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  • 【知識詰め込み終了】AI時代で本当に必要なのは・・・いつでも本質は変わらない。

    【知識詰め込み終了】AI時代で本当に必要なのは・・・いつでも本質は変わらない。

    「AIが診断も説明もできるなら、医師は何を磨けばいいのか?」

    医学生や研修医、現場の医師も一度は考えるテーマです。

    ご存知の通り、AIは医学情報の整理、鑑別診断、患者さん向け説明文の作成が得意です。

    正直、当直明けの私なぞ、足元にも及ばないレベルで働いてくれます。

    あ、当直明けじゃなくても負けてました。

    最近では東大、京大の医学部を首席合格できるレベルになったそうです。(参照

    そんな、人間を超えた知能を持つAI時代に、この記事でわかることは、

    AIが得意なことと医師が担うことの違い。
    産婦人科で必要なコミュ力の正体。
    明日から診療で意識できる行動 SOLER

    です。未来に絶望する必要はありません。AI時代を乗り切るコンパスと地図を見つけましょう。

    AIは情報処理の相棒である

    AIって敵ですか?味方ですか?

    手術に携わることが生き甲斐になりつつある私にとって、ダビンチがオートで手術をし始める時代が来ることに多少、敵対する気持ちがあります。

    ただ、実際にAIと医師を対立させる必要はありません。AIは、医師の席を奪いに来た敵ではなく、情報処理を助ける相棒です。

    AIは一般的な説明を整理し、説明文のたたき台を作り、鑑別診断の候補も広く挙げられます。

    ただし、AIが出すのは基本的に一般論です。

    目の前の患者さんが何を恐れ、何を大切にし、どんな生活背景で迷っているのかまでは、診察室の空気から自動で読んではくれません。

    そこから先に、医師の役割があります。

    それは、コミュ力。

    コミュ力は雑談力ではない

    ここでいうコミュ力は、待合室を爆笑させる力ではありません。外来が居酒屋になっても困ります。

    AI時代に必要なコミュ力とは、

    文脈理解、信頼形成、合意形成の力です。

    ちょっとめんどくさい話になってきましたか? これは今後10年20年を変えうる話になります。

    文脈理解とは、相手の背景を踏まえて話を受け取ること。信頼形成は、不安を雑に扱わない姿勢から生まれます。合意形成(関係者が納得できる方針にそろえること)は、医師の判断と患者さんの価値観をつなぐ作業です。これは臨床技術です。

    尊敬している医師はいますか?

    もちろん、技術も知識もすごいと思いますが、きっと”コミュ力”が高いのではないでしょうか。

    産婦人科では人生背景が方針に入ってくる

    産婦人科は、医学的正解だけで方針が決まりにくい診療科ですよね。

    専攻医の時、ガイドライン信者であった私は、患者の社会的背景、病院機能の限界が治療方針を大きく変えていくことに大きな疑問を持っていました。

    不妊治療を続けるか、少し休むか。出生前検査を受けるか、受けないか。分娩誘発をするか、自然な経過を待つか。子宮筋腫で子宮を残すか、根治を目指すか。

    今なら、言えます。お互い納得した治療方針を決めるという能力がこの世にはあると。

    AIはメリットとデメリットを並べられます。しかし、患者さんにとって大事なのは一覧表の美しさではなく、「自分にとって、どの選択なら納得できるのか」です。

    同じ病名でも、妊孕性(妊娠する力)への思い、仕事、家族、不安の強さで選び方は変わります。情報は見えている。でも患者さんが進める形にはまだ展開されていないのです。

    患者さんもAIと一緒に来る

    これからは、患者さんもAIで調べてから受診します。「AIでは手術しなくてよいと出ました」「この薬が妊娠中に不安です」と相談される場面は増えるでしょう。

    そこで「AIは信用しないでください」と切ると、情報だけでなく不安まで切ってしまいます。切るなら癒着だけにしたいところです。

    大切なのは、まず受け止めることです。「どの部分が心配でしたか」「それを読んでどう感じましたか」と聞く。そこから医学的に安全な情報へ翻訳していく。情報の奥にある不安に敬意を払う姿勢が、信頼につながります。

    AIに任せるほど、医師は対話に集中できる

    学生時代よく言われたのが、「カルテと会話している医師」でした。

    パソコンに向かって患者さんの顔に一瞥もしない。そんな人をカルテと会話している医師と評されたのです。

    正直仕方がないところがあります。1人3〜5分程度で外来を回さないといけない。さらに急患が飛び込んでくる・・・

    私もブラインドタッチを身につけて、なるべく顔を見て話すようにしていましたが限界はありました。

    そこでAIを仲間として迎え入れるのです。AIが説明文や要約を助けてくれるなら、文章化は任せればよいと思います。

    そのぶん、医師は患者さんの表情を見る。沈黙を待つ。理解できているか確認する。迷いの奥にある価値観を聞く。

    今はまだ、AIを外来に取り込んでいるところはかなり少ない状況ですが、これから必ずカルテ記入作業はなくなります。

    AIが情報処理を担うほど、医師は「この患者さんではどうするか」に集中できます。

    AIが進むほど医師の価値が薄まるのではありません。むしろ、文脈を読み、信頼を作り、合意形成する力がある医師が重宝されるのです。

    技術が進んでも人間の本質は変わらないという言葉があります。ツイッター(現X)はITによって作られましたが、その本質は「コミュニケーションをしたい。」です。

    AIがどれだけ発展しようが、人間の本質は変わりません。ただただ患者とどれだけ向き合えるかになるのです。

    明日からできる小さな一歩 SOLER

    最後に明日から使える本質的なテクニックをお伝えいたします。

    AIに知識量で勝とうとしすぎなくてよいです。ただし、勉強しなくてよいという意味ではありません。知識は土台です。その知識を患者さんの人生に接続する練習が重要になります。

    おすすめはSOLERという話の聞き方を実践すること

    SOLERは、相手の話を「ちゃんと聞いています」と態度で示すための基本姿勢です。カウンセリングや医療面接、面談などでよく使われます。

    S:Squarely
    相手に正面から向き合う。
    斜めすぎたり、体をそらしたりせず、「あなたに向き合っています」と示す。

    O:Open posture
    開いた姿勢をとる。
    腕を組まない、ふんぞり返らない。防御的・拒否的に見えない姿勢にする。

    L:Lean slightly forward
    少し前傾する。
    関心を持って聞いている印象を与える。ただし近づきすぎない。

    E:Eye contact
    適度に目を見る。
    じっと見つめすぎず、自然なアイコンタクトで安心感を作る。

    R:Relax
    リラックスする。
    緊張しすぎず、落ち着いた表情・声・姿勢で聞く。

    まとめると、SOLERは
    「正面を向き、開いた姿勢で、少し前のめりに、適度に目を見て、リラックスして聞く」
    ということです。

    “この人は自分の話を聞いてくれている”と患者に感じてもらうための非言語スキルです。

    明日からできることは一つです。説明の前に姿勢を正し、「今日いちばん心配なことは何ですか」と聞いてみる。

    AI時代の産婦人科医に必要なのは、雑談がうまいコミュ力ではありません。患者さんの文脈をしっかりと組み込み、相手に合わせて安全に届けるコミュ力です。

    まとめ

    AIのおかげで本来すべき、手当て(手を触れること)ができるようになる。そのため、知識を詰め込むだけじゃなく、スキルと人と接する態度を伸ばすほうがよい。

    更新通知はXで行っています。お見逃しないようにフォローをぜひお願いします。

    4択問題

    問題
    AI時代の産婦人科医に必要なコミュ力として、本文の内容に最も合うものはどれか。

    A. 患者さんと雑談を長く続ける力
    B. AIを避け、すべて自分の知識だけで説明する力
    C. 患者さんの背景や価値観を踏まえ、情報を納得できる方針に接続する力
    D. 患者さんの希望をすべて優先し、医学的判断を控える力

    解答
    C

    解説
    本文でいうコミュ力は、文脈理解、傾聴、信頼形成、合意形成の力です。AIが情報を整理する時代だからこそ、医師にはその情報を患者さんの人生に接続する力が求められます。

  • 運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    縫合に自信ありますか?

    縫合難しいですよね。特に腹腔鏡になると・・・

    実は、

    運針の原則はたった2通りしかないと聞くとどうでしょう。

    できる気がしませんか?

    今日の縫合やらせてもらえませんか?」と自信を持って言えるそんなふうになりたくないですか?

    この記事では、縫合で針を自在に操るための基本動作とコツを、初心者にも伝わるように解説します。自信を持った自分になるための2分をどうぞ。

    運針の2原則

    運針技術は患者を守る

    縫合は外科医にとって最も大切な手技の一つですよね。

    出血が止まらない時の最後は縫合。組織を再建した時の出来上がりを決めるのも縫合。

    止血と、再建って完全に外科医の中心に位置する手技ですよね。

    つまり、縫合がうまいかどうかで外科医としての器量を図ることができる。こう言えるかもしれません。

    押すか、回すか。それだけ。

    「針の動かし方は二つだけ」と聞くと、「え?それだけでいいの?」と思うかもしれません。

    でも、このシンプルさこそが奥深さの入口

    その二つとは

    押すか、回すか。

    たったそれだけの組み合わせで、針はまるで意思をもったように滑らかに、思い通りに動いてくれます。

    そう、まるで革細工の職人の指先のように。

    「回して、向きを合わせたら押す」


    押してから回すこともありますがこの順番が基本です。

    針先の向きが進行方向と合っていれば、組織の中をするっと気持ちよく進んでくれます。

    まずはその針先、「顔」を向けてやる必要があるんですね。

    下は腹腔鏡下の子宮核出の場面です。粘膜下に近く死腔を作らず縫合するためにプルアップ法(禁酒を残したまま底を縫っていく方法)を用いているところです。

    端の縫合のため、Vの字に運針する必要があります。

    やることは?

    回して押すだけ!!

    やっていることは単純ですよね

    実際のやり方

    向きを合わせる:針先を中心に動かす

    では、実際に「右に出したい」場合。

    これはつまり、筋膜の右側に針を抜きたいということ。

    そのときは、まず針の向きを右に。ぴたりと方向が合ったら、そこでぐいっと押し出します。

    ここでポイント

    針先の向きを変える時は、針先を回転の中心とする。

    針先を回すときにシャフトを移動させる必要があります。

    押す

    向きを合わせたら、それから押す。

    まるでハンドルを切ってからアクセルを踏むようなものです。

    向きと推進力、この両輪が針をコントロールする鍵となります。

    左手で調整する

    ここまでで「押す」「回す」の2つの基本操作がわかりましたが、もう一つ重要なテクニックがあります。

    それが「左手で組織を引っ張る」こと。

    え、なんで左手?と思ったあなた、実はここが職人の技の見せ所なんです。

    ポイントは

    出したい方向と逆に引っ張る

    たとえば左に運針したい場合は、組織を右に引っ張る。すると針の通る道が自然に左へ向き、摩擦も減ってスムーズになります。

    手前に出したい時はどうすればいいですか?

    手前に出すなら左手で組織を奥に押します。

    考えてみれば当然ですが、案外できていない人は多いので意識してみてください。

    ちょっとした左手の力加減が、縫合全体のリズムと精度に直結します。

    素振りしてみよう

    ドライボックスと手術中で感覚は違いますよね。

    これは、どうしても角度や距離感やカメラの問題がるためしょうがないです。

    ドライボックスでめちゃくちゃに練習したのに、手術中は思うようにいかない。

    そんなのはあるあるです。

    そんな時は素振りをしてみましょう。何ミリ入れた後、回し始めるのか。実際素振りをしてみてください。

    自在に針を操るという感覚と素振り

    はじめは「え?なんで思ったところに出ないの?」と焦ることもあるでしょう。

    でも、向きを合わせてから押す。そして左手で組織を引っ張る。この一連の動作が一体化してくると、不思議なことに針が「勝手に動いてくれる」感覚を味わえるようになります。

    これはちょっと大げさに言えば、縫合というよりも「針と踊る」感覚。針の動きを制御するというより、針と呼吸を合わせるのです。まるで太極拳のような静かな力強さ。

    まとめ

    針の動かし方は、驚くほどシンプル。押すか回すか、そして左手で引っ張るか。その3つを極めるだけで、縫合はぐんとスムーズになります。

    最初は動きがぎこちなくても、繰り返すうちに、針の先があなたの「手の延長」に変わる瞬間がきます。焦らず、向きを見て、そっと押してみましょう。

    Xでもブログ更新情報をお届けしています。針の魔法にもっと触れたい方は、ぜひフォローを。


    問題

    針を左に出したいとき、適切な操作はどれか?

    A. 針を右に回して押す
    B. 組織を左に引っ張りながら針を押す
    C. 針を左に向け、組織を右に引っ張って押す
    D. 針をまっすぐのまま押し込む

    解答
    C

    解説
    針の動きは「向きを合わせてから押す」が基本。また、出したい方向とは逆に組織を引っ張ると、針がスムーズに進みます。したがって「針を左に向け、組織を右に引っ張って押す」が正解です。

  • 医師の未来とAI──やりがいはどこへ向かう?AIによる医者の働き方の変化予想。

    医師の未来とAI──やりがいはどこへ向かう?AIによる医者の働き方の変化予想。

    ある日の外来、診療している私はふと手が止まった。
    AIに入力すれば、鑑別診断、治療方針、説明文まで即座に生成される。
    カルテすら自動で要約され、同意書まで下書き済み。
    「私、要る?」と、少しだけ肩が重くなった。

    医師という職業が大きく変わろうとしている。
    その変化は、静かだが確実に、私たちの日常に入り込んでくる。

    この記事でわかること

    • AIによって医師の仕事はどう変わっていくのか
    • 「考える楽しさ」が失われる可能性とその影響
    • 新たなやりがいの見つけ方とは?

    エンジニアの世界で起きていること

    エンジニアの世界では、大きな変化が起きている。

    コードをAIに欠かせ、人間はレビューするだけ。

    もはや常識だ。コードを書くという手を動かす仕事はAIに任せ、レビューだけ行う。

    医療でもきっと同じことが起こる。

    AIが鑑別診断を並べ、治療方針を提案し、患者説明のシナリオまで整える。
    カルテ作成、処方提案、ガイドライン照合。これらを一瞬でやってのける。
    医師の役割は、「診断する人」から「診断をチェックして最終判断する人」へと変わってくる。

    この変化を歓迎する声も多い。
    実際、過重労働に悩む現場において、AIの助けは大きな支えになる。
    でも、心の奥には小さな違和感が残る。

    「自分で考える時間が、確実に減ってきている」

    医師の仕事、2つの未来

    AIの進化によって、医師の働き方は今後2つの道に分かれていくと考えられる。

    ひとつは、大量の患者を捌くルート

    AIが問診し、カルテを作成し、ガイドラインに従って初期対応を行う。
    医師は確認してハンコを押す係になり、「次の方どうぞ」を1日何十回と繰り返す。
    ここではスピードと効率が命。考える時間を楽しむ余裕はない。
    ファストドクター時代の到来である。

    もうひとつは、手術や手技に特化するルート

    現在、AIには世界に関わる物理的な肉体を持たない。
    そのため手術や手技は「人間の領域」となる。
    手術や手技を極めることは、AI時代では大きなアドバンテージになりうる。


    だが手術支援ロボットはますます進化し、遠隔操作、AIナビゲーション、さらには自律型ロボットの開発まで進んでいる。「手術を極めれば安泰」という時代も、案外短いかもしれない。

    つまりどちらの道を選んでも、「人間だけができる仕事」は急速に狭まっていく。
    これは挑戦であると同時に、問いでもある。

    医師のやりがい、どこに再配置するか?

    「仕事時間が減るかもしれない」という予感を、なんとなく多くの医師が抱いていると思う。
    実は仕事は減らない。実際産業革命が起こり、生産性が高まったが仕事時間が減ったわけではない。

    実は減るのは「やりがい」である。そして「考える時間の消失」だ。

    AIコンビニの失敗から見る未来

    AIコンビニというものが中国にある。そこでは、AIが画像解析を行い、仕入れ品出しのタイミングを従業員に教え、それに従い従業員が動くというモノだった。

    確かに生産性は上がった。たった一人で忙しいコンビニを回すことができる。しかし、うまくはいかなかった。離職率が高かったのだ。

    考えてみてほしい、自分は何も考えず、ただ指示通り動く。トイレに行くにも指示を仰ぐ必要がある。何も自分で決めない。そんな状況でやりがいなどあるだろうか。

    医療は不確かさとの格闘だった。
    患者の言葉にならない訴えを聴き取り、情報をかき集めて仮説を立て、考えて、迷って、絞り込む。
    この「考える時間」こそが、やりがいだったのではないか。

    これからの世界で必要な力

    では、やりがいはもう戻ってこないのか?

    私は、そうは思わない。
    これから必要になる力を磨けば良い。

    それは「問いを立てる力」だ。
    AIは優れた解答者だが、何を問うべきかはまだ人間の領域だ。

    • 患者の価値観をどう診療方針に反映させるか
    • 社会的背景や心理的要素をどう読み取るか
    • 同じエビデンスのもとで異なる選択肢をどう評価するか

    ここには、医師の知性と共感、そして倫理的な判断力が不可欠だ。

    AIに触れ続けるという意志

    変化は待ってくれない。
    そして時代を巻き戻すこともできない。
    「ちょっと苦手で…」「時間がなくて…」などとAIに距離を取っていると、
    知らないうちに「AIを使いこなせる医師」と「そうでない医師」に大きな差がつく。

    だからこそ、まずはAIに触れること。
    一番初めは簡単な検索させてみる。

    できるようになったら対話してみる。そしてAIに入れる指示(プロンプト)を考えてみる。
    うまくいかなくても、それでいい。
    その違和感や誤差を拾うこと自体が、新しい医療の第一歩になる。

    再定義の時代に立っている

    医師という仕事は、確かに変わっていく。
    でも、それは価値が薄れるという意味ではない。
    「考える医療」から「問う医療」へ。
    AIという強力な道具を得た今、人間にしかできないことを深く掘り下げるチャンスでもある。

    やりがいは、時代に合わせて進化させていけばいい。
    まずは今日、ひとつAIで調べてみよう。
    その問いこそが、あなたのやりがいの再起動スイッチになるかもしれない。

    問題

    将来的にAIの活用が進んだ医療現場において、医師に最も求められる力はどれか?

    A. 数値入力の速さ
    B. 診断アルゴリズムの記憶量
    C. 問いを立てる力
    D. 手書きカルテ作成スキル

    解答:C
    解説:AIが診断や治療方針を提示する時代では、それに対して「本当にこれでいいのか?」と問い直す力、人間の価値観や倫理に基づいて判断する力が必要になる。

  • 「ここ、どこ切る?」と迷ったら三角形を探せ!切開ラインの大原則

    「ここ、どこ切る?」と迷ったら三角形を探せ!切開ラインの大原則

    キレるラインがわからない、どこから剥がすべきか…

    術中と手が止まったこと、ありませんか?ありますよね???

    解剖書を読んでも、教科書的な層の名前はあれど、実際の視野はもっと複雑。どこが膜で、どこがただの癒着なのか。そう、現場では教科書は黙っています。

    上司はこう言います。

    「適切な、テンションをかけると自然と見えてくるラインだよ」

    それがどこかわからないんだよ!!

    でも、もしも目の前に“ヒントの形”が現れていたとしたら?

    何も迷いなくズバズバ切れる。そんな秘密知りたくないですか?

    そう考えると、ちょっと面白くなってきませんか。

    この記事では、術中に見える秘密の扉「三角形」が剥離層のガイドになる理由と、その活用法について解説します。

    三角形は自然がくれた層のサイン

    まず一言でまとめましょう

    ズバズバ剥離したいなら、三角形を探せ!になります。

    「三角形は、膜と膜に囲まれた“ゆるいゾーン”の地図」です。もう少し具体的に説明しましょう。

    これには、剥離ゾーンに関する知識が必要になります。

    剥離するラインは接着剤のライン

    基本的に体は、膜や層構造になっています。

    まるで玉ねぎみたい

    さまざまな層が重なって人体が構成されています。

    子宮:筋層、漿膜・・・
    腹壁:腹膜、脂肪層、筋膜、筋肉、筋膜、脂肪、浅筋膜、脂肪、真皮、表皮

    そしてその間には、接着剤となる疎な結合組織が存在します。

    疎な結合組織が切れるライン=剥離ライン

    となります!

    そしてこの、「膜間層(膜と膜の間のゆるい結合組織)」を象徴しているのが三角形なのです。

    参照リンク↓

    https://sogogyne.online/結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?%E3%80%80/

    三角形を構成するものは?

    三角形の三辺はそれぞれ独立した“膜”でできていています。

    そして三角形の中はふわっとした結合組織。

    つまり、

    三角形の中は“剥がしても安全な空間”

    言い換えれば“自然が用意してくれた安全な道”なんです。

    ハサミやバイポーラーで軽く触れればスーッと剥がれてくれる、あの「気持ちいい」層。

    しかもこの“あわあわ”ゾーンは、構造的に血管や神経が走っていないことが多く、

    いわば“ローリスク剥離ゾーン”

    無理に牽引して破くのではなく、三角形の中にそっと入り込んで拡げていくと、自然に展開が進んでいくのです。

    実際やってみよう!!

    次の円靭帯の切開時の画像をみてどこに剥離のできる三角形があるかわかりますか?

    大きな三角形を作ってみてください

    ヒントは切開された円靱帯が一辺になります・

    そうです!これはわかりますよね!!

    三辺は以下のようになります

    ①切開された円靭帯(広間膜前葉)
    ②骨盤側の腹膜
    ③骨盤漏斗靭帯側の腹膜

    では、もう少し解像度を上げた三角形を作りましょう

    そうするとこうなります。

    もはや無限にできそうですね。今回は円靭帯間膜が一辺になっていますね。

    では次の画像をで大きな三角形を作ってみてください

    ヒントは腹膜ですね。

    これも簡単ですね。

    3辺は

    ①広間膜前葉
    ②広間膜後葉
    ③骨盤壁

    と言う大きな三角形になります。

    次はできるだけ小さな三角形をみてみましょう

    これだけたくさんの剥離の腔(層)が出てきます。

    どのルートを取るかはまた別の話になりますが、三角形を意識すると術や認識が大きく変わるのがわかりますよね。

    解像度に関しては↓参照

    https://sogogyne.online/kaizoudo/

    三角形は「見つける」より「浮かび上がらせる」

    注意点もあります。三角形は、いきなりは見えません。繊細な牽引、丁寧な圧排、そして「膜を膜として尊重する」姿勢が必要です。

    強引な操作では、膜が破れて三角形は跡形もなく消えてしまいます。

    術野の中にじっと目を凝らして、細かいラインを読む。

    すると、ほんのわずかな光の反射や牽引の方向で、膜と膜の「接し方」が変わり、三角形が“浮き上がって”くるのです。まるで3D映像のように。

    これを感知するには、経験も必要ですが、何より「形に注目する」という視点が大事。

    解剖学的名称ではなく、「形」で理解する。これが、迷子になりがちな術野の中で、あなたを導く新しいナビになります。

    「適切な、テンションをかけると自然と見えてくるラインだよ」

    この言葉の意味が分かりましたでしょうか??

    まとめ

    「どこを剥がせばいいか迷ったら、三角形を探せ」

    この言葉は、もはや私の座右の銘です。膜と膜が自然につくる三角形は、剥離の層そのものであり、中の“あわあわ”こそが進むべき安全地帯です。見つけ方のコツは、強く引かず、よく観察し、少しずつ広げていくこと。形が教えてくれるルートを、信じて進んでみてください。

    もし次の手術で迷ったら、「三角形、ないかな…」と心の中でつぶやいてみてください。きっと術野が変わって見えるはずです。

    問題

    問題
    手術中に膜と膜に囲まれた三角形が見えた場合、その中の構造として最も適切なのはどれか?

    A. 密な結合組織(dense connective tissue)
    B. 骨膜
    C. 疎性結合組織(loose connective tissue)
    D. 平滑筋層

    解答
    C. 疎性結合組織(loose connective tissue)

    解説
    三角形に囲まれた領域は、通常膜と膜の間に存在する疎な結合組織であり、水分を多く含む柔らかい構造。これは“剥離しやすい層”として、血管や神経のリスクが低く、手術的に展開しやすいゾーンである。Aは靱帯などの構造、BやDは膜層の外に存在するため不適切。

  • 「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    手術中、「もう1本手があったらなぁ」と思ったこと、ありませんか?
    そしてきっと、その手は「右手」ではないでしょうか?

    ずっと手術を見ていた私が見つけた、うまくいっている執刀者とうまくいっていない執刀者の違いがあります。

    なんとなく展開がうまくいかないと悩んでいる方、後輩指導の言語化に困っている方、さらにうまくなりたい方は必見です。

    この記事でわかること:
    ・手術における“展開”の決定的コツ
    ・視野が崩れない助手の使い方
    ・なぜ「右手」を渡すのが正解なのか?

    展開は「右手を渡す」が正解

    なぜ展開するのか

    それは剥離や凝固切開を行うためです。

    広間膜の腹膜を持ち上げることで広間膜腔が広がり、あわあわや毛細血管が見え、奥にある尿管や子宮動脈を見つけていくのです。

    つまり、触りたい腔を作り、その奥を操作するわけです

    絶対ルール

    展開で迷ったら、まずこのルールを思い出してください。


    「両手で開いて、右手を助手に渡す」


    つまり、両手の鉗子で展開したのち、右手の鉗子で持っていた部分を持ってもらう。これだけで視野の安定度がぐんと上がります。

    なぜ左手鉗子側じゃダメなのか?理由は単純です。

    左手鉗子を渡してしまうと視野が崩れてしまうからです。

    展開後にやることは、右手で操作をします。

    上記の通り触りたい腔を作り、その奥を操作するため、両手で触りたい腔を作り、その奥を右手で操作するため、右手をフリーにする必要があり右手の組織を助手に持たせると訳です。

    ポテチ袋に学ぶ展開術

    イメージがしにくい時はポテチ袋を考えてください。

    みなさん、ポテチ好きですよね。どのように中のポテトを食べますか?

    袋を開けて食べますよね。

    これをもう少し解像度を上げてみましょう。

    両手で袋を開け、右手を離してポテチを取るということができます。

    普通に持ってもいいのですが、この時に、袋をうごかざすにポテチを取り出すにはどうすればいいでしょうか。右手を離すので右手の袋の端を固定する必要がありますよね。

    ではここで助手を呼びましょう笑

    あなたが助手と一緒にポテチの袋を開けて右手でポテチを取るとします。

    まず、両手で袋を開けますよね?
    このとき、どちらの手の端を助手に持たせますか?

    右手ですよね。


    なぜなら、左手で持っていても、結局は右手で中身を取るからです。


    手術もまったく同じで、「開いた後、右手で奥を操作する」という行動が前提になります。


    だからこそ、右手側を助手に任せれば、自分は左手で手前を持ちつつ、視野を保ったまま右手で自在に動けるのです。

    ミリ単位の配慮が、術者の未来をつくる

    こうした細やかな展開の工夫は、術者としての信頼を積み上げる土台となります。


    助手に「この人の視野は崩れないな」と思ってもらえたらしめたもの。

    「先生の展開綺麗ですよね」と言われたら、もう勝ちです。

    たった一つの意識が、手術の質を左右することもあります。


    だからこそ、両手で展開し、右手を助手に預ける。この原理原則を、明日からでもぜひ実践してみてください。

    まとめ

    手術の展開で迷ったときは、まずポテチの袋を思い出してください。
    両手で開いて、右手を助手に渡す。それだけで視野は安定し、動線はシンプルになります。
    展開がうまくいけば、術者の動きもスムーズに、術野も美しく保たれます。

    助手とのコンビネーションが決まる瞬間――それは、小さな工夫の積み重ねから。
    次の手術からぜひ、「その手、右手でお願いします」と心で唱えてみてください。

    更新情報はX(https://x.com/gossogyner)でお知らせ予定です。フォローしてお待ちください!


    問題

    手術中の展開操作において、「右手を助手に渡す」ことの主な利点はどれか?

    A. 視野を助手にまかせきれるから
    B. 左手でより繊細な操作ができるから
    C.術野が崩れることなく術者が右手で奥を操作しやすくなるから
    D. 助手が操作の主導権を持つことになるから

    解答:C
    解説:術者は通常、右手で奥を操作する。そのため、右手の持ち位置を助手に預けることで視野が崩れず、術者の操作性も保たれる。左手を渡すと、持ち替えなどで視野が不安定になるリスクがある。

  • 【外科の術野展開】三角形を作るには・・・手が足りない?いや、子宮があるじゃないか!術野展開の原理と工夫!!

    【外科の術野展開】三角形を作るには・・・手が足りない?いや、子宮があるじゃないか!術野展開の原理と工夫!!

    手術中、「あと一本、手があればなあ…」と嘆いたことはありませんか?

    とくに婦人科の腹腔鏡手術では、その嘆きがデフォルトです。でも実は、そこにこそ“職人技”が光るのです。

    この記事でわかること
    ・外科における「三角形」の基本構造
    ・婦人科手術における手数の違いとその意味
    ・“子宮の押し上げ”がなぜ重要なのか


    外科の術野展開では「三角形」が基本形

    一般外科では、腹腔鏡手術の展開において「三角形を作る」ことが鉄則です。「面を作る」と言われることもあります。


    これは、助手の固定が2点を取りで構造物を安定させる。術者が操作することで、テンションを処理したい組織にかける。
    テンションを幅広く適切にかけることができ、物理的にも安定性が高く、手術視野を保ちやすい。

    そのために、ポートは5つが標準装備。術者が2本、助手が2本の鉗子を持ち、加えてカメラのポートがあります。

    面と線、処理範囲が大きく違う

    面を作れると、下のような大きな三角形の範囲にテンションをかけることができます。

    そのため持ち替えが少なく、場を安定させたまま広く処理ができます。

    一方で、2点の線の展開だと幅がなく、持ち替えがかなり多くなります。

    なるべく、面を作るように展開ができると視野展開が綺麗に安定し、手術が綺麗にできるのです。

    婦人科?基本は「4ポート」

    婦人科の腹腔鏡手術はというと、基本は4ポートですよね。
    術者が両手で2本の鉗子を持ち、助手はカメラともう1本の鉗子。
    つまり、助手は原則「1本しか」鉗子を持てません。

    つまり、「2点保持」が原理的に難しい。
    外科的には禁断の「二角形」…安定性に欠けます。

    ここで多くの術者が呟くのです。「もっと、子宮をうまいこともってくれ…!」

    その一手、「子宮の操作」を侮るな

    実はこの子宮操作こそ、婦人科における影のMVP。
    たとえば、骨盤内で子宮を押し上げるだけで、視野は劇的に改善します。
    腹腔鏡の世界では、視野の確保が手術そのもの。

    子宮操作ができるだけで、靭帯の切離、血管の処理、尿管剥離まで、すべてが滑らかになります。

    面で展開できると、処理範囲が広く取れるので持ち替えが劇的に少なくなります。

    私の知人の若手医師も、最初は「視野が取れない」と苦戦していました。

    ところがある日、ベテランの指導医に「マニピュレーターの押し上げが足りない」と一言アドバイスされ、次の手術では劇的に安定。助手の手がもう1本生えたようだと感動していました。

    子宮は固定臓器

    外科と比較しましたが、外科は腸間膜の脂肪同士の剥離など、可動性がよく柔らかい組織を相手にします。

    一方で産婦人科は骨盤内臓器なので可動性が悪い。よく言えば固定がされている。

    つまり、固定されている部分を一つの手として考えることができます。

    ※左上の助手が子宮に変わっています。

    練習問題

    術中常に、どの面で展開ができているか考えながら手術を行うと確実に上達します。
    たとえば以下の左広間膜腔の展開の場面だとどうなりますか?

    答えはこうなります。

    助手の手はもはや消えました。

    骨盤と子宮マニュピレーションで広間膜後葉という面ができ、執刀医の左手が前葉を持ち上げることで、綺麗な三角形ができているのがわかります。

    本当に子宮のマニュピレーションは大事ですよね。


    まとめ

    婦人科手術では、ポートの数が少なく、「三角形」を作るには工夫が必要です。その中で「子宮の操作」は、視野確保と展開を助ける非常に有効な戦術です。

    子宮マニピュレーターを駆使することで、助手の手が一つ増えたような効果が得られます。

    このような工夫と解説を今後もブログで紹介していきますので、X(https://x.com/gossogyne)での更新もチェックしてみてくださいね!


    問題

    婦人科腹腔鏡手術で「子宮の操作」が重要とされる理由として最も適切なものはどれか?

    A. 子宮が硬くて動かないから
    B. マニピュレーターを使うと手術が自動化されるから
    C. ポート数が少なく、助手の鉗子が1本しか使えないため
    D. 子宮の押し下げによって視野が悪くなるから

    解答:C
    解説:婦人科の腹腔鏡手術では、基本的に4ポートで助手が持てる鉗子が1本のみ。視野の安定性に欠けるため、子宮を押し上げることで補助的な「もう一本の手」として活用される。これは視野確保と術野の展開において極めて重要である。

  • 【手術の本質】”手術のうまさ”は解像度だった。

    【手術の本質】”手術のうまさ”は解像度だった。

    早速ですがこの場面を見てどこまで細かく見ることができますか?

    「ん?なんかこの先生と手術の話があわないなぁ。なんでだろう?」そんな疑問。

    「お腹の中ってすごー、これなんだろー」初めて内視鏡モニターをのぞいた学生あるある。

    実はこれらは同じ1つの本質によって説明ができます

    この記事を読めば、手術上達の本質を理解でき頭がスッキリ、今後の上達に役立つこと間違いなしです。

    最近手術をしながら、指導をしながらやっと辿り着いた本質です。

    そんな本質を今大流行りの京都観光を例にわかりやすく説明していきます。

    京都を「とりあえず京都」と思っていた観光初心者が、金閣・清水を巡り、ついには錦市場で「あの鯖寿司が推し!」と言えるようになるのと同じことが、手術室でもおこります。

    最後では“解像度アップ術”を一緒に探検します。旅気分でどうぞ!

    1. 手術うまさは解像度だ

    まず、手術のうまさは解像度だという話をします。

    腹腔を初めて開けたとき、景色は一枚の謎ポスターのようなものです。

    急に知らない土地に放り出されたような絶望感。

    ところが達人には同じ術野でも、毛細血管の一本一本がありありと並び、脂肪の丘が見えない道を示すコンパスに見える…。

    同じ画面なのに、なぜ“見え方”が違うのでしょう?

    それは脳での認識の違いです。

    同じ視野を見ても、荒い解像度でとらえる段階の脳も、もっと細かい解像度で見ることができる脳もあります。つまり、初学者と上達医との脳の認識の違いです。

    解像度が高いと、何が起こるでしょうか。

    結論、うまくなります。

    この間、上司から言われた言葉です。

    「昔のATは、どれだけ早く子宮を取れるが味噌だった。出血させながらでも、よく見えない中でもどれだけ早く取るか。早さで出血量を減らす。手クーパー、千切れくとみーだったよ笑。それが今は安全だよね。血管一本一本が見えて処理できる。そりゃ手術も上手くなるよね。」

    手術は荒くいうと、剥がしてちぎって切って焼いて縫うぐらいしかすることがありません。

    ただ、細かさが違うと操作が変わり、安全性も段違いです。

    疎な結合組織を毛細血管を破綻させないようにちぎり(鈍的剥離)、毛細血管一本一本を焼いて切る(凝固切開)。腟断端を粘膜組織、筋層、筋膜の層がずれないように縫う。

    こんなことをしている医師がいたら”うまい”となりますよね。

    つまり 上達=解像度の高まり。こう言えそうです。

    2. 解像度を高めるとは

    解像度を高めるにはどうするかという話をします。たとえば京都観光。

    京都に初めて来たとき、多くの人は「とりあえず京都に来た!」くらいの感覚かもしれません。

    だけど、金閣寺に清水寺、祇園の花見小路、錦市場のにぎわい……何度も訪れるうちに、地名も方角も自然と身体に染み込んでくる。

    やがて「あの漬物屋さんの向かいにあるお茶屋の抹茶が絶品」なんて、細部までわかるようになるのです。

    実は、手術の視野認識もまったく同じ構造をたどります。

    最初は“お腹の中”という大ざっぱなイメージしか持てなかったとしても、経験と知識を重ねることで、子宮動脈上行枝、尿管下腹神経筋膜、果ては毛細血管の拍動までがくっきりと浮かび上がってきます。

    初めの画像を熟達度別に見るとおそらくこんな感じです。

    もっと、もっと細かく認識している先生もたくさんいると思います。

    そう、「解像度を高める」とは認識をより具体的に細くしていく旅なのです。では、どうすればその“高画質”な視野を手に入れられるのでしょうか?3つのステップでご案内します。

    3.手術の解像度を上げる3つのステップ

    知識を入れる:まずはうす〜い観光ブックを読め

    解像度は脳の認識に依存しています。

    解剖書、術式動画、論文はまさに、未来を照らす地図です。

    例えば京都に行くとして、“漫然観光”の場合は時間がかかります。

    今日京都観光するとして、お寺の配置だったり歴史がわかっていると感じる情報量も桁違いですよね。

    ただ、知識を入れる時に気をつけないといけないのは、分厚い資料を読まないこと。まずは、薄いわかりやすーい本から読み始めてください。

    初めから論文ベースで知識を入れようとすると潰れます。続きません。スモールステップが最強です。

    ある意味このブログも旅行ブログと同じといえますね。このブログで物足りなくなってから、論文ベースでもいいと思います。

    経験を積む:そうだ、京都にいこう

    観光ブックを眺めるだけで京都を語れますか?

    語れたとしてもしれはきっと薄い内容で、実感を伴うようなものではありません。

    さらにいうと、一度行っただけで京都を語れますか?
    有名な観光地はわかるかもしれませんが、きっと路地の匂いは分かりません。

    手術も同じです。何度も経験することでしかわからな聞いことがある。

    症例数は解像度向上の原油なのです。結局経験しないと、熟達者になれません。

    料理本しか読んでいない人が、プロ並みの料理を作れるはずがありませんよね。

    経験数がものを言う。これは残酷な真実です。

    言語化する:土産話をするように語れ

    見た聞いただけでは記憶はすぐに霧散します。

    経験の記憶も同様で、すぐに忘れてしまいます。そのため、終わればその時の難しかったところを他の人に話してみましょう。

    自由に話すだけで記憶には残ります。一度思い返すので。

    さらに上達につながるコツは、言語化をしっかりすること。解像度をなるべく高くしましょう。

    ❌今日のオペやばかったですねぇ。
    ⭕️今日のオペ、膀胱剥離が難しかったですね。なんでだと思いますか。
    ⭐️膀胱剥離時に、外膜と筋膜の癒合が強くてなかなか層が見つからなかったですね。

    言葉にした瞬間、脳内マップは保存されます。

    4. 超具体的な練習法

    • ズームイン法:手術動画を適当に停止。どんどんと解像度を高めていく。お腹の中→子宮→頚管→頸部筋膜
    • ネーミング:手術中に全ての組織に名札を付けていく。これは子宮の底部の円靱帯など
    • 色鉛筆マッピング:血管を赤、膜を青で手描きトレース。手と一緒に脳が活性化できるのでかなり認知が深まります。
    • 高解像度の会話:同僚と話す時にあえて細かい単語を使う。頸部筋膜の処理って・・

    まとめ

    • 手術の上達は術野認識の解像度の高まりと言える
    • 視野認識の解像度は、経験(現地歩き)+知識(旅行ブック)+言語化(土産話)で跳ね上がる。
    • 解像度が上がると、操作も細かくなる。つまり熟達者となる。

    次のオペでは「今日は尿管下腹神経筋膜を呼べるか」をミッションに!

    この記事が手術観光のコンパスになれば幸いです。更新情報はX(@sogogyne)で発信予定。フォローして、次の観光地——いえ、このブログでお会いしましょう!

    【問題】

    手術の「視野認識の解像度」を高める方法について、本文の説明として正しいものはどれか

    A. 解像度は経験の積み重ねだけで自然に向上するため、意識的な訓練は不要である。
    B. 術野の細部を捉える力は、手術用語の暗記とは無関係である。
    C. 解像度向上のためには、経験、知識、言語化の3つをバランスよく行うことが重要である。
    D. 細かい部分に注目することは初学者には不要であり、熟練者にしか意味がない。


    【正解】

    C. 解像度向上のためには、経験、知識、言語化の3つをバランスよく行うことが重要である。


    【解説】

    本文では、視野認識の解像度を上げるための3つのステップとして「経験を積む」「知識を入れる」「言語化する」が提示されており、それぞれが相互補完的な役割を持つと説明されています(例:京都を巡る旅になぞらえた観点)。AとBはその意図に反する内容であり、Dについてもむしろ初学者こそ意識しておくと視野を動的に理解する助けになります。従って、Cが最も適切な選択肢です。

  • 内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    「内視鏡認定医ビデオって、どうやって評価されるの?」
    「いい感じのビデオ撮れたけど、なんだか点数が伸びない・・・」

    こんな疑問を抱える方、意外と多いのではないでしょうか。

    今回は、内視鏡認定医のビデオ作成を攻略するための根本の根本のポイントを解説します。

    「なんとなく操作を撮影するだけ」で終わらせるのはもったいない!正しい見せ方とアピール方法を押さえれば、採点基準に沿った高評価が狙えます。

    この記事を読めば、安全性と主体性を最大限アピールし、採点者の心を掴む動画作りの基本が身に付くはずです。

    これから提出する人はもちろん、指導予定の方も大きく関係してきます。見逃しなく!

    1. 内視鏡認定医ビデオの考え方 ~OSCEと同じ「見せる試験」~

    内視鏡認定医ビデオは、医学生が受けるOSCE(客観的臨床能力試験)やBLS(一次救命処置)と似た形式です。ただ技術を披露するのではなく、安全性と主体性をいかに「見せる」かが重要なポイント

    例えば、OSCEの救命では「周囲の安全を確認し、心肺蘇生を開始します!」と声を出しますよね。

    私は、ど緊張していて噛んでしまい、演者に笑われるという恥ずかしい思い出となっています笑

    実際の現場で言いますか?コードブルーで走って到着したのちに宣言している人いますか?

    これはただ、安全確保をゆうせんしてますよ〜というアピールにすぎません。

    これと同じことが、内視鏡手術認定医ではビデオ内で求められます。

    • 安全性を示す: 例えば、「尿管の位置を確認して進めています」と鉗子で尿管をさし示す。
    • 主体性を示す 「助手に展開を指示」して、自分が手術の主導権を握っていることを示す。

    それではもうアピールの仕方を少し詳しく見ていきましょう。

    2. 安全性をアピールするための具体策

    安全性は、採点基準で最も重視される要素の一つ。

    尿管の位置も確認せず、出血は放置し、カメラは汚れている状態での手術なんて怖くて見れないですよね。具体的には、以下の点に気をつけましょう。

    視野の確保

      • カメラは常に綺麗に。曇りや汚れがないか頻繁に確認。
      • 手術中、視野が狭くなったらすぐに修正。
      • 処理したい組織が展開により見えているか確認。

      他臓器損傷を防ぐ工夫

        • 優しい鉗子(例: 腸鉗子)を選び、組織を傷つけない操作を心がける。
        • 剥離範囲を必要最低限に抑える。広げすぎるとリスクが増えるので注意。

        出血の管理

          • 小さな子宮の擦過傷であれば焼いて血が垂れないようにする。
          • 血管出血が起きたら焦らず対応。「止血のため尿管位置を確認して進めます」と助手に声を出し、冷静さと慎重さをアピール。
          • 吸引やガーゼで血を除去しなながらまずは尿管走行をカメラで映す。安全なマージンがあれば止血する
          • 止血作業が終われば数秒は確認のためにカメラを動かさない。

          3. 主体性を強調するための工夫

          主体性もかなり言われています。前立ちが展開をほとんど行い、”ここ掘れわんわん状態”ではダメだよねというものです。

          認定医というだけあって、例えば新しい赴任先でも腹腔鏡を安全にできるように自分で考え、自分で展開し、自分で処理できる力が必要だということですね。

          主体性を示すには、器具で「自分が操作を指示している」ことを見せるのがポイントです。

          • 助手の待機時間をあえて作る
            助手から動くことを禁止します。自分が展開した組織を助手に保持させ、「次はこの方向に引っ張ってください」と具体的な指示を出す。ここは手術前に話し合っておきましょう。
          • 積極的な計画立案
            操作を始める前に「この範囲を剥離します」と声を出し、助手に対して計画を明確に示す。
            こうすることで自分が主導権を握ることができる。

          助手の先生が上級医の場合はなかなかコントロールが難しいこともあると思います。この時は、話し合いでこう言ってください。

          「認定医って主体性が結構の配点に入ったって聞きましたけどどうでしたっけ?」
          「主体性をビデオで見せるにはどうすればいいんでしょうか?」

          基本はアドバイスシーキング、つまりアドバイスを求める体でいいように誘導してみてください。

          ビデオ外の手術室でも主体性を見せることで、ビデオにそれが移り、採点者に「この医師は手術全体をしっかり把握している」という印象を与えられますよ。

          まとめ

          内視鏡認定医ビデオで高評価を得るには、安全性と主体性をいかに見せるかが鍵です。そのためには、以下の3つのポイントを押さえましょう。

          1. 安全性を強調する操作を意識
          2. 主体性を示す計画と指示を実践
          3. 細かな行動まで声に出して助手と意思疎通を行っておく

          ぜひ、今回の記事を参考にビデオをブラッシュアップしてみてください!次からは「選択すべきアプローチ」「各工程の注意点」をテーマに解説しますのでお楽しみに。

          この記事を通じて、皆さんが内視鏡認定医への道をさらにスムーズに進めることを願っています。更新情報はX(Twitter)でお知らせしますので、フォローをよろしくお願いします!

        1. 「ググっても出てこない」ロボット手術、ラパロとの術野展開の違い本質3選

          「ググっても出てこない」ロボット手術、ラパロとの術野展開の違い本質3選

          「ロボット手術の術野展開って、難しくないですか?」

          この質問、よく耳にします。多くの方が抱える共通の悩みみたいです。

          今回は、ロボット手術特有の課題を解き明かしましょう。ラパロとの違いを軸に、術野展開の本質に迫ります。これまで曖昧だったポイントがクリアになり、ロボット手術の真価をより深く実感できるはず。

          個人の経験に基づく、考察になります。おそらく他にないはず。

          ロボット手術が急速に普及する中、理解を深めることは未来への一歩です。「ちょっと気になる」その部分だけでも構いません。一緒に考えてみませんか?

          ロボット手術と腹腔鏡手術の展開違いの本質3選

          ロボット手術は、ぶれない3D視野と手首のように動くアームが大きな特徴になってきます。これらの特徴から次も三つの違いが出てきます。

          1:展開の自由度が高い
          2:組織テンションの向き
          3:鉗子の入れ替えが困難

          ちょっと小難しい話っぽいですか?

          大丈夫です!このブログではなるべく簡単にわかりやすくをモットーにしています。

          それぞれひとつづつ見ていきましょ〜

          1. 展開の自由度が高い

          「あー角度がとれない」

          ラパロ手術中に聞いたことありませんか?

          特に巨大子宮筋腫などで展開が難しい症例でよくあります。「角度が取れない」というのは処理したい組織に適した角度を取れないという意味です

          基本的には組織に対して垂直に角度を取る必要があります。これをロボット手術は簡単にクリアすることができます。

          腹腔鏡手術:直線勝負の世界

          腹腔鏡手術の鉗子は、例えるなら「レーザービーム」のようなもの。真っ直ぐな動きしかできません。

          そのため、ポートの位置と処理する場所に応じて、「角度」が決まってしまいます。
          (一回ロボット学会で発表したスライドの一部です。)

          この制約をクリアするためには、展開によってピッタリの角度を取る必要があります。

          まるでパズルを解くような作業になり、ひとつひとつ場を作る必要があります。

          例えば左の上行枝の処理の時を考えてみましょう。マニュピレーターで右に大きく子宮を振り、円靱帯で直線化し捻れや角度を調整してバイポーラーが垂直に入る角度を展開します。

          ロボット手術:手首のしなやかさがカギ

          一方、ロボット手術は鉗子に「手首」がついている感覚。リストのように動くおかげで、処理に最適な角度を自由自在に取れます。そのため

          1. 見やすさを優先した展開が可能。
          2. 展開がちょっと甘くても問題なし。
          3. ただしアームの干渉を気をつける必要あり

          画像は左の上行枝を処理している場面。見えてさえいれば基本処理することができます。

          要は、ロボット手術は「職人の手のひら」を装備しているようなものなのです。

          2. 組織にかけるテンションの向き

          展開時にどちらに引っ張るかは目的によって異なります。

          腹腔鏡ではどれだけ右手の鉗子を処理したい組織に垂直に入れれるかが大切になります。つまり右手の位置によって取るべき組織の展開が決まってきます。

          手首のように動く鉗子によって、ロボット手術では展開の目的は見えやすさを優先できるが、アームの位置を考慮することになると先ほどお伝えしました。

          腹腔鏡手術:右手と垂直が命

          腹腔鏡手術では、右手の鉗子に対して組織を垂直にテンションをかける必要があります。ほとんどの場合、手前側に引っ張る作業が主流となります。広間膜③より抜粋

          組織が右手に対して垂直になるように左手を手前に強く引っ張っています。

          腹腔鏡では「右手の鉗子のための展開」となっているのです

          ロボット手術:みやすさとアーム同士干渉を優先

          ロボット手術では組織のテンションの方向よりも、見やすさとアーム同士がぶつからないことが最優先事項となります。

          どういうことかと言うと、

          3rdアームを「外側に」配置しスペースを確保します。
          ②手首の向きも基本的には外側にアームがくるように曲げます。(手首を内側にまげる)

          内側に幅広い展開可能となり、小さな展開を1.2番アームですることで手術を進めていきます。

          子宮の腹側を処理する時は、3rdアームの手首を腹側に向けてアームが背側に行くようにします。(そうすることで腹側側(図の赤丸)に空間ができる。)

          その後の処理ですが、1st,2ndアームで小さな展開を繰り返し、大きく展開を変えずに処理で来ています。

          3rdアームで大きな展開を取り、その後2本のアームで小さく処理していくイメージです。

          3. 鉗子の入れ替え問題

          腹腔鏡手術:鉗子はお好みで

          腹腔鏡手術では、多種多様な鉗子を使用可能ですよね。

          バイポーラー、メリーランド、腸鉗子、ハーモニックなどなど一つのポートでさまざまな鉗子を出し入れすることが可能です。

          そして、左手を展開専用に使うことが可能です。

          左手で組織を固定し、右手でバイポーラーで凝固してからハーモニックで切開といったアクロバティックな作業も簡単にできます。言うなれば、「道具のフルコース」を楽しめる状態です。

          子宮傍組織の処理②の右上行枝処理しているところですが、バイポーラーで凝固したのち、ハーモニックで切開しています。展開も全く変わっていません。

          https://sogogyne.online/%e5%ad%90%e5%ae%ae%e5%82%8d%e7%b5%84%e7%b9%94%e2%91%a1%e3%80%80%e3%82%82%e3%81%86%e5%87%ba%e8%a1%80%e3%81%97%e3%81%aa%e3%81%84%e3%80%81%e5%ad%90%e5%ae%ae%e5%82%8d%e7%b5%84%e7%b9%94%e5%85%a5%e9%96%80/

          ロボット手術:道具はシンプルに 3rdアームに命をかける

          ところが、ロボット手術ではコストや労力の観点から鉗子の頻繁な入れ替えが難しいのが現実。

          そのため、基本装備だと左手バイポーラー、右手モノポーラーといった状態で円滑に手術を行う必要があります。

          ここで鍵を握るのが3rdアーム。この1本で展開をしっかり固定する技術が必須となるのです。


          まとめと問題

          腹腔鏡手術での展開は「各工程で明確に決まっている」、なぜなら処理できる角度が決まっているため展開を右手に合うように調整する必要がある。

          ロボット手術はより自由度の高い展開が可能。なれれば効率性が一段上という印象です。ただし、3rdアームによる展開が全てと言っていいほど大切。

          手術の進化に驚きつつ、知恵と技術に改めて感謝ですね!

          また更新頻度を高めようかなと思っています。Xで通知しますのでよければフォローをお願いします。

          問題: ロボット手術と腹腔鏡手術の展開の違いについて、以下の記述のうち正しいものはどれですか?

          1. ロボット手術では、鉗子の入れ替えが非常に簡単で、複数の鉗子を使用することができる。
          2. 腹腔鏡手術では、鉗子の動きは直線的であり、展開には常に一定の角度が必要になる。
          3. ロボット手術では、鉗子の手首部分がないため、組織のテンションの方向に制限がある。
          4. ロボット手術では、展開の自由度が低いため、すべての角度を調整しやすいわけではない。
          5. 腹腔鏡手術では、3rdアームを使って展開の自由度を高めることが可能である。

          解答と解説:

          • 選択肢1:誤り。ロボット手術では鉗子の頻繁な入れ替えが困難であり、基本的には3rdアームで展開を固定しながら手術を行う必要があります。
          • 選択肢2:正しい。腹腔鏡手術では、鉗子が直線的にしか動かせないため、角度を調整するために展開を工夫する必要があります。
          • 選択肢3:誤り。ロボット手術では鉗子に「手首」のように動く部分があるため、組織のテンションの方向に自由に対応できるという特徴があります。
          • 選択肢4:誤り。ロボット手術は展開の自由度が高く、適切な角度を簡単に取ることができるため、効率的な手術が可能です。
          • 選択肢5:誤り。腹腔鏡手術には3rdアームがないため、鉗子の入れ替えを工夫して展開を進める必要があります。

          正解:選択肢2

        2. 術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          今回は、術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則について解説していきます。

          まず、術野展開について述べる前に、手術で絶対に欠かしてはダメなこと

          それは、愚直に安全に手術を終了することです。

          そんなの当たり前だと思いますよね。では、毎回毎回ちゃんとめんどくさがらずにできてますか?
          一度失敗して、修正しても少し経ったらまた同じ失敗を繰り返す。そんなこと起きてませんか?

          術野展開は手術の安全性を担保するための一番大切な要素です。
          前立ちが変わると手術がうまくいかなくなったりしませんか?それを前立ちのせいにしていませんか?

          術野展開も含めて全て自分の責任です。その術野展開を理解するには根本であるたった2つの原理原則がわかれば大丈夫です。

          対象としては初心者〜中級者がメインですが、上級者でもこの二つに場合分けできている人は少ないでしょう。必見です。では早速いきましょう。

          術野展開で気をつけるべきたった2つの原理原則

          術野展開で求められている目標はたった二つに絞ることができます。

          ①見たい組織を見れるようにする
          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          細かく見ていきましょう

          ①見たい組織を見れるようにする

          視野の展開なのでこちらはすごく理解が簡単だと思います。

          例えば、腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理をする場面になったとします。

          この時、ザクロは子宮の頸部後面についているので
          子宮を上げる→腸をどけることで見ることが可能になります。

          Screenshot

          あたりまえ体操ぐらいあたりまえですね。

          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          ①の見れるようにするというのは簡単でしたが、②の処理したい組織を処理できるようにするというのは少し難しいです。

          観察するだけなら、目の前のものをどけるだけで良かったです。
          しかし、ここに”処理をする”ための展開となると難しくなります。つまり、処理ができる空間、角度とテンションを取る必要が出てきます。

          特に、腹腔鏡での手術ではポートの位置が決まっており、また鉗子も真っ直ぐなので組織を動かして処理できる角度を作らないといけません

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)での仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において仙骨子宮靱帯(ザクロ)の処理をする時を考えてみましょう。

          観察するだけなら、子宮をあげて腸をどけるだけで良かったです。
          しかし、ここに”処理をする”ための展開となると難しくなります。つまり、把持ができる角度とテンションを取る必要が出てきます。

          ザクロの処理では、前屈(アンテ)させたマニュピレーターの角で引っ掛けてテンションをかけた上で、鉗子が掴みやすい角度になるように動かす必要があります。

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)での広間膜腹膜の切開

          腹腔鏡下腟式子宮全摘術(TLH)において広間膜腹膜前葉の切開をする時を考えてみましょう。

          観察するだけなら特に何もしなくて良いです。まぁヘッドダウンして腸をどかしたり、後屈の子宮を真っ直ぐにする必要はあるかもしれません。

          実際切開するには子宮を押し込み、腹膜を程よくいい場所に持ち上げる必要があります。これは、処理するためには角度とテンションが必要だからです。

          例えば、TLHにおいて腹膜を切開する時に腹膜は右手の鉗子と垂直に当たるように上に引っ引っ張ります。例えば、変に奥に引っ張ると切開する角度が取れません。

          そして引っ張り具合としては、細い血管が切れないぐらいのテンションでぐっと引っ張ります。テンションをかけないと綺麗に切開できません。

          よくあるミスや注意点

          よくあるミスや注意点として、

          見えているが、処理できる展開ではない

          ということがよくあります。引っ張る向きが悪かったり、引っ張り方が甘かったりします。

          ・見えているのにうまくいかない時
          処理できる展開を目指して、鉗子の方向を確認して処理しやすい方向考えて展開してみましょう!

          ・チェックポイント
          そもそも子宮の向きは合っているか
          子宮は捻れていないか
          いつもと違う場所に腫瘍がないか
          ポート配置的に手が入らない位置ではないか
          力はしっかりとかかっているか

          ここら辺を見てみましょう。

          まとめ

          今回は視野展開の原理原則二つに絞って解説しました。

          ①見たい組織を見れるようにする
          ②処理したいしたい組織を処理できるようにする

          聞いてみればあたりまえですが、この二つを認識して手術している人は少ないと思います。

          次からは、腹腔鏡手術(TLH)とロボット支援下手術(RASH)における展開の違いについて解説していきます。

          更新の通知はXにて行います(X)。ではまた!

          練習問題

          問題: 術野展開において、次のうち正しいものはどれですか?

          1. 観察するだけの場合、組織の処理を意識する必要はない。
          2. 腹腔鏡下手術では、ポートの位置に関係なく、どの角度でも処理が可能である。
          3. 見えている組織があるならば、そのまま処理に進んでも問題ない。
          4. 組織を処理するためには、適切な角度とテンションを確保する必要がある。

          正解: 4. 組織を処理するためには、適切な角度とテンションを確保する必要がある。

          解説: 観察だけではなく、実際に組織を処理するためには、角度とテンションを適切に調整する必要があります。腹腔鏡下手術では特にポートの位置が固定されており、適切な処理角度を作ることが重要です。他の選択肢は、観察と処理の違いを理解していないか、誤った手術手技を示しています。