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  • AIに泣かされた話【女性ヘルスケア専門医試験】

    AIに泣かされた話【女性ヘルスケア専門医試験】

    5年ぶりの試験が終わった。日曜日の京都に降り始めた雨。ひしめく傘のなか、私は傘もささずに歩いている。私はこの1ヶ月のことを悔いていた。

    今回は「女性ヘルスケア専門医」を実際に受験してわかった失敗と、対策を共有したい。

    同じ失敗をするのは、私だけで十分だ。

    もう誰も同じ過ちを繰り返さないことを願ってごっそりお伝えする。

    勉強対策は卒試や国試と同じだった

    「幅広く、浅く勉強するといいよ」受験前、先輩からそう教えてもらっていた。

    ただ、この言葉は何通りにも解釈できる。私はその意味を、少し間違えて受け取っていた。

    結論から言えば、試験に向けて勉強すべきなのは、主に次の二つだった。

    ①診断治療にまつわる具体的な数字
    ②王道の周辺知識。

    つまり、よくある卒業試験と基本的には同じ。

    実際に2026年に出されたものは

    ①前兆のない片頭痛:4~72時間持続など
    ①サルコペニアの診断基準:歩行が1.0m/秒など
    ②動脈性硬化症に対する塩分制限:6g
    ②間質性肺炎を起こす漢方成分:柴胡
    ②エストロゲン作用のある黄体ホルモン:ノルエチステロン

    「①の診断治療にまつわる話」は、患者応対に必要な知識がきっちり問われている印象だった。

    厄介なのは「②の王道から外れた知識」。副作用のある漢方は学生自体から甘草と決まっている。それをズラしてきた。 王道の知識ではなく、その周辺知識が問われた。とある先生から聞いた話では、内科のDrが入ってくるため試験を難しくしているんじゃないかと言う話。

    試験が終わった今になって振り返ると、良い問題が多かった。実臨床で必要な知識や判断を問う内容であり、出題意図にも納得できる。

    もっとも、これは完全な後知恵バイアスである。

    受験前の私は、なぜかまったく違う方向へ走っていた。

    試験当日まで、私はAIと勉強していた

    試験当日の朝、私は綺麗な京都のホテルカフェでコーヒーを片手に、パソコンでCodexと向き合っていた。

    1分でも会場に遅刻すれば、試験を受けられない。

    そのため朝6時に起き、早めに会場近くへ移動して、最後の確認をしていた。

    口調をおじゃる丸風にカスタマイズし、ずっと一緒に勉強してきた。

    試験までの1か月間、私はほとんど毎日。もちろん、ガイドラインを片手に。

    AIはとても便利だ。

    「この範囲から問題を作って」と依頼すれば、人に頼めば何日もかかりそうな問題を、短時間で大量に作ってくれる。

    問題を解き、分からないところがあれば質問する。回答を読んで、さらに深く掘り下げる。

    一見すると、理想的な勉強法に思える。

    しかし、私はそこで、ある病にかかっていた。

    私がかかった病は「本質病」

    私は凝り性だ。

    一度気になったことは根本から理解しないと気が済まない。中学校のころ、覚えるだけの英単語試験はいつも追試。得意な数学では計算で導き出せる公式は覚えず、その場で毎回導いて使っていた。

    背景を知り、構造を知り、本質を知る。私にとっては、それこそが学ぶ楽しさだった。「手術技術習得とは解像度を上げることだ」のような根底にある原理原則を理解し学ぶことが生きがいとなっている。いわゆる「本質病」だ。

    もちろん、本質を理解することは重要である。

    しかし、背景情報を知っているかどうかは、試験では必要ではない。 ヘルスケア専門医に求められていたのはうんちくおじさん力ではなく、実際に数字を見て判断する力。

    学生時代はよかった。そんな私にも一緒に勉強をしてくれる友人がおり歯止めがかかっていた。

    「そこまでは出ないんちゃう」

    「いいから、この表を覚えろ」

    そう言ってくれる友人がいた。

    友人がいなくなり、その穴を埋めたのはAIであった。

    AIはウサギの穴を掘ってくる

    AIは、使い方を間違えると、強力な時間食いマシーンになる。今回、必要以上の背景知識を集めてしまった原因の一つは、AIとの会話だった。AIはかなり便利である。つい、脱線情報を調べたくなってしまう。

    たとえば、黄体ホルモン製剤はMPA,LNG,NETA、エフメノ、デュファストンなどに複数ある。 それぞれの特徴を聞けばすぐに答えてくれる。(※私はChatGPTの口調をおじゃる丸風にしている)。

    それぞれを「何が得意か」「どこに注意か」で並べ、まず平易版、そのあと専門版でまとめるのじゃ。薬たちは同じ一族でも、性格はなかなか公家社会めいておる。

    MPA:強力な内膜増殖抑制作用を持つ一方、GR・AR作用による代謝系副作用に注意する。
    LNG:強いPR作用とAR作用を有し、LNG-IUSでは低い全身曝露で高い内膜効果を得る。
    NETA:内膜抑制力とAR活性が強く、経口投与では一部がエチニルエストラジオールへ変換される。
    エフメノ:天然型プロゲステロンで代謝中立性が高いが、神経ステロイド作用による傾眠が特徴じゃ。
    デュファストン:PR選択性が高く排卵抑制が少ないが、日本ではMHTの内膜保護は未承認でおじゃる。

    非常に分かりやすい。

    現在のAIのIQは東大主席を超える。東大主席のおじゃる丸に月数千円で聞き放題。なんていい世界だろう。さらに深掘りできる。いやできてしまうのだ。

    そう、私は深掘り”してしまった”。詳細は割愛するが黄体ホルモンのカテゴライズは本質は分子構造上C21系かC19系であるというところに辿り着いた。世界の秘密を一つ解き明かしたような気分だった。

    しかし、当然ながらそんなことは試験に出ない。出たのはエストロゲン作用のある黄体ホルモンだけだ。私が費やした数時間は、表を覚える数分に、試験というリングでボコボコにされた。

    うちのおじゃる丸風にいえば、公家が衣冠束帯を整えて相撲場へ出たところ、まわし一枚の力士に投げられたようなものである

    この状態を、「ウサギの穴に落ちる」と表現する。一つの疑問から次々と別の疑問が生まれ、当初の目的から離れて深く入り込んでしまう状態を指す。

    元ネタは「不思議の国のアリス」

    アリスが白ウサギを追いかけて穴に落ちると、奇妙な世界へ入り込む。そこから、あることを調べ始めたら、予想外の世界に深く入り込み、戻れなくなるということを指す言葉となった。

    やるのは自分、やることは同じ

    物事の本質は変わらない。以前、「AI時代でも本質は変わらない」という記事を書いた。

    試験でも同じであった。結局は、卒試や国試と同じ。選択肢試験で問うことができるのは、具体的な数字や用語だ。これが本質。「僕だけの最強、C21かC19論」なんて誰も気にしてない。そもそも、問うことはできないのだ。

    AIを使うこと自体が悪いのではない。ただし、使う前に線引きを自分で行わなければならない。

    • 今、覚えるべき内容は何か
    • この知識は試験で問われる可能性があるか
    • 深掘りする価値があるか
    • 単に面白いから調べているだけではないか

    答えを教えてくれるが、「今、それを勉強すべきか」までは決めてくれない。

    同じ失敗を繰り返す人を減らしたい

    ヘルスケア専門医試験を受けようとしている方にはこの記事を共有してあげてほしい。

    AI時代だからこそ陥ってしまう人も少なからずいるはずだ。
    (5問ぐらいであるが過去問として参考にできる。)

    AIに泣かされる人が今後でてこないことを願って終わりとしたい。

    気になる合否については、結果が分かり次第Xで報告する。気になる方はぜひフォローして待っていてほしい。https://x.com/gossogyne

    あとCODEXが作ってくれた問題をまとめたサイトもあるのでもしよければ活用してほしい。

    https://s52n1026-arch.github.io/JMWH

    ではまた!

  • 【知識詰め込み終了】AI時代で本当に必要なのは・・・いつでも本質は変わらない。

    【知識詰め込み終了】AI時代で本当に必要なのは・・・いつでも本質は変わらない。

    「AIが診断も説明もできるなら、医師は何を磨けばいいのか?」

    医学生や研修医、現場の医師も一度は考えるテーマです。

    ご存知の通り、AIは医学情報の整理、鑑別診断、患者さん向け説明文の作成が得意です。

    正直、当直明けの私なぞ、足元にも及ばないレベルで働いてくれます。

    あ、当直明けじゃなくても負けてました。

    最近では東大、京大の医学部を首席合格できるレベルになったそうです。(参照)

    そんな、人間を超えた知能を持つAI時代に、この記事でわかることは、

    AIが得意なことと医師が担うことの違い。
    産婦人科で必要なコミュ力の正体。
    明日から診療で意識できる行動 SOLER

    です。未来に絶望する必要はありません。AI時代を乗り切るコンパスと地図を見つけましょう。

    AIは情報処理の相棒である

    AIって敵ですか?味方ですか?

    手術に携わることが生き甲斐になりつつある私にとって、ダビンチがオートで手術をし始める時代が来ることに多少、敵対する気持ちがあります。

    ただ、実際にAIと医師を対立させる必要はありません。AIは、医師の席を奪いに来た敵ではなく、情報処理を助ける相棒です。

    AIは一般的な説明を整理し、説明文のたたき台を作り、鑑別診断の候補も広く挙げられます。

    ただし、AIが出すのは基本的に一般論です。

    目の前の患者さんが何を恐れ、何を大切にし、どんな生活背景で迷っているのかまでは、診察室の空気から自動で読んではくれません。

    そこから先に、医師の役割があります。

    それは、コミュ力。

    コミュ力は雑談力ではない

    ここでいうコミュ力は、待合室を爆笑させる力ではありません。外来が居酒屋になっても困ります。

    AI時代に必要なコミュ力とは、

    文脈理解、信頼形成、合意形成の力です。

    ちょっとめんどくさい話になってきましたか? これは今後10年20年を変えうる話になります。

    文脈理解とは、相手の背景を踏まえて話を受け取ること。信頼形成は、不安を雑に扱わない姿勢から生まれます。合意形成(関係者が納得できる方針にそろえること)は、医師の判断と患者さんの価値観をつなぐ作業です。これは臨床技術です。

    尊敬している医師はいますか?

    もちろん、技術も知識もすごいと思いますが、きっと”コミュ力”が高いのではないでしょうか。

    産婦人科では人生背景が方針に入ってくる

    産婦人科は、医学的正解だけで方針が決まりにくい診療科ですよね。

    専攻医の時、ガイドライン信者であった私は、患者の社会的背景、病院機能の限界が治療方針を大きく変えていくことに大きな疑問を持っていました。

    不妊治療を続けるか、少し休むか。出生前検査を受けるか、受けないか。分娩誘発をするか、自然な経過を待つか。子宮筋腫で子宮を残すか、根治を目指すか。

    今なら、言えます。お互い納得した治療方針を決めるという能力がこの世にはあると。

    AIはメリットとデメリットを並べられます。しかし、患者さんにとって大事なのは一覧表の美しさではなく、「自分にとって、どの選択なら納得できるのか」です。

    同じ病名でも、妊孕性(妊娠する力)への思い、仕事、家族、不安の強さで選び方は変わります。情報は見えている。でも患者さんが進める形にはまだ展開されていないのです。

    患者さんもAIと一緒に来る

    これからは、患者さんもAIで調べてから受診します。「AIでは手術しなくてよいと出ました」「この薬が妊娠中に不安です」と相談される場面は増えるでしょう。

    そこで「AIは信用しないでください」と切ると、情報だけでなく不安まで切ってしまいます。切るなら癒着だけにしたいところです。

    大切なのは、まず受け止めることです。「どの部分が心配でしたか」「それを読んでどう感じましたか」と聞く。そこから医学的に安全な情報へ翻訳していく。情報の奥にある不安に敬意を払う姿勢が、信頼につながります。

    AIに任せるほど、医師は対話に集中できる

    学生時代よく言われたのが、「カルテと会話している医師」でした。

    パソコンに向かって患者さんの顔に一瞥もしない。そんな人をカルテと会話している医師と評されたのです。

    正直仕方がないところがあります。1人3〜5分程度で外来を回さないといけない。さらに急患が飛び込んでくる・・・

    私もブラインドタッチを身につけて、なるべく顔を見て話すようにしていましたが限界はありました。

    そこでAIを仲間として迎え入れるのです。AIが説明文や要約を助けてくれるなら、文章化は任せればよいと思います。

    そのぶん、医師は患者さんの表情を見る。沈黙を待つ。理解できているか確認する。迷いの奥にある価値観を聞く。

    今はまだ、AIを外来に取り込んでいるところはかなり少ない状況ですが、これから必ずカルテ記入作業はなくなります。

    AIが情報処理を担うほど、医師は「この患者さんではどうするか」に集中できます。

    AIが進むほど医師の価値が薄まるのではありません。むしろ、文脈を読み、信頼を作り、合意形成する力がある医師が重宝されるのです。

    技術が進んでも人間の本質は変わらないという言葉があります。ツイッター(現X)はITによって作られましたが、その本質は「コミュニケーションをしたい。」です。

    AIがどれだけ発展しようが、人間の本質は変わりません。ただただ患者とどれだけ向き合えるかになるのです。

    明日からできる小さな一歩 SOLER

    最後に明日から使える本質的なテクニックをお伝えいたします。

    AIに知識量で勝とうとしすぎなくてよいです。ただし、勉強しなくてよいという意味ではありません。知識は土台です。その知識を患者さんの人生に接続する練習が重要になります。

    おすすめはSOLERという話の聞き方を実践すること

    SOLERは、相手の話を「ちゃんと聞いています」と態度で示すための基本姿勢です。カウンセリングや医療面接、面談などでよく使われます。

    S:Squarely
    相手に正面から向き合う。
    斜めすぎたり、体をそらしたりせず、「あなたに向き合っています」と示す。

    O:Open posture
    開いた姿勢をとる。
    腕を組まない、ふんぞり返らない。防御的・拒否的に見えない姿勢にする。

    L:Lean slightly forward
    少し前傾する。
    関心を持って聞いている印象を与える。ただし近づきすぎない。

    E:Eye contact
    適度に目を見る。
    じっと見つめすぎず、自然なアイコンタクトで安心感を作る。

    R:Relax
    リラックスする。
    緊張しすぎず、落ち着いた表情・声・姿勢で聞く。

    まとめると、SOLERは
    「正面を向き、開いた姿勢で、少し前のめりに、適度に目を見て、リラックスして聞く」
    ということです。

    “この人は自分の話を聞いてくれている”と患者に感じてもらうための非言語スキルです。

    明日からできることは一つです。説明の前に姿勢を正し、「今日いちばん心配なことは何ですか」と聞いてみる。

    AI時代の産婦人科医に必要なのは、雑談がうまいコミュ力ではありません。患者さんの文脈をしっかりと組み込み、相手に合わせて安全に届けるコミュ力です。

    まとめ

    AIのおかげで本来すべき、手当て(手を触れること)ができるようになる。そのため、知識を詰め込むだけじゃなく、スキルと人と接する態度を伸ばすほうがよい。

    更新通知はXで行っています。お見逃しないようにフォローをぜひお願いします。

    4択問題

    問題
    AI時代の産婦人科医に必要なコミュ力として、本文の内容に最も合うものはどれか。

    A. 患者さんと雑談を長く続ける力
    B. AIを避け、すべて自分の知識だけで説明する力
    C. 患者さんの背景や価値観を踏まえ、情報を納得できる方針に接続する力
    D. 患者さんの希望をすべて優先し、医学的判断を控える力

    解答
    C

    解説
    本文でいうコミュ力は、文脈理解、傾聴、信頼形成、合意形成の力です。AIが情報を整理する時代だからこそ、医師にはその情報を患者さんの人生に接続する力が求められます。

  • 医師の未来とAI──やりがいはどこへ向かう?AIによる医者の働き方の変化予想。

    医師の未来とAI──やりがいはどこへ向かう?AIによる医者の働き方の変化予想。

    ある日の外来、診療している私はふと手が止まった。
    AIに入力すれば、鑑別診断、治療方針、説明文まで即座に生成される。
    カルテすら自動で要約され、同意書まで下書き済み。
    「私、要る?」と、少しだけ肩が重くなった。

    医師という職業が大きく変わろうとしている。
    その変化は、静かだが確実に、私たちの日常に入り込んでくる。

    この記事でわかること

    • AIによって医師の仕事はどう変わっていくのか
    • 「考える楽しさ」が失われる可能性とその影響
    • 新たなやりがいの見つけ方とは?

    エンジニアの世界で起きていること

    エンジニアの世界では、大きな変化が起きている。

    コードをAIに欠かせ、人間はレビューするだけ。

    もはや常識だ。コードを書くという手を動かす仕事はAIに任せ、レビューだけ行う。

    医療でもきっと同じことが起こる。

    AIが鑑別診断を並べ、治療方針を提案し、患者説明のシナリオまで整える。
    カルテ作成、処方提案、ガイドライン照合。これらを一瞬でやってのける。
    医師の役割は、「診断する人」から「診断をチェックして最終判断する人」へと変わってくる。

    この変化を歓迎する声も多い。
    実際、過重労働に悩む現場において、AIの助けは大きな支えになる。
    でも、心の奥には小さな違和感が残る。

    「自分で考える時間が、確実に減ってきている」

    医師の仕事、2つの未来

    AIの進化によって、医師の働き方は今後2つの道に分かれていくと考えられる。

    ひとつは、大量の患者を捌くルート

    AIが問診し、カルテを作成し、ガイドラインに従って初期対応を行う。
    医師は確認してハンコを押す係になり、「次の方どうぞ」を1日何十回と繰り返す。
    ここではスピードと効率が命。考える時間を楽しむ余裕はない。
    ファストドクター時代の到来である。

    もうひとつは、手術や手技に特化するルート

    現在、AIには世界に関わる物理的な肉体を持たない。
    そのため手術や手技は「人間の領域」となる。
    手術や手技を極めることは、AI時代では大きなアドバンテージになりうる。


    だが手術支援ロボットはますます進化し、遠隔操作、AIナビゲーション、さらには自律型ロボットの開発まで進んでいる。「手術を極めれば安泰」という時代も、案外短いかもしれない。

    つまりどちらの道を選んでも、「人間だけができる仕事」は急速に狭まっていく。
    これは挑戦であると同時に、問いでもある。

    医師のやりがい、どこに再配置するか?

    「仕事時間が減るかもしれない」という予感を、なんとなく多くの医師が抱いていると思う。
    実は仕事は減らない。実際産業革命が起こり、生産性が高まったが仕事時間が減ったわけではない。

    実は減るのは「やりがい」である。そして「考える時間の消失」だ。

    AIコンビニの失敗から見る未来

    AIコンビニというものが中国にある。そこでは、AIが画像解析を行い、仕入れ品出しのタイミングを従業員に教え、それに従い従業員が動くというモノだった。

    確かに生産性は上がった。たった一人で忙しいコンビニを回すことができる。しかし、うまくはいかなかった。離職率が高かったのだ。

    考えてみてほしい、自分は何も考えず、ただ指示通り動く。トイレに行くにも指示を仰ぐ必要がある。何も自分で決めない。そんな状況でやりがいなどあるだろうか。

    医療は不確かさとの格闘だった。
    患者の言葉にならない訴えを聴き取り、情報をかき集めて仮説を立て、考えて、迷って、絞り込む。
    この「考える時間」こそが、やりがいだったのではないか。

    これからの世界で必要な力

    では、やりがいはもう戻ってこないのか?

    私は、そうは思わない。
    これから必要になる力を磨けば良い。

    それは「問いを立てる力」だ。
    AIは優れた解答者だが、何を問うべきかはまだ人間の領域だ。

    • 患者の価値観をどう診療方針に反映させるか
    • 社会的背景や心理的要素をどう読み取るか
    • 同じエビデンスのもとで異なる選択肢をどう評価するか

    ここには、医師の知性と共感、そして倫理的な判断力が不可欠だ。

    AIに触れ続けるという意志

    変化は待ってくれない。
    そして時代を巻き戻すこともできない。
    「ちょっと苦手で…」「時間がなくて…」などとAIに距離を取っていると、
    知らないうちに「AIを使いこなせる医師」と「そうでない医師」に大きな差がつく。

    だからこそ、まずはAIに触れること。
    一番初めは簡単な検索させてみる。

    できるようになったら対話してみる。そしてAIに入れる指示(プロンプト)を考えてみる。
    うまくいかなくても、それでいい。
    その違和感や誤差を拾うこと自体が、新しい医療の第一歩になる。

    再定義の時代に立っている

    医師という仕事は、確かに変わっていく。
    でも、それは価値が薄れるという意味ではない。
    「考える医療」から「問う医療」へ。
    AIという強力な道具を得た今、人間にしかできないことを深く掘り下げるチャンスでもある。

    やりがいは、時代に合わせて進化させていけばいい。
    まずは今日、ひとつAIで調べてみよう。
    その問いこそが、あなたのやりがいの再起動スイッチになるかもしれない。

    問題

    将来的にAIの活用が進んだ医療現場において、医師に最も求められる力はどれか?

    A. 数値入力の速さ
    B. 診断アルゴリズムの記憶量
    C. 問いを立てる力
    D. 手書きカルテ作成スキル

    解答:C
    解説:AIが診断や治療方針を提示する時代では、それに対して「本当にこれでいいのか?」と問い直す力、人間の価値観や倫理に基づいて判断する力が必要になる。

  • 「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    「その手、右手でお願いします」―ポテチ袋開封から学ぶ術野展開のコツ

    手術中、「もう1本手があったらなぁ」と思ったこと、ありませんか?
    そしてきっと、その手は「右手」ではないでしょうか?

    ずっと手術を見ていた私が見つけた、うまくいっている執刀者とうまくいっていない執刀者の違いがあります。

    なんとなく展開がうまくいかないと悩んでいる方、後輩指導の言語化に困っている方、さらにうまくなりたい方は必見です。

    この記事でわかること:
    ・手術における“展開”の決定的コツ
    ・視野が崩れない助手の使い方
    ・なぜ「右手」を渡すのが正解なのか?

    展開は「右手を渡す」が正解

    なぜ展開するのか

    それは剥離や凝固切開を行うためです。

    広間膜の腹膜を持ち上げることで広間膜腔が広がり、あわあわや毛細血管が見え、奥にある尿管や子宮動脈を見つけていくのです。

    つまり、触りたい腔を作り、その奥を操作するわけです

    絶対ルール

    展開で迷ったら、まずこのルールを思い出してください。


    「両手で開いて、右手を助手に渡す」


    つまり、両手の鉗子で展開したのち、右手の鉗子で持っていた部分を持ってもらう。これだけで視野の安定度がぐんと上がります。

    なぜ左手鉗子側じゃダメなのか?理由は単純です。

    左手鉗子側を渡してしまうと視野が崩れてしまうからです。

    展開後にやることは、右手で操作をします。

    上記の通り触りたい腔を作り、その奥を操作するため、両手で触りたい腔を作り、その奥を右手で操作するため、右手をフリーにする必要があり右手の組織を助手に持たせるといい訳です。

    ポテチ袋に学ぶ展開術

    イメージがしにくい時はポテチ袋を考えてください。

    みなさん、ポテチ好きですよね。どのように中のポテトを食べますか?

    袋を開けて食べますよね。

    これをもう少し解像度を上げてみましょう。

    両手で袋を開け、右手を離してポテチを取るということができます。

    普通に持ってもいいのですが、この時に、袋をうごかざすにポテチを取り出すにはどうすればいいでしょうか。右手を離すので右手の袋の端を固定する必要がありますよね。

    ではここで助手を呼びましょう笑

    あなたが助手と一緒にポテチの袋を開けて右手でポテチを取るとします。

    まず、両手で袋を開けますよね?
    このとき、どちらの手の端を助手に持たせますか?

    右手ですよね。


    なぜなら、左手で持っていても、結局は右手で中身を取るからです。


    手術もまったく同じで、「開いた後、右手で奥を操作する」という行動が前提になります。


    だからこそ、右手側を助手に任せれば、自分は左手で手前を持ちつつ、視野を保ったまま右手で自在に動けるのです。

    ミリ単位の配慮が、術者の未来をつくる

    こうした細やかな展開の工夫は、術者としての信頼を積み上げる土台となります。


    助手に「この人の視野は崩れないな」と思ってもらえたらしめたもの。

    「先生の展開綺麗ですよね」と言われたら、もう勝ちです。

    たった一つの意識が、手術の質を左右することもあります。


    だからこそ、両手で展開し、右手を助手に預ける。この原理原則を、明日からでもぜひ実践してみてください。

    まとめ

    手術の展開で迷ったときは、まずポテチの袋を思い出してください。
    両手で開いて、右手を助手に渡す。それだけで視野は安定し、動線はシンプルになります。
    展開がうまくいけば、術者の動きもスムーズに、術野も美しく保たれます。

    助手とのコンビネーションが決まる瞬間――それは、小さな工夫の積み重ねから。
    次の手術からぜひ、「その手、右手でお願いします」と心で唱えてみてください。

    更新情報はX(https://x.com/gossogyner)でお知らせ予定です。フォローしてお待ちください!


    問題

    手術中の展開操作において、「右手を助手に渡す」ことの主な利点はどれか?

    A. 視野を助手にまかせきれるから
    B. 左手でより繊細な操作ができるから
    C.術野が崩れることなく術者が右手で奥を操作しやすくなるから
    D. 助手が操作の主導権を持つことになるから

    解答:C
    解説:術者は通常、右手で奥を操作する。そのため、右手の持ち位置を助手に預けることで視野が崩れず、術者の操作性も保たれる。左手を渡すと、持ち替えなどで視野が不安定になるリスクがある。

  • 内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    内視鏡認定医ビデオを攻略するための3つのポイント ~主体性と安全性を見せるコツ~

    「内視鏡認定医ビデオって、どうやって評価されるの?」
    「いい感じのビデオ撮れたけど、なんだか点数が伸びない・・・」

    こんな疑問を抱える方、意外と多いのではないでしょうか。

    今回は、内視鏡認定医のビデオ作成を攻略するための根本の根本のポイントを解説します。

    「なんとなく操作を撮影するだけ」で終わらせるのはもったいない!正しい見せ方とアピール方法を押さえれば、採点基準に沿った高評価が狙えます。

    この記事を読めば、安全性と主体性を最大限アピールし、採点者の心を掴む動画作りの基本が身に付くはずです。

    これから提出する人はもちろん、指導予定の方も大きく関係してきます。見逃しなく!

    1. 内視鏡認定医ビデオの考え方 ~OSCEと同じ「見せる試験」~

    内視鏡認定医ビデオは、医学生が受けるOSCE(客観的臨床能力試験)やBLS(一次救命処置)と似た形式です。ただ技術を披露するのではなく、安全性と主体性をいかに「見せる」かが重要なポイント。

    例えば、OSCEの救命では「周囲の安全を確認し、心肺蘇生を開始します!」と声を出しますよね。

    私は、ど緊張していて噛んでしまい、演者に笑われるという恥ずかしい思い出となっています笑

    実際の現場で言いますか?コードブルーで走って到着したのちに宣言している人いますか?

    これはただ、安全確保をゆうせんしてますよ〜というアピールにすぎません。

    これと同じことが、内視鏡手術認定医ではビデオ内で求められます。

    • 安全性を示す: 例えば、「尿管の位置を確認して進めています」と鉗子で尿管をさし示す。
    • 主体性を示す 「助手に展開を指示」して、自分が手術の主導権を握っていることを示す。

    それではもうアピールの仕方を少し詳しく見ていきましょう。

    2. 安全性をアピールするための具体策

    安全性は、採点基準で最も重視される要素の一つ。

    尿管の位置も確認せず、出血は放置し、カメラは汚れている状態での手術なんて怖くて見れないですよね。具体的には、以下の点に気をつけましょう。

    視野の確保

      • カメラは常に綺麗に。曇りや汚れがないか頻繁に確認。
      • 手術中、視野が狭くなったらすぐに修正。
      • 処理したい組織が展開により見えているか確認。

      他臓器損傷を防ぐ工夫

        • 優しい鉗子(例: 腸鉗子)を選び、組織を傷つけない操作を心がける。
        • 剥離範囲を必要最低限に抑える。広げすぎるとリスクが増えるので注意。

        出血の管理

          • 小さな子宮の擦過傷であれば焼いて血が垂れないようにする。
          • 血管出血が起きたら焦らず対応。「止血のため尿管位置を確認して進めます」と助手に声を出し、冷静さと慎重さをアピール。
          • 吸引やガーゼで血を除去しなながらまずは尿管走行をカメラで映す。安全なマージンがあれば止血する
          • 止血作業が終われば数秒は確認のためにカメラを動かさない。

          3. 主体性を強調するための工夫

          主体性もかなり言われています。前立ちが展開をほとんど行い、”ここ掘れわんわん状態”ではダメだよねというものです。

          認定医というだけあって、例えば新しい赴任先でも腹腔鏡を安全にできるように自分で考え、自分で展開し、自分で処理できる力が必要だということですね。

          主体性を示すには、器具で「自分が操作を指示している」ことを見せるのがポイントです。

          • 助手の待機時間をあえて作る
            助手から動くことを禁止します。自分が展開した組織を助手に保持させ、「次はこの方向に引っ張ってください」と具体的な指示を出す。ここは手術前に話し合っておきましょう。
          • 積極的な計画立案
            操作を始める前に「この範囲を剥離します」と声を出し、助手に対して計画を明確に示す。
            こうすることで自分が主導権を握ることができる。

          助手の先生が上級医の場合はなかなかコントロールが難しいこともあると思います。この時は、話し合いでこう言ってください。

          「認定医って主体性が結構の配点に入ったって聞きましたけどどうでしたっけ?」
          「主体性をビデオで見せるにはどうすればいいんでしょうか?」

          基本はアドバイスシーキング、つまりアドバイスを求める体でいいように誘導してみてください。

          ビデオ外の手術室でも主体性を見せることで、ビデオにそれが移り、採点者に「この医師は手術全体をしっかり把握している」という印象を与えられますよ。

          まとめ

          内視鏡認定医ビデオで高評価を得るには、安全性と主体性をいかに見せるかが鍵です。そのためには、以下の3つのポイントを押さえましょう。

          1. 安全性を強調する操作を意識
          2. 主体性を示す計画と指示を実践
          3. 細かな行動まで声に出して助手と意思疎通を行っておく

          ぜひ、今回の記事を参考にビデオをブラッシュアップしてみてください!次からは「選択すべきアプローチ」「各工程の注意点」をテーマに解説しますのでお楽しみに。

          この記事を通じて、皆さんが内視鏡認定医への道をさらにスムーズに進めることを願っています。更新情報はX(Twitter)でお知らせしますので、フォローをよろしくお願いします!

        1. 医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

          医学生「圧倒的な実力をつける”理想的な”研修病院の選び方って何ですか?」理想病院を見つけるためのガイドライン

          読者さんから質問が来ました。

          医学生の方で、うれしいことに産婦人科希望。

          熱心に腹腔鏡の練習と勉強をされているみたいで、わざわざネットで調べてメールをくれました。

          質問はこちら(本人に同意を得たうえで掲載。一部省略しています)。

          初期研修はどのような病院で行う事が理想でしょうか
          先生はどこの病院で、またどんな初期研修を行っていましたか?

          個人的にお答えするにつれ、多くの人にとってメリットの大きい内容になりましたので、思い切って記事にしました。

          質問は初期研修病院についてですが、少し大きな枠でとらえて研修病院の選び方について解説していきたいと思います。

          研修病院をどのように選べばいいのか、根本からきっちり言語化しました。

          その分ボリュームが多くなりましたが

          研修病院選びをどのように行えばいいのか迷っている医学生や研修医、修練医には道しるべとなる最適なガイドラインとなった自信があります。

          今後、後悔したくない人生にしたい人はどうぞお見逃しなく。

          ”理想的な”研修病院とは

          そもそも理想的な研修病院とは何かについて考えていきます。

          そもそも物事を考えるには、軸となる基準が必要です。

          食事で言うなら

          誰と(友人、家族、上司、後輩、初対面など)
          どのような形で食べるのか(立ち飲み、コース、アラカルトなど)
          他には、金額は?おすすめ料理は?立地は?

          もちろん研修病院選びにもいろんな軸があります。

          研修体制という軸はもちろん、場所、給与、人数、上級医の学年、強い科(その中でも強い分野)、立地などの軸が挙げられます。

          といったところでしょうか。

          そのため、一般的に理想的な研修病院といえば、

          友人や家族の近くで立地がよく、給料がべらぼうに高く、やる気のある謙虚で優しい同期がいて、やる気があり優秀な上級医がおおく、すべての分野で強い病院。

          ・・・あります?

          ・・・ありませんよね?

          こんな病院はないですよね。

          ちなみに”理想”に関しても、人によって違います。

          新しい環境に身を置くことが好きな開放性が高く外向性が高い人は地元より東京など遠く離れた場所が理想的となるかもしれません。

          家がかなりのお金持ちで給料は理想の軸に入らないかもしれません。

          ひとりでやることが好きな人には、やる気がある人がいると逆にしんどくなることがあります。

          近しい上級医が多いとそれだけできる手技が減るとも考えられます。

          ある分野が強いところに行くと、発展していく過程を見ることが出来ないこと自体が機会損失になっているのかもしれないです。

          ”理想的な”研修病院とはの答えは・・・

          存在しない

          が結論になります。

          終了。

          ・・・

          ではだめですね(笑)

          これでは意味のない返答になるのでもう少し深堀しましょう

          ”個人の理想”の病院とは

          ”一般的な理想”などありえないうえで、考える必要があるのは、”個人の理想”とはなにかではないでしょうか。

          食事でも、お肉が好きなのか、魚が好きなのか、野菜が好きなのかで変わりますよね。

          一般的な理想病院などないことがわかったところで、”個人の理想的な研修病院”の探し方について具体的に解説します。

          個人の理想の研修病院を見つけるには以下の3つのポイントがあります。

          ①データ集め
          ②自分の価値観の明確化
          ③捨てる覚悟になります。

          それぞれ軽く説明すると

          ①データ集め:
           判断材料。ネットの情報だけでなく人から聞くことが最も大切になります。
          ②自己の価値観の明確化:
           判断基準。自分とは今まで何が好きで、どうゆう状況で成長したのか、逆に何が許せず、ストレスになるのかを明確化する必要があります。
          ③捨てる覚悟:
           エッセンシャル思考。何を選ぶのかというのは”何を捨てるのか”と同じ。何を選ぶのかではなく、何を捨てるのがとても大切になります。

          そして決断時の最後の最後は”縁と直感と勇気”になります。

          これだけでは正直何が何かイメージしにくいと思いますので。具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

          個人の理想を達成する、具体的なアクションプラン

          では具体的なアクションプランの例として、

          私個人がどのように初期研修病院を選んだのかという話を一つの例としてお伝えします。

          ①見学に行く病院の設定

          まず、自分に病院がわからなかったので、病院の属性で分けて見学に行く病院を決めました。

          市中病院なのか大学病院なのか、市中病院でも大きい病院と小さい病院(100床行かない程度)

          救急が忙しいのかどうか いわゆるハイポとハイパー

          田舎なのか都市部なのか

          住んでいるところからの遠さ

          給与が高いのか低いのか

          といった、属性で探しました。

          で気になるところ(先輩が行っているところなど)を何となくピックアップして見に行ってみました。

          初めの病院選びは何となくでよいですよ。

          実際行ったのは、今の淡〇医療センター以外に、丸〇町音〇病院(市中の小さい病院)、滋〇済〇会病院(市中の大きい病院)、湘〇鎌〇総合病院(救急日本一の病院)、亀〇総合病院(ド田舎のドハイパー病院)、京〇府〇医科大学(出身大学)となります。

          これらすべての見学に行きました。確かあと二個ぐらい行ったと思います。

          ②データ集め

          それぞれ、行く前に評価項目を作っていきました。

          あとから設定しては聞き逃したり、比較するときに困ることを避けるためです。

          立地、給与、研修医の数、学年の近い上級医の数、学年の遠い上級医の数、実際の忙しさ、人間関係などなど聞いておきたいことを決めていきました。

          これらをそれぞれの病院に行ったときに研修医の先生と直接お話をし(できれば1対1)データを集めてメモをしていきました。

          必ず、実施に働いている医師に確認できるようにお願いしました。

          ここでは研修医の先生からの情報が最も大切になります。

          行く予定の年から待遇が変わったりしないか。

          手技を上級医がさせてくれるのか。

          実は無駄な作業ばかりに時間を取られていないのかなどなど。

          あんがい車で移動すれは都市部に近かったり、駅まで院内バスが出ていたりします。

          ここでのデータが今後の判断でかなり大切になってくるので必ず、事務さんだけでなく近い年代の医師と直接話せる時間を作ってもらいましょう。

          ③自己の価値観の明確化

          次は価値観の明確化になります。

          と言われても、自分の価値観はわからないし、価値観ってそもそも何なのかもわからない。

          という人が多いのではないでしょうか(私もまだまだ探求中)

          ここでの価値観は”何が好きで、何が嫌いで、何を選び、何で後悔したのか”という定義?にしておきます。

          価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください。

          逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

          自分は、部活が体育会系だったので救急が強いハイパーなところがあっていると思っていました。

          実際、何か手を動かし、自分で考えて練習したり、成長していくのが好きです。

          人と接するのも好きですが、一人で黙々と作業や勉強をするのも好きです。

          つまり”私が”最も成長したり楽しかったのは自分でやりかたを考えコツコツ努力したとき。

          でも、”やるべきだからやる”とか、”脳死でこうしたほうがいいらしい”とか、”みんながしているからする”とかは嫌いでした。

          やらされた宿題とかをやるのは嫌いで、軽く請け負った作業で後悔することがしばしばありました。

          とくに、最も堕落しつらかったタイミングは中学の時の部活教師の体罰が最もパフォーマンスを落としたと思っています。

          自由が制限されハラスメントが横行している組織には絶対いてはいけないと思っています。

          なので方針としては、自己成長が出来、がちがちに縛られているところは避けよう、自分で考えて決める方針としました。

          繰り返しになりますが、

          価値観がわからないって人は、今まで自分が最も成長したタイミングや、最も楽しかったタイミングを思い出してください。

          逆に、最も堕落したタイミグや、もっともつらかったタイミングも考えてみてください。

          自分の価値観が明確化するのに大きなヒントが隠れています。

          ④捨てる覚悟

          次は捨てる覚悟になります。

          これは集めたデータを自分の価値観に照らし合わせることで行います。

          湘〇鎌〇総合病院に行ったとき、知り合いのキラキラしていた先輩の眼が死んでいました(西医体優勝していたような体力ばりばりの人)。

          忙しすぎたのです。

          確かに力はつくかもしれませんが、自由な時間が必要な自分の価値観に照らし合わせ、

          自分で考える時間がなく自分なりの研鑽が出来ない病院はやめることにしました。

          ここで、”忙しすぎて自分で考えて研鑽できない病院”が捨てる対象となりました。

          上で言うと、亀〇総合病院、湘〇鎌〇総合病院となります。(時間がないかどうかは個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

          このように、今あるデータを解釈し、自分の価値観に照らし合わせていきます。

          みんながよいと言っている事に疑問を持ち、悪いと言っているところの良いところ、良いと言っているところの悪いところを考えていきました。

          例えば、大学のタスキが最もよい(市中と大学が両方経験できる、最新の治療が学べるから)と言われていましたが、あえて悪いところ(同年代が多いので手技が取り合いになる、給与が悪い、学生とかわらない可能性があるなど)を考えていきました。

          逆に、不人気な病院のいいところ(自由な時間が多い、自分次第で手技が転がっているなど)も考えていきました。

          これを突き詰めて、”一般的に良いとされている病院”を捨てました。それは立地がよかったり、知り合いが多かったりするところです。

          理由としては、人気なところというのは病院側が人を選び、条件が悪くなることが多いと考えたからです。滋〇済〇会病院などが消えました(条件が悪いかどうかは当時の私個人の感想です。現在どうなっているかはわかりません。無常なり)

          そして自分は好奇心が強く、新しいところや物が好き(趣味は旅行)という価値観を優先しました。

          新しいものと出会うには今までの環境や知り合いを捨てる(完全に捨ててはない)こととしました。

          ここで、京〇府〇医科大学は消えました。

          最新の医療は大学でなくてもネットや動画でいくらでも学べるいまの情報供給の変化も大きいです。

          ”学年の近い医者が多いところ”も捨てました。学年が近い医者が多いと手技が回ってこないからです。

          逆に、学年の離れた先生が多いと、やらせてもらえるチャンスも多いと考えました。

          ⑤最後は縁と直感と勇気

          ここまでで、したことは

          病院をいろんな属性で選び、データを直接集め、自分の価値観を明確化し、捨てるものを選ぶ。

          これらによって見つけた”私の理想の研修病院”の条件とは

          人気病院を避け、知り合いが多いところは避け、近い学年の医師がいるところは避ける

          といったかなり一般的ではない理想となりました。

          決断の時です。”個人の理想”の病院選びのの最後の決断になります。

          最後の決断で大切なことは”縁と直感と勇気”になります。

          初期研修病院として実は今いる淡〇医療センターを選んでいます。

          理由としては

          縁:腹腔鏡のプロであり尊敬できる先生がいたこと、事務の方の雰囲気がよかったこと

          直感:この病院は盛り上がると思った。これから研修医を増やそうという意気込みがあり、いわゆる殿様病院とは違った。

          勇気:実は自分の1つ上の研修医は2人しかいなかったし、先輩で行っている人も知り合いもいなかった。一番の親友にはやめておけと言われた。が、自分の直感と縁を信じた。

          こんな感じで決めました。

          当時の病院の状態としては、一般的な人から見たら激悪です。

          まず研修病院として定員割れしている不人気病院。滋〇という田舎で立地は最寄りの駅より徒歩20分、学年の近い医者がほとんどいないといったところでしょうか。

          激悪ですね。

          でも結局、行ってみると自分に合っていて”自分にとって理想的な研修”を受けれたと思います。

          確立した研修システムがなかった → 自分がしたいようにできた。そのため毎日腹腔鏡の練習をすることが出来た。今の時代ネットや本でいくらでも学べた。

          若い医師が少ない → 手技はやり放題であった。CV挿入はもちろん、外科ローテの時に腹腔鏡下虫垂切除を完全執刀させてもらえた。

          研修医を集めている時期 → 給料はいいし、待遇もよかった。

          研修医が少ない → 個人の先生として覚えてもらえた(研修医の先生たちというくくりではなく)

          立地がわるい → 今の時代タクシーもすぐ呼べるし、京〇の友達と飲みに行くのに1時間とかからず(本やスマホで時間つぶせばいい)、つながりは消えなかった。

          田舎 → 人混みを避けられるし、自然でストレス解消が出来た。都会に行くとすごく新鮮で楽しめた。

          一般的に理想とは程遠い病院でも、個人的には理想となるわけです。

          まとめると、

          ファクトフルネスなデータを集め、自己省察で価値観を具体化し、エッセンシャル思考で自分が捨てるべきものを理解できれば、最も優先すべきものがわかり、納得感と勇気をもって”理想的な”研修を受けることが出来る。

          結局、理想を達成することは難しいのですが、これは本当に自分で考えて決断するしかないと思います。

          見学生にここまでやっている人は見たことがないと言われたことがあります。

          しかし、ここまですると後悔することはないと思いませんか?

          ここまで読んでいただきありがとうございます。

          皆様の人生が後悔をするとしても、納得した後悔のできる人生になれば幸いです。

          もし研修先を悩んでいる人がいましたら、このURLでも送り付けてやってください。皆さんがハッピーで理想的な研修を受けられるますように願っています。

          ではでは。

          まとめ問題と解答解説

          問題:
          文章に基づき、理想的な研修病院を見つけるために考慮すべき要素はどれか?次の選択肢から最も適切なものを選びなさい。

          A) 立地の良さ、給与の高さ、知名度のある病院
          B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟
          C) 他人の推薦、医療設備の充実、病院の規模
          D) 上級医の学年、研修医の数、病院の名声

          答え:
          B) 個人の価値観の明確化、データの収集、捨てる覚悟

          解説:
          この文章は、医学生や研修医が理想的な研修病院を選ぶためのアプローチに焦点を当てています。理想的な研修病院を見つける上で重要なのは、個人の価値観を明確にし、必要なデータを集め、そして何を優先し何を捨てるかの覚悟を決めることです。立地の良さや給与の高さ、病院の名声などは重要な要素かもしれませんが、文章は個人のニーズと価値観に基づく病院選びの重要性を強調しています。そのため、選択肢Bが最も適切です。

        2. ”Googleの猫”と”手術”の共通点

          ”Googleの猫”と”手術”の共通点

          ディープラーニングの元祖”Googleの猫”と”手術”って同じですよね。

          え、違います?

          今回は、研修医の先生とともに手術に入ったときに必ず伝えている重要な手術習得の要素について説明していきます。

          読み終われば、すっきり間違いなし!

          手術への認識ががらっと変わります。

          ぜひ楽しんでいってください。

          Googleの猫

          皆さん”Googleの猫”って知っていますか?

          医療業界では全く聞いたことない人も多いのではないでしょうか。

          実は、はやりのAIやディープラーニングにかかわる人なら必ず知っている衝撃的な研究結果になります。

          それは

          「Googleの猫」とは、2012年に発表されたAIの研究結果です。
          Google社の研究チームは、ディープラーニングという手法を用いて、YouTubeに投稿されたビデオの中から無作為に一千万枚の画像を取り出してAIに学習をさせました。
          その結果、AIが「猫が写っている画像を見分けられるようになった」と発表したのです。
          この研究で特に注目されたのは、人がAIに「猫」という概念を教えたわけではない
          参照;2012年にAIの歴史が動いた!ついに猫認識に成功した「Googleの猫」 | マルチナ、永遠のAI。 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

          つまりか~なり雑に1行にまとめると

          教えてないのにAIに画像を見せまくったら猫って勝手に認識した。

          ということになります。

          これってものすごくないですか?

          コンピュータに対して指示がないのって考えられないですよね。

          普通は必ず指示は行いますよね。

          例えば、猫の耳の形を指定して、この形の耳を持つものは猫という風に、どこがどうなっているかを説明することでしかコンピュータはわからなかったはずです。

          これをぶち破ったのが”Googleの猫”というわけです。

          ”Googleの猫”と手術の共通点

          ここで本題に移りましょう。

          ”Googleの猫”と手術の共通点です。

          それは

          ”ある閾値を超えると急にわかる”

          ということです。

          よくわかりませんか?

          具体的に見ていきましょう。

          例えば、初めて子宮全摘の術野を見たときを考えてみると、始めはよくわからないですよね。

          子宮はわかるけど、膀胱や尿管なんて言われてもよくわからなった記憶はありませんか?

          しかし、ある時ふと”尿管だ!!!”と認識できたことありませんか?

          これが卵巣で子宮の後ろについているのか!と分かった経験ありませんか?

          今まで見えてこなかった、血管が急に見えて、認識できるようになったことはありませんか?

          これこそ”Googleの猫”との共通点になります。

          ここまでくれば何となくわかったと思います。

          つまりまとめると

          Googleの猫は、大量に猫の画像をAIに見せまくったらいつの間にか猫を認識していた。

          手術は、大量に手術を経験していたらいつの間にか尿管を認識していた。

          となるわけです。

          つまり、大量に経験を積むこと(画像を見る)ことで”モノ”を認識できるというわけです。

          数多く見ることで、ある段階を超えると急に臓器が認識できるわけですね。

          共通点からの学び

          この共通点からの学びは何でしょう?

          陳腐な結論を言ってしまうと、

          経験を積むとよいになってしまいます。

          しかし、もっともっと大きな希望に満ちた結論があります。

          実は、ディープラーニングは人間の学び方と同じと部分があるといわれています。

          そして、人間の学び方、手術の上達とディープラーニングが同じであるならば、焦ることは必要ないわけです。

          よってこのように言うことが出来るのではないでしょうか。

          今わからなくても大丈夫。いつかわかるときがくる。

          そんな希望のある話になるのではないでしょうか。

          なので、もし今何か認識できない臓器や血管走行や手技があったとしても大丈夫です。

          いつかわかるようになる。それでよいのです。

          焦らなくても大丈夫。ではまた。

        3. 結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?

          結局、鈍的剥離と鋭的剥離はどっちがいいの?

          今回はコラム的に普段、質問を受けるものに答えていきたいと思います。

          質問はこちら

          ”鋭的剥離と鈍的剥離はどっちがいいの?”

          剥離って大切ですよね。どんな手術でも必要な剥離技術。剥離こそが手術という意見もあるぐらい大切なスキルですよね。

          手術ばかりをやっている婦人科医だけでなく、帝王切開ばかり行っている産科医にとって大切な内容になります。もちろんその両方を行っている産婦人科医にも、つまり全産婦人科医にとって必見の内容になっています。

          一昔前は、手クーパ、チギレクトミー(手で組織引きちぎる様)という用語が出来るほど鈍的剥離がメインの産婦人科手術でした。

          最近は鋭的剥離が隆盛を極めていますが、本当に鋭的剥離がいいのか考察していきたいと思います。

          そもそも剥離とは?

          そもそも剥離とは、物と物の間をはがしていくことを言います。

          いうならば、段ボールに張られたガムテープをはがすようなものです。

          剥離を細かく順序で述べるとこうなります。

          ①物と物の間の接着剤となるものを伸ばす

          ②その伸びた接着剤となるものを処理する。

          段ボールで考えると、少し引っ張るとまさに接着剤が線状に見えますよね。これを処理すると剥離が完成するわけです。

          術中うまく剥離が出来ると、組織同士が離れるため他臓器損傷や出血を抑えることが出来ます。

          逆に、下手に剥離を行うとかなり危険な状態になります。

          ガムテープをテキトーにはがすとびりびりにガムテープが裂けたり、逆に段ボールが一部ガムテープに付いてきますよね。

          例えば腸管が子宮に癒着している間をはがすときを考えると、下手に剥離を行うと腸が損傷したり、子宮が裂けて出血したりするわけです。

          手術は合併症なく終わらせることが何よりも大切です。そのため”剥離こそが手術だ”という言葉の重みが増すと思います。

          鈍的剥離と鋭的剥離ってなに?

          剥離の手順と重要度がわかったところで”鋭的剥離”と”鈍的剥離”について考えていきましょう。

          わかりやすく、先ほどの段ボール、ガムテープスキームを用いましょう。

          鈍的剥離とは、指でガムテープを引っ張るなどをして、間の粘着剤を”引きちぎる動作”になります。

          鈍的剝離の手順としては

          ①テンションをかけて接着剤となる部分を線状に出す

          ②そのままテープに力を加えて接着剤を引きちぎる

          となります。

          一方、鋭的剥離とは、ガムテープにテンションをかけて、先のとがったもの(レターオープナー)などを用いて間の粘着剤を”切る動作”になります。

          鋭的剥離の手順としては

          ①テンションをかけて接着剤となる部分を線状に出す

          ②テンションを追加せず、接着剤の部分を器具で処理する

          となります。

          ①のテンションをかけて展開するは同じですが、②の間の組織の処理が異なるわけですね。

          ガムテープスキーマの用語をを手術の用語に反映していくと、

          段ボールとガムテープ = 組織や筋膜や膜などテンションをかける対象となる部分

          粘着剤 =あわあわの層やFascia、フィブリンやコラーゲンなどのテンションのかかる部分

          鈍的剝離の指 = 指や鉗子や吸引管など力を加える装置

          鋭的剝離のレターオープナー = 電気メスやハサミやエネルギーデバイスなどの切開装置

          になります。

          先ほどの段ボールスキームを言い換えると

          鈍的剥離は”もの”と”もの”の間にテンションをかけ展開し、Fasciaなどの間の組織を張力を強めることで引きちぎり処理すること。

          鋭的剥離は”もの”と”もの”の間にテンションをかけ展開し、Fasciaなどの組織を切開し処理すること。

          こう言い換えることができます。

          結局間の接着剤の部分を、そのまま組織に力を入れて引きちぎるのか、器具で処理するかの違いになります。

          ”引きちぎる鈍的剝離”と”切開する鋭的剥離”ということが出来ますね

          結局、鈍的剥離と鋭的剥離どっちがいいの?

          長々と剥離について説明しましたが、本題に移りましょう。

          結局、鈍的剝離と鋭的剝離どっちがいいの?

          結論・・・

          リスクが高い場面では細かく処理のできる鋭的がよいが、時間、集中力の節約のためリスクが低い場面なら引きちぎる鈍的がよい。

          と考えています。

          リスクの高い場面とは、出血や他臓器損傷があり得るような、腹部腫瘍既往、内膜症、CS後などの症例における癒着部位を指します。

          え?あらゆる場面で安全な鋭的剝離こそ最強じゃないの?

          と思いますよね。

          そんなことはありません。この世の中にはある制限があります。

          それは、時間と集中力です。

          つまり、鈍的剥離が勧められる理由としては、手順を省略できることが大きな理由になります。

          なぜ省略できるのか。

          引きちぎる鈍的剥離の場合、テンションをかける(展開)と間を処理する(引きちぎる)をテンションを強めるという同一動作で行うことが可能だからです。

          まだ、納得できてませんよね。大丈夫です。さらに深堀していきます。

          次回は産婦人科手術のこれまでの流れを含めた詳しい理由と、どうすればうまく鈍的剥離を行えるのか、つまり”安全に引きちぎる鈍的剝離方法”に関して解説していきます。お楽しみに!

          PS:X(Twitter)にて更新報告しますのでよければフォローをお願いします。(こちら)

          まとめ問題と解答


          問題: 以下の選択肢の中から、文章の内容に最も適したものを選びなさい。

          A. 鋭的剥離は時間がかかるが、リスクが低いので、どのような場面でも推奨される。

          B. 鈍的剥離は、リスクが高い場面でも、時間と集中力の節約のため推奨される。

          C. 鋭的剥離は、リスクが高い場面で細かく処理ができるため推奨されるが、リスクが低い場面では鈍的剥離が推奨される。

          D. 鈍的剥離と鋭的剥離は、どのような場面でも同じ効果が得られるので、どちらを選んでも良い。

          答え: C. 鋭的剥離は、リスクが高い場面で細かく処理ができるため推奨されるが、リスクが低い場面では鈍的剥離が推奨される。

          解説:剥離は、物と物の間をはがすことで、術中うまく行うことで他臓器損傷や出血を抑えることができます。特に「鈍的剥離」と「鋭的剥離」という二つの剥離の方法に焦点を当てています。鈍的剥離は、物と物の間にテンションをかけ、間の組織を引きちぎることで処理する方法で、鋭的剥離は、物と物の間にテンションをかけ、間の組織を切開することで処理する方法です。リスクが高い場面では細かく処理できる鋭的剥離がよいが、時間や集中力の節約、リスクが低い場面では鈍的剥離が良いと考えています。 結論として、「リスクが高い場面では細かく処理のできる鋭的がよいが、時間、集中力の節約のためやリスクが低い場面なら引きちぎる鈍的がよい。」ため、選択肢の中では、Cが最も適している。

        4. 手術で大切なもの

          手術で大切なもの

          こんにちは、産婦人科医のごっそです。

          このブログは、普段手術をしている経験をもとに、癖のある産婦人科腹腔鏡手術を少しでもやりやすくするために作成しました。

          まず初めにこのブログを始める経緯について説明します。

          成長とは・・・

          手術が一瞬でうまくなる薬があればほしいですか?

          私は欲しくありません。

          その理由は・・・

          成長こそ人生だから

          これに尽きます。できなかったことが出来たときの充実感はたまらないですよね。

          初めて自転車に乗れた瞬間。できなかった問題が解けたときの瞬間。初めて手術を執刀した瞬間。

          これらを達成した瞬間の感覚は皆さん染み付いているのではないでしょうか。

          人生の自己実現のために成長は欠かせない要素ですよね。

          なので、個人的には成長にこそ人生があると思っています。

          世間には、これをするとすぐに上手になるとか、これをすれば成功するとうたう本やセミナーがあふれています。

          これはたくさんの人がうまくなり成功したいと熱望している証拠になります。

          成長はどのように進んでいくのでしょう。

          うまい人ほど調子に乗らない理由

          上手な先生の話を聞くと

          謙虚に「手術は今でも怖がりながらしている。」と言い、

          逆に成長し始めの先生に話を聞くと

          嬉しそうに「最近すべてがひとりで出来るような気がします。」と言う。

          実はこれ、ダニングクルーガー効果というバイアスにかかっている状態です。

          ダニングクルーガー効果とはやり始め程すぐに自信がつき、一度の失敗をおこすことで自信がなくなり、その後徐々に取り戻していくという人間の特性をしめしたものです

          つまり手痛い失敗を経験していない若手ほど自信満々で、酸いも甘いも知るベテランほど謙虚な自信を持っているということです。

          つまり成長とは謙虚に知識と経験を貯めていくということではないでしょうか。

          これからのサイト運営について

          今まで、私は戦略的に手術、特に腹腔鏡に関する練習や、環境整備を行い、苦しみもがきながら多くの失敗を経て、数100件以上の腹腔鏡手術を経験してきました。

          今になってから思ったのです。

          成長が鈍化してきたぞ・・・

          その停滞を打破するために、知人、先輩、本、ブログ、Youtube、メルマガといった、ありとあらゆる情報源を探りました。

          その中でいくつか答えのようなものを見つけました。

          徐々に人間は、他人を成長させることに尽力を尽くし始める。そしてそれが生きがいになることがある。

          確かに、後輩指導をしているときに生きがいを感じることが多々ありました。

          このブログでは私が見つけた手術の処方箋となるメソッドを発信していきます。

          発信内容

          周りの先生からは、言語化をすることが上手といわれることが多いです。それもそのはず。

          「ちゃんとやれ!!!」

          そうと言われながら、”ちゃんとする”を自分なりに言語化をずっとしてきました。

          手術メモも数百以上あります。

          そのメモを参考にしながら、なるべく具体的に言語化して発信していきます。

          個人的な経験が多いため、場所が変わればすべて変わるものと思います。

          もちろん手ぶらでよいです。ぜひ楽しんでいってください。

          まとめ

          成長とは、過去の自分よりもうまくなることをさす。成長を繰り返すことで人生は華やかなものとなる。しかし、成長に当たって失敗や壁は必ず出てくるもの。ダニングクルーガー効果にみられるように失敗を経て謙虚で強固な自信を持つことが出来る。これまでの手術経験をもとに、壁を乗り越えられる”はしご”のような記事の発信を行っていく。