゲボ吐きそう。イメージ沸きにくっ!!

    でも大丈夫。一つ一つみていけば必ず理解しイメージできる。

    ここが理解できているかどうかでこの前方アプローチができるかどうか大きく変わってきます。

    ここまでくれば、「京都のどこに清水寺があり、どのような経路で行こうかな」というぐらいの解像度となる。

    観光がてら広間膜の尿管を見に行くぐらいの気持ちになれるわけです。

    ちなみに広間膜腔は広げた腔や作った腔とずっといっているのは、

    本来広間膜腔は人体には存在しないためです。広間膜を抜けて、前葉と後葉を上下に広げて初めて出てくるのです。

    気になった方は先にこちらをどうぞ

    https://sogogyne.online/広間膜腔とダビデ像

    広間膜腔は自分で作っていくという心持が大切。

    では広間膜腔の具体的なイメージに移っていきましょう。

    広間膜腔と箱の関係

    ここではあえて広間膜を切らずに広間膜腔を作ってみよう!

    前葉と後葉の間にカテラン針を刺して、ぷくっと空気で膨らませる。

    どのような形になりますか?

    いろいろ考えられますが、ここでは広間膜腔は”箱”と考えてください。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、手前が円靭帯と附属器。これらの壁の上下を前葉と後葉で蓋をしている。

    展開図でイメージするとこんな感じ

    これが前方アプローチにおける広間膜腔となります。もう少し立体的にするとこうなる。

    「広間膜前葉と後葉を広げ、子宮と基靭帯と骨盤壁と円靭帯(附属器)の間にできた腔」

    の意味を何となく理解できたでしょうか。ではこれからが本題!!

    なぜ円靱帯から切断するのか

    昔なぜ円靭帯から切るのかをBOSSに聞いたことがあります。

    答えは

    「その方が広がるから。」

    今考えると確かにその通り、広がるから。

    が、それはこの円靱帯を先に切ることの真意というにはかなり荒い説明でした。ここではもう少し解像度を高めた言い方にします。

    それは・・・

    「円靱帯を切り広間膜前葉を広げることで、残りの子宮および基靭帯と尿管が綺麗に把握できるから。」

    はい、わけわからん。でも怒らないで。

    ちゃんとわかりやすく説明します。

    円靭帯および前葉切開後

    円靱帯を切開して、前葉を切開した場合を先程の広間膜腔の箱で考えてみよう。

    手前の壁(円靭帯)をなくし、上蓋(前葉)を開けるととどうなりますか?

    残り4面となる。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、そして底が広間膜後葉。

    立体的に少し箱の形にすると

    ここで見やすくなったのはなんでしょう??

    先に円靱帯と広間膜前葉を開けることで、知りたかったものが見えてくる。

    そう、尿管(骨盤壁)、子宮動脈(基靭帯)、上行枝(子宮)が丸見えとなる!!!

    逆行性に考えると

    子宮動脈と尿管の位置知りたい→円靭帯と前葉をあけたい→まずは手前の円靱帯を切らないといけない

    という論理展開となる。これが円靭帯から切る理由。蓋を開けるイメージですね。

    実際の手術でどのように見えるか

    これは左の円靭帯を切除し広間膜前葉を展開した後の図になります。

    いったん、立体的に奥行きをもって見てください。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、そして底が広間膜後葉。

    ・・・

    先ほどの展開図を合わせるとどうなりますか。

    このように見えればイメージは完璧。

    しっかりとイメージできましたか?

    今日からできること

    箱のイメージをもって広間膜腔をとらえてみる。

    まとめ問題

    以下の選択肢の中から、円靭帯を先に切断する最も重要な理由を選んでください。

    • A) 広間膜腔の展開がやりやすくなる。
    • B) 子宮動脈の血流が確保される。
    • C) 広間膜後葉の展開が容易になる。
    • D) 尿管の損傷リスクが低くなる。

    正解: A) 広間膜腔の展開がやりやすくなる。

    解説: 円靭帯を先に切断する理由は、広間膜腔の展開が圧倒的にやりやすくなるためです。円靭帯と広間膜前葉を開けることで、残りの子宮、基靭帯、尿管が綺麗に把握できます。これにより、尿管(骨盤壁)、子宮動脈(基靭帯の上縁)、上行枝(子宮)が丸見えになり、手術が容易になります。

    最も重要という意味でAが意味を包括しているため正解となります。

    今回説明した”箱のイメージ”はめちゃめちゃ大切なイメージなのでぜひ自分のものにしてください。

    次回は”広間膜の切り方と腹膜の本当の姿”となります。お楽しみに。

  • 手術で大切なもの

    手術で大切なもの

    こんにちは、産婦人科医のごっそです。

    このブログは、普段手術をしている経験をもとに、癖のある産婦人科腹腔鏡手術を少しでもやりやすくするために作成しました。

    まず初めにこのブログを始める経緯について説明します。

    成長とは・・・

    手術が一瞬でうまくなる薬があればほしいですか?

    私は欲しくありません。

    その理由は・・・

    成長こそ人生だから

    これに尽きます。できなかったことが出来たときの充実感はたまらないですよね。

    初めて自転車に乗れた瞬間。できなかった問題が解けたときの瞬間。初めて手術を執刀した瞬間。

    これらを達成した瞬間の感覚は皆さん染み付いているのではないでしょうか。

    人生の自己実現のために成長は欠かせない要素ですよね。

    なので、個人的には成長にこそ人生があると思っています。

    世間には、これをするとすぐに上手になるとか、これをすれば成功するとうたう本やセミナーがあふれています。

    これはたくさんの人がうまくなり成功したいと熱望している証拠になります。

    成長はどのように進んでいくのでしょう。

    うまい人ほど調子に乗らない理由

    上手な先生の話を聞くと

    謙虚に「手術は今でも怖がりながらしている。」と言い、

    逆に成長し始めの先生に話を聞くと

    嬉しそうに「最近すべてがひとりで出来るような気がします。」と言う。

    実はこれ、ダニングクルーガー効果というバイアスにかかっている状態です。

    ダニングクルーガー効果とはやり始め程すぐに自信がつき、一度の失敗をおこすことで自信がなくなり、その後徐々に取り戻していくという人間の特性をしめしたものです

    つまり手痛い失敗を経験していない若手ほど自信満々で、酸いも甘いも知るベテランほど謙虚な自信を持っているということです。

    つまり成長とは謙虚に知識と経験を貯めていくということではないでしょうか。

    これからのサイト運営について

    今まで、私は戦略的に手術、特に腹腔鏡に関する練習や、環境整備を行い、苦しみもがきながら多くの失敗を経て、数100件以上の腹腔鏡手術を経験してきました。

    今になってから思ったのです。

    成長が鈍化してきたぞ・・・

    その停滞を打破するために、知人、先輩、本、ブログ、Youtube、メルマガといった、ありとあらゆる情報源を探りました。

    その中でいくつか答えのようなものを見つけました。

    徐々に人間は、他人を成長させることに尽力を尽くし始める。そしてそれが生きがいになることがある。

    確かに、後輩指導をしているときに生きがいを感じることが多々ありました。

    このブログでは私が見つけた手術の処方箋となるメソッドを発信していきます。

    発信内容

    周りの先生からは、言語化をすることが上手といわれることが多いです。それもそのはず。

    「ちゃんとやれ!!!」

    そうと言われながら、”ちゃんとする”を自分なりに言語化をずっとしてきました。

    手術メモも数百以上あります。

    そのメモを参考にしながら、なるべく具体的に言語化して発信していきます。

    個人的な経験が多いため、場所が変わればすべて変わるものと思います。

    もちろん手ぶらでよいです。ぜひ楽しんでいってください。

    まとめ

    成長とは、過去の自分よりもうまくなることをさす。成長を繰り返すことで人生は華やかなものとなる。しかし、成長に当たって失敗や壁は必ず出てくるもの。ダニングクルーガー効果にみられるように失敗を経て謙虚で強固な自信を持つことが出来る。これまでの手術経験をもとに、壁を乗り越えられる”はしご”のような記事の発信を行っていく。