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  • 腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    膣切っている間に出血してしまった。見えなくなってきた・・・どうしよう。

    このような焦った経験はTLHをする上で誰しも味わう、嫌な汗が出る経験ですね。

    前回は切開ラインはすべて腟の輪のイメージがあるかで決まるという話を行いました。(こちら
    今回はより具体的な、超具体的な腟管切開を説明していきます。

    画像多めですので、イメージ膨らませながら説明していきます。ゆっくりみていってください。

    ①傍組織と腟リングの確認

    まずは切開ラインの確認を行います。

    前壁で膀胱がしっかり剥離できているか、リングの位置を見ながら確認します。

    横は子宮動静脈上行枝がリングのラインまでおりている確認します。画像では鉗子が握っているラインまで組織を処理しないといけません。

    後ろはザクロ(仙骨子宮靭帯)や腸が離れていることを確認します。

    ②腟パイプをはめ込む

    腟壁切開のコツは、円蓋部にしっかりと腟パイプをはめ込むことです。腟と子宮頸管腟部との間をリング状に把握することで頸管をかじることなく切開することが出来ます。

    図のように円蓋部にしっかりと腟パイプのリングが入り込むようにしましょう。

    押し込みが甘かったり、端が内子宮口にかかっていることがあるので注意してください。

    ここでのコツは次のようになります。

    ①まずはしっかり奥まで腟パイプを押し込む
    ②そこから腟パイプを左右上下に動かす
    ③動かしてみてリングが見えてなければ、入れなおす

    ここで腟パイプのラインが、夜の海の灯台のようなものになります。ここをしっかりクリアしておかないと見当違いのところを切開することになります。

    ③前壁切開

    腟の輪のイメージが取れたところで、切開に移っていきましょう。まずは前壁からになります。

    ここで注意すべき点としては2時と10時方向には膣からの血管が走っている事です。腟の静脈で凝固せずに切開すると出血します。切って出血してから凝固するのもいいのですが、上から出血すると横や下の視野が確保しにくいので注意しましょう。

    切開の時はリングの数ミリ奥を切開するとよいです。

    ③横切開

    次に左右に行きます。やりやすいほうからしていきます。どちらでもよいです。

    横切開時には結構出血します。特に3時9時には動脈があり、またそこを超えてくると腟静脈が発達しているので容易に出血します。

    円蓋部と腟のリングに沿って、凝固も併用しながら切開していきます。

    できれば細かく円蓋部をめくり返して頸管をかじっていないか確認できればなおよいです。

    ④後ろ切開

    最後は後ろの切開になります。実は後ろの切開が一番難しいです。

    子宮を持ち上げ、腟パイプで後壁を出そうとしても、かなり難しいです。腟パイプを持っている人の技量に寄りますし、何よりカメラが入りにくく視野が取りにくいです。

    そのため、円蓋部をめくりあげ、腟の粘膜を先に切開しラインを確保→その後筋層を切開という形がやりやすいです。

    マニュピレーターで先に後ろを切開するパターン

    実は、上記の画像はすべてRASH(ロボット支援下子宮全摘術)になります。パラレルTLHの時はどのようにするか見ていきましょう。

    TLHではロボットのようには鉗子の向きを自由に変えれない為、展開が最も重要になります。マニュピレーターがある状態で先に難しい後壁から行うようにしています。

    基本は上記と同じです。

    ①切開ラインの確認

    まず子宮を動かし腟まで組織が下りていることを確認にします。

    しかし、カップ付きではないマニュピレーターの場合どこまで処理が終わっているかわかりにくいですよね。この時にとても役に立つ基準があります。それは

    仙骨子宮靭帯

    これを目安に確認します。基本的に仙骨子宮靭帯は円蓋部のラインで付着しているので、仙骨子宮靭帯を切開したラインを見れば腟のラインがわかります

    そして、ラインが確認できれば切開を行います。まず後壁の切開から行います。

    ②後腟壁切開

    子宮を完全に前屈させて行います。

    この時に目安となるのが、マニュピレーターの動く部位の曲げた角になります。角を意識しながらマニュピレーターの形や円蓋部の大きさをイメージし、また、細かく動かすことでオリエンテーションを確認し切開します。

    そして、切ったラインを左右に広げていきます。基準としてはここでも仙骨子宮靭帯になります。

    仙骨子宮靭帯まで左右を切り広げて後壁は終了です。

    ③腟パイプに変更

    余り後壁切開をやりすぎると腹腔内のCO2が膣より排出され気腹圧が下がり危険になります。左右仙骨子宮靭帯あたりまで切れたら、マニュピレーターを腟パイプに変更します

    ④前壁切開

    ここからは上記と同じです。しっかりと腟パイプをはめ込み、少し奥を切開します。

    ⑤横切開

    最後に横切開して終了です。後ろの切開したラインと上の切開したラインをつなげるだけでよいです。

    一番最初に難しい後腟壁の切開が終わっているので、後ろの切開さえクリアできればこちらのやり方のほうが簡単ですね。

    以上になります。パラレル配置なのかダイヤモンド配置なのかでも変わりますし、マニュピレーターを入れているか入れていないかによってもやり方が変わってきます。

    いろいろ試してみてやりやすい方法で切開してみてください。

    次は腟断端部の縫合になります。やっと手術が終わる~
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    まとめ問題

    問題:
    子宮全摘出術(TLH)における腟壁切開の正しい手順は何ですか?

    選択肢:
    A. 切開ラインを確認せずに直接切開する。
    B. マニュピレーターを使用せずに後壁切開を最初に行う。
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。
    D. 切開ラインを無視して、子宮動静脈上行枝を最初に切除する。

    答え:
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。

    解説:
    この問題の答えはCです。子宮全摘出術(TLH)において、腟壁の切開は非常に重要な手順です。適切な切開を行うためには、まず腟パイプを使用して円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込む必要があります。これにより、腟と子宮頸管腟部の間を適切に分離し、切開ラインを正確に確認できます。その後、慎重に切開を行い、適切な手術を進めることができます。選択肢A、B、Dは不適切な手順を示しているため、これらは誤りです。

  • 腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    なんだか今日膣をうまいこと切れなかったなぁ、前と何が違ったのかなぁ

    TLH中にこんな風にモヤモヤした経験はありませんか?腟管切開はとあるポイントを押さえておくとすごくスムーズに進めることが出来ますが、一方でイメージが出来ていないとドツボにはまります。

    もやもやが少しでもある方に必見の内容になっています。お見逃しなく。
    ついにこのシリーズで子宮が”取れます”(笑)

    腟管切開、たった一つのうまくいく基準

    さっそく腟管切開におけるたった一つのうまくいく基準をお伝えします。それは

    腟管の輪のイメージがある事

    ちょっと抽象的でわかりにくいですよね。わかりやすく具体的に説明していきますね。

    腟管の輪のイメージとセンス

    腟管は筒になっていますよね。特に腟パイプやカップが入っていると円形の筒になっています。

    TLHにおいて、立体的に円状に切開するのは実は腟管切開だけです。あとの血管や靭帯は集簇結紮や凝固して直線的に切開していきますよね。

    そのため、腟管切開は他の手順よりも”センス”が必要な部分になります。

    ”センス”とはなかなか抽象的ですよね。深堀していきましょう。

    ”いいセンス”とは何でしょう。私が思う”いいセンス”とは認識などの入力後の”いい感じの出力”と考えています。

    わかりやすく例えて言うなら、会話のうまい人って、相手からの言葉(入力)を受けて、適切な言葉や態度(出力)を伝えることが出来ますよね。これを会話での”いいセンス”と呼ぶと思っています。

    例:仕事が向いているか悩んでて → 
    ×(食い気味にぶっきらぼうに)やるしかないやろ、俺ん時は・・・(自分語り)
    〇(目を見て、ゆっくりと)悩んでいるんだね(共感)、何かあったの?(他人への興味)

    例のように、同じ入力があったのにもかかわらず、二人の対応は全く違いますよね。出力の違いを”センス”ということが出来そうですよね。

    では腟管切開における、入力と”いいセンス(出力)”は何でしょう。

    入力は画面の頚部、腟、膀胱の視覚的情報ですよね。
    そしてセンスのいい出力とは腟管の輪のイメージ通りに切開できることになります。

    そのため、腟管を立体的に輪のイメージとしてとらえられる状態にしてから切開に移ることが、たった一つのうまくいく基準となるわけです。挟んで切るだけならだれでもできますからね。

    経験が高くなると、腟管のイメージは剥離せずともわかってきます。膨らみ具合や模様で何となくわかってくるわけです。逆に経験が詰めていない状態ではなかなかイメージは見えてきません。
    そのため、しっかりと剥離を行い腟管周りの処理をきれいに終えている必要があります。

    腟管のイメージのとらえ方

    腟管のイメージの大切さがわかったところで、そのとらえ方を見ていきましょう。
    といっても、実はかなり簡単です。

    カップや腟パイプの淵を見えるようにする。

    これだけです。

    前膣壁

    後腟壁

    そして横

    この輪のイメージをつかむことさえできれば、子宮を切りたい方向と逆側にテンションかけて切るだけできれいな腟管切開が出来ます。

    ギザギザになったり、切り込みすぎたり、逆に頚部が残ったりといった失敗がおこりにくくなります。

    そのためしっかりと子宮傍組織を処理した後で輪のイメージを確認し、それから腟管切開を行ってみてください。きっとうまくいきます。

    失敗パターン

    これらにより、腟の場所や輪のイメージをとらえ間違って失敗しやすいので注意してください。

    腟の輪のイメージ見誤りパターン

    ①頸管が伸びていて膣が思ったより奥にある 
     → 膣まで組織を処理できておらず、切開の時に組織が残って分厚くなる
     ☆よくあるのは閉経や巨大腫瘍で引っ張られているとき 

    ②子宮円蓋部と腟パイプやカップの大きさがあっていない時。
     → 頸部筋腫やナボット嚢胞で子宮円蓋部が大きくなっているとき
     or 個人特性や閉経で子宮円蓋部が小さくなっているとき

    結局は、思ったより奥にある場合や円蓋部が小さい時にイメージとのずれにより起こるわけですね。

    剥離できていないパターン

    膀胱脚やザクロ(仙骨子宮靭帯周り)といった後ろ側がしっかりと処理できていないことが多いです。上記の①と同じくそうすると、前壁切開後に分厚く組織が残り、困難を極めます。

    良いイメージと、失敗パターンを自分のものにして、”もう腟管切開に失敗しない”と自信もって言えるようにしてい行きましょう。

    では次回はいま行っている具体的な切開方法について解説していきます。お楽しみに。

    更新はXにてアナウンスしていますので少しでも気にいてくださった方はフォローをお願いします。

    まとめ問題

    問題:

    腟管切開において、以下の選択肢から、最も重要なポイントを選んでください。

    A. 腟管の輪のイメージを持つこと
    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること
    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること
    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること

    解答と解説:

    正解は A. 腟管の輪のイメージを持つこと です。

    この文章では、腟管切開における成功のために最も重要な要素は、「腟管の輪のイメージを持つこと」であると述べられています。腟管切開は他の手順よりもセンスと正確なイメージが必要であり、このイメージを持つことが切開を成功させる鍵とされています。

    他の選択肢について:

    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること:手順の正確さは重要ですが、それだけでは腟管切開の成功には不十分です。イメージがないと手順の正確さも生かしきれません。

    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること:これは後ろ側の組織処理に関する内容ですが、最も重要なポイントではありません。成功の鍵は腟管のイメージにあります。

    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること:センスを鍛えることも重要ですが、それだけでは成功には足りません。センスを発揮するためにも腟管のイメージが必要です。

    したがって、最も重要なポイントは「腟管の輪のイメージを持つこと」であるため、選択肢 A が正解です。