カテゴリー: TLH

  • 背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    背側から攻略!仙骨子宮靭帯を“先手必勝”で下から切る理由

    手術室で「もう少しで終わるはずなのに、ザクロが切りきれない・・・」と汗をかいた経験はありませんか?

    子宮全摘のクライマックスで立ちはだかるのが 仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい:子宮を仙骨に繋ぎ骨盤奥で支える太い靭帯)です。

    ザクロをしっかり切りきれていないと腟管切開が本当に難しくなりますよね。

    実は、切りはじめの場所を変えるだけで、その“ラスボス感”はあっけなく消えます。

    この記事でわかること

    ・なぜ上から切ってはいけないのか
    ・背側アプローチが楽になるメカニズム
    ・具体的な切り方と注意点

    仙骨子宮靭帯、まずは位置をイメージ

    子宮頸部の両サイドから斜め後方へ伸び、仙骨側に固定される腹膜下の繊維組織のたわみ――それが仙骨子宮靭帯です。

    前面はマニュピレーターやロボットアームで持ち上げるとたわみますが、背面は骨盤壁にピタッと貼り付きほとんど動きません。この「背側で固定、腹側で可動」という二面性が切離方向のカギになります。

    https://sogogyne.online/sacro/

    背側から切ると何が起こる?

    核心は一文でいうとこうです。

    靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる。

    わかりにくいので、何個かに言い換えてみます。

    上(腹側)から切るとずり落ちるので、下(背側)がさらに切りにくくなる

    組織を切ると、子宮の可動性が上がり子宮が上に上がるが、ザクロは背側に固定されているので相対的に背側に落ちる。

    基本的に人間上から処理したくなります。開腹の時代から上から上から処理していますし、ダイヤモンド配置(術者の右手が下腹部正中)の場合も上からになります。

    しかし、仙骨子宮靭帯は幅広い組織になるため、上から切るとどんどんずれ落ちていきます。

    画像で見る

    少しわかりにくいので画像で見ていきましょう

    こちらは仙骨子宮靭帯の処理の場面です。バイポーラーで掴んでいる部分をザクロとします。

    わかりやすくするため、

    左上から

    赤いボックス①

    黄色いボックス②

    青いボックスとします。①が一番高く、③が一番低い位置に存在しています。

    上から切ると

    例えば、上からつまり、①を切ると子宮が上のテンションかかっていると、②③が想定的にずり落ちます。①は外れて縮みます。

    さらに上から②切ると残った③がさらに下に下がります。
    そうすると、元々下にあった③がさらに下に行くことで処理が難しくなり、結果残ってしまいます。

    下から切ると

    次にしたから切ってみましょう。つまりから切ると、同じように①②が下がりますが、元々高い位置に存在するので多少ずり落ちても大丈夫です。

    上記のように、元々下にあるものは先に処理してしまった方が良いのです。

    腹側を先に切る: 支点が残ったままテンションが逃げ、靭帯が下へ滑落 → 毎回持ち直し&深追いで時間と出血が増える。

    背側を切る: 固い固定点を解除 → 靭帯全体がふわりと前方へ緩む → 下端が視野中央に留まり処理しやすい。

    いろんな言い換えをするなら、いわゆるアルドリッチになるので、やりにくい下の部分を先に処理してしまおうということです。

    追加考察:周辺組織の影響

    もう一つ、したから行くとずれにくい理由があります。

    それは、内側より外側の方が硬いから

    尿管下腹神経筋膜などの組織の存在。外側(①側)には尿管下腹神経筋膜や上行枝につながる組織がたくさんあります。

    一方で内側(③側)には何もありません、直腸腟間隙ですので可動性がとてもいいです。

    可動性がいい方が残ってしまうと、より下にずり落ちやすくなります。

    しっかりと固定されている①側はズレにくいので残してあとから処理してもいいのです。

    イメージはカーテン。カーテンレールに引っかかっているカーテンです。

    上を外してしまうとばさっと全て落ちてしまいますが、例えばカーテンをしたから切っても(どんな状況・・・?w)上は固定されままですよね。そんなイメージです。

    たった2つのポイントとつまずきポイント

    1. まずしたからたわみを確認します。できれば処理する手でたわませるとわかりやすいです。
    2. 子宮を軽く前屈マニュピレーターや膣パイプで頸部を前へ押すと靭帯がストレッチされ背側が白く浮き上がります。

    よくあるつまずきポイント

    • 「最後まで靭帯が残ってしまう」→ すでに腹側から攻めているサイン。背側を確認して切り直すと一刀両断。
    • テンション不足で靭帯が太く見える→ 子宮をもう前屈。助手に「カウンターのテンションお願い!しっかり子宮あげて!」と声をかけましょう。
    • 尿管との距離が不安→ 背側を切る位置は子宮頸部外側の骨盤壁寄り。尿管はさらに外側を走るので、白い筋が視野に入る程度なら安全圏です。

    まとめと次のアクション

    仙骨子宮靭帯は“支点外し”が肝。背側から先手を打てば、靭帯はおとなしく処理を待ち、手術全体のリズムが格段にスムーズになります。

    次の症例でぜひ試してみてください。きっと「最後に靭帯が残る地獄」とサヨナラできます。

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    復習問題

    問題
    仙骨子宮靭帯を背側(下方)から最初に切離すると処理が楽になると本文で述べられています。その直接的なメカニズムとして最も適切なのはどれでしょうか。A〜D から 1 つ選んでください。

    A. 背側を先に切ると子宮が前方に垂れ下がり、靭帯が自然に外側へ開くため
    B. 背側を先に切ると支点が解除され、残りの靭帯がずり落ちず視野中央にとどまるため
    C. 背側を先に切ると尿管が内側へ引き寄せられ、損傷リスクが減るため
    D. 背側を先に切ると腹側の可動域が固定され、子宮が過度に前屈しなくなるため

    解答
    B


    解説
    背側(支点側)を最初に切ることで靭帯全体の固定点が解除されます。これにより残存部分が下方へ滑落せず、処理したい端が視野中央にとどまるため、持ち直しや深追いをせずに一気に切離できます。本文では「靭帯を支点側(背側)から先に断つと、残りがずり落ちず処理が綺麗にできる」と述べられており、これが背側アプローチの核心です。選択肢 B が最も正確にこの機序を説明しています。

  • 内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    「尿管と子宮動脈、どのアプローチが一番スマート?」


    そんな疑問、内視鏡認定医ビデオ撮影前に一度は頭をよぎりますよね。

    内視鏡認定医試験は、知識だけでなく、手技の選択眼も問われる試練。前方、側方、後方と3つのアプローチから選ぶ必要があり、どれを選ぶかで評価が大きく変わることも。

    今回は、この選択の迷宮から抜け出すための3つのポイントを届けします。

    1. 自身の経験を第一の羅針盤に

    「慣れた道を選べ」――迷ったらまずは足跡を辿る

    まず最初に言いたいのは、「試験本番で実験しないで!」ということ。10回以上こなしたアプローチがあれば、それがあなたのゴールデンルールです。

    「いや、他のやり方も試してみたいんだよな…」なんて冒険心は一旦棚に上げてください。本番での「未知のアプローチデビュー」はリスクが高すぎます。


    どんな迷路でも、何度も通った道ならば自然と足が進みますよね。同じように、試験でも自分が10回以上手掛けたことのあるアプローチを選ぶのが最も確実です。慣れた動作は緊張した場面でも手が覚えており、余計なミスを防ぎます。

    仮に複数の道が「慣れた道」ならば、次に考慮するのは採点者の視点です。それは、観光ガイドが観光客に一番の見どころを選ぶようなもの。採点者にとってなじみ深いアプローチを選ぶことで、評価も好印象となるでしょう。

    2. 採点者が見慣れた風景を意識せよ

    採点者が馴染みのある「風景」を再現する
    内視鏡認定医試験の採点者は多くの場合、50代前後のベテラン医師たち。彼らの経験に基づく偏りを逆手に取ることが試験攻略の鍵です。


    採点者は長年の経験から、特定のアプローチに馴染んでいます。腹腔鏡手術でよく選ばれる側方アプローチは、彼らにとって「定番の観光スポット」のようなもの。

    一方、開腹手術での経験もなじみがあります。開腹では上部靱帯の処理から入りますよね。それは前方アプローチ。開腹経験があるため前方アプローチも親しみのある選択肢です。


    後方アプローチは「知る人ぞ知る名所」――興味を引く一方で、理解が追いつかないことも。採点者の年齢層や背景を考慮すれば、側方か前方を選ぶのが無難です。

    3. 剥離しすぎない――「触りすぎると爆発する地雷」と考える

    「剥きすぎ注意」――過剰な展開はリスクを招く

    尿管の同定に関して、「見つけなくてOK」と言われると拍子抜けするかもしれませんが、実はこれ、真実。学会の指針にも書いてあります。腹膜越しに尿管の位置を確認し、適切な距離を保てれば合格ラインです。


    尿管の位置は「地図に書かれた地雷ポイント」のようなものです。それを大げさに探し回る必要はありません。

    腹膜越しに確認でき、広間膜を適切に展開できていれば問題なし。剥きすぎると尿管という繊細な地雷を爆発させるリスクが高まります。

    また、剥離が広範囲に及ぶと、脂肪組織を傷つけ静脈出血が多きやすく見にくくなったり、結果として大量出血や他臓器損傷のリスクが増大します。「適度な距離感を保つ」ことが安全への鍵です.

    結論:どのアプローチを選ぶべきなの?

    結局どれを選ぶべき?

    最優先すべきは、やり慣れているアプローチです。練習で培った自信が何よりも力になります。ただし、迷った場合は、採点者が見慣れている側方アプローチや、開腹でオーソドックスな前方アプローチを選ぶと無難です。

    注意点として、側方や後方アプローチは剥離範囲が広がりやすいため、必要以上の剥離をしないように心がけましょう。試験では、「確実性」と「適度な範囲」が評価されることを忘れずに!

    1. やり慣れた道を進む
       試験という迷路で迷わないためには、自分の経験という羅針盤を信じましょう。
    2. 採点者に馴染みのある風景を意識
       側方アプローチは最も採点者が慣れている道筋。前方も開腹に近い形で馴染みがあります。
    3. 剥離のリスクを抑える
       「触れすぎると爆発する地雷」を避けるように適切な距離を保ち、尿管の位置を確認しましょう。

    さらなる実践のヒント

    試験の練習では、側方アプローチを中心に、前方アプローチの手順も確認しておくと安心です。剥離作業は、適度な力加減とテンションを意識することが大切です。視野展開をスムーズに進めるためには、出血しない範囲での剥離を徹底しましょう。迷わない準備が、合格への第一歩です。

    剥離に関してはこちらでガッツリ解説していますのでぜひ参考にしてみてください!

    https://sogogyne.online/hakurinogokui/

    この記事が試験準備の道しるべとなれば幸いです。次回は、各工程で大切にすることについて詳しく掘り下げます。X(旧Twitter)で更新情報をお知らせしますので、ぜひフォローを!

  • 最速で子宮を腟から回収する方法

    最速で子宮を腟から回収する方法

    腟からの子宮の回収は得意ですか?

    AT,TLH,RASH後で地味に時間がかかるのが腟からの全摘した子宮の回収ですよね。

    今回は、最速で子宮を腟より回収する方法を解説します。

    これまで何100(何1000?)の子宮を回収してきました。キロ越えの子宮の回収を何度も行っています。そこで見つけたコツを余すことなく解説します。

    最速で子宮を回収する方法

    子宮が小さい場合 200g程度まで

    基本的に図のように切ればすぐに出ます。

    コツは子宮頸管を引っ張って腟内に入れた後に子宮体部と頸部の間(体部下部)より左の卵管角に向かって切開を入れていってください。

    出来上がりとしては一本の細長い棒になります

    子宮が大きいが 多発の場合 何gでもOK

    考え方は、何よりも筋腫を核出すること。

    ”切開をするのは筋腫を核出するため”

    コツは、筋腫の位置を完全に把握しどれから取るかイメージすること。

    よくあるミスが切りやすい子宮実質を切っていき、筋腫だけ残ってしまうことです。

    これは子宮筋腫の遺残にもつながるので避けましょう。

    具体的なやり方は後述します。

    子宮が大きくて筋腫が単発 または 腺筋症

    単発のでかいやつは一番大変です。なかなか膣の中に入ってこないので切ることができません。

    この1番の問題は、腹腔内での操作になるため、腸や腟切開部を傷つける可能性が高いことです。

    解決策として大きな袋に入れて回収しましょう。

    おすすめは⇩になります。

    https://appliedmedical.co.jp/Products/Alexis/CES

    まず、大きさが最大級です。径が17センチの物は6Lまで入ります
    正直17センチのものは使いにくいので14センチで十分です。

    単品で袋が3つセットのものがあるのでそれが一番コスパ良いと思います。

    袋の端にリトラクタが付いているので巻き巻きすると膣壁が広がって操作しやすいです。

    そして何より袋の素材が分厚く裂けにくい!!EZパースなど他の袋は安いですが薄くて扱いにくいですよね。

    回収の仕方は筋腫をブロック状に切開して地道に回収するしかありません。

    この時はなるべく長細くなるように回収していきます。

    するといつか膣内に筋腫が降りてくるようになり、一気に回収することができます。

    根気よく頑張りましょう。

    実際切る時の動き

    大きさによる場合分けが終わったところで、実際の動きについて解説してきます。

    基本の動きは”C”

    切開方法は基本的にCを描くように切っていきます。

    うまいこと行くとりんごの皮剥きみたいに1mほどの一直線の筋腫棒ができます。

    組織が大きくて、引っ張ってこっれない時は、諦めてブロック状にして出しますが、この時も初めはCにきります。

    基本は長クーパーで切開しますが、初めのとっかかりはメスですることもあります。

    子宮体部は膨らんでいますので、奥の方できる時は、真っ直ぐではなくやや外側に向かって切るとうまいこと行きます。

    で必ず守る!!腟切開部は絶対に切らない!

    よくあるのが、腟の断端部が裏返っていて腟の切開部を誤って切開してしまうことではないでしょうか。

    これを防ぐにはこの二つを守ってください。

    を必ず根元まで(奥まで)入れる
    見ている範囲で切開する

    腟断端の縫合がかなり難しくなるので必ず腟を保護しましょう。

    切開の方向を考えて何度もの位置を変えて、保護します。

    とりあえず引っ張る

    テンションがかかっていないと切開ができないので必ず強い力っで引っ張りましょう。

    まずはそれからになります。

    コツは体重を乗せること。つまり体制を後ろにして後ろにひっくり返るように体を倒してください。

    イメージは綱引きです。体重を乗せましょう。

    うまく引っ張れている基準は、腕が痺れること。

    それぐらい引っ張り大事です。

    単鈎鉗子や双鈎鉗子で把持して引っ張り倒しましょう。

    筋腫の位置イメージが最も大切

    オペ中にどこに筋腫があるのかしっかり覚えておきましょう

    ”切開をするのは筋腫を核出するため”の原則に従うために筋腫に向かって切開していく必要があります。

    どこにメインの筋腫があるのか、どのようにアプローチするのかはかなり大きなポイントになります。

    これをしないのは地図を見ずに走り出すようなものです。

    しっかりイメージしてから切開に移りましょう。

    持ち前のエコーは、指!

    子宮の位置を確認していてもよく筋腫の位置がわからなくなることがあります。

    そんな時は、指でどこに何があるか確認してください。

    産婦人科の指は内診を経て精密機器と化しています。

    これを用いない手はないですね。

    膣に指を突っ込んで子宮の位置や筋腫の位置大きさを確認します

    筋腫の核出は”層”を意識する

    筋腫の位置を確認できればそちらに向かって切るのですが、このとき筋腫と子宮実質の間の層をしっかりと見極めます。

    コツはしっかりと筋腫の中心に向かって切開することです。

    実質の方が柔らかいので実質だけ切ることができ容易に筋腫の表面の層に入ることができます。

    ねじって展開してから切る

    最後のコツはねじって展開してから切るになります。

    上側を切る時は、左手を時計回りに捻り下に引っ張ることで、切開するべき場所が出てきます。

    逆に、下側を切る時は、左手を反時計回りにねじり上に引っ張ることで、切開できます。

    また、展開はハサミでもできます。ハサミの片刃を入れてから、ハサミを閉じずに子宮を押すように動かすことで展開を加えることができます。

    まとめ

    今回は、子宮を膣より回収する時のコツについて解説しました。

    大きさや筋腫に位置を確認し、腕が痺れるぐらい引っ張り、腟を保護しながらCの字に切開してください。コツは、捻りとクーパーの使い方です。

    ではでは。更新はXで告知してますので、少しでも役に立ったという方はフォローをお願いします。

  • 超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    超ゆる解説 子宮のとり方「そもそも子宮全摘ってどうするの?」→「引っ張ってはがすだけ!」

    最近の動向を見ていると、医学生さんや研修医の先生が見てくれていることも多くなってきました。

    内容としてはかなりマニアックなブログですがもう少し歩み寄って、専門用語をかみ砕きまくった、ゆる解説をしていくシリーズを行います。

    そもそも子宮全摘の方法を何個かに分けて説明したいと思います。これは開腹(AT)でも腹腔鏡手術(TLH)でもロボット支援下(RASH)でも共通した内容になります。

    臓器を取るとは

    そもそも臓器を取るについてゆるーく考えてみましょう。

    一般化して、ふつうにものを取るときってどうしますか?

    ものって”持ち上げる”と取れますよね。

    落ちてるボールを拾うときは持ち上げるだけでボールを取ることが出来ます。

    では、土に埋まっているジャガイモを取り出すときはどうでしょう。

    ただただ取ろうとしても引っかかりますよね。根っことか周りの土など。なのでついている根っこをはぎ取り、土をはらいますよね。

    引っかかるものがあればそれをどけて取ります。

    他の例なら、洗濯物の山からズボンだけを取り出すとき、山に手を突っ込んで、ズボンを引っ張ってその周りのパンツやシャツをどかして取り出しますよね。

    そんな雑なことはしませんか?(笑)

    言いたいことはわかりますよね。

    ものを取るときには、引っ張って周りのものをどける

    これがものを取るときの方法になります。

    実は、手術でもこの単純な作業をしています。

    もちろん手術をするということは生半可な事ではダメで、人の命に係わり、医師免許がなければ傷害罪であり、産婦人科であれば生命の誕生にも関わるとてもとても大切なことです。

    ただ、こういった意義的なところを無視し、している事だけを注目すればやっている作業としてはジャガイモや洗濯物の例と変わりないです。

    実際手術でやっていることは、引っ張りながら膜や血管や隣接臓器をはがして引っこ抜いて終了。

    かなり暴論ですがこれが真理となります。

    この考え方で子宮全摘を見ていきましょう。

    超ゆる子宮全摘

    子宮を取るときって、子宮は持ち上げてもとれません。何がついているのでしょう。

    この画像を見てもらうとわかりますが、上部靭帯と下部靭帯があります

    子宮を引っ張りながら、この上下の靭帯を切って最後に膣を切ったら子宮は取れます。

    以上が子宮全摘術となります。

    これでは抽象度が高すぎるのでもう少し具体的な話をします。少し具体的になるので難しいかもしれません。

    困難は分割せよ

    ”困難は分割せよ”

    デカルトの言葉ですね。

    すべての現象に当てはまることですが、難しいことは分割して考える必要があります。

    旅行に行く → いつ、どこに、誰と、お金はいくら?などなど

    自分のできる範疇にまで分割して考えることで、実際に行動が出来るわけです。

    今回、超ゆるーく子宮全摘を

    引っ張って上部靭帯と下部靭帯を処理したらできると説明しました。

    これも一つ一つ分割して処理するだけです。

    上部靭帯→ 円靭帯、卵巣、卵管 →それぞれの切開ライン、切開方法、展開方法 →腹膜の切開、血管の切開、把持部位

    という風に分割していき、自分がわかる範囲まで考えればいいのです。

    ちなみに、どこまで分解し解像度を上げられるか。それがどれだけ熟達しているかを分ける一つの指標になります。

    これらはすべてのことにおそらく共通していて、

    全くしたことないですが、メイクであれば

    顔にメイク用品を塗る → 部位によってメイク用品を変える → 塗り方を変える → 色や材質をこだわる 

    といった風にどんどん上達するにつれて細かくなっていくのではないしょうか(やったことないので間違っていたらすみません)

    他には、日本を旅行するときに、東日本、西日本という分け方しか知らない人と、関西地方の大阪府の難波の通天閣までわかっている人とどちらが慣れているかは一目瞭然ですね。

    手術の分割した内容に関しては

    TLHまとめページ – 産婦人科医ごっそのラパロなブログ (sogogyne.online)

    こちらを参照してください。読んでいただきありがとうございました。

    まとめ

    1. 一般的な物を取る方法:物を取るときには、引っ張って周りのものをどけるだけ
    2. 手術における同様のアプローチ: 物を取る際の考え方は手術においても同様である。手術においても、周囲の組織を処理し、必要な部位を引っ張って取り除く作業が行われる。
    3. 子宮全摘術の手順: 子宮を取り出す際には、上部靭帯と下部靭帯を切ってから、膣を切開するだけである。
    4. 困難を分割して考える: 困難なことは分割して考える必要がある。具体的には手術であれば手順を細分化して考えることが重要である。
  • TLH 目次ページ

    TLH 目次ページ

    このページは目次としてTLHに関して場所ごとにまとめています。

    セッティング

    TLH パラレル配置、前方アプローチ、マニュピレーターあり、エネルギーデバイスメイン(ハーモニックまたはソニシジョン)

    RASH 5ポート、前方アプローチ、マニュピレーターなし、電気メスメイン

    前方アプローチのTLH術式

    円靭帯の切開

    前方アプローチのTLHでは円靭帯をまず処理します(膀胱のところもありますが)。簡単そうに見えてめちゃめちゃ大切な円靭帯処理の解説です。

    円靭帯なめてません?
    ・円靭帯の切開でその後の処理の難しさが激変する。
    ・円靭帯裏の血管に注意
    ・いろいろ切開パターンはあるが円靭帯は単離しよう。

    切開場所、言語化できてますか?
    ・切開位置はとりあえずは真ん中では成長しない
    Point1 子宮動静脈上行枝から離れている。
    Point2 骨盤漏斗靱帯から離れている
    Point3 子宮から遠すぎない。

    円靭帯と”あるもの”の距離を見れば広間膜の癒着がわかる。
    ・骨盤漏斗靭帯との距離で癒着具合がわかる。
    ・円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が近いときは癒着有る

    ”とりあえず真ん中”で!!ダメ場合っていつですか? 
    ・癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近いとき
    ・巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき

    広間膜腔の展開

    子宮全摘のハイライトである、広間膜腔の処理について、箱のメタファーを用いてこれまでになく詳しく解説しています。

    広間膜腔は箱イメージ 円靭帯切開との秘密の関係 
    ・広間膜腔は人工的に作るもの。
    ・箱のイメージで広げていくとうまくいくことが多い。
    ・円靭帯の切開から広間膜腔の展開は始まっている。

    腹膜の本当の姿しってる?
    ・腹膜には広い意味と、狭い意味がある
    ・腹膜の下には腹膜下筋膜(硬い層)がある。
    ・この硬いところも切りきらないとラップがかぶったようになり広間膜腔を展開できない。

    前葉はなるべく子宮に近くで切るほうがよい。なんで?前葉の切開ラインと、切り方を徹底解説
    ・広間膜前葉の切開は円靭帯から子宮動脈または膀胱まで。
    ・子宮に”寄って”切開することが何よりも大切
    ・離れるときれいに腔が展開できず、子宮に組織が残る。

    ④広間膜腔は人工的に作られるものであり、作り上げるにあたって正しい形を知る必要がある。目指すべき形は箱をきれいに開けたような姿(詳しくはこちら

    ⑤具体的な広間膜腔展開の手順 (詳しくはこちら

    ⑥脂肪は脈管の所有物で、所を示す指標になり手術を安全に行う道しるべとなる(詳しくはこちら

    尿管子宮動脈交差部の同定

    ①前方アプローチは難しいだからこそ困難症例に向いている。(詳しくはこちら

    ②尿管同定方法は、側方アプローチ型、子宮動脈アプローチ型、前方アプローチ型の3つ。前方アプローチ型は尿管と子宮動脈を同時に見つけることができ、非常に強力(詳しくはこちら

    ③発生学的を知っておけばパッキングされた構造の理解と認識が進み、交差部の同定が容易となる。(詳しくはこちら

    ④子宮動脈と尿管は平行に走っている場面のほうが多いので注意。(詳しくはこちら

    膀胱の剥離

    ①膀胱剥離は必要ない?膀胱剥離の理由は膣を安全に縫うため。(詳しくはこちら

    ②膀胱が剥離しにくいのは筋膜が癒合して癒合筋膜となるから。(詳しくはこちら

    ③膀胱剥離の正面突破の4STEP(詳しくはこちら) 

    ④膀胱剥離がうまくできない時の対策3つ(詳しくはこちら

    ⑤膀胱剥離のサイドからの3STEP(詳しくはこちら

    ⑥膀胱剝離のサイドからのコツ① 子宮動脈から考える(詳しくはこちら

    ⑦膀胱剝離のサイドからのコツ② トンネルの作り方(詳しくはこちら

    骨盤漏斗と子宮附属器の処理

    ①骨盤漏斗靭帯の処理① 3ステップ(詳しくはこちら

    ②骨盤漏斗靭帯の処理のコツ。白色凝固を意識すると止血効果が高い(詳しくはこちら

    ③子宮附属器のメタファーはクローバーよりも冊子のほうがよい説(詳しくはこちら

    ④子宮附属器の処理のコツは、切りたい部分とその腹側の組織を同時に持つこと(詳しくはこちら

    広間膜後葉と仙骨子宮靭帯と子宮傍組織の処理

    ①広間膜後葉処理の”詳しすぎる”手順とコツ 仙骨子宮靭帯、筋膜を認識せよ(詳しくはこちら

    ②仙骨子宮靭帯は存在しない。ただの腹膜のたるみをそう認識しているだけ。(詳しくはこちら

    ③子宮傍組織のメタファーはシャンパンタワーがよい。位置を変えるには剥離。(詳しくはこちら

    ④子宮動脈上行枝の切断は”安全な高め”が無難(詳しくはこちら

    腟管切開+縫合

    ①腟管切開はリングのイメージが出来ていると失敗しない(詳しくはこちら

    ②超具体的な腟管の切開方法(詳しくはこちら

    ③腟断端の1層目は層を合わせることから始まる(詳しくはこちら

    ④腟断端の2層目は減張を意識、真皮縫合と同じ原理(詳しくはこちら

    コラム

    なぜ側方アプローチではなく前方アプローチ用いているのかは患者への侵襲を考えて(詳しくはこちら

    鈍的剥離と鋭的剥離どちらが良いかは状況による。常に鋭的剥離がよいわけではない(詳しくはこちら

    鈍的剥離は悪ではない、正しいテンションと方向を見極める(詳しくはこちら

    縫合の原則は層と減張(詳しくはこちら

  • 腟断端縫合② 2層目は真皮縫合と同じ?

    腟断端縫合② 2層目は真皮縫合と同じ?

    縫合の原則に基づいた、腟断端縫合シリーズの第二弾!

    1つ目は層を合わせる。2つ目は創部の減張でしたね。

    今回は”創部の減張”にフォーカスを当てた腟断端の縫合を見ていきましょう。

    2層目は真皮縫合と同じ

    腟断端の一層目は前回説明しました。

    筋層→粘膜→粘膜→筋層と筋層同士、粘膜同士が合わさる様に縫合しました。

    薄い粘膜がきれいにくっつくように1層目を取りました。

    2層目は創部の減張が一番の目的になります。

    ここで最も大切なイメージが皮膚における”真皮縫合”になります。

    真皮縫合は、真皮を幅広くとることで、表皮での減張を達成していますよね。

    これと同じことを腟断端で行えば良いわけです。

    イメージとしては以下のようになります。

    表皮→筋膜として、真皮→筋層として考え、筋層を幅広く、奥まで取れればよいわけです。

    腟をよこから見たのイメージはこんな感じです。

    減張するためには2層目は図のように運針するのが望ましいです。

    これによって中の筋層と粘膜が減張され傷の治りが理論的に良くなります。

    実際の縫合の仕方

    まずは筋層を展開します。

    この時のポイントとしては、メリーランド型の鉗子で筋層の外側、つまり筋層側を薄く持ちます。

    真皮縫合で表皮を持ち上げるようなイメージです。

    筋層に針を挿入していきます

    この時のイメージはやや奥(腟の尾側)に向かって運針するイメージで奥の組織を取れるようにします。

    筋層をひっかけながら手前に針を出す

    つぎに筋層をひっかけながら針の先端を軸にして針を手前向きにします。

    一層目ぎりぎりに出します。

    これで片方の運針が完了します。

    反対側も同様に

    反対側も同様に、筋層を展開し奥目に運針、針の先端を軸にめくりあげ、手前に運針します

    これをを繰り返して終了です。

    所属施設では年間200-300件ほどTLHやRASHを行っていますが、ここ数年腟断端離開は行っていないのでこのやり方でおそらく間違いはないと思います。

    ただこのやり方がその施設にとってベストかどうかは不明です。

    一層目を前層縫合して、プラス正中Z縫合や腹膜縫合でもよいと思います。閉経後など膣壁が薄い時はよくやっています。

    縫合後の腟断端の強さを調べれたら一番なのですがなかなか難しいですね。

    なので、今回のやり方も私が考える理論上よい2層縫合になります。

    めくりあげて、なるべく奥を取るような運針が必要となるためやや技術が必要となりますが、ぜひ参考にしてみてください

    これでやっとTLHが終わりました。今後は、他の術式についても詳しく解説していこうと思います。もしかしたらパラレル配置のTLHより需要があるかもしれませんね。もう少しコラム的なものも増やせたら良いなぁと思っています。よろしくお願いいたします。

    まとめ問題と答え

    問題: 腟断端の2層目縫合についての説明の中で、正しい記述を選択してください。

    A) 2層目縫合では筋層を薄くを取り縫合を目指す。
    B) 真皮縫合のイメージを参考に、筋膜ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。
    C) 筋層は分厚く持ち上げ、扱いながら縫合する。
    D) 一層目の縫合は筋層を中心に行い、二層目では粘膜のみを縫合する。

    答え: B) 真皮縫合のイメージを参考に、表皮ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。

    解説: 腟断端縫合の2層目では、真皮縫合のイメージを用いて筋層を幅広く縫合することが重要です。この方法は、表皮での減張を達成するのと同じ原理で、筋層を幅広く取ることにより、創部の減張を目的としています。これにより、傷の治りが理論的に良くなるとされています。他の選択肢は、このテキストに基づいた正しい手法を反映していません。

  • 2大原則に基づく腟断端縫合①層を合わせる

    2大原則に基づく腟断端縫合①層を合わせる

    腟断端シリーズ第一弾、2大原則に基づく腟断端縫合です。

    縫合時における2大原則は何でしたか?(詳しくはこちら

    ①層を合わせる
    ②創部を減張する

    この二点でしたね。これらの原則を腟断端縫合に適応するとどうなるのか見ていきましょう。

    今回は原則その1”層を合わせる”にフォーカスを当ててみます。

    腟の層を合わせる

    一つ目の原則は次①同じ層を合わせるでしたね。具体的には次の三つになります。


    1.まず層を知る
    2.層が見やすいように展開する、
    3.層同士を縫う

    ではそれぞれ順番に見ていきましょう

    まず層を知る

    腟の層は3つになります。

    内側から粘膜、筋層、筋膜(包む膜)になります。これは知っておくしかないですね。

    粘膜があり、支持組織があり、それを包む膜があるようなものですね。

    層が見やすいように展開する

    展開に関しては、何を見たいかによって変わります。

    見たい組織のごく近くをなるべく薄く把持しテンションをかけて層が見えるようにします。


    図は、腟断端の端っこを縫うときの展開になります。筋層の一部と粘膜を縫合したいので、筋層と粘膜の間を薄く持って展開しています。

    断端の途中の縫合場面ですが、助手に腟断端を引っ張ってもらいテンションをかけてもらい、近くを持つことで見やすいように展開しています。

    コツとしては何度も左手で展開しなおすことが大切です。

    何度も、展開を変えて、一番見やすく運針しやすい”術野”を作っていく意識が大切となります。

    層同士を縫う

    層が認識できればあとは運針になります。

    運針で大切なのは左手の動きになります。

    ポートの配置により動きが制限されているため、右手は基本的に回すとひっかけることしかできません。左手で微調整して層を縫合します。

    下の図では、白い矢印から、筋層→粘膜ととり、赤い矢印に粘膜→筋層ととることで同じ層で縫うことが出来ています。

    先ほどの腟断端を途中で縫い終わった時の画像でも、左手で組織をコントロールして狙った層に運針を行っています。

    層を知り、その層を取れるように展開し、層同士を縫う。

    これらを意識して、層を合わせてみてください。

    次回は原則②創部を減張するを腟断端縫合に適応するとどうなるか見ていきますね。お楽しみに。告知はXで行っています。

    まとめ問題と解説

    問題: 腟断端縫合における「層を合わせる」という原則に関して、以下のうち正しいのはどれか?

    1. 腟の層は内側から粘膜、筋層、脂肪層で構成されている。
    2. 層を展開する際は、筋層の一部と粘膜の間を薄く持ち、適切なテンションをかけて層を見えるようにする。
    3. 運針時、左手の微調整は不要であり、主に右手を用いて縫合を行う。
    4. 縫合の順序は、まず筋膜から始め、次に粘膜、最後に筋層を縫合する。

    答え: 2. 層を展開する際は、筋層の一部と粘膜の間を薄く持ち、適切なテンションをかけて層を見えるようにする。

    解説:

    • 選択肢1は間違いで、腟の層は内側から粘膜、筋層、筋膜で構成されています。
    • 選択肢2は正しいです。腟断端縫合では、層を正確に認識し、適切に展開することが重要です。筋層と粘膜の間を薄く持って展開し、テンションをかけることで層を見やすくします。
    • 選択肢3は誤りで、運針時には左手の微調整が重要です。右手は主に回転と引っ掛ける動作に限定されます。
    • 選択肢4も間違っています。縫合の順序は、まず同じ層を合わせることが重要であり、特定の層から始める必要はありません。
  • 腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    膣切っている間に出血してしまった。見えなくなってきた・・・どうしよう。

    このような焦った経験はTLHをする上で誰しも味わう、嫌な汗が出る経験ですね。

    前回は切開ラインはすべて腟の輪のイメージがあるかで決まるという話を行いました。(こちら
    今回はより具体的な、超具体的な腟管切開を説明していきます。

    画像多めですので、イメージ膨らませながら説明していきます。ゆっくりみていってください。

    ①傍組織と腟リングの確認

    まずは切開ラインの確認を行います。

    前壁で膀胱がしっかり剥離できているか、リングの位置を見ながら確認します。

    横は子宮動静脈上行枝がリングのラインまでおりている確認します。画像では鉗子が握っているラインまで組織を処理しないといけません。

    後ろはザクロ(仙骨子宮靭帯)や腸が離れていることを確認します。

    ②腟パイプをはめ込む

    腟壁切開のコツは、円蓋部にしっかりと腟パイプをはめ込むことです。腟と子宮頸管腟部との間をリング状に把握することで頸管をかじることなく切開することが出来ます。

    図のように円蓋部にしっかりと腟パイプのリングが入り込むようにしましょう。

    押し込みが甘かったり、端が内子宮口にかかっていることがあるので注意してください。

    ここでのコツは次のようになります。

    ①まずはしっかり奥まで腟パイプを押し込む
    ②そこから腟パイプを左右上下に動かす
    ③動かしてみてリングが見えてなければ、入れなおす

    ここで腟パイプのラインが、夜の海の灯台のようなものになります。ここをしっかりクリアしておかないと見当違いのところを切開することになります。

    ③前壁切開

    腟の輪のイメージが取れたところで、切開に移っていきましょう。まずは前壁からになります。

    ここで注意すべき点としては2時と10時方向には膣からの血管が走っている事です。腟の静脈で凝固せずに切開すると出血します。切って出血してから凝固するのもいいのですが、上から出血すると横や下の視野が確保しにくいので注意しましょう。

    切開の時はリングの数ミリ奥を切開するとよいです。

    ③横切開

    次に左右に行きます。やりやすいほうからしていきます。どちらでもよいです。

    横切開時には結構出血します。特に3時9時には動脈があり、またそこを超えてくると腟静脈が発達しているので容易に出血します。

    円蓋部と腟のリングに沿って、凝固も併用しながら切開していきます。

    できれば細かく円蓋部をめくり返して頸管をかじっていないか確認できればなおよいです。

    ④後ろ切開

    最後は後ろの切開になります。実は後ろの切開が一番難しいです。

    子宮を持ち上げ、腟パイプで後壁を出そうとしても、かなり難しいです。腟パイプを持っている人の技量に寄りますし、何よりカメラが入りにくく視野が取りにくいです。

    そのため、円蓋部をめくりあげ、腟の粘膜を先に切開しラインを確保→その後筋層を切開という形がやりやすいです。

    マニュピレーターで先に後ろを切開するパターン

    実は、上記の画像はすべてRASH(ロボット支援下子宮全摘術)になります。パラレルTLHの時はどのようにするか見ていきましょう。

    TLHではロボットのようには鉗子の向きを自由に変えれない為、展開が最も重要になります。マニュピレーターがある状態で先に難しい後壁から行うようにしています。

    基本は上記と同じです。

    ①切開ラインの確認

    まず子宮を動かし腟まで組織が下りていることを確認にします。

    しかし、カップ付きではないマニュピレーターの場合どこまで処理が終わっているかわかりにくいですよね。この時にとても役に立つ基準があります。それは

    仙骨子宮靭帯

    これを目安に確認します。基本的に仙骨子宮靭帯は円蓋部のラインで付着しているので、仙骨子宮靭帯を切開したラインを見れば腟のラインがわかります

    そして、ラインが確認できれば切開を行います。まず後壁の切開から行います。

    ②後腟壁切開

    子宮を完全に前屈させて行います。

    この時に目安となるのが、マニュピレーターの動く部位の曲げた角になります。角を意識しながらマニュピレーターの形や円蓋部の大きさをイメージし、また、細かく動かすことでオリエンテーションを確認し切開します。

    そして、切ったラインを左右に広げていきます。基準としてはここでも仙骨子宮靭帯になります。

    仙骨子宮靭帯まで左右を切り広げて後壁は終了です。

    ③腟パイプに変更

    余り後壁切開をやりすぎると腹腔内のCO2が膣より排出され気腹圧が下がり危険になります。左右仙骨子宮靭帯あたりまで切れたら、マニュピレーターを腟パイプに変更します

    ④前壁切開

    ここからは上記と同じです。しっかりと腟パイプをはめ込み、少し奥を切開します。

    ⑤横切開

    最後に横切開して終了です。後ろの切開したラインと上の切開したラインをつなげるだけでよいです。

    一番最初に難しい後腟壁の切開が終わっているので、後ろの切開さえクリアできればこちらのやり方のほうが簡単ですね。

    以上になります。パラレル配置なのかダイヤモンド配置なのかでも変わりますし、マニュピレーターを入れているか入れていないかによってもやり方が変わってきます。

    いろいろ試してみてやりやすい方法で切開してみてください。

    次は腟断端部の縫合になります。やっと手術が終わる~
    更新はXで告知していますので、フォローお願いします!

    まとめ問題

    問題:
    子宮全摘出術(TLH)における腟壁切開の正しい手順は何ですか?

    選択肢:
    A. 切開ラインを確認せずに直接切開する。
    B. マニュピレーターを使用せずに後壁切開を最初に行う。
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。
    D. 切開ラインを無視して、子宮動静脈上行枝を最初に切除する。

    答え:
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。

    解説:
    この問題の答えはCです。子宮全摘出術(TLH)において、腟壁の切開は非常に重要な手順です。適切な切開を行うためには、まず腟パイプを使用して円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込む必要があります。これにより、腟と子宮頸管腟部の間を適切に分離し、切開ラインを正確に確認できます。その後、慎重に切開を行い、適切な手術を進めることができます。選択肢A、B、Dは不適切な手順を示しているため、これらは誤りです。

  • 側方アプローチと前方アプローチの患者負担の圧倒的な違い

    側方アプローチと前方アプローチの患者負担の圧倒的な違い

    TLH(腹腔鏡下腟式子宮全摘)において、側方アプローチと前方アプローチ、どちらが患者さんの負担が少ないか考えたことありますか?

    個人的には前方アプローチのほうが患者負担が少ないと考えて手術しています。

    側方アプローチが主流の中、なぜ前方アプローチを選択しているのか?

    その理由について説明していきます。

    側方アプローチと前方アプローチの違い 手技と剥離範囲

    側方アプローチと前方アプローチの違いは交差部同定の違いと、剥離範囲としての違いが大きくあります。

    交差部(尿管と子宮動脈)の見つけ方の違い

    側方アプローチでは
    骨盤漏斗の高さで尿管を同定します。
    ②その尿管を交差部までおっていき、子宮動脈を同定し処理します。

    前方アプローチでは 
    子宮頸管の高さで尿管や子宮動脈を同定します(詳しくはこちら
    ②見つけた尿管や子宮動脈を追っていき交差部を同定し処理します。

    側方アプローチでは、前方アプローチと比べてかなり頭側で尿管をまず見つけに行きます。これが個人的に患者さんにとってデメリットが大きい点と考えています。

    剥離範囲の違い

    もう少し詳しい話を行います。

    側方アプローチでは骨盤漏斗靭帯と外腸骨動脈の間を大きく開けて尿管を同定します。そのため、剥離範囲としては外腸骨~内腸骨~基靭帯の範囲になります。

    一方、前方アプローチでは子宮に沿って腹膜を切開していくため(詳しくはこちら)、切開は少なく、うまくいくと円靭帯~子宮~基靭帯の範囲になります。

    剥離範囲の広さが側方アプローチと前方アプローチの大きな違いになってくるわけです。

    実際どれほど違うか見ていきましょう。次の写真は帝王切開三回の方のTLH+BSO(腹腔鏡下に子宮と両側卵巣卵管切除)の術中写真になります。

    いつも前方アプローチで交差部を同定したのち、膀胱剥離は子宮頸管のサイドからの処理を行っている(詳しくはこちら)のですが、帝王切開による癒着が強く円靭帯の癒着が強く後葉がうまく剥がれなかったため、危険と判断し、側方アプローチ(骨盤漏斗靭帯の高さで尿管を同定)に切り替えました。

    珍しい写真になりますが、左が側方アプローチ後、右が前方アプローチ後のTLH終了時の写真になります。

    一目瞭然、右の前方アプローチのほうが組織がより患者さんに残せている状態になっていますね。

    実際に起こりえる合併症

    しっかり剥離できることは良いことですが、必要以上の剥離を行ってしまうと固定組織がなくなり、多くのデメリットが生じます。

    ・遺残卵巣の捻転
    ・術後臓器損傷のリスクの増加
    ・次回手術時のリスクの増加

    臓器に対して、周辺組織が残らないということは他臓器損傷や捻転などのリスクが高まります。そして、次回手術時のリスクも高まります。。

    外腸骨動脈と腸が直接くっついている状態と、間に組織があり外腸骨、組織、腸とくっついている状態どちらがいいかは述べるまでもないです。下の図で言うと左にS状結腸が癒着したのち、左半結腸切除が必要となった場合の困難さは想像もしたくないですよね。

    どこまで剥離して、逆にどこは剥離せずに済むのか。これをしっかり考えられると次なるステップに行けると信じています。

    特に卵巣温存の時は卵巣腫瘍による再手術の可能性や遺残卵巣茎捻転を考慮してなるべく少ない腹膜切開で行えるとよいですよね。

    以上、なぜ私が前方アプローチでTLHをしているかの雑記的な記事でした。Xやってます。ためになったよって方はフォローお願いします。

    アクションプラン

    ・必要な剥離範囲を考える。
    ・必要のない剥離がないか考える。

    まとめ問題と解説

    質問: 腹腔鏡下腟式子宮全摘(TLH)における側方アプローチと前方アプローチの違いとそれぞれの患者負担について、次のうち正しいものはどれでしょう?

    選択肢:

    1. 側方アプローチは前方アプローチよりも患者の負担が少ない。
    2. 側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、前方アプローチでは子宮頸管の高さで同定する。
    3. 前方アプローチでは剥離範囲が広いため、患者への負担が大きい。
    4. 前方アプローチでは次回の手術時のリスクが高まる。

    答え: 2. 側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、前方アプローチでは子宮頸管の高さで同定する。

    解説:
    このテキストには、TLH(腹腔鏡下腟式子宮全摘)の手術方法としての側方アプローチと前方アプローチの違いが説明されています。側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、子宮動脈を同定して処理します。一方で、前方アプローチでは子宮頸管の高さで尿管や子宮動脈を同定し、処理します。前方アプローチは剥離範囲が狭く、患者にとっての負担が少ないとされています。そのため、選択肢2が正しいとされます。選択肢1、3、4はテキストの内容と矛盾しています。

  • 腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    なんだか今日膣をうまいこと切れなかったなぁ、前と何が違ったのかなぁ

    TLH中にこんな風にモヤモヤした経験はありませんか?腟管切開はとあるポイントを押さえておくとすごくスムーズに進めることが出来ますが、一方でイメージが出来ていないとドツボにはまります。

    もやもやが少しでもある方に必見の内容になっています。お見逃しなく。
    ついにこのシリーズで子宮が”取れます”(笑)

    腟管切開、たった一つのうまくいく基準

    さっそく腟管切開におけるたった一つのうまくいく基準をお伝えします。それは

    腟管の輪のイメージがある事

    ちょっと抽象的でわかりにくいですよね。わかりやすく具体的に説明していきますね。

    腟管の輪のイメージとセンス

    腟管は筒になっていますよね。特に腟パイプやカップが入っていると円形の筒になっています。

    TLHにおいて、立体的に円状に切開するのは実は腟管切開だけです。あとの血管や靭帯は集簇結紮や凝固して直線的に切開していきますよね。

    そのため、腟管切開は他の手順よりも”センス”が必要な部分になります。

    ”センス”とはなかなか抽象的ですよね。深堀していきましょう。

    ”いいセンス”とは何でしょう。私が思う”いいセンス”とは認識などの入力後の”いい感じの出力”と考えています。

    わかりやすく例えて言うなら、会話のうまい人って、相手からの言葉(入力)を受けて、適切な言葉や態度(出力)を伝えることが出来ますよね。これを会話での”いいセンス”と呼ぶと思っています。

    例:仕事が向いているか悩んでて → 
    ×(食い気味にぶっきらぼうに)やるしかないやろ、俺ん時は・・・(自分語り)
    〇(目を見て、ゆっくりと)悩んでいるんだね(共感)、何かあったの?(他人への興味)

    例のように、同じ入力があったのにもかかわらず、二人の対応は全く違いますよね。出力の違いを”センス”ということが出来そうですよね。

    では腟管切開における、入力と”いいセンス(出力)”は何でしょう。

    入力は画面の頚部、腟、膀胱の視覚的情報ですよね。
    そしてセンスのいい出力とは腟管の輪のイメージ通りに切開できることになります。

    そのため、腟管を立体的に輪のイメージとしてとらえられる状態にしてから切開に移ることが、たった一つのうまくいく基準となるわけです。挟んで切るだけならだれでもできますからね。

    経験が高くなると、腟管のイメージは剥離せずともわかってきます。膨らみ具合や模様で何となくわかってくるわけです。逆に経験が詰めていない状態ではなかなかイメージは見えてきません。
    そのため、しっかりと剥離を行い腟管周りの処理をきれいに終えている必要があります。

    腟管のイメージのとらえ方

    腟管のイメージの大切さがわかったところで、そのとらえ方を見ていきましょう。
    といっても、実はかなり簡単です。

    カップや腟パイプの淵を見えるようにする。

    これだけです。

    前膣壁

    後腟壁

    そして横

    この輪のイメージをつかむことさえできれば、子宮を切りたい方向と逆側にテンションかけて切るだけできれいな腟管切開が出来ます。

    ギザギザになったり、切り込みすぎたり、逆に頚部が残ったりといった失敗がおこりにくくなります。

    そのためしっかりと子宮傍組織を処理した後で輪のイメージを確認し、それから腟管切開を行ってみてください。きっとうまくいきます。

    失敗パターン

    これらにより、腟の場所や輪のイメージをとらえ間違って失敗しやすいので注意してください。

    腟の輪のイメージ見誤りパターン

    ①頸管が伸びていて膣が思ったより奥にある 
     → 膣まで組織を処理できておらず、切開の時に組織が残って分厚くなる
     ☆よくあるのは閉経や巨大腫瘍で引っ張られているとき 

    ②子宮円蓋部と腟パイプやカップの大きさがあっていない時。
     → 頸部筋腫やナボット嚢胞で子宮円蓋部が大きくなっているとき
     or 個人特性や閉経で子宮円蓋部が小さくなっているとき

    結局は、思ったより奥にある場合や円蓋部が小さい時にイメージとのずれにより起こるわけですね。

    剥離できていないパターン

    膀胱脚やザクロ(仙骨子宮靭帯周り)といった後ろ側がしっかりと処理できていないことが多いです。上記の①と同じくそうすると、前壁切開後に分厚く組織が残り、困難を極めます。

    良いイメージと、失敗パターンを自分のものにして、”もう腟管切開に失敗しない”と自信もって言えるようにしてい行きましょう。

    では次回はいま行っている具体的な切開方法について解説していきます。お楽しみに。

    更新はXにてアナウンスしていますので少しでも気にいてくださった方はフォローをお願いします。

    まとめ問題

    問題:

    腟管切開において、以下の選択肢から、最も重要なポイントを選んでください。

    A. 腟管の輪のイメージを持つこと
    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること
    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること
    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること

    解答と解説:

    正解は A. 腟管の輪のイメージを持つこと です。

    この文章では、腟管切開における成功のために最も重要な要素は、「腟管の輪のイメージを持つこと」であると述べられています。腟管切開は他の手順よりもセンスと正確なイメージが必要であり、このイメージを持つことが切開を成功させる鍵とされています。

    他の選択肢について:

    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること:手順の正確さは重要ですが、それだけでは腟管切開の成功には不十分です。イメージがないと手順の正確さも生かしきれません。

    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること:これは後ろ側の組織処理に関する内容ですが、最も重要なポイントではありません。成功の鍵は腟管のイメージにあります。

    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること:センスを鍛えることも重要ですが、それだけでは成功には足りません。センスを発揮するためにも腟管のイメージが必要です。

    したがって、最も重要なポイントは「腟管の輪のイメージを持つこと」であるため、選択肢 A が正解です。