カテゴリー: 子宮体部

  • 誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    誰も教えてくれなかったTCRの真髄を徹底解説。満点技術認定医が教える3STEP #3.”筋腫に効くテンション”を作る:筋腫を突出させるのだ!

    TCRは特殊技術だと思っていませんか?


    抽象化すれば、やっていることは他の手術と同じ。安全マージンを取りながら、剥離し、切るだけ。

    技術認定73/80(片方満点)で合格した私が、これらの原則を子宮鏡下筋腫核出術に落とし込んで超具体的に解説します。

    前回は子宮筋腫の削り方について説明しました。今回の作業につながるように、U字に切開するとよいという話をしました。

    今回は埋まった筋腫へのテンションの掛け方になります。

    「簡単でしょ、胎盤鉗子で引っ張るだけでしょ」と思いませんでした?

    手引書のように言語化できていますか?
    実は胎盤鉗子で引っ張る以外に手があるとしたら知りたくないですか?

    お見逃しなく!!!

    TCRの概要の復習 ”めくる、削る、引っ張る”

    子宮に線維腫である筋腫核を核出することが子宮鏡下子宮筋腫核出術になります

    そしてTCRの手順は以下に集約されるという話をしました。この順番はかなり大切なので再度復習になります。

    TCRの順番
    1めくる(剥離)
    2削る(回収)
    3引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)
    核出が終わるまで1に戻る。ただし穿孔させない。

    STEP3.引っ張るあるいは収縮させる(テンションをかける)

    STEP2.削るの終了時はこちらになります。

    次のステップとして、

    引っ張るあるいは収縮させる、つまり強いテンションをかけるステップに入ります。

    手が一本しかないことはTCRの大きな大きな弱点です。

    一本ということは場を作るようなテンションをかけながら剥離作業をすることができません。

    そのため、まさに剥離している時の操作以外で、一度どこかで強くテンションをかける必要が出てくるわけです。

    次のクールに繋げるステップ

    では、引っ張るあるいは収縮させて強いテンションをかける目的はなんでしょうか??

    TCRの最終目標は子宮穿孔を防ぎながら安全に手術を終えることでしたね。

    子宮穿孔を防ぐには筋層の深くに入り込まないことが大切。つまり筋腫の突出率を高めることが穿孔を防ぐことになるわけです。

    大きく分けて、
    ①胎盤鉗子で直接筋腫を引っ張る方法と②子宮を収縮させることで筋腫を押し出す方法があります。

    胎盤鉗子で牽引

    こんな感じで筋腫を引っ張ることで鈍的剥離され、筋腫が飛び出てくる(突出率が上がる)ため安全に手術を行えます

    子宮収縮剤投与

    子宮収縮の方はどうでしょうか。イメージとしてはこちらのようになります。

    子宮が収縮することで、筋腫が押し出されて突出してくるわけですね。

    具体的には、プロスタグランジン1000μgを頸管に局注することで子宮が収縮し押し出されてきます。

    ただし、収縮するとその分子宮体部が狭くなるため、基本的にはこの方法は使わずに、突出度が低く引っ張りが難しい時に行うようにしてください。

    実際の引っ張り方

    実際のやり方は以下のようになります。事前にどうやって引っ張るか具体的なイメージを掴んでおきましょう。

    この時に大切なのも、穿孔させないこと。繰り返しになりますが、これが最も大切になります。

    実際の引っ張る時の手順は以下のようになります

    1.引っ張りやすいように筋腫を整形する
    2.なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる
    3.筋腫を掴んだら強く牽引する
    4.覗いてよければSTEP1の剥離に戻る。

    引っ張りやすいように筋腫を整形する

    筋腫を引っ張る時にどのように引っ張るかイメージができている必要があります。

    筋腫を小さくすると、剥離層が狭くなり胎盤鉗子でつかみにくいことがあります。その時は引っ張りやすいように剥離を追加するとよいです。

    先ほどの終了時の状態だと掴みにくい状態です。

    なので追加で癒着部位を剥離し、サイドを削って引っ張りやすくしました。

    Screenshot

    認定医症例で突出度が元々高いので、整形の段階でほとんど剥離できてしまってますね。

    なるべく太い胎盤鉗子を子宮内に入れる

    つぎに胎盤鉗子を子宮に入れます。胎盤鉗子挿入時に気をつけるのはなんでしょうか??

    もういいですよね。防ぐべきは子宮穿孔になります。

    そして子宮穿孔しやすいのは細い胎盤鉗子と太い胎盤鉗子どちらになりますか?

    細い胎盤鉗子になります。細いとそれだけ局所に圧がかかるので穿孔がしやすくなります。

    安全のため、なるべく太い胎盤鉗子を使用しましょう。

    ただし、太すぎると頚管を通らないこともありますし、子宮の中で開きにくいことがあります。

    頚管の開き具合と、脳内のイメージをもとに、使用する胎盤鉗子の大きさを決めていきましょう。

    筋腫を掴んだら強く牽引する

    筋腫を掴んだら強く牽引しましょう。こんな感じで体重をかけても良いです。

    子宮自体は固定していないので思ったより強く牽引しないとテンションがかかりません。

    初めは結構怖いのですが、気持ち強めに引っ張ってみることがコツです。

    ただし、二つのことに気をつけなければなりません。一つはそうです、子宮穿孔!!

    もう一つは頚管裂傷になります。この胎盤鉗子で筋腫を回収できればそこで手術が完了します。だんだん疲れてきて無理に引っ張りすぎることがあります。

    あまりにも強く引っ張ってしまうと頚管裂傷につながることがあるので注意してください。

    覗いてよければ1.めくる(剥離)あるいは2.削る(回収)に戻る

    引っ張れたなぁと思ったら一度カメラで確認しましょう。

    突出が良くなったのを確認できれば、再度剥離あるいは削る作業に戻ります。

    最終胎盤鉗子で筋腫が回収できればそこで子宮鏡での核出は終了となります。

    先ほどの状態から引っ張ると、このようになりました。

    Screenshot

    子宮体部に完全突出した状態となっています。

    あとは再度削って、胎盤鉗子で回収しやすくします。

    再度胎盤鉗子で引っ張って回収できたため終了です!

    引っ張るときの注意点とその対策

    まず穿孔リスクがあります。胎盤鉗子を入れるので当然起こりますよね。経腹エコーガイド下に行うと良いです。

    つぎに繰り返しになりますが、頸管裂傷リスク。胎盤鉗子で捻除ができれば手術は終了となります。なので慣れてくると無理に引っ張り続けてしまうことがあります。滅多にないですが頚管が傷つくこともあるので突出率が高くなればいいなぁ、取れればラッキーぐらいの気持ちで良いのではないでしょうか。慣れるまでは繰り返しカメラで見直しイメージを作り直すと良いですね。

    最後に、視野悪化リスク。胎盤鉗子を使うと視野がかなり悪くなります。子宮内の灌流がなくなること、物理的に傷つくことで血餅が子宮内に出てきます。そうすると視野がかなり悪くなります。視野が悪いと穿孔にもつながるので注意してください。奥までシャフトを差し込み灌流液を流し、止血(鈍的剥離後の)、血餅除去をおこない安全を担保してから再開しましょう

    まとめ

    • TCRの最終目的:子宮穿孔を防ぎつつ安全に核出を完了する。その鍵は筋腫の突出率を高め、深層へ潜り込まないこと。
    • 基本手順の再確認
      1. めくる(剥離) → 2) 削る(回収) → 3) 引っ張る/収縮させる(テンション) → 必要に応じて①へ戻る(※穿孔させない)。
    • STEP3の位置付け:TCRは“手が一本”。剥離中に場を保持できないため、剥離以外のタイミングで強いテンションを一度かけ、次のクールにつなぐ
    • テンションの手段は2系統
      1. 胎盤鉗子で牽引:突出率↑ → 鈍的剥離が進み、安全性↑。
        • 実際の要点:
          • 引っ張りやすい形に整形(追加剥離・サイドを削る)
          • なるべく太い胎盤鉗子を選択(細いほど局所圧↑で穿孔リスク↑/ただし太すぎると頸管通過・開大に難あり→頸管の開きと術野イメージでサイズ選択)
          • 強めに牽引(子宮は固定されないため)
          • カメラで再確認し、突出が良ければ①剥離or②削るに戻る。回収できれば終了。
      2. 子宮収縮で押し出す:プロスタグランジン1000 µgを頸管局注 → 子宮体部が収縮して筋腫を押し出す
        • 注意:腔が狭くなるため基本は乱用しない。突出が低く牽引困難な時の補助的選択
    • 主なリスクと対策
      • 子宮穿孔:細い鉗子は局所圧↑で危険 → 太めの鉗子を選ぶ/経腹エコーガイド併用。
      • 頸管裂傷:回収直前は無理牽引しがち → “取れればラッキー”の姿勢で過牽引を避ける。
      • 視野悪化(出血・血餅)シャフト深挿入で灌流止血血餅除去を徹底してから再開。

    練習問題(単一選択)

    STEP2(削る)を終えた段階。埋没傾向で突出が低い核。穿孔と頸管裂傷を避けつつ、次のクールに安全につなげる最も妥当なアプローチはどれか。

    A.なるべく 細い胎盤鉗子で深部まで差し込み、強牽引して一気に突出させる。
    B. 追加剥離で“掴める形”に整形し、頸管の開きに合わせてできるだけ太い胎盤鉗子を選び、経腹エコー下で牽引する。
    C. 腔が狭くなるのは承知で、全例でPG 1000 µg頸管局注を先行させる。
    D. 突出が低いので、剥離層を犠牲にしてさらに深く削り、筋層内で牽引点を作る。

    正解:B

    解説

    • 目的は突出率↑による穿孔回避。そのためには、まず牽引しやすい形に整形(追加剥離・サイド削り)し、太めの鉗子で局所圧を分散して穿孔リスク↓、さらに経腹エコーガイドで安全性を担保しつつ十分な牽引をかける。そして内視鏡で効果を確認し、①剥離/②削るへ戻してクールを回すのが定石。
    • A:細い鉗子は局所圧↑で穿孔リスク↑。画像誘導なしも不利。
    • C:PGは補助的選択。全例で先行は腔狭小化→作業性低下のデメリットが上回り得る。
    • D:深く削るほど穿孔リスク↑。本質は“深追い”ではなく“突出率を安全に上げる”こと。
  • 運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

    縫合に自信ありますか?

    縫合難しいですよね。特に腹腔鏡になると・・・

    実は、

    運針の原則はたった2通りしかないと聞くとどうでしょう。

    できる気がしませんか?

    今日の縫合やらせてもらえませんか?」と自信を持って言えるそんなふうになりたくないですか?

    この記事では、縫合で針を自在に操るための基本動作とコツを、初心者にも伝わるように解説します。自信を持った自分になるための2分をどうぞ。

    運針の2原則

    運針技術は患者を守る

    縫合は外科医にとって最も大切な手技の一つですよね。

    出血が止まらない時の最後は縫合。組織を再建した時の出来上がりを決めるのも縫合。

    止血と、再建って完全に外科医の中心に位置する手技ですよね。

    つまり、縫合がうまいかどうかで外科医としての器量を図ることができる。こう言えるかもしれません。

    押すか、回すか。それだけ。

    「針の動かし方は二つだけ」と聞くと、「え?それだけでいいの?」と思うかもしれません。

    でも、このシンプルさこそが奥深さの入口

    その二つとは

    押すか、回すか。

    たったそれだけの組み合わせで、針はまるで意思をもったように滑らかに、思い通りに動いてくれます。

    そう、まるで革細工の職人の指先のように。

    「回して、向きを合わせたら押す」


    押してから回すこともありますがこの順番が基本です。

    針先の向きが進行方向と合っていれば、組織の中をするっと気持ちよく進んでくれます。

    まずはその針先、「顔」を向けてやる必要があるんですね。

    下は腹腔鏡下の子宮核出の場面です。粘膜下に近く死腔を作らず縫合するためにプルアップ法(禁酒を残したまま底を縫っていく方法)を用いているところです。

    端の縫合のため、Vの字に運針する必要があります。

    やることは?

    回して押すだけ!!

    やっていることは単純ですよね

    実際のやり方

    向きを合わせる:針先を中心に動かす

    では、実際に「右に出したい」場合。

    これはつまり、筋膜の右側に針を抜きたいということ。

    そのときは、まず針の向きを右に。ぴたりと方向が合ったら、そこでぐいっと押し出します。

    ここでポイント

    針先の向きを変える時は、針先を回転の中心とする。

    針先を回すときにシャフトを移動させる必要があります。

    押す

    向きを合わせたら、それから押す。

    まるでハンドルを切ってからアクセルを踏むようなものです。

    向きと推進力、この両輪が針をコントロールする鍵となります。

    左手で調整する

    ここまでで「押す」「回す」の2つの基本操作がわかりましたが、もう一つ重要なテクニックがあります。

    それが「左手で組織を引っ張る」こと。

    え、なんで左手?と思ったあなた、実はここが職人の技の見せ所なんです。

    ポイントは

    出したい方向と逆に引っ張る

    たとえば左に運針したい場合は、組織を右に引っ張る。すると針の通る道が自然に左へ向き、摩擦も減ってスムーズになります。

    手前に出したい時はどうすればいいですか?

    手前に出すなら左手で組織を奥に押します。

    考えてみれば当然ですが、案外できていない人は多いので意識してみてください。

    ちょっとした左手の力加減が、縫合全体のリズムと精度に直結します。

    素振りしてみよう

    ドライボックスと手術中で感覚は違いますよね。

    これは、どうしても角度や距離感やカメラの問題がるためしょうがないです。

    ドライボックスでめちゃくちゃに練習したのに、手術中は思うようにいかない。

    そんなのはあるあるです。

    そんな時は素振りをしてみましょう。何ミリ入れた後、回し始めるのか。実際素振りをしてみてください。

    自在に針を操るという感覚と素振り

    はじめは「え?なんで思ったところに出ないの?」と焦ることもあるでしょう。

    でも、向きを合わせてから押す。そして左手で組織を引っ張る。この一連の動作が一体化してくると、不思議なことに針が「勝手に動いてくれる」感覚を味わえるようになります。

    これはちょっと大げさに言えば、縫合というよりも「針と踊る」感覚。針の動きを制御するというより、針と呼吸を合わせるのです。まるで太極拳のような静かな力強さ。

    まとめ

    針の動かし方は、驚くほどシンプル。押すか回すか、そして左手で引っ張るか。その3つを極めるだけで、縫合はぐんとスムーズになります。

    最初は動きがぎこちなくても、繰り返すうちに、針の先があなたの「手の延長」に変わる瞬間がきます。焦らず、向きを見て、そっと押してみましょう。

    Xでもブログ更新情報をお届けしています。針の魔法にもっと触れたい方は、ぜひフォローを。


    問題

    針を左に出したいとき、適切な操作はどれか?

    A. 針を右に回して押す
    B. 組織を左に引っ張りながら針を押す
    C. 針を左に向け、組織を右に引っ張って押す
    D. 針をまっすぐのまま押し込む

    解答
    C

    解説
    針の動きは「向きを合わせてから押す」が基本。また、出したい方向とは逆に組織を引っ張ると、針がスムーズに進みます。したがって「針を左に向け、組織を右に引っ張って押す」が正解です。

  • LM(筋腫核出)の筋腫を取るまでの全体像 北半球と南半球

    LM(筋腫核出)の筋腫を取るまでの全体像 北半球と南半球

    LM(腹腔鏡下子宮筋腫核出術)を執刀する自信ってありますか?

    なかなか自信あります!とは言えるひとは少ないと思います。

    正直言うとTLH(腹腔鏡下の単純子宮全摘術)よりも難しいです。

    それは子宮を残すからです。

    残さなくていいなら、血管をつぶして、層をつぶしても大丈夫なのですが残すならそうはいきません。残すのは取るよりも難しいのです。

    ジェンガを思い出してください。

    倒すだけなら適当に押すだけでいいですが、倒さないようにするには、場所や力加減、方向が大切になりますよね。

    子宮筋腫核出術は女性の生殖に影響を及ぼす子宮を温存しつつ筋腫を除去する手術であり、子宮の機能を最大限に保ちながら、症状を緩和し、将来の妊娠の可能性を維持するというとても困難で意味のある手術です。

    この手術の技術を習得することは、女性の人生において重要な役割を果たすことができます

    ただ、子宮筋腫核出術は筋層の切開、筋腫と筋層の同定、さらには手術操作の経時的な変化に至るまで、多くの細かな技術が必要となります。

    今回の記事では、これらの課題に焦点を当て、この重要な手術技術を習得するため全体像の理解を深めることを目指します!

    子宮筋腫核出までの基本

    子宮筋腫核出術において成功を収めるためには、筋層切開の位置と深さ、筋腫核と筋層の間の同定、および経時的変化の認識が極めて重要です。以下、これらの要素について詳しく解説します。

    筋層切開の位置

    子宮筋腫核出術の最初のステップは、子宮の筋層を適切な場所と深さで切開することです。

    筋層の切開は、筋腫を取り囲む健康な組織を最小限に損傷するように慎重に選択する必要があります。

    簡単に言うと筋層の一番薄いところです!

    もちろんそれだけではありません。

    切開の位置は、筋腫の位置、大きさ、および数に基づいて術前にある程度決定します。

    術中に触りながら場所を最終決定することが大切です。

    もちろん、薄いから取って血管や卵管に近いなどあれば避ける必要があります。細かい基準に関しては別記事に譲ります。

    切開の幅や深さ

    切開の深さは、筋腫に十分にアクセスできるようにしながら、周囲の健康な組織への影響を最小限に抑える必要があります。

    つまり、広すぎず狭すぎず、そして浅すぎず深すぎず。

    筋腫ごとの大きさや深さによって切開の幅や深さは変わってきます。

    当然ですが、狭すぎたり浅すぎると取り出すことはできませんし、広すぎたり深すぎると出血量が増えたり筋層の損傷が増えることとなります。

    (このちょうどいい塩梅は言語化できるのですが、1記事かかるので後日記載します。それぞれの項目でより詳しいことをまた解説していきますね。)

    筋腫核と筋層の間の同定

    筋腫核と周囲の筋層の間を正確に同定することは、筋腫を効果的に除去し、子宮の機能を保存する上で非常に重要です。

    つまり、筋腫がつるつるに向ける層を同定できると子宮筋層は損傷少なく、出血は減り、縫う量も減ります

    この同定プロセスは、特に筋腫が子宮壁に深く埋まっている場合には、かなり技術的な挑戦となります。

    当然、深いものを見つけるって難しいですよね。

    正確な層の同定には、高度な視覚的判断と繊細な手技が必要とされ、これには豊富な経験と練習が必要です。層のずれや内膜の損傷を避けるためには、細心の注意を払う必要があります。

    初めにきれいな層を見つけられるかどうかが最も大切な部分になります

    北半球と南半球での操作の違い

    私が勝手にいってる用語は何個かありますが、その一つを紹介します。

    北半球と南半球

    この用語はLMを理解するにあたってとても手助けとなる単語となっています。

    単語は存在することで人間の認識を変えることが出来ます

    例えば、人間を認識するときに、性別という単語があるので男性と女性が分かれます。
    貧富という単語があるの貧乏とお金持ちに分かれますよね。

    このように、単語があることで特定の認識をしやすくなるのです。

    この北半球と南半球という単語があることでLMの手技の理解が深まるなら導入しないわけにはいかないですよね。

    LMにおける北半球と南半球

    上半分と下半分です。(切開部より)

    あえて北半球と南半球という用語を使うことで、認識が進み手術手技を理解できるのでこのブログではこの用語を使っていきます。

    もう少し詳しく掘り下げると下記のようになります。

    • 北半球: 筋腫の上半分。筋腫と子宮筋層の間を剥がしやすい傾向にあります。これは、上から手が入る腹腔鏡では上半分へのアクセスが比較的容易であり、筋腫を包む筋層剥離が比較的容易であるためです。その結果、スムーズに進行しやすくなります。
    • 南半球: 筋腫の下半分。手術はより複雑になります。この領域では、子宮と筋腫の間で適切なな角度を取ることが難しく、また、栄養血管の存在により、層を追っての手術や出血が原因で視野を確保することが困難になります。このため、南半球での筋腫核出術に特に注意を払う必要があります。

    南半球まで処理が終われば筋腫の核出は終了となります。このあと縫合に移るのですがいったんここまでとしておきます。

    まとめ

    子宮筋腫核出術は、研修医が習得すべき重要な手術技術の一つです。

    この手術は、子宮の機能を保持しつつ、女性の生殖健康に関わる問題を効果的に解決できますがその分難しい手術になります。

    子宮筋層の適切な切開、筋腫と筋層の間の正確な同定、および手術操作の地理的な違いへの適応は、成功のために不可欠な要素です。

    子宮筋腫核出術の成功は、手技、判断力、そして経験に大きく依存します。

    この記事が、子宮筋腫核出術の重要な側面を理解し、研修医がこの貴重な手術技術を習得するための基礎を築くのに役立つことを願っています。

  • 超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    最近の動向を見ていると、医学生さんや研修医の先生が見てくれていることも多くなってきました。

    内容としてはかなりマニアックなブログですがもう少し歩み寄って、専門用語をかみ砕きまくった、ゆる解説をしていくシリーズを行います。

    そもそも子宮全摘の方法を何個かに分けて説明したいと思います。これは開腹(AT)でも腹腔鏡手術(TLH)でもロボット支援下(RASH)でも共通した内容になります。

    臓器を取るとは

    そもそも臓器を取るについてゆるーく考えてみましょう。

    一般化して、ふつうにものを取るときってどうしますか?

    ものって”持ち上げる”と取れますよね。

    落ちてるボールを拾うときは持ち上げるだけでボールを取ることが出来ます。

    では、土に埋まっているジャガイモを取り出すときはどうでしょう。

    ただただ取ろうとしても引っかかりますよね。根っことか周りの土など。なのでついている根っこをはぎ取り、土をはらいますよね。

    引っかかるものがあればそれをどけて取ります。

    他の例なら、洗濯物の山からズボンだけを取り出すとき、山に手を突っ込んで、ズボンを引っ張ってその周りのパンツやシャツをどかして取り出しますよね。

    そんな雑なことはしませんか?(笑)

    言いたいことはわかりますよね。

    ものを取るときには、引っ張って周りのものをどける

    これがものを取るときの方法になります。

    実は、手術でもこの単純な作業をしています。

    もちろん手術をするということは生半可な事ではダメで、人の命に係わり、医師免許がなければ傷害罪であり、産婦人科であれば生命の誕生にも関わるとてもとても大切なことです。

    ただ、こういった意義的なところを無視し、している事だけを注目すればやっている作業としてはジャガイモや洗濯物の例と変わりないです。

    実際手術でやっていることは、引っ張りながら膜や血管や隣接臓器をはがして引っこ抜いて終了。

    かなり暴論ですがこれが真理となります。

    この考え方で子宮全摘を見ていきましょう。

    超ゆる子宮全摘

    子宮を取るときって、子宮は持ち上げてもとれません。何がついているのでしょう。

    この画像を見てもらうとわかりますが、上部靭帯と下部靭帯があります

    子宮を引っ張りながら、この上下の靭帯を切って最後に膣を切ったら子宮は取れます。

    以上が子宮全摘術となります。

    これでは抽象度が高すぎるのでもう少し具体的な話をします。少し具体的になるので難しいかもしれません。

    困難は分割せよ

    ”困難は分割せよ”

    デカルトの言葉ですね。

    すべての現象に当てはまることですが、難しいことは分割して考える必要があります。

    旅行に行く → いつ、どこに、誰と、お金はいくら?などなど

    自分のできる範疇にまで分割して考えることで、実際に行動が出来るわけです。

    今回、超ゆるーく子宮全摘を

    引っ張って上部靭帯と下部靭帯を処理したらできると説明しました。

    これも一つ一つ分割して処理するだけです。

    上部靭帯→ 円靭帯、卵巣、卵管 →それぞれの切開ライン、切開方法、展開方法 →腹膜の切開、血管の切開、把持部位

    という風に分割していき、自分がわかる範囲まで考えればいいのです。

    ちなみに、どこまで分解し解像度を上げられるか。それがどれだけ熟達しているかを分ける一つの指標になります。

    これらはすべてのことにおそらく共通していて、

    全くしたことないですが、メイクであれば

    顔にメイク用品を塗る → 部位によってメイク用品を変える → 塗り方を変える → 色や材質をこだわる 

    といった風にどんどん上達するにつれて細かくなっていくのではないしょうか(やったことないので間違っていたらすみません)

    他には、日本を旅行するときに、東日本、西日本という分け方しか知らない人と、関西地方の大阪府の難波の通天閣までわかっている人とどちらが慣れているかは一目瞭然ですね。

    手術の分割した内容に関しては

    TLHまとめページ – 産婦人科医ごっそのラパロなブログ (sogogyne.online)

    こちらを参照してください。読んでいただきありがとうございました。

    まとめ

    1. 一般的な物を取る方法:物を取るときには、引っ張って周りのものをどけるだけ
    2. 手術における同様のアプローチ: 物を取る際の考え方は手術においても同様である。手術においても、周囲の組織を処理し、必要な部位を引っ張って取り除く作業が行われる。
    3. 子宮全摘術の手順: 子宮を取り出す際には、上部靭帯と下部靭帯を切ってから、膣を切開するだけである。
    4. 困難を分割して考える: 困難なことは分割して考える必要がある。具体的には手術であれば手順を細分化して考えることが重要である。