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  • 【徹底解説】ダビンチの電メ設定は何故わかりにくいのか?ジェネレータの全体像とともに

    【徹底解説】ダビンチの電メ設定は何故わかりにくいのか?ジェネレータの全体像とともに

    あなたは電気メスのジェネレータについて説明できますか?
    なぜダビンチにわざわざ外付けジェネレータを使って執刀している人がいるか説明できますか?

    今回はこれらをドヤ顔で説明できる素敵な記事をご用意しました。

    ・・・ちなみにですが、

    「説明できない人は本当にやばいです!手術する資格ありません!!

    なんてこと言うつもりは、まったくありません

    正直言うと全員がジェネレータについて説明できなくて良いと思っています
    知らなくても手術はできるからです。

    例えば、今お持ちのスマホやパソコンのスペックを解説できますか?
    ストレージやメモリといった項目がそれぞれ何を示しているか。そして、自分の目的に応じて最適化して選べていますか?

    おそらくわからず、とりあえず真ん中あたりの値段のものにしとこうかなぁって感じじゃないですか?

    でも普通にスマホ、使えてますよね?LINE、カメラ、ネットなどしたいことはできているわけです

    よく考えてみると不思議じゃないですか?

    これは、よくわかっている人が、”いい感じ”に調整してくれているからできているわけです。

    みんなYoutube見るぐらいだし、これぐらいのスペックでいいかって感じです。

    手術のジェネレーターに関しても同様のことが言えます。

    つまり、基本的に手術で誰が使っても”いい感じ”になるように設定されているわけです

    電気メスを使って腹腔内全てが消し炭になるなんてことないですよね!?CUT押しても全く切れないなんてことないですよね?誰かがいい感じに設定してくれてます。

    「使えてるなら、知らなくていいんじゃない?」と思いました?

    このブログを読むようなマニアックな方は絶対に知っておくべきです!!

    ジェネレータ設定を知らないと、必ず、どこかで思い通りの手術ができず行き詰まります。

    どんどん手術の解像度が上がってきた時、そして細かい血管走行やファシアを一本一本切りたい時に必ずジェネレータの知識が必要だからです

    これは例えば、スマホやPCでこだわった動画編集をしたい時に似ています。どれぐらいのスペックが必要なのか理解してせず、低スペックのマシーンで動画編集を行うとフリーズします。これと同じですね

    この記事を数分読むだけで、ずっと悩んでいた処理できなかった組織が綺麗に処理できるようになるかもしれません

    最後にはジェネレーターの全体像が見えてきます。

    ジェネレーターの説明ができるだけで、この人こだわってるなぁって思われること間違いなしです笑

    なるべく噛み砕いて説明するので、楽しんで見ていってください。

    erbe社のジェネレータを元に知識を深めて行きましょう

    ダビンチのジェネレータ erbe VIO dV ってどんなの?

    ダビンチが急速に広まる中、現在広く普及しているジェネレータは”erbe VIO dV”になります。

    erbeという会社のVIOシリーズのdV(ダビンチ専用)というわけです。

    Appleという会社のiPhoneシリーズの17Pro的な感じです!erbe社ではVIO3が比較的有名なジェネレータですね。

    普通のジェネレータはモードとワットを設定すれば大丈夫です。ソフト凝固の80Wとかですね。

    VIOシリーズは強さの設定が独自です。VIOシリーズのみモード/エフェクト/ワットの三つを設定する必要があります。

    モード=CUTとCOAGの比率設定

    モード設定は「どう切って焼くか」という挙動の選択になります。ざっくりCUTよりにするかCOAGよりにするかのグラデーションで理解してください。以下は公式の発表に基づく説明です。こちらは他のジェネレータとも同じ様なイメージですね。

    大まかに、よく切れるようにするか、それとも広範囲に凝固できるようにするかのグラデーションです。大体モードが3つぐらいあるのはそのためです。よく切れる、よく凝固できる、その間。

    例えば、VIOdVの電気メスの凝固(COAG)であれば、
    ・凝固いつつ切れ味もでるClassic
    ・凝固に特化したForced
    ・その間のSwif
    といった具合です。

    「凝固の中で、純粋な凝固にするのか、すこしCUT寄りにするのか」を選ぶイメージです。
    バイポーラーに関しても同様に考えて良いです。ここまでは結構わかりやすいですよね。

    まずは『モード=CUTとCOAGの比率設定』と覚えてください。切りたいか、焼きながらちょっと切りたいか、焼きたいか。これはすべてのジェネレータに共通した考えです。

    エフェクトとワットについて

    つぎにエフェクトとワットの話をします。
    結論から言うと

    ・エフェクト:強さ(狙う組織効果の強度)
    ・ワット:強さの上限(安全性のリミッター)

    という整理がわかりやすいです。

    重要なのはワットが強さを定義しているわけではないという点です!強さは主にエフェクト側で決まります。

    普段であればWを調整すれば良いわけです。「つよさ40にして〜」「80まで上げて〜」と看護師さんにお願いしますよね。しかし、VIOでは、これが「エフェクトあげて〜」になるわけです。

    ここが混乱ポイントとなります(ワット設定項目として残るため、なおさらわかりにくい)。

    例えば、凝固の最も凝固寄りのFORCED COAGについて見てみましょう。こんなイメージ↓

    Geminiを使用し作成

    エフェクトが上がるほど(概念的には)強く/広く/深くなっていきます。

    ワットは上限になります。安全機構のように捉えると理解しやすいです。
    そのため、低いエフェクトで高いWを設定しても効果は限定的です。逆に高いエフェクトで低いWを設定するのも筋が悪いです。

    個人的なイメージ VIOのジェネレータはシャワーと同じ

    なかなかここまでの話でイメージがつかみにくい場合は「ベランダで水やりするシャワー」を思い浮かべてください。

    Geminiで作成

    実は、シャワーヘッドと元栓の構造はジェネレータと全く同じなんです

    って言えばびっくりしますよね?実はこの例え、芯を食ってます。

    ・シャワーヘッドの形(ジェット/霧など)=モード
    ・レバーの握り具合=エフェクト
    ・元栓がW(上限)

    もし高圧洗浄のように組織に切り込みたいなら、シャワーの「ジェット」に相当するCUT寄りのモードにすればいいし、幅広く凝固したいならシャワーの「霧」の様に広がるCOAG寄りのモードに寄せればいいのです。

    そして強く、深く、広くしたい場合は、シャワーレバーを握るように、エフェクトをあげてやる訳です。

    最後のWは安全機構ですね。例えば、ジェットでベランダ洗浄をしていたらお隣さんまで水を飛ばしてしまう危険性があり元栓を少し締めておく様なものです。

    なんとなくイメージできましたか?

    ジェネレータ=シャワーというのは良いメタファーなのです。

    erbe VIO dVが酷評される理由とその素晴らしさと限界

    酷評される理由のひとつは”慣れ”

    このerbe VIO dVですが”わかりにくい”と酷評されています。

    なぜでしょうか。勘のいい人なら、ここまで来たらわかりますよね。

    理由は単純、変数が3つあるから。しかも他のすべてのジェネレータが採用している、Wでの強さ設定をしていないから。

    調べてみると、erbe以外の代表的なジェネレータ(Medtronic(FT-10)、OLYMPUS(ESG-400)、ETHICON)などは基本的に「モードとW」の2変数で設定されています。

    強さをワットではなくエフェクト、そしてワットは強さを表さず上限を示している。

    これがわかりにくい原因ですね。ラパロでErbe以外を使っていた人からするとこんがらがります(私もそうでした)。

    人は普段と違うものに拒否感を示すもの。酷評されているのも分かります。

    しかし、実はerbe社VIOは他とは一線を画す思想を持っています!そしてその思想がさらなる酷評の引き金となります。

    Erbe社の素晴らしい思想と最高のジェネレータ

    Erbe社のジェネレータの設計思想は

    「狙った組織効果を再現する」=reliable / reproducible tissue effects(参考

    つまり

    「どんな組織でもいつも同じ様な切れかた、焼け方をする。」

    なので、”EFFECT”という言い方をします。組織に対して与える効果を設定しているのです。

    これってすごくないですか?脂肪でも血管でも、ウェットな術野でも、乾いていても、接触が甘くても同じ様にきれたり焼けたりする訳です。

    組織によって当て方を変えたりする必要がありません。

    車で言うと自動運転の様なものです。周りの状況を常に監視しいい感じに車を操作してくれる様な素晴らしい技術です。

    ちなみに、今一番よいと言われているジェネレータとモードはerbe ”VIO3”のPreciseSECTモードです。

    このUPSTREAMの伊藤雄二先生の説明が全てを表しています。この動画の13分の膀胱剥離を見るとかなり綺麗にきれています。ぜひ時間がある時に見てみてください。

    こちらはスクショです

    癌研有明の金尾先生もこのモードを使用していると、講演で述べられていました。

    この最高ジェネレータのVIO3と酷評のジェネレータVIOdV、そこの違いを深掘りしてみましょう。

    erbe VIO dVは力不足 VIO3の1/25,000の能力とは

    医療機器を作るときは認可申請をする時に、「これを元に作りましたよ〜」っていうものがあった方が通りやすいのはご存知でしょうか。
    この元となる機器をpredicate deviceと言います。

    例としてhinotoriは認可を通りやすくするために、ダビンチを真似して作っています。同じ様な配置になっているのはそのせいです。

    さて、ダビンチのジェネレータVIO dVのpredicate deviceはVIO 300Dという機種になります(こちらの4ページ目参照)。

    実は、このVIO300DはVIO3の1世代前のジェネレータになります。ということはVIOdVは現在のVIO3より1世代前のジェネレータを元に作られたということになります。

    そんな変わらないんじゃないの?って思いますよね。大きな大きな差があります!

    VIO3は標的組織を毎秒2,500万回以上測定しています。めちゃくちゃ多いですよね。PreciseSECTモードは先ほど述べた、どんなものを切っても、切れ味良く出血が止まるという理想を叶えています。(参照リンク

    一方で、VIO300DつまりVIOdVは毎秒1000回です。(こちらの17分30秒ごろ参照

    え、少なくないですか?2万5千倍違うんですか?

    25000倍? 万桁違うの?? 1mlが25Lの様なもんだよ???

    私もいまだにびっくりします。

    ドラゴンボールの界王拳ですら20倍までやぞと。ジンバブエドルのハイパーインフレちゃうんやぞと。(ジンバブエドルは月8億倍らしいです笑)

    いまだに疑っていますが調べた限りでは、おそらくあっていそうです。

    VIO3はerbe社の思想を達成した素晴らしいジェネレータですが、その1世代前のジェネレータの性能しかないVIOdVはerbe社の素晴らしい思想を実現するには力不足という結論が導き出せます。

    変数が3つあり分かりにくく、さらにジェネレータ自体のフィードバック回数が少ないことから性能としても不十分なジェネレータとなってしまったVIOdVは酷評されている訳ですね。

    外付けでジェネレータをつけている執刀者の考えもこれで分かりましたよね。

    なお、現在はダビンチ5がローンチされ、新しいジェネレータが出ています。実際に使用してみたので、今度レビューしますね!お楽しみに。気になる方は各種SNSのフォロー(X)をお願いします。

    まとめ

    ジェネレーターは「誰が使っても破綻しないように“いい感じ”に設計されている」一方で、手術の解像度を上げていくほど“設定の意味”が効いてくる。
    モードは、切る(CUT)と焼く(COAG)の性格=挙動を決めるつまみ。
    VIOシリーズがわかりにくいのは、強さをWで決めるのではなく、EFFECTで“狙う効果”を決め、Wは上限(リミッター)という発想だから。
    ただVIOシリーズの良さは、条件が揺れても狙った組織効果を再現しやすい設計思想にあります。
    ダビンチのジェネレータVIOdVではフィードバック制御が粗くなりやすく、その分性能が低い。
    ジェネレーターを理解することは、手術手技を増やすというより、「同じ手技の再現性を上げる」ための武器となる。

    選択肢問題

    Q1. VIOシリーズにおける「EFFECT」と「W」の関係として、最も適切なのはどれ?

    A. EFFECTが上限で、Wが強さそのもの
    B. Wが強さそのもので、EFFECTは飾り
    C. EFFECTが狙う組織効果(強さ)で、Wは上限(リミッター)
    D. EFFECTもWも同じ意味で、どちらを変えても同じ結果になる

    正解:C

    解説: この記事の核です。VIOでは“強さ=W”という感覚が通用しにくく、狙う組織効果(強さの中心)はEFFECT側で決まり、Wは安全側の上限として働く、という整理が一番スッキリします。


    Q2. 「モード」を一言で表すなら、どれが近い?

    A. 通電時間を決める
    B. CUTとCOAGの性格(比率・挙動)を決める
    C. 温度を直接指定する
    D. 組織抵抗を測定する回数を決める

    正解:B

    解説: モードは「どう切って、どう焼くか」の挙動選択です。CUT寄り/COAG寄り/その中間というグラデーションを作っているのがモード、という理解が一番迷いません。


    Q3. シャワーのメタファーで、EFFECTに最も相当するものは?

    A. シャワーヘッドの種類(ジェット/霧)
    B. レバーの握り具合(出る勢い)
    C. 水道の元栓(安全側の絞り)
    D. ホースの長さ

    正解:B

    解説: シャワーヘッドの形=モード、レバーの握り具合=EFFECT、元栓=W(上限)という対応でした。イメージが湧けば、VIOの3変数が直感的に整理できます。


    Q4. 「低いEFFECTに高いW」を設定したときの説明として、この記事に沿うのはどれ?

    A. 最高に強くなるので万能
    B. 安全性が上がるだけで効果は上がらない
    C. 上限を上げても、EFFECTが低いので狙う効果は出にくい(意味が限定的)
    D. 逆に弱くなる

    正解:C

    解説: Wは上限です。上限を上げても、そもそもの“狙う効果”がEFFECT側で決まっているなら、期待した変化は得にくい、というロジックになります(※実機の挙動は機種・モードで差が出ますが、記事の理解としてはこれでOK)。


    Q5. 外付けジェネレーターを併用する執刀者がいる理由として、この記事の流れに最も合うのはどれ?

    A. 見た目がかっこいいから
    B. 設定が面倒なので機械を増やしているだけ
    C. 狙う組織効果の再現性を上げる/世代差や設計差を埋めたいから
    D. どのジェネレーターでも結果は同じなので、気分で付けている

    正解:C

    解説: 本文では、ERBEの思想(reliable / reproducible tissue effects)や、世代差(制御・フィードバック設計の違い)が示唆されました。外付け併用は「手技の問題」ではなく「狙った組織効果を安定して出す戦略」として説明すると筋が通ります。

  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけ。

    技術認定73/80(片方満点)で合格した私が、これらの原則を子宮鏡下筋腫核出術に落とし込んで超具体的に解説します。

    前回は子宮筋腫の削り方について説明しました。今回の作業につながるように、U字に切開するとよいという話をしました。

    今回は埋まった筋腫へのテンションの掛け方になります。

    「簡単でしょ、胎盤鉗子で引っ張るだけでしょ」と思いませんでした?

    手引書のように言語化できていますか?
    実は胎盤鉗子で引っ張る以外に手があるとしたら知りたくないですか?

    お見逃しなく!!!

    TCRの概要の復習 ”めくる、削る、引っ張る”

    子宮に線維腫である筋腫核を核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されるという話をしました。この順番はかなり大切なので再度復習になります。

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    STEP3.引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)

    STEP2.削るの終了時はこちらになります。

    次のステップとして、

    引っ張るあるいは収縮させる、つまり強いテンションをかけるステップに入ります。

    手が一本しかないことはTCRの大きな大きな弱点です。

    一本ということは場を作るようなテンションをかけながら剥離作業をすることができません。

    そのため、まさに剥離している時の操作以外で、一度どこかで強くテンションをかける必要が出てくるわけです。

    次のクールに繋げるステップ

    では、引っ張るあるいは収縮させて強いテンションをかける目的はなんでしょうか??

    TCRの最終目標は子宮穿孔を防ぎながら安全に手術を終えることでしたね。

    子宮穿孔を防ぐには筋層の深くに入り込まないことが大切。つまり筋腫の突出率を高めることが穿孔を防ぐことになるわけです。

    大きく分けて、
    ①胎盤鉗子で直接筋腫を引っ張る方法と②子宮を収縮させることで筋腫を押し出す方法があります。

    胎盤鉗子で牽引

    こんな感じで筋腫を引っ張ることで鈍的剥離され、筋腫が飛び出てくる(突出率が上がる)ため安全に手術を行えます

    子宮収縮剤投与

    子宮収縮の方はどうでしょうか。イメージとしてはこちらのようになります。

    子宮が収縮することで、筋腫が押し出されて突出してくるわけですね。

    具体的には、プロスタグランジン1000μgを頸管に局注することで子宮が収縮し押し出されてきます。

    ただし、収縮するとその分子宮体部が狭くなるため、基本的にはこの方法は使わずに、突出度が低く引っ張りが難しい時に行うようにしてください。

    実際の引っ張り方

    実際のやり方は以下のようになります。事前にどうやって引っ張るか具体的なイメージを掴んでおきましょう。

    この時に大切なのも、穿孔させないこと。繰り返しになりますが、これが最も大切になります。

    実際の引っ張る時の手順は以下のようになります

    1.引っ張りやすいように筋腫を整形する
    2.なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる
    3.筋腫を掴んだら強く牽引する
    4.覗いてよければSTEP1の剥離に戻る。

    引っ張りやすいように筋腫を整形する

    筋腫を引っ張る時にどのように引っ張るかイメージができている必要があります。

    筋腫を小さくすると、剥離層が狭くなり胎盤鉗子でつかみにくいことがあります。その時は引っ張りやすいように剥離を追加するとよいです。

    先ほどの終了時の状態だと掴みにくい状態です。

    なので追加で癒着部位を剥離し、サイドを削って引っ張りやすくしました。

    Screenshot

    認定医症例で突出度が元々高いので、整形の段階でほとんど剥離できてしまってますね。

    なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる

    つぎに胎盤鉗子を子宮に入れます。胎盤鉗子挿入時に気をつけるのはなんでしょうか??

    もういいですよね。防ぐべきは子宮穿孔になります。

    そして子宮穿孔しやすいのは細い胎盤鉗子と太い胎盤鉗子どちらになりますか?

    細い胎盤鉗子になります。細いとそれだけ局所に圧がかかるので穿孔がしやすくなります。

    安全のため、なるべく太い胎盤鉗子を使用しましょう。

    ただし、太すぎると頚管を通らないこともありますし、子宮の中で開きにくいことがあります。

    頚管の開き具合と、脳内のイメージをもとに、使用する胎盤鉗子の大きさを決めていきましょう。

    筋腫を掴んだら強く牽引する

    筋腫を掴んだら強く牽引しましょう。こんな感じで体重をかけても良いです。

    子宮自体は固定していないので思ったより強く牽引しないとテンションがかかりません。

    初めは結構怖いのですが、気持ち強めに引っ張ってみることがコツです。

    ただし、二つのことに気をつけなければなりません。一つはそうです、子宮穿孔!!

    もう一つは頚管裂傷になります。この胎盤鉗子で筋腫を回収できればそこで手術が完了します。だんだん疲れてきて無理に引っ張りすぎることがあります。

    あまりにも強く引っ張ってしまうと頚管裂傷につながることがあるので注意してください。

    覗いてよければ1.めくる(剥離)あるいは2.削る(回収)に戻る

    引っ張れたなぁと思ったら一度カメラで確認しましょう。

    突出が良くなったのを確認できれば、再度剥離あるいは削る作業に戻ります。

    最終胎盤鉗子で筋腫が回収できればそこで子宮鏡での核出は終了となります。

    先ほどの状態から引っ張ると、このようになりました。

    Screenshot

    子宮体部に完全突出した状態となっています。

    あとは再度削って、胎盤鉗子で回収しやすくします。

    再度胎盤鉗子で引っ張って回収できたため終了です!

    引っ張るときの注意点とその対策

    まず穿孔リスクがあります。胎盤鉗子を入れるので当然起こりますよね。経腹エコーガイド下に行うと良いです。

    つぎに繰り返しになりますが、頸管裂傷リスク。胎盤鉗子で捻除ができれば手術は終了となります。なので慣れてくると無理に引っ張り続けてしまうことがあります。滅多にないですが頚管が傷つくこともあるので突出率が高くなればいいなぁ、取れればラッキーぐらいの気持ちで良いのではないでしょうか。慣れるまでは繰り返しカメラで見直しイメージを作り直すと良いですね。

    最後に、視野悪化リスク。胎盤鉗子を使うと視野がかなり悪くなります。子宮内の灌流がなくなること、物理的に傷つくことで血餅が子宮内に出てきます。そうすると視野がかなり悪くなります。視野が悪いと穿孔にもつながるので注意してください。奥までシャフトを差し込み灌流液を流し、止血(鈍的剥離後の)、血餅除去をおこない安全を担保してから再開しましょう

    まとめ

    • TCRの最終目的:子宮穿孔を防ぎつつ安全に核出を完了する。その鍵は筋腫の突出率を高め、深層へ潜り込まないこと。
    • 基本手順の再確認
      1. めくる(剥離) → 2) 削る(回収) → 3) 引っ張る/収縮させる(テンション) → 必要に応じて①へ戻る(※穿孔させない)。
    • STEP3の位置付け:TCRは“手が一本”。剥離中に場を保持できないため、剥離以外のタイミングで強いテンションを一度かけ、次のクールにつなぐ
    • テンションの手段は2系統
      1. 胎盤鉗子で牽引:突出率↑ → 鈍的剥離が進み、安全性↑。
        • 実際の要点:
          • 引っ張りやすい形に整形(追加剥離・サイドを削る)
          • なるべく太い胎盤鉗子を選択(細いほど局所圧↑で穿孔リスク↑/ただし太すぎると頸管通過・開大に難あり→頸管の開きと術野イメージでサイズ選択)
          • 強めに牽引(子宮は固定されないため)
          • カメラで再確認し、突出が良ければ①剥離or②削るに戻る。回収できれば終了。
      2. 子宮収縮で押し出す:プロスタグランジン1000 µgを頸管局注 → 子宮体部が収縮して筋腫を押し出す
        • 注意:腔が狭くなるため基本は乱用しない。突出が低く牽引困難な時の補助的選択
    • 主なリスクと対策
      • 子宮穿孔:細い鉗子は局所圧↑で危険 → 太めの鉗子を選ぶ/経腹エコーガイド併用。
      • 頸管裂傷:回収直前は無理牽引しがち → “取れればラッキー”の姿勢で過牽引を避ける。
      • 視野悪化(出血・血餅)シャフト深挿入で灌流止血血餅除去を徹底してから再開。

    練習問題(単一選択)

    STEP2(削る)を終えた段階。埋没傾向で突出が低い核。穿孔と頸管裂傷を避けつつ、次のクールに安全につなげる最も妥当なアプローチはどれか。

    A.なるべく 細い胎盤鉗子で深部まで差し込み、強牽引して一気に突出させる。
    B. 追加剥離で“掴める形”に整形し、頸管の開きに合わせてできるだけ太い胎盤鉗子を選び、経腹エコー下で牽引する。
    C. 腔が狭くなるのは承知で、全例でPG 1000 µg頸管局注を先行させる。
    D. 突出が低いので、剥離層を犠牲にしてさらに深く削り、筋層内で牽引点を作る。

    正解:B

    解説

    • 目的は突出率↑による穿孔回避。そのためには、まず牽引しやすい形に整形(追加剥離・サイド削り)し、太めの鉗子で局所圧を分散して穿孔リスク↓、さらに経腹エコーガイドで安全性を担保しつつ十分な牽引をかける。そして内視鏡で効果を確認し、①剥離/②削るへ戻してクールを回すのが定石。
    • A:細い鉗子は局所圧↑で穿孔リスク↑。画像誘導なしも不利。
    • C:PGは補助的選択。全例で先行は腔狭小化→作業性低下のデメリットが上回り得る。
    • D:深く削るほど穿孔リスク↑。本質は“深追い”ではなく“突出率を安全に上げる”こと。
  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #2ただ削るだけ?次につながる正しく安全な削り方。

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #2ただ削るだけ?次につながる正しく安全な削り方。

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?

    実は他の手術と全く同じことをしていると聞いたらびっくりしませんか?


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけなんです。

    大丈夫です!

    技術認定73/80で合格した私の秘伝のコツを全てお伝えします
    (お一人の審査員からはありがたいことに文句なしの満点とのコメントをいただきました。)

    前回はMPCについての説明及び、剥離部位、剥離の方向について解説しました。原理はLMと同じだが、子宮穿孔を避けるためリング状に剥離をするという話でした。

    今回は削り方になります。

    簡単でしょ、削るだけなんて

    と思いませんでした?

    実は削り方にも”正しい削り方”が存在します。

    ここを間違えると、子宮穿孔につながったり、筋腫を全て取りきれずに中断といった我々ドクターにとっても、患者さんにとって最悪の終わり方になります。

    知りたくないですか??知りたいですよねっっ??よね??

    どこにも載っていないここだけの秘密のコツ、伝授いたします!お見逃しなく。

    TCRの概要と”めくる、削る、引っ張る”

    再度、復習です!模式図はこちらになります。子宮に線維腫である筋腫核があります!
    これを核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されるという話をしました。この順番はかなり大切なので覚えておいてください。

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    STEP2.削る(回収)

    剥離後の状態

    前回の”剥離する”を終えて以下のようにリング状に剥離面が残っています。

    削る(回収)目的

    削る目的は、腫瘍の回収のほか、視野とワーキングスペースの確保、ひいては子宮穿孔の回避になります。

    剥離をしていくと、だんだん筋腫核が子宮腔内に突出してくるので、だんだんと視野とワーキングスペースが少なくなってきます。

    結果、無理な角度での剥離となり、子宮穿孔につながるわけです。

    具体的な削り方

    目標となるイメージ

    手術では終わりの像がきっちりイメージできていないと、上手にできません。

    具体的なイメージの大切さに関しては、こちらが参考になると思います。読者数がほぼいない、初期の頃に書いた記事ですが、手術の本質に迫るものだと自負しています。

    https://sogogyne.online/%e5%ba%83%e9%96%93%e8%86%9c%e8%85%94%e3%81%a8%e3%83%80%e3%83%93%e3%83%87%e5%83%8f/

    結局は自分のイメージ。ゴールイメージがないのに適当に触るようでは、
    卵焼きを作ろうとしてぐちゃぐちゃのスクランブルエッグを作ってしまったような状況になります。

    それが人の体で起きると思うと恐怖ですよね。

    では、早速STEP2.削るの最終イメージを見ていきましょう!こちらとなります!!

    着目してほしい部分はたった2点

    ・手前の剥離層が残っている
    ・筋腫がUの字に凹んでいる

    これらについて詳しく解説していきます。

    手前の剥離層を残こす

    筋腫を削る目的はなんだったでしょうか?

    そう、視野ワーキングスペースの確保と子宮穿孔の回避になります。

    では、ただ削るだけでいいのでしょうか。

    もちろんダメです。次のステップにつながるように削らないようでは、うまく行きません。

    料理の時に、先に材料を全て出して、次の動きを確認してから行うと効率よく上手にできますよね。何事も計画が必要です。

    図の左側を見てください。

    そうです、あえて剥離部分を残しています。TCRのステップを見直すと、

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    一番下の部分を見てください。核出が終わるまで3STEPを繰り返すことになります。

    剥離部分を残しておくことで、次のターンのSTEP1.めくる(剥離)がかなりやりやすくなります。

    残しておかないと、再度剥離層を見つける必要が出てきます。さらに言うと後からの方が剥離層を見つけることが難しくなっています。だから正しい剥離層は残しておく意識が必要です。

    これって結局、他の手術と同じですよね。LCで卵巣切開を広げる時、少し剥離層を残して切るようにしていませんか?

    繰り返しになりますが、TCRも他の手術と原則は同じです。剥離面が残るように切開します。

    そのために、必要な技術があります。それは、筋腫の細断時に、切りきる前に剥離面が残るように動かす必要があります。

    図の切開終了部に注目してください。

    矢印のようにUの字を描いて切開していくと

    しっかりと左の剥離面が残っていますね!

    では真っ直ぐ切ってしまうとどうなるでしょうか

    剥離面が狭くなりましたね。

    これを続けると、剥離した部分がどんどん少なくなり、次のSTEPの時に剥離面がなくて困ってしまいます。そして、無理に進めることで子宮穿孔につながるわけです。

    個人的な感覚としては切り切る直前に、電極を筋腫から離すような感覚です。

    実際の画像

    真ん中を窪ませて(Uの字)、端(剥離面)をのこすのです。

    筋腫をUの字に凹ませる

    Uの字に凹ませる目的はなんでしょうか?

    もちろん先ほどの剥離面を残すために結果的にUの字に近づくわけですが、真ん中を窪ませる重要な意味が他にもあります。

    これは3STEPの3つ目につながります

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    解説は次回にSTEP3の記事に譲りますが、真ん中を窪ませるのはかなり重要なコツになりますので覚えておいてください。

    削るステップの図

    模式図

    Uの字に削る。真ん中を凹ませ、手前の剥離面を残す

    これを繰り返す

    完成像がこれ!つぎのターンの剥離につながるように剥離面が残り、STEP3のテンションをかけるにつながるように窪ませる!

    実際の画像

    では実際の手術の画像も最後確認してみましょう。

    付着部位が画面10時方向なので、反対側の4〜5時方向から削り始めます。

    Uの字になるように削っていきます。削ったものは毎回回収するようにします。

    右下にワーキングスペースができていますね。そして、左上になるべく剥離部位が残るようにしています

    この記事の超要約(3行+要点)

    • 「めくる→削る→引っ張る(収縮)」の3ステップを、安全マージンを守って“何度も小さく”回す。
    • 削るときはU字に凹ませて中央を落とし、手前の剥離面を意図的に残す
    • 目的は視野とワーキングスペースの確保子宮穿孔リスクの低減。無理な角度の剥離はしない。

    要点チェック

    • 付着側の反対から削り始めるとワーキングスペースを作りやすい
    • 真っすぐ切るより、切り切る直前に電極をわずかに離しながらU字を描くと剥離面が残る
    • “削ったらこまめに回収”で視界を常にクリアに
    • 次ターンのSTEP1(めくる)に備え、剥離層を残す設計で削る

    ミニテスト(回答・解説つき)

    Q1.最も不適切なのはどれ?

    A. 削りで中央をU字に凹ませ、手前の剥離面を残す
    B. 付着側の反対側から削り始め、ワーキングスペースを作る
    C. 視野が悪化し始めたら削片をこまめに回収する
    D. 剥離面は後で作り直せるので、早めに消しておく

    正解:D
    解説: 次ターンの「めくる」を容易にするため剥離面は残すのが原則。消すと再発見が難しくなり穿孔リスクも上がる。


    Q2.削りの電極操作として最適なのはどれ?

    A. 一筆書きで真っすぐ切り切る
    B. 切り切る直前に電極をわずかに筋腫から離しつつU字を描く
    C. 切離完了まで電極を押し付け続ける
    D. 剥離面側から中央へ直線的に押し込む

    正解:B
    解説: U字で離し気味に仕上げる手前の剥離面が温存でき、次ターンの「めくる」が安定。真っすぐは剥離面を痩せさせる。


    Q3.TCRの運用として最も適切なのはどれ?

    A. めくる→引っ張る→削るの固定順で、大きく一回転のみ
    B. めくる→削る→引っ張る(収縮)を穿孔させない範囲で小刻みに反復
    C. 削りを最初に完了させ、その後に一度だけ大きくめくる
    D. 引っ張る(収縮)は視野確保に寄与しないため省略

    正解:B
    解説: 本記事の骨子。三段階を安全マージン内で小さく回すことで、視野・スペース確保と穿孔回避を両立し、核出を前進させる。

  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #1めくる時に輪を乱さない

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #1めくる時に輪を乱さない

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?

    実はちゃんと理解しコツさえわかれば、何も難しい手術ではありません。


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけ。

    ただ、大きな大きな違いが一つあります。

    それは・・・

    手が一本であること。

    まさに一本槍。これで戦えるのか・・・?

    大丈夫です!

    今回、技術認定73/80で合格した私の秘伝のコツを全てお伝えします
    (お一人の審査員からはありがたいことに文句なしの満点とのコメントをいただきました。)


    TCRをここまで詳しく言語化した記事は他にないはずです。ぜひお見逃しなく。

    この記事でわかること
    ・TCRにおける第一歩「めくる(剥離)」の考え方
    ・MPC(Myoma Pseudo-Capsule:筋腫偽被膜)の大切さ
    ・子宮穿孔を防ぐための必須テクニックです。

    TCRの概要と”めくる、削る、引っ張る”

    模式図はこちらになります。子宮に線維腫である筋腫核があります!
    これを核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されます

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る

    1めくる(剥離)

    まず切開を入れることからTCRは始まります。

    切開を入れて、筋腫の層を同定する。その後、筋腫に沿って核出していく。これにつきます。

    まず、筋腫を包む皮の部分(子宮内膜および筋層)を切開して筋腫を剥き出します。

    そしてみんな大好き、あわあわの層(Fascia)があるのでそこを剥離していけばいいのです。

    ここを子宮鏡界隈ではMPC(Myoma Pseudo-Capsule(筋腫偽被膜))と言います。

    MPC = Myoma Pseudo-Capsule(筋腫偽被膜)とは
    筋腫を取り巻く薄い“偽被膜”で、平滑筋・膠原線維に神経血管束が走る層。ここを温存して偽被膜内(avascular plane)で剥離する「intracapsular myomectomy」が推奨されます
    ・なぜ重要?
    出血を抑える:偽被膜内を進むと出血が少ない。Taylor & Francis Online
    治癒と妊孕性に良い:偽被膜を損傷すると神経ペプチド・神経線維が減少し筋層治癒が不良になりうるため、温存が望ましい。PubMed,EJOG
    合併症が少ない:偽被膜を温存した核出は治癒促進や合併症の低減と関連。Academic Oxford

    子宮鏡は超超超超絶近接視野、そして水を灌流しながら手術を行うことから見えてくるクリニカルアナトミーだと個人的には理解しています。

    このMPCの層の一番筋腫の核側を剥離することでなるべくMPCを温存でき、予後が良いと考えています。

    MPCの層の同定方法

    まず、MPCの層を同定することからTCRは始まります。

    ①カットで内膜を破ります。そして内膜、MPC、筋腫との境を探します。

    実際の手術ではこんな感じ

    ちなみに、わかりにくい時は筋腫ごと切ってしまっていいです。

    LMの時に子宮筋層を切る時に筋腫まで切開を深くすることで境を明瞭にするような感じです

    ②そして層を見つけるために、押す!!硬い筋腫核と、柔らかい筋層があり間の層を見つけるのは簡単です。

    適切なテンションをかけることで綺麗な層に入る。これも他の手術と同じですね。

    手が一本なだけです。

    この時、絶対にしてはいけないことがあります。

    それは、

    子宮の層を押すこと。

    え、どうゆうことでしょう。

    TCR特有の大きな合併症がありますよね。

    なんですか?

    そうです。子宮穿孔です!!

    これは基本的に奥に突き刺すことで生じます。特に剥離部位が奥に行けば行くほど危ない。

    じゃあどうすればいいの?

    答えは・・・筋腫を押します。

    筋腫を押しても子宮穿孔はしません。筋腫をぐいぐい押して境を見つけましょう。

    これでMPCの層が出ましたね。思ったより簡単ですよね。

    ①内膜を筋腫が見えるまでカットする
    ②筋腫を押してMPCの層を見つける

    MPCの層の剥離 方向は“輪”を守れ

    MPCの層がわかれば、次はMPCに忍びこませた電極で剥離を進めていきます。

    この時、絶対にしてはいけないことがあります。

    それは、”奥に向かって剥離”を行ってMPCの層を進むこと。

    え、どういうことでしょう。(デジャブ・・・?)

    TCR特有の大きな合併症がありますよね。

    なんですか?

    そうです。

    子宮穿孔です!!(もうわかりましたね)

    基本的に子宮穿孔は奥に突き刺すことで生じます。特に剥離部位が奥に行けば行くほど危ない。(大切なので2度言いました)

    じゃあどうすればいいの?

    答えは・・・リング状に剥離する。

    つまり日本人大好き、和(輪)を乱さないことが大切なわけです。(題名回収)

    まだよくわからないと思うので、こちらのイメージ図をご覧ください

    ぐるぐる筋腫をなぞるようにリング状に剥離していきます。この時に大切なのは、輪を乱さないこと。一部深くいくとそれだけ一部にテンションがかかり穿孔のリスクが高まります。

    以下のようにリング上に剥離を進めていくわけです

    決して一部分を深くやってはけません!!輪を乱さない。これ大切です。

    実際はこんな感じ

    今回はめくる方法(MPCの同定と剥離)について解説しました。次回は削る(回収)について、そのタイミング、やり方について解説します。どうぞお楽しみに。

    更新はXで通知しています。続きが気になる方はどうぞフォローしてお待ちください。

    問題

    TCRにおけるMPCの剥離で最も重要なことはどれでしょうか?
    A. 奥に向かって一気に剥離を進める
    B. 子宮を強く押して境界を探す
    C. 筋腫を押して層を同定する
    D. 一部を深く剥離してから広げる

    解答

    C. 筋腫を押して層を同定する

    解説

    子宮穿孔の多くは「奥に突き進む操作」で起こります。そのため、子宮を押すのではなく「筋腫を押す」ことでMPCとの境界を安全に見つけるのが基本です。さらに剥離はリング状に均等に行うことで、テンションを分散させて安全性を高めます。

  • 【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#3「他の次元に逃せ!!」

    【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#3「他の次元に逃せ!!」

    「ロボット手術って便利だけど、アームがぶつかって作業しづらい…」そんな経験、ありませんか?

    アーム干渉を乗り越えるためのシリーズも最終章に来ました。#1では球を二次元に落とし込んで解説し、#2ではアームの役割ごとに考えるアーム配置といった理論を説明しています。

    ただ、実際やってみると理解していてもできないことがなんて多々ありますよね!

    今回は理論を超えた実践編となっています!!ぜひ目を通してみてください。後悔させません。

    この記事でわかること

    • ロボットアームの干渉が起きる理由
    • 円ではなく“球”で考えると何が変わるか
    • 干渉を防ぐための具体的な配置のコツ

    アームの干渉、それは“平面思考”の罠

    ロボット手術を始めた頃、私もよくアームをぶつけては「あれっ、動かない!?」と焦ったものでした。

    干渉を避けるには空間を上手に使うことが大切ですが、そこで多くの人がハマるのが「円」で考える癖です。

    お前がいってたんやろ!と言う声が聞こえてきます。

    確かに、上から見れば円の配置(例えばカメラを中心にアームを円周上に配置する)で問題が解決しそうに思えます。

    実際、図にすると綺麗に見えるんです。

    でも手術は立体です。真横から見たり、奥に進んだり、斜めから剥離したりと、動きは3D。円という2Dの発想だけでは限界があるんですね。

    ぶつかった時に考えることは「3rdアームを他の次元に逃がせ!」

    では実際の術中での操作ではどうするのか?

    答えは・・・

    3rdアームを他の次元に逃せ!!

    他次元と言っても、当然時間を遡るわけではないです。

    上下、左右、手前奥の3次元から、一つでいいので干渉を取り除けそうな次元を考えて3rdアームを逃してください。

    よくわからないですよね笑

    大丈夫です。わかるように解説していきます!

    基本配置

    まず鉗子配置はこうですよね。

    1stバイポーラ、2ndモノポーラー(カット用)、3rdカディエール(展開用)

    ①3rdアームは助手の手として大きい展開を作る
    ②1stと2ndは術者の両手として処理を行う

    この運用が基本です。

    例:右の円靱帯の切断

    次の画像は右の円靱帯を切ろうとしている場面です。

    一旦筋腫が引っ掛けやすそうなのでここを押さえてテンションをかけています

    このまま処理するとどうなるでしょうか。

    左手のバイポーラー(1stアーム)で円靱帯の奥を引っ張り上げ、右手のハサミモノポーラー(2ndアーム)で処理することになります。

    配置はこうなり展開が小さくなっています。

    3rdアームと2ndアームが近いですね。

    ぶつかりますし。円靭帯を切った後に骨盤漏斗側の処理ができません。

    ここで考えるのが、3rdアームを他の次元に逃がせ!

    下に逃してみましょう。筋腫に引っ掛けるのをやめて、子宮体部の下を押して展開します。

    かなり空間が広がりましたね!アームを書き足すとこうなります。

    3rdアームを左に持っていっている段階で干渉しやすいのですが、下に逃すことで干渉を防いでいるわけです。

    さらに細かいTIPS

    実は抑える時に以下を行なっています。

    ①手首を曲げて、指先を上に向けてアームの位置を下げている
    ②下へずらしただけでなく、左手前に子宮を押して空間を広げている

    ↓曲げているところ

    押している様子

    このような細かい調整で手術のやりやすさはかなり変わってきます!!

    他次元の考え方は“手術の快適さ”に直結する

    ある日のロボット手術。子宮体部の処理中、3rdアームがカメラに近すぎて剥離の視野が取れず大苦戦。汗だくで、ロボットなのに原始的な苦労…。

    「もう少し奥に配置しておけばよかった…」と反省しながら、ふと思いついたのが“球”のイメージでした。

    カメラを球の中心としたとき、3rdアームが手前に向かってきていたのです。つまり、球の中にアームが入り込んでいた。
    これではスペースが狭くなり、他のアームとも干渉しやすくなって当然。

    そこで、次の症例では3rdアームを球の外に押し出すように配置。
    結果、剥離の視野はスムーズ、展開も軽やか。3rdアームがまるで空間を“押し広げてくれる”ように感じられました。

    このとき私は確信しました。「ああ、他の次元に逃がせばいいのだ」と。

    まとめ:空間を征する者が手術を制す

    ロボット手術は立体を活かせる手術です。
    どこかアームを逃すことができないかを考えることで、アームの配置も干渉も劇的に改善します。

    次の症例からぜひ、「他の次元に逃がせ!!!」を意識してみてください。

    「なんか今日はやりやすいな」そう感じたなら、あなたの脳はすでに3Dモードに切り替わっている証拠です。

    更新情報はX(旧Twitter)でお知らせしています。手術のヒントを見逃したくない方は、ぜひフォローをどうぞ!


    問題

    ロボット手術においてアームの干渉を防ぐために有効な考え方はどれか?

    A. アームの長さを揃えることに集中する
    B. カメラから見て左右対称になるよう配置する
    C. アームをどこかに逃がせないか考える
    D. すべてのアームをできるだけカメラの近くに配置する

    解答:C
    解説:干渉を防ぐには、アームをカメラ近くに密集させるとスペースが狭くなり、干渉リスクが高まるためDは誤り。左右対称や長さの統一は一因にはなり得るが、立体構造を考慮するCが最も本質的な対策となる。

  • 【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#2「アームごとの役割からか考えるといいよ。」

    【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#2「アームごとの役割からか考えるといいよ。」

    ロボット手術のとき、アーム同士がガチャガチャとぶつかって「あぁっ!やりにくい!」と感じたことはありませんか?

    ロボットアームは便利な反面、正しく使わないと自分で自分の首を絞める結果になりかねません。でも大丈夫、コツはあります。しかもたった一つの考え方に集約されるのです。

    前回は、一旦3rdアームを離すことで、大きな球(ワーキングスペース)ができて干渉を防げると言う原理の話を行いました。

    この記事でわかること

    • 3rdアームの本当の役割
    • アーム干渉を防ぐ配置のコツ
    • 現場で役立つ“リストの向き”の考え方

    各アームは「なんの手?」

    まず覚えておいてほしいのは、ロボットアームには“役割分担”があるということです。

    3rdアームは、まさに「助手の手」そのもの。
    術野を大きく展開してスペースを確保するために使います。”大の展開”や”場を作る”と言いますね。

    一方、1stと2ndアームは「執刀医の両手」
    実際に手術を進めていくためのアームになります。この2本で組織を微調整しながら、慎重に剥離を進めていくのです。

    つまり、こういうことになります。

    • 3rdアーム:展開の基盤をつくる
    • 1st & 2ndアーム:その空間内で繊細に操作する

    この役割をきちんと認識しておくだけで、動かし方がグンと変わってきます。

    この記事で展開方法については詳細を書いています。⇩

    https://sogogyne.online/jutyatenkai/

    干渉の原因は“手の向き”にあり 

    では実際の配置について。

    アームがぶつかって困る、というとき、その多くはアームのリスト(手)の向きが原因です。

    例えるなら、思いっきり内股にして動いているようなもの。そりゃあぶつかってしまいます。

    理想的な配置はこうです:

    手が向かい合うように配置する。つまり、1st・2ndアームを使いたい向きと相対するように、3rdアームのリストの向きと合わせて配置する

    例えば以下の図を見てください。

    以下の3点を把持したいと思います。

    この時の配置は以下のようになります。

    まず、3rdアームがなるべく外側に行くように配置します。つまり内側に手を向けます。(前回の記事参照)

    そしてその後の、1stと2ndの手が向かい合うようにします。

    イメージは、3rdアームが空間を押し広げてくれて、1st・2ndアームがその中で繊細な作業をする“舞台”を与えてくれている感じです。

    失敗例

    これが持つところは同じで反対向きにするとどうでしょうか

    まず、カメラに近くなるように3rdアームを手首が外側になるように配置します。

    そして1st.2ndアームも手が外側に向くように配置。

    アームの位置を見てください。だいぶ窮屈になっていますよね。

    もはやカメラ当たってます。

    手を外側に向けると干渉しやすいのです。

    ある日のオペ:3rdアームが空気を変えた

    ある症例、巨大子宮のRASHで行っていたときのことです。

    助手が腟パイプで良いテンションを取ってくれていたものの、1stアームでどうしても届かない、角度が取れないという場面がありました。

    そこで私は、3rdアームで子宮を左奥に持ち上げて空間をしっかりと広げてみました。するとどうでしょう、処理したかった右上行枝が見事に露出。あとは1stアームでそっと滑り込ませるだけで処理完了。

    「視野が変わると、手術が変わる」とはこのことかと実感しました。

    まとめ:3rdアームで空間を操る者が勝つ

    ロボット手術で最も重要なこと、それは“空間をどう作るか”。

    そして、その空間を操るのが3rdアーム。展開の基礎を築き、1st・2ndアームがその空間で踊るように働く——これが美しい手術のかたちです。

    アームがぶつかる? 視野が狭い?

    そんなときは、3rdアームの配置とリストの向きを見直してみましょう。

    きっと新しい術野が見えてくるはずです。

    アーム配置の極意:3rdアームは“助手の手”。そして基本は向かい合わせになるようにアーム配置

    次回は、「それでもダメな時・・・」についてご紹介します。X(旧Twitter)で更新通知しているので、ぜひフォローをお願いします。


    問題

    問題

    ロボット手術において、アーム同士の干渉を避けるために重要な工夫はどれか?

    A. 3rdアームは操作しないようにする
    B. 1stアームと2ndアームを内向きに曲げる
    C. 3rdアームと1st・2ndアームのリストの向きを向かい合わせに配置する
    D. すべてのアームを同じ方向に向ける

    解答

    C

    解説

    3rdアームのリストの向きと1st・2ndアームのリストの向きを“向かい合わせ”にすることで、アームの動線が交差しにくくなり、干渉が防げます。全アームを同方向に向けるとむしろ干渉のリスクが高まります。

  • 【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#1「3rdアームで”巨大な球”を描け!」

    【アーム干渉】誰でもできる!ロボットアーム干渉ゼロ配置のコツ。#1「3rdアームで”巨大な球”を描け!」

    ロボット手術中、気づけばアーム同士が絡まり動きにくくなり、

    「バチん!」

    そんなアーム干渉によるヒヤリを経験したことはありませんか? 

    原因の9割は3rdアームの位置にあります。

    この記事では

    • なぜ球体イメージで干渉を防げるのか
    • カメラ中心からアームを遠ざける具体的ステップ

    を解説します。読めば明日の症例で視野が一段と広がるはずです。

    今回の話は他の開腹手術や経膣、腹腔鏡にも応用可能です。ぜひ見てみてください。

    干渉原因は??

    なぜアーム同士が干渉するのか?

    その理由として、以下の三つが考えられます

    • 全体が見えにくい
    • 触覚がない
    • アームが太い

    つまり、ロボットは近接視野で行うので、俯瞰した視野を取りにくく全体像が見えにくい。また、触覚もないのでぶつかっているという感覚が少ない。さらに、腹腔鏡の鉗子と比べてアームが太くぶつかりやすい。

    核心はたったひとつ 3rdアームで巨大球を作ろう

    これらを解消するための考え方をお教えしましょう!

    カメラを中心に3rdアームまでの球を描き、その球をできるだけ大きく保つ

    ——これこそが干渉ゼロの秘訣です。

    解説

    円で考えていきます。本当は3次元で直感的に説明できるといいのですが、2次元が最も人間が認識しやすいと言われています。

    (人間は3次元で情報を理解するのが苦手です。現代で最も優れた情報整理の方法は表形式(2次元)と言われているほどです)

    カメラから3rdアームまでの距離を半径とした円

    まず、アームがありますよね。

    カメラから3rd

    アームまでの距離を半径とした円をイメージしてみてください。

    そこにアームが来ているイメージをしてください。こんな感じですね。

    弓道の的をイメージしてください。3rdアームの位置を工夫し、この円をなるべく広くなるようにする(アームを中心から離す)ことで、干渉が起こりにくくなります。

    この図で言うと円は青の部分になります。大きな円で干渉がないですよね。

    干渉する時

    仮に3rdアームを中心に近づけて、小さな円にしてみるとどうなるでしょうか。

    アームが干渉します。

    まとめ

    今回はロボットアームの干渉の防ぎ方をかなり簡略して解説しました。

    やることは、カメラを中心とし、3rdアームまでの距離を半径とした球をイメージして、その球がなるべく大きくなるように3rdアームを配置するだけです。

    それでもうまくいかないこともありますよね。

    なぜそうするといいのかの深掘り、そして、うまくやるTIPSについて続きで説明していきます。

    ぜひXをフォローしてお待ちください!

    問題

    ロボット手術において、アームの干渉を防ぐために推奨される3rdアームの配置はどれか?

    A. カメラのすぐ近くに3rdアームを配置することで繊細な操作を可能にする
    B. 3rdアームを中心(カメラ)からできるだけ遠ざけて、大きな球をつくるように配置す
    C. 3rdアームを内側に曲げ、アーム同士が接近するように配置する
    D. 干渉を避けるため、3rdアームはなるべく使用しない

    解答解説

    B. 3rdアームを中心(カメラ)からできるだけ遠ざけて、大きな球をつくるように配置する

    記事では、カメラを中心に「球」を描き、3rdアームがその球の外縁になるような大きな球体をイメージして配置することで、アーム同士の干渉を避けられると説明されている。逆にカメラ近くにアームを配置すると球が小さくなり、アームの動作範囲が狭まり干渉が起きやすくなる。

  • 運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    縫合に自信ありますか?

    縫合難しいですよね。特に腹腔鏡になると・・・

    実は、

    運針の原則はたった2通りしかないと聞くとどうでしょう。

    できる気がしませんか?

    今日の縫合やらせてもらえませんか?」と自信を持って言えるそんなふうになりたくないですか?

    この記事では、縫合で針を自在に操るための基本動作とコツを、初心者にも伝わるように解説します。自信を持った自分になるための2分をどうぞ。

    運針の2原則

    運針技術は患者を守る

    縫合は外科医にとって最も大切な手技の一つですよね。

    出血が止まらない時の最後は縫合。組織を再建した時の出来上がりを決めるのも縫合。

    止血と、再建って完全に外科医の中心に位置する手技ですよね。

    つまり、縫合がうまいかどうかで外科医としての器量を図ることができる。こう言えるかもしれません。

    押すか、回すか。それだけ。

    「針の動かし方は二つだけ」と聞くと、「え?それだけでいいの?」と思うかもしれません。

    でも、このシンプルさこそが奥深さの入口

    その二つとは

    押すか、回すか。

    たったそれだけの組み合わせで、針はまるで意思をもったように滑らかに、思い通りに動いてくれます。

    そう、まるで革細工の職人の指先のように。

    「回して、向きを合わせたら押す」


    押してから回すこともありますがこの順番が基本です。

    針先の向きが進行方向と合っていれば、組織の中をするっと気持ちよく進んでくれます。

    まずはその針先、「顔」を向けてやる必要があるんですね。

    下は腹腔鏡下の子宮核出の場面です。粘膜下に近く死腔を作らず縫合するためにプルアップ法(禁酒を残したまま底を縫っていく方法)を用いているところです。

    端の縫合のため、Vの字に運針する必要があります。

    やることは?

    回して押すだけ!!

    やっていることは単純ですよね

    実際のやり方

    向きを合わせる:針先を中心に動かす

    では、実際に「右に出したい」場合。

    これはつまり、筋膜の右側に針を抜きたいということ。

    そのときは、まず針の向きを右に。ぴたりと方向が合ったら、そこでぐいっと押し出します。

    ここでポイント

    針先の向きを変える時は、針先を回転の中心とする。

    針先を回すときにシャフトを移動させる必要があります。

    押す

    向きを合わせたら、それから押す。

    まるでハンドルを切ってからアクセルを踏むようなものです。

    向きと推進力、この両輪が針をコントロールする鍵となります。

    左手で調整する

    ここまでで「押す」「回す」の2つの基本操作がわかりましたが、もう一つ重要なテクニックがあります。

    それが「左手で組織を引っ張る」こと。

    え、なんで左手?と思ったあなた、実はここが職人の技の見せ所なんです。

    ポイントは

    出したい方向と逆に引っ張る

    たとえば左に運針したい場合は、組織を右に引っ張る。すると針の通る道が自然に左へ向き、摩擦も減ってスムーズになります。

    手前に出したい時はどうすればいいですか?

    手前に出すなら左手で組織を奥に押します。

    考えてみれば当然ですが、案外できていない人は多いので意識してみてください。

    ちょっとした左手の力加減が、縫合全体のリズムと精度に直結します。

    素振りしてみよう

    ドライボックスと手術中で感覚は違いますよね。

    これは、どうしても角度や距離感やカメラの問題がるためしょうがないです。

    ドライボックスでめちゃくちゃに練習したのに、手術中は思うようにいかない。

    そんなのはあるあるです。

    そんな時は素振りをしてみましょう。何ミリ入れた後、回し始めるのか。実際素振りをしてみてください。

    自在に針を操るという感覚と素振り

    はじめは「え?なんで思ったところに出ないの?」と焦ることもあるでしょう。

    でも、向きを合わせてから押す。そして左手で組織を引っ張る。この一連の動作が一体化してくると、不思議なことに針が「勝手に動いてくれる」感覚を味わえるようになります。

    これはちょっと大げさに言えば、縫合というよりも「針と踊る」感覚。針の動きを制御するというより、針と呼吸を合わせるのです。まるで太極拳のような静かな力強さ。

    まとめ

    針の動かし方は、驚くほどシンプル。押すか回すか、そして左手で引っ張るか。その3つを極めるだけで、縫合はぐんとスムーズになります。

    最初は動きがぎこちなくても、繰り返すうちに、針の先があなたの「手の延長」に変わる瞬間がきます。焦らず、向きを見て、そっと押してみましょう。

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    問題

    針を左に出したいとき、適切な操作はどれか?

    A. 針を右に回して押す
    B. 組織を左に引っ張りながら針を押す
    C. 針を左に向け、組織を右に引っ張って押す
    D. 針をまっすぐのまま押し込む

    解答
    C

    解説
    針の動きは「向きを合わせてから押す」が基本。また、出したい方向とは逆に組織を引っ張ると、針がスムーズに進みます。したがって「針を左に向け、組織を右に引っ張って押す」が正解です。

  • 2024 ロボット認定医 チェックポイント抜粋

    2024 ロボット認定医 チェックポイント抜粋

    婦人科内視鏡学会のHPの審査指針と評価表を参照

    合格点

    初年度は合格点を中央で決める。66点満点。

    ロボット操作

    ロールインロールアウト

    いつも通りで良い。
    インスツゥルメント抜去時にカメラで追わなくて良い。
    ポート抜去や針の抜去はカメラで追う。

    ロボット操作

    リストとしっかり曲げて使ってアームの干渉を防ぐ

    組織は愛護的に

    静止しているアームがカメラ操作によって視野外に出ることは構わないし、静止させているアームをわずかにテンションのために動かすのは良い。

    ただし、見えていないアームを動かすのは基本やめた方が良い。視野外で見失うのもダメ。

    縫合の針をもって視野外に移動したら明確な減点対象

    カメラ操作

    少し汚れても操作に問題なければ大丈夫。

    中心に視野を持ってくる方が良いが、アーム干渉を防ぐためならずれてても良い。

    エネルギーデバイスの過剰な放電は減点対象。

    バイポーラーの先が汚れていても止血に支障がなければ減点とならない。

    子宮動脈と尿管と基靭帯

    子宮動脈

    本幹同定はしなくて良い。

    尿管

    尿管走行の確認が必要。尿管の露出はしなくて良い。

    基靭帯

    膀胱をしっかりおろし、基靭帯背側(広間膜後葉側)の剥離を行うこと。

    切断時は1㎝以上尿管から離れていること

    結紮はいらない。

    腟切開、回収、腟縫合

    腟切開は何で切っても良い。

    子宮回収の様子は動画におさめる。回収をカット編集しても良いがレポートに記載を。

    縫合は結紮が必要。

    腹膜縫合はどっちでも良い。腹膜縫合したらその分減点のリスクあり。

    その他

    マニュピレーターでも良いが穿孔したら減点。

    癒着防止剤は採点対象外

    卵巣の温存や切除に関しては理由をレポートにしっかり書くこと。

    卵管の切除理由はレポートにいらない。

    膀胱鏡は採点対象外 どちらでも良い。

  • 背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    手術室で「もう少しで終わるはずなのに、ザクロが切りきれない・・・」と汗をかいた経験はありませんか?

    子宮全摘のクライマックスで立ちはだかるのが 仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい:子宮を仙骨に繋ぎ骨盤奥で支える太い靭帯)です。

    ザクロをしっかり切りきれていないと腟管切開が本当に難しくなりますよね。

    実は、切りはじめの場所を変えるだけで、その“ラスボス感”はあっけなく消えます。

    この記事でわかること

    ・なぜ上から切ってはいけないのか
    ・背側アプローチが楽になるメカニズム
    ・具体的な切り方と注意点

    仙骨子宮靭帯、まずは位置をイメージ

    子宮頸部の両サイドから斜め後方へ伸び、仙骨側に固定される腹膜下の繊維組織のたわみ――それが仙骨子宮靭帯です。

    前面はマニュピレーターやロボットアームで持ち上げるとたわみますが、背面は骨盤壁にピタッと貼り付きほとんど動きません。この「背側で固定、腹側で可動」という二面性が切離方向のカギになります。

    https://sogogyne.online/sacro/

    背側から切ると何が起こる?

    核心は一文でいうとこうです。

    靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる。

    わかりにくいので、何個かに言い換えてみます。

    上(腹側)から切るとずり落ちるので、下(背側)がさらに切りにくくなる

    組織を切ると、子宮の可動性が上がり子宮が上に上がるが、ザクロは背側に固定されているので相対的に背側に落ちる。

    基本的に人間上から処理したくなります。開腹の時代から上から上から処理していますし、ダイヤモンド配置(術者の右手が下腹部正中)の場合も上からになります。

    しかし、仙骨子宮靭帯は幅広い組織になるため、上から切るとどんどんずれ落ちていきます。

    画像で見る

    少しわかりにくいので画像で見ていきましょう

    こちらは仙骨子宮靭帯の処理の場面です。バイポーラーで掴んでいる部分をザクロとします。

    わかりやすくするため、

    左上から

    赤いボックス①

    黄色いボックス②

    青いボックスとします。①が一番高く、③が一番低い位置に存在しています。

    上から切ると

    例えば、上からつまり、①を切ると子宮が上のテンションかかっていると、②③が想定的にずり落ちます。①は外れて縮みます。

    さらに上から②切ると残った③がさらに下に下がります。
    そうすると、元々下にあった③がさらに下に行くことで処理が難しくなり、結果残ってしまいます。

    下から切ると

    次にしたから切ってみましょう。つまりから切ると、同じように①②が下がりますが、元々高い位置に存在するので多少ずり落ちても大丈夫です。

    上記のように、元々下にあるものは先に処理してしまった方が良いのです。

    腹側を先に切る: 支点が残ったままテンションが逃げ、靭帯が下へ滑落 → 毎回持ち直し&深追いで時間と出血が増える。

    背側を切る: 固い固定点を解除 → 靭帯全体がふわりと前方へ緩む → 下端が視野中央に留まり処理しやすい。

    いろんな言い換えをするなら、いわゆるアルドリッチになるので、やりにくい下の部分を先に処理してしまおうということです。

    追加考察:周辺組織の影響

    もう一つ、したから行くとずれにくい理由があります。

    それは、内側より外側の方が硬いから

    尿管下腹神経筋膜などの組織の存在。外側(①側)には尿管下腹神経筋膜や上行枝につながる組織がたくさんあります。

    一方で内側(③側)には何もありません、直腸腟間隙ですので可動性がとてもいいです。

    可動性がいい方が残ってしまうと、より下にずり落ちやすくなります。

    しっかりと固定されている①側はズレにくいので残してあとから処理してもいいのです。

    イメージはカーテン。カーテンレールに引っかかっているカーテンです。

    上を外してしまうとばさっと全て落ちてしまいますが、例えばカーテンをしたから切っても(どんな状況・・・?w)上は固定されままですよね。そんなイメージです。

    たった2つのポイントとつまずきポイント

    1. まずしたからたわみを確認します。できれば処理する手でたわませるとわかりやすいです。
    2. 子宮を軽く前屈マニュピレーターや膣パイプで頸部を前へ押すと靭帯がストレッチされ背側が白く浮き上がります。

    よくあるつまずきポイント

    • 「最後まで靭帯が残ってしまう」→ すでに腹側から攻めているサイン。背側を確認して切り直すと一刀両断。
    • テンション不足で靭帯が太く見える→ 子宮をもう前屈。助手に「カウンターのテンションお願い!しっかり子宮あげて!」と声をかけましょう。
    • 尿管との距離が不安→ 背側を切る位置は子宮頸部外側の骨盤壁寄り。尿管はさらに外側を走るので、白い筋が視野に入る程度なら安全圏です。

    まとめと次のアクション

    仙骨子宮靭帯は“支点外し”が肝。背側から先手を打てば、靭帯はおとなしく処理を待ち、手術全体のリズムが格段にスムーズになります。

    次の症例でぜひ試してみてください。きっと「最後に靭帯が残る地獄」とサヨナラできます。

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    復習問題

    問題
    仙骨子宮靭帯を背側(下方)から最初に切離すると処理が楽になると本文で述べられています。その直接的なメカニズムとして最も適切なのはどれでしょうか。A〜D から 1 つ選んでください。

    A. 背側を先に切ると子宮が前方に垂れ下がり、靭帯が自然に外側へ開くため
    B. 背側を先に切ると支点が解除され、残りの靭帯がずり落ちず視野中央にとどまるため
    C. 背側を先に切ると尿管が内側へ引き寄せられ、損傷リスクが減るため
    D. 背側を先に切ると腹側の可動域が固定され、子宮が過度に前屈しなくなるため

    解答
    B


    解説
    背側(支点側)を最初に切ることで靭帯全体の固定点が解除されます。これにより残存部分が下方へ滑落せず、処理したい端が視野中央にとどまるため、持ち直しや深追いをせずに一気に切離できます。本文では「靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる」と述べられており、これが背側アプローチの核心です。選択肢 B が最も正確にこの機序を説明しています。