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  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけ。

    技術認定73/80(片方満点)で合格した私が、これらの原則を子宮鏡下筋腫核出術に落とし込んで超具体的に解説します。

    前回は子宮筋腫の削り方について説明しました。今回の作業につながるように、U字に切開するとよいという話をしました。

    今回は埋まった筋腫へのテンションの掛け方になります。

    「簡単でしょ、胎盤鉗子で引っ張るだけでしょ」と思いませんでした?

    手引書のように言語化できていますか?
    実は胎盤鉗子で引っ張る以外に手があるとしたら知りたくないですか?

    お見逃しなく!!!

    TCRの概要の復習 ”めくる、削る、引っ張る”

    子宮に線維腫である筋腫核を核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されるという話をしました。この順番はかなり大切なので再度復習になります。

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    STEP3.引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)

    STEP2.削るの終了時はこちらになります。

    次のステップとして、

    引っ張るあるいは収縮させる、つまり強いテンションをかけるステップに入ります。

    手が一本しかないことはTCRの大きな大きな弱点です。

    一本ということは場を作るようなテンションをかけながら剥離作業をすることができません。

    そのため、まさに剥離している時の操作以外で、一度どこかで強くテンションをかける必要が出てくるわけです。

    次のクールに繋げるステップ

    では、引っ張るあるいは収縮させて強いテンションをかける目的はなんでしょうか??

    TCRの最終目標は子宮穿孔を防ぎながら安全に手術を終えることでしたね。

    子宮穿孔を防ぐには筋層の深くに入り込まないことが大切。つまり筋腫の突出率を高めることが穿孔を防ぐことになるわけです。

    大きく分けて、
    ①胎盤鉗子で直接筋腫を引っ張る方法と②子宮を収縮させることで筋腫を押し出す方法があります。

    胎盤鉗子で牽引

    こんな感じで筋腫を引っ張ることで鈍的剥離され、筋腫が飛び出てくる(突出率が上がる)ため安全に手術を行えます

    子宮収縮剤投与

    子宮収縮の方はどうでしょうか。イメージとしてはこちらのようになります。

    子宮が収縮することで、筋腫が押し出されて突出してくるわけですね。

    具体的には、プロスタグランジン1000μgを頸管に局注することで子宮が収縮し押し出されてきます。

    ただし、収縮するとその分子宮体部が狭くなるため、基本的にはこの方法は使わずに、突出度が低く引っ張りが難しい時に行うようにしてください。

    実際の引っ張り方

    実際のやり方は以下のようになります。事前にどうやって引っ張るか具体的なイメージを掴んでおきましょう。

    この時に大切なのも、穿孔させないこと。繰り返しになりますが、これが最も大切になります。

    実際の引っ張る時の手順は以下のようになります

    1.引っ張りやすいように筋腫を整形する
    2.なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる
    3.筋腫を掴んだら強く牽引する
    4.覗いてよければSTEP1の剥離に戻る。

    引っ張りやすいように筋腫を整形する

    筋腫を引っ張る時にどのように引っ張るかイメージができている必要があります。

    筋腫を小さくすると、剥離層が狭くなり胎盤鉗子でつかみにくいことがあります。その時は引っ張りやすいように剥離を追加するとよいです。

    先ほどの終了時の状態だと掴みにくい状態です。

    なので追加で癒着部位を剥離し、サイドを削って引っ張りやすくしました。

    Screenshot

    認定医症例で突出度が元々高いので、整形の段階でほとんど剥離できてしまってますね。

    なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる

    つぎに胎盤鉗子を子宮に入れます。胎盤鉗子挿入時に気をつけるのはなんでしょうか??

    もういいですよね。防ぐべきは子宮穿孔になります。

    そして子宮穿孔しやすいのは細い胎盤鉗子と太い胎盤鉗子どちらになりますか?

    細い胎盤鉗子になります。細いとそれだけ局所に圧がかかるので穿孔がしやすくなります。

    安全のため、なるべく太い胎盤鉗子を使用しましょう。

    ただし、太すぎると頚管を通らないこともありますし、子宮の中で開きにくいことがあります。

    頚管の開き具合と、脳内のイメージをもとに、使用する胎盤鉗子の大きさを決めていきましょう。

    筋腫を掴んだら強く牽引する

    筋腫を掴んだら強く牽引しましょう。こんな感じで体重をかけても良いです。

    子宮自体は固定していないので思ったより強く牽引しないとテンションがかかりません。

    初めは結構怖いのですが、気持ち強めに引っ張ってみることがコツです。

    ただし、二つのことに気をつけなければなりません。一つはそうです、子宮穿孔!!

    もう一つは頚管裂傷になります。この胎盤鉗子で筋腫を回収できればそこで手術が完了します。だんだん疲れてきて無理に引っ張りすぎることがあります。

    あまりにも強く引っ張ってしまうと頚管裂傷につながることがあるので注意してください。

    覗いてよければ1.めくる(剥離)あるいは2.削る(回収)に戻る

    引っ張れたなぁと思ったら一度カメラで確認しましょう。

    突出が良くなったのを確認できれば、再度剥離あるいは削る作業に戻ります。

    最終胎盤鉗子で筋腫が回収できればそこで子宮鏡での核出は終了となります。

    先ほどの状態から引っ張ると、このようになりました。

    Screenshot

    子宮体部に完全突出した状態となっています。

    あとは再度削って、胎盤鉗子で回収しやすくします。

    再度胎盤鉗子で引っ張って回収できたため終了です!

    引っ張るときの注意点とその対策

    まず穿孔リスクがあります。胎盤鉗子を入れるので当然起こりますよね。経腹エコーガイド下に行うと良いです。

    つぎに繰り返しになりますが、頸管裂傷リスク。胎盤鉗子で捻除ができれば手術は終了となります。なので慣れてくると無理に引っ張り続けてしまうことがあります。滅多にないですが頚管が傷つくこともあるので突出率が高くなればいいなぁ、取れればラッキーぐらいの気持ちで良いのではないでしょうか。慣れるまでは繰り返しカメラで見直しイメージを作り直すと良いですね。

    最後に、視野悪化リスク。胎盤鉗子を使うと視野がかなり悪くなります。子宮内の灌流がなくなること、物理的に傷つくことで血餅が子宮内に出てきます。そうすると視野がかなり悪くなります。視野が悪いと穿孔にもつながるので注意してください。奥までシャフトを差し込み灌流液を流し、止血(鈍的剥離後の)、血餅除去をおこない安全を担保してから再開しましょう

    まとめ

    • TCRの最終目的:子宮穿孔を防ぎつつ安全に核出を完了する。その鍵は筋腫の突出率を高め、深層へ潜り込まないこと。
    • 基本手順の再確認
      1. めくる(剥離) → 2) 削る(回収) → 3) 引っ張る/収縮させる(テンション) → 必要に応じて①へ戻る(※穿孔させない)。
    • STEP3の位置付け:TCRは“手が一本”。剥離中に場を保持できないため、剥離以外のタイミングで強いテンションを一度かけ、次のクールにつなぐ
    • テンションの手段は2系統
      1. 胎盤鉗子で牽引:突出率↑ → 鈍的剥離が進み、安全性↑。
        • 実際の要点:
          • 引っ張りやすい形に整形(追加剥離・サイドを削る)
          • なるべく太い胎盤鉗子を選択(細いほど局所圧↑で穿孔リスク↑/ただし太すぎると頸管通過・開大に難あり→頸管の開きと術野イメージでサイズ選択)
          • 強めに牽引(子宮は固定されないため)
          • カメラで再確認し、突出が良ければ①剥離or②削るに戻る。回収できれば終了。
      2. 子宮収縮で押し出す:プロスタグランジン1000 µgを頸管局注 → 子宮体部が収縮して筋腫を押し出す
        • 注意:腔が狭くなるため基本は乱用しない。突出が低く牽引困難な時の補助的選択
    • 主なリスクと対策
      • 子宮穿孔:細い鉗子は局所圧↑で危険 → 太めの鉗子を選ぶ/経腹エコーガイド併用。
      • 頸管裂傷:回収直前は無理牽引しがち → “取れればラッキー”の姿勢で過牽引を避ける。
      • 視野悪化(出血・血餅)シャフト深挿入で灌流止血血餅除去を徹底してから再開。

    練習問題(単一選択)

    STEP2(削る)を終えた段階。埋没傾向で突出が低い核。穿孔と頸管裂傷を避けつつ、次のクールに安全につなげる最も妥当なアプローチはどれか。

    A.なるべく 細い胎盤鉗子で深部まで差し込み、強牽引して一気に突出させる。
    B. 追加剥離で“掴める形”に整形し、頸管の開きに合わせてできるだけ太い胎盤鉗子を選び、経腹エコー下で牽引する。
    C. 腔が狭くなるのは承知で、全例でPG 1000 µg頸管局注を先行させる。
    D. 突出が低いので、剥離層を犠牲にしてさらに深く削り、筋層内で牽引点を作る。

    正解:B

    解説

    • 目的は突出率↑による穿孔回避。そのためには、まず牽引しやすい形に整形(追加剥離・サイド削り)し、太めの鉗子で局所圧を分散して穿孔リスク↓、さらに経腹エコーガイドで安全性を担保しつつ十分な牽引をかける。そして内視鏡で効果を確認し、①剥離/②削るへ戻してクールを回すのが定石。
    • A:細い鉗子は局所圧↑で穿孔リスク↑。画像誘導なしも不利。
    • C:PGは補助的選択。全例で先行は腔狭小化→作業性低下のデメリットが上回り得る。
    • D:深く削るほど穿孔リスク↑。本質は“深追い”ではなく“突出率を安全に上げる”こと。
  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #2ただ削るだけ?次につながる正しく安全な削り方。

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #2ただ削るだけ?次につながる正しく安全な削り方。

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?

    実は他の手術と全く同じことをしていると聞いたらびっくりしませんか?


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけなんです。

    大丈夫です!

    技術認定73/80で合格した私の秘伝のコツを全てお伝えします
    (お一人の審査員からはありがたいことに文句なしの満点とのコメントをいただきました。)

    前回はMPCについての説明及び、剥離部位、剥離の方向について解説しました。原理はLMと同じだが、子宮穿孔を避けるためリング状に剥離をするという話でした。

    今回は削り方になります。

    簡単でしょ、削るだけなんて

    と思いませんでした?

    実は削り方にも”正しい削り方”が存在します。

    ここを間違えると、子宮穿孔につながったり、筋腫を全て取りきれずに中断といった我々ドクターにとっても、患者さんにとって最悪の終わり方になります。

    知りたくないですか??知りたいですよねっっ??よね??

    どこにも載っていないここだけの秘密のコツ、伝授いたします!お見逃しなく。

    TCRの概要と”めくる、削る、引っ張る”

    再度、復習です!模式図はこちらになります。子宮に線維腫である筋腫核があります!
    これを核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されるという話をしました。この順番はかなり大切なので覚えておいてください。

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    STEP2.削る(回収)

    剥離後の状態

    前回の”剥離する”を終えて以下のようにリング状に剥離面が残っています。

    削る(回収)目的

    削る目的は、腫瘍の回収のほか、視野とワーキングスペースの確保、ひいては子宮穿孔の回避になります。

    剥離をしていくと、だんだん筋腫核が子宮腔内に突出してくるので、だんだんと視野とワーキングスペースが少なくなってきます。

    結果、無理な角度での剥離となり、子宮穿孔につながるわけです。

    具体的な削り方

    目標となるイメージ

    手術では終わりの像がきっちりイメージできていないと、上手にできません。

    具体的なイメージの大切さに関しては、こちらが参考になると思います。読者数がほぼいない、初期の頃に書いた記事ですが、手術の本質に迫るものだと自負しています。

    https://sogogyne.online/%e5%ba%83%e9%96%93%e8%86%9c%e8%85%94%e3%81%a8%e3%83%80%e3%83%93%e3%83%87%e5%83%8f/

    結局は自分のイメージ。ゴールイメージがないのに適当に触るようでは、
    卵焼きを作ろうとしてぐちゃぐちゃのスクランブルエッグを作ってしまったような状況になります。

    それが人の体で起きると思うと恐怖ですよね。

    では、早速STEP2.削るの最終イメージを見ていきましょう!こちらとなります!!

    着目してほしい部分はたった2点

    ・手前の剥離層が残っている
    ・筋腫がUの字に凹んでいる

    これらについて詳しく解説していきます。

    手前の剥離層を残こす

    筋腫を削る目的はなんだったでしょうか?

    そう、視野ワーキングスペースの確保と子宮穿孔の回避になります。

    では、ただ削るだけでいいのでしょうか。

    もちろんダメです。次のステップにつながるように削らないようでは、うまく行きません。

    料理の時に、先に材料を全て出して、次の動きを確認してから行うと効率よく上手にできますよね。何事も計画が必要です。

    図の左側を見てください。

    そうです、あえて剥離部分を残しています。TCRのステップを見直すと、

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    一番下の部分を見てください。核出が終わるまで3STEPを繰り返すことになります。

    剥離部分を残しておくことで、次のターンのSTEP1.めくる(剥離)がかなりやりやすくなります。

    残しておかないと、再度剥離層を見つける必要が出てきます。さらに言うと後からの方が剥離層を見つけることが難しくなっています。だから正しい剥離層は残しておく意識が必要です。

    これって結局、他の手術と同じですよね。LCで卵巣切開を広げる時、少し剥離層を残して切るようにしていませんか?

    繰り返しになりますが、TCRも他の手術と原則は同じです。剥離面が残るように切開します。

    そのために、必要な技術があります。それは、筋腫の細断時に、切りきる前に剥離面が残るように動かす必要があります。

    図の切開終了部に注目してください。

    矢印のようにUの字を描いて切開していくと

    しっかりと左の剥離面が残っていますね!

    では真っ直ぐ切ってしまうとどうなるでしょうか

    剥離面が狭くなりましたね。

    これを続けると、剥離した部分がどんどん少なくなり、次のSTEPの時に剥離面がなくて困ってしまいます。そして、無理に進めることで子宮穿孔につながるわけです。

    個人的な感覚としては切り切る直前に、電極を筋腫から離すような感覚です。

    実際の画像

    真ん中を窪ませて(Uの字)、端(剥離面)をのこすのです。

    筋腫をUの字に凹ませる

    Uの字に凹ませる目的はなんでしょうか?

    もちろん先ほどの剥離面を残すために結果的にUの字に近づくわけですが、真ん中を窪ませる重要な意味が他にもあります。

    これは3STEPの3つ目につながります

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    解説は次回にSTEP3の記事に譲りますが、真ん中を窪ませるのはかなり重要なコツになりますので覚えておいてください。

    削るステップの図

    模式図

    Uの字に削る。真ん中を凹ませ、手前の剥離面を残す

    これを繰り返す

    完成像がこれ!つぎのターンの剥離につながるように剥離面が残り、STEP3のテンションをかけるにつながるように窪ませる!

    実際の画像

    では実際の手術の画像も最後確認してみましょう。

    付着部位が画面10時方向なので、反対側の4〜5時方向から削り始めます。

    Uの字になるように削っていきます。削ったものは毎回回収するようにします。

    右下にワーキングスペースができていますね。そして、左上になるべく剥離部位が残るようにしています

    この記事の超要約(3行+要点)

    • 「めくる→削る→引っ張る(収縮)」の3ステップを、安全マージンを守って“何度も小さく”回す。
    • 削るときはU字に凹ませて中央を落とし、手前の剥離面を意図的に残す
    • 目的は視野とワーキングスペースの確保子宮穿孔リスクの低減。無理な角度の剥離はしない。

    要点チェック

    • 付着側の反対から削り始めるとワーキングスペースを作りやすい
    • 真っすぐ切るより、切り切る直前に電極をわずかに離しながらU字を描くと剥離面が残る
    • “削ったらこまめに回収”で視界を常にクリアに
    • 次ターンのSTEP1(めくる)に備え、剥離層を残す設計で削る

    ミニテスト(回答・解説つき)

    Q1.最も不適切なのはどれ?

    A. 削りで中央をU字に凹ませ、手前の剥離面を残す
    B. 付着側の反対側から削り始め、ワーキングスペースを作る
    C. 視野が悪化し始めたら削片をこまめに回収する
    D. 剥離面は後で作り直せるので、早めに消しておく

    正解:D
    解説: 次ターンの「めくる」を容易にするため剥離面は残すのが原則。消すと再発見が難しくなり穿孔リスクも上がる。


    Q2.削りの電極操作として最適なのはどれ?

    A. 一筆書きで真っすぐ切り切る
    B. 切り切る直前に電極をわずかに筋腫から離しつつU字を描く
    C. 切離完了まで電極を押し付け続ける
    D. 剥離面側から中央へ直線的に押し込む

    正解:B
    解説: U字で離し気味に仕上げる手前の剥離面が温存でき、次ターンの「めくる」が安定。真っすぐは剥離面を痩せさせる。


    Q3.TCRの運用として最も適切なのはどれ?

    A. めくる→引っ張る→削るの固定順で、大きく一回転のみ
    B. めくる→削る→引っ張る(収縮)を穿孔させない範囲で小刻みに反復
    C. 削りを最初に完了させ、その後に一度だけ大きくめくる
    D. 引っ張る(収縮)は視野確保に寄与しないため省略

    正解:B
    解説: 本記事の骨子。三段階を安全マージン内で小さく回すことで、視野・スペース確保と穿孔回避を両立し、核出を前進させる。

  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #1めくる時に輪を乱さない

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #1めくる時に輪を乱さない

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?

    実はちゃんと理解しコツさえわかれば、何も難しい手術ではありません。


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけ。

    ただ、大きな大きな違いが一つあります。

    それは・・・

    手が一本であること。

    まさに一本槍。これで戦えるのか・・・?

    大丈夫です!

    今回、技術認定73/80で合格した私の秘伝のコツを全てお伝えします
    (お一人の審査員からはありがたいことに文句なしの満点とのコメントをいただきました。)


    TCRをここまで詳しく言語化した記事は他にないはずです。ぜひお見逃しなく。

    この記事でわかること
    ・TCRにおける第一歩「めくる(剥離)」の考え方
    ・MPC(Myoma Pseudo-Capsule:筋腫偽被膜)の大切さ
    ・子宮穿孔を防ぐための必須テクニックです。

    TCRの概要と”めくる、削る、引っ張る”

    模式図はこちらになります。子宮に線維腫である筋腫核があります!
    これを核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されます

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る

    1めくる(剥離)

    まず切開を入れることからTCRは始まります。

    切開を入れて、筋腫の層を同定する。その後、筋腫に沿って核出していく。これにつきます。

    まず、筋腫を包む皮の部分(子宮内膜および筋層)を切開して筋腫を剥き出します。

    そしてみんな大好き、あわあわの層(Fascia)があるのでそこを剥離していけばいいのです。

    ここを子宮鏡界隈ではMPC(Myoma Pseudo-Capsule(筋腫偽被膜))と言います。

    MPC = Myoma Pseudo-Capsule(筋腫偽被膜)とは
    筋腫を取り巻く薄い“偽被膜”で、平滑筋・膠原線維に神経血管束が走る層。ここを温存して偽被膜内(avascular plane)で剥離する「intracapsular myomectomy」が推奨されます
    ・なぜ重要?
    出血を抑える:偽被膜内を進むと出血が少ない。Taylor & Francis Online
    治癒と妊孕性に良い:偽被膜を損傷すると神経ペプチド・神経線維が減少し筋層治癒が不良になりうるため、温存が望ましい。PubMed,EJOG
    合併症が少ない:偽被膜を温存した核出は治癒促進や合併症の低減と関連。Academic Oxford

    子宮鏡は超超超超絶近接視野、そして水を灌流しながら手術を行うことから見えてくるクリニカルアナトミーだと個人的には理解しています。

    このMPCの層の一番筋腫の核側を剥離することでなるべくMPCを温存でき、予後が良いと考えています。

    MPCの層の同定方法

    まず、MPCの層を同定することからTCRは始まります。

    ①カットで内膜を破ります。そして内膜、MPC、筋腫との境を探します。

    実際の手術ではこんな感じ

    ちなみに、わかりにくい時は筋腫ごと切ってしまっていいです。

    LMの時に子宮筋層を切る時に筋腫まで切開を深くすることで境を明瞭にするような感じです

    ②そして層を見つけるために、押す!!硬い筋腫核と、柔らかい筋層があり間の層を見つけるのは簡単です。

    適切なテンションをかけることで綺麗な層に入る。これも他の手術と同じですね。

    手が一本なだけです。

    この時、絶対にしてはいけないことがあります。

    それは、

    子宮の層を押すこと。

    え、どうゆうことでしょう。

    TCR特有の大きな合併症がありますよね。

    なんですか?

    そうです。子宮穿孔です!!

    これは基本的に奥に突き刺すことで生じます。特に剥離部位が奥に行けば行くほど危ない。

    じゃあどうすればいいの?

    答えは・・・筋腫を押します。

    筋腫を押しても子宮穿孔はしません。筋腫をぐいぐい押して境を見つけましょう。

    これでMPCの層が出ましたね。思ったより簡単ですよね。

    ①内膜を筋腫が見えるまでカットする
    ②筋腫を押してMPCの層を見つける

    MPCの層の剥離 方向は“輪”を守れ

    MPCの層がわかれば、次はMPCに忍びこませた電極で剥離を進めていきます。

    この時、絶対にしてはいけないことがあります。

    それは、”奥に向かって剥離”を行ってMPCの層を進むこと。

    え、どういうことでしょう。(デジャブ・・・?)

    TCR特有の大きな合併症がありますよね。

    なんですか?

    そうです。

    子宮穿孔です!!(もうわかりましたね)

    基本的に子宮穿孔は奥に突き刺すことで生じます。特に剥離部位が奥に行けば行くほど危ない。(大切なので2度言いました)

    じゃあどうすればいいの?

    答えは・・・リング状に剥離する。

    つまり日本人大好き、和(輪)を乱さないことが大切なわけです。(題名回収)

    まだよくわからないと思うので、こちらのイメージ図をご覧ください

    ぐるぐる筋腫をなぞるようにリング状に剥離していきます。この時に大切なのは、輪を乱さないこと。一部深くいくとそれだけ一部にテンションがかかり穿孔のリスクが高まります。

    以下のようにリング上に剥離を進めていくわけです

    決して一部分を深くやってはけません!!輪を乱さない。これ大切です。

    実際はこんな感じ

    今回はめくる方法(MPCの同定と剥離)について解説しました。次回は削る(回収)について、そのタイミング、やり方について解説します。どうぞお楽しみに。

    更新はXで通知しています。続きが気になる方はどうぞフォローしてお待ちください。

    問題

    TCRにおけるMPCの剥離で最も重要なことはどれでしょうか?
    A. 奥に向かって一気に剥離を進める
    B. 子宮を強く押して境界を探す
    C. 筋腫を押して層を同定する
    D. 一部を深く剥離してから広げる

    解答

    C. 筋腫を押して層を同定する

    解説

    子宮穿孔の多くは「奥に突き進む操作」で起こります。そのため、子宮を押すのではなく「筋腫を押す」ことでMPCとの境界を安全に見つけるのが基本です。さらに剥離はリング状に均等に行うことで、テンションを分散させて安全性を高めます。