タグ: 円靱帯

  • 広間膜腔の展開① 広間膜腔の箱イメージと円靭帯切開との秘密の関係

    広間膜腔の展開① 広間膜腔の箱イメージと円靭帯切開との秘密の関係

    ”初めに円靱帯を完全に切断する”

    ここに疑問を持った方はいるのではないでしょうか。初めに円靭帯を切る理由は何でしょうか?

    その理由はズバリ

    広間膜腔の展開が圧倒的にやりやすいためです。

    その理由を具体的にかなりかみ砕いてお伝えしていきます。

    広間膜腔を作るもの

    広間膜腔を展開するには広間膜腔を知らないといけません。

    魚を捌くには魚に骨と皮と肉と臓器があると知っておかないと、捌くときにぐちゃぐちゃになりますよね。

    それぐらい手術に関して構成している要素を把握するということは大切になってきます。

    ではいきましょう!広間膜腔とはっ!!!

    広間膜を広げた時にできる腔”です。

    ・・・・

    当たり前ですね。今言っているのは、魚は鱗のついた皮に包まれています。ぐらいのものです。もう少し解像度を高めて話をしていきましょうか。

    広間膜腔とは 

    ”広間膜前葉と後葉の間の組織を広げた腔”

    やっと、”魚とは鱗と皮とヒレがついたもの”ぐらいの解像度ですね。

    ではぐっっと解像度を高めてみましょう。

    広間膜腔とは

    ”広間膜前葉と後葉を広げ、子宮と基靭帯と骨盤壁と円靭帯(附属器)の間に作った腔”

    ・・・

    ゲボ吐きそうですよね。イメージ沸きにくっ!!

    大丈夫です。一つづつみていけば必ず理解できます。

    ここが理解できているかどうかでこの前方アプローチができるかどうか大きく変わってきます。

    ここまでくれば、魚の内臓がどこにあり、骨がどのようにあり、どうして三枚おろしができるのかというぐらいの解像度となります!変わってしまえば簡単なので一緒にがんばりましょう。

    ちなみに広間膜腔は広げた腔や作った腔とずっといっているのは、

    本来広間膜腔は人体には存在しないためです。広間膜を抜けて、前葉と後葉を上下に広げて初めて出てくるのです。

    気になった方は先にこちらをどうぞ

    https://sogogyne.online/広間膜腔とダビデ像/

    広間膜腔は自分で作っていくという心持が大切です。

    では広間膜腔の具体的なイメージに移っていきましょう。

    広間膜と箱の関係

    広間膜腔はそもそも存在しませんと言いましたが、ここではあえて広間膜を切らずに広間膜腔を作ってみましょう。

    前葉と後葉の間にカテラン針を刺して、ぷくっと空気で膨らませるイメージです。

    そうするとどのような形になりますか?

    いろいろ考えられますが、ここでは広間膜腔は”箱”と考えてください。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、手前が円靭帯と附属器。これらの壁の上下を前葉と後葉で蓋をしている。

    展開図でイメージするとこんな感じ

    これが前方アプローチにおける広間膜腔となります。もう少し立体的にするとこうなります。

    広間膜前葉と後葉を広げ、子宮と基靭帯と骨盤壁と円靭帯(附属器)の間にできた腔

    の意味を何となく理解できたでしょうか。では本題にいきましょう。

    なぜ円靱帯から切断するのか

    昔なぜ円靭帯から切るのかをBOSSに聞いたことがあります。

    答えは

    「その方が広がるから。」

    でした。今考えると確かにそうなんです。

    が、それはこの円靱帯を先に切ることの真意というにはかなり荒い説明でした。

    ここではもう少し解像度を高めた言い方をします。

    「円靱帯を切り広間膜前葉を広げることで、残りの子宮および基靭帯と尿管が綺麗に把握できるから。」

    はい、わけわからんですよね。怒らないでください。

    ちゃんとわかりやすく説明します。

    円靭帯および前葉切開後

    円靱帯を切開して、前葉を切開した場合を先程の広間膜腔の箱で考えてみましょう。

    それの手前の壁(円靭帯)をなくし、上蓋(前葉)を開けるととどうなりますか?

    残り4面になりますよね。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、そして底が広間膜後葉。

    少し箱の形にするとこうなります。

    ここまで行くと勘のいいひとであればわかるかもしれません。

    実は、先に円靱帯と広間膜前葉を開けることで、知りたかったものが見えてきます。

    もう少し詳しく言うと、

    尿管(骨盤壁)子宮動脈(基靭帯の上縁)上行枝(子宮)が丸見えになる訳です。

    逆行性に考えると

    子宮動脈と尿管の位置知りたい→円靭帯と前葉をあけたい→まずは手前の円靱帯を切らないといけない

    という論理展開になる訳です。これが円靭帯から切る理由になります。

    実際の手術でどのように見えるか

    これは左の円靭帯を切除し広間膜前葉を展開した後の図になります。

    いったん、立体的に奥行きをもって見てください。

    左壁が骨盤壁、奥壁が基靭帯、右壁が子宮、そして底が広間膜後葉。

    ・・・

    見えてきましたか?

    このように見えればイメージは完璧です。

    しっかりとイメージできましたか?

    今日からできること

    箱のイメージをもって広間膜腔をとらえてみる。

    まとめ問題

    以下の選択肢の中から、円靭帯を先に切断する最も重要な理由を選んでください。

    • A) 広間膜腔の展開がやりやすくなる。
    • B) 子宮動脈の血流が確保される。
    • C) 広間膜後葉の展開が容易になる。
    • D) 尿管の損傷リスクが低くなる。

    正解: A) 広間膜腔の展開がやりやすくなる。

    解説: 円靭帯を先に切断する理由は、広間膜腔の展開が圧倒的にやりやすくなるためです。円靭帯と広間膜前葉を開けることで、残りの子宮、基靭帯、尿管が綺麗に把握できます。これにより、尿管(骨盤壁)、子宮動脈(基靭帯の上縁)、上行枝(子宮)が丸見えになり、手術が容易になります。

    最も重要という意味でAが意味を包括しているため正解となります。

    今回説明した”箱のイメージ”はめちゃめちゃ大切なイメージなのでぜひ自分のものにしてください。

    次回は”広間膜の切り方と腹膜の本当の姿”となります。お楽しみに。

  • 円靭帯処理④ ”とりあえず真ん中”で!!ダメ場合っていつですか?

    円靭帯処理④ ”とりあえず真ん中”で!!ダメ場合っていつですか?

    以前円靭帯の切断場所を説明しました。

    結局”真ん中らへん”になっていました。

    でも実は、とりあえず真ん中ではかなり痛い目に合うことがあります。今回はそれについて説明していきたいと思います。

    ”とりあえず真ん中”で!はいけない時とは

    結論、円靭帯切開場所が”とりあえず真ん中”ではいけない時は困難症例の時です。

    真ん中を切っておけばとりあえず9割はうまくいきます。なぜなら真ん中で切ると円靭帯切開部位のポイントがたいがいクリアされます。

    • 子宮動静脈上行枝から離れている。
    • 骨盤漏斗靱帯から離れている
    • 子宮から遠すぎない。

    困難症例以外では”とりあえず真ん中”で切っておけば問題とならない為、逆に普段の症例ではアドバイスが”とりあえず真ん中”となるのです。

    しかし以下の場合では上記のポイントを満たす場所が徐々にずれてきます。

    癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い時

    巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき

    いわゆる”困難症例”ですね。1つずつ例を見ながらやっていきましょう。

    癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い時

    広間膜の後葉が癒着しており、骨盤漏斗と円靭帯が近づいている場合を考えてみます。

    円靭帯と骨盤漏斗靭帯が癒着により近くなっています。

    この時は骨盤漏斗靭帯との距離を見てやや外側めで切開しています。

    巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき

    次は逆に巨大子宮筋腫で引き延ばされているときを見てみましょう。右円靭帯です。

    かなりのびのびの円靭帯ですね。とりあえず真ん中で切ってみましょうか。

    そしてその後の広間膜腔を効率よく展開するために切らないといけないラインは・・・

    結構戻らないといけないんですよね。なかなか無駄ですよね。時間もかかりますし、この段階で子宮に近づく切開ラインはかなりリスクが高いですよね。

    そのため今回は近めの部位で円靭帯を切っています。

    そのまま外側に切っていくとキレイに展開することが出来ます。

    巨大子宮筋腫という困難症例ですが、円靭帯は伸びており、子宮から離れてしまうというリスクを優先し”真ん中”よりかなり子宮よりで切開しています。

    最終問題

    どこで切りますか?

    もう一度ポイントを見ながら考えてみてください。

    • 子宮動静脈上行枝から離れている。
    • 骨盤漏斗靱帯から離れている
    • 子宮から遠すぎない。

    骨盤漏斗靭帯の上縁がここになりますね。

    ということで正解は、このくぼみのラインでした。

    今日からできること

    円靭帯見て、骨盤漏斗靭帯をみて、子宮から遠すぎないライン!

    まとめ問題

    選択肢問題:

    困難な症例において、円靭帯の切開場所を決定する際、以下のどの条件が最も重要でしょうか?

    • A. 子宮動静脈上行枝から離れていること
    • B. 骨盤漏斗靭帯から離れていること
    • C. 子宮から遠すぎないこと
    • D. すべての条件が同等に重要である

    解答:D. すべての条件が同等に重要である

    解説: 困難な症例において、円靭帯の切開場所を決定する際、子宮動静脈上行枝から離れていること、骨盤漏斗靭帯から離れていること、そして子宮から遠すぎないことのすべてが重要な条件となります。これらの条件を満たす場所で円靭帯を切ることが、手術の安全性や効率を保つ上で大切です。

    ぜひ日々の臨床に役立ててください。次回からは広間膜の展開に移っていきます。

    次回は円靭帯を切ると広間膜腔はどうなる?ですお楽しみに。

  • 円靭帯処理③ 円靭帯と”あるもの”の距離を見れば広間膜の癒着がわかる。

    円靭帯処理③ 円靭帯と”あるもの”の距離を見れば広間膜の癒着がわかる。

    実は意識して円靭帯を見れるようになってくると、円靭帯を見るだけでそのあとの広間膜の展開のがわかるようになります。

    ポイントはただ一つ

    骨盤漏斗靭帯との距離

    円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い場合は広間膜腔の展開が難しいことが予想できます。

    今回は、その理由をわかりやすく言語化してお伝えします。

    そもそも広間膜腔とは

    広間膜腔は人間には存在しない腔です。

    え?って感じますか?

    では、次の写真はお腹に入った時の写真です。広間膜腔を示してください。

    ここですか?

    正解と言いたいところですが、厳密には違います。

    それはまだ広間膜です。

    屁理屈を言っているようですがかなり重要なことなので正確にお願いします。

    正解は、まだ広間膜腔は見えていない。です。

    実は、広間膜腔とは広間膜(腹膜)の前葉と後葉を広げたときにできる腔です。

    広間膜のいずれかに切開を入れ適切なテンションをかけると、陰圧をかけた旅行用バックが広がるように腔が出来るのです。

    なので広間膜腔は

    人工的に作った広間膜前葉と後葉の間の空間

    となります。

    円靭帯を見れば広間膜の癒着がわかる理由。

    結論から言うと円靭帯を見れば広間膜の癒着がわかる理由は

    円靭帯から骨盤に向かっていく腹膜は広間膜前葉、骨盤漏斗靭帯から骨盤に向かっていく腹膜が広間膜後葉だからです。

    ・・・

    意味わかりませんよね。

    大丈夫です。1つずつわかりやすく説明していきます。

    前葉と後葉の境は卵管です。

    卵管より前側、円靭帯、膀胱側を前葉と言い、

    卵管より後ろ側骨盤漏斗靭帯、仙骨子宮靭帯を後葉と言います。

    ここで簡単に論理の展開を行っていくと

    卵管より前側、円靭帯、膀胱側を前葉

    卵管より後ろ側骨盤漏斗靭帯、仙骨子宮靭帯を後葉

    円靭帯は前葉

    骨盤漏斗靭帯は後葉

    勘のいい人ならわかりますよね。

    円靭帯が骨盤漏斗靭帯に近い場合はこのように言い換えられます。

    前葉がついている円靭帯後葉がついている骨盤漏斗靭帯、に近い。

    つまり、円靭帯と骨盤漏斗靭帯距離 ≒ 前葉と後葉の距離

    と予想できるのです。

    円靭帯による広間膜の癒着の予想が大切な理由。

    ここまではわかったと。”それで・・?”ってなりましたか

    この円靭帯による癒着予想はめちゃくちゃ大切です。その理由は

    内膜症

    でました内膜症。内膜症の手術での怖さから説明します。

    内膜症が怖い理由

    手術で怖いのは事前に把握できなかった落とし穴のほうです。

    巨大子宮筋腫であれば自己血なり、血管内バルーンなり対策を打てますし、チョコ症例であれば時間を多くしたり、直腸プローべなどを用いて対策を打てます。

    何より時間を多めに設定しているので焦ってやらずに済みます。

    ところで内膜症って術前わかりますか?

    チョコがあるとか子宮後屈などの所見があればもちろんわかります。

    しかし、全体の1割の方にみられる内膜症には腹膜の病巣のみの症例も含みます。

    つまり・・・

    術前評価しきれなかった広間膜同士の癒着が1割程度にみられるのです。

    簡単な症例と術前認識していたのに急に内膜症により難しくなったのに、手術時間は簡単な症例として設定してる。そうすると限られた手術時間で手術を終わらせる必要が出てくるのです。これは焦りますよね。

    円靭帯による癒着予想の大切さ

    ここまでくればもうわかりますよね。術前に評価できなかったリスクを瞬時に把握できるということが最大のメリットになります。

    内膜症によらず、脂肪の炎症による癒着、子宮の圧迫による癒着様々な癒着が予想できます。

    腹腔内を見た瞬間に把握できる円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が安全に手術を行うため大切なのです。

    特に、前方アプローチにおいて大切になってきます。

    前方アプローチの広間膜腔の展開の記事で詳しく説明していきたいと思います。

    今日からできること

    円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い時は子宮の観察を念入り行う。

    まとめ問題

    1.以下の選択肢から、広間膜腔に関する正しい記述を選んでください。

    • A. 広間膜腔は、人間の体内に自然に存在する腔である。
    • B. 広間膜腔は、広間膜(腹膜)の前葉と後葉を広げたときにできる腔である。
    • C. 広間膜腔の境界は、卵管によって区切られている。
    • D. 内膜症の手術では、広間膜腔の評価は不要である。

    正解: B. 広間膜腔は、広間膜(腹膜)の前葉と後葉を広げたときにできる腔である。

    解説:

    広間膜腔は、人間の体内には自然に存在しない腔であり、広間膜(腹膜)の前葉と後葉を広げたときにできる腔です。広間膜の前葉と後葉の境界は卵管です。広間膜腔の評価は、内膜症の手術で重要な役割を果たし、事前に評価できなかったリスクを瞬時に把握できることが最大のメリットです。円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離を見ることで、広間膜の癒着を予測することができ、手術の安全性を向上させることができます。

    次の選択肢のうち、広間膜の癒着を評価する際に円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が重要である理由はどれでしょう。

    • A. 円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離は、術前の内膜症の診断に役立つ。
    • B. 円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が近いほど、広間膜腔の展開が容易である。
    • C. 円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離は、術前に評価できなかった癒着のリスクを瞬時に把握するために重要である。
    • D. 円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離は、手術時間の短縮に直接的に関係している。

    解答と解説: 正解は C です。

    円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離が、広間膜の癒着を評価する際に重要である理由は、術前に評価できなかった癒着のリスクを瞬時に把握できるためです。手術中に予期せぬ癒着が発見された場合、手術の難易度が上がり、手術時間が限られている状況では焦りが生じることがあります。円靭帯と骨盤漏斗靭帯の距離を把握することで、手術中に安全に対処することができるのです。

    次回は”とりあえず真ん中”ではいけない時に移ります。お楽しみに。

  • 円靭帯処理② 切開場所、言語化できてますか?

    円靭帯処理② 切開場所、言語化できてますか?

    初めに

    「円靱帯の切るのってどこがいいんですか?」

    こう質問したことありますか?

    ちゃんと答えが返ってこなかったことも多かったのではないでしょうか。返ってきたとしても

    ”真ん中らへん”

    と言われた経験もあるのではないでしょうか。

    円靱帯の切開部位は、その後の展開を決めるかなりかなり重要な工程になります。

    見る人が見れば、円靭帯の切開を見るだけで手術が上手いかどうかが判断できます。

    とりあえず真ん中らへんで切っておけばよい??

    今回はこの疑問にスッキリ言語化してお答えします。

    円靭帯切開位置

    では早速どこで円靱帯を切りますか?

    正解は・・・

    後ほど発表。理由をはっきり持って答えれますか?

    切開位置のポイント3つ

    Point1 子宮動静脈上行枝から離れている。

    Point2 骨盤漏斗靱帯から離れている

    Point3 子宮から遠すぎない。

    この3つになります。では、それぞれ見ていきましょう。

    Point1 子宮の血管から離れている

    子宮動静脈はまだ止血していないのでヒットするとだらだらと出血し、広間膜腔に流れ込んでしまいます。図の番号で言うと⑤で切ると、子宮にも骨盤漏斗にも近すぎますね。

    Point2 骨盤漏斗から離れている

    骨盤漏斗靭帯から出血した場合、卵巣温存の場合、卵巣へのダメージが高まります。

    この2つはわかりやすいのではないでしょうか。それなら外側に切開位置を決めればよさそう?

    実は、外側すぎてもダメなんです。

    Point3 子宮から遠すぎない

    円靭帯を外側で切りすぎてはいけない理由は、その後の展開が影響してきます。

    円靭帯の切開後、腹膜を子宮の内側に向かって切開していきますよね。

    この時、外側で切開すぎると子宮側に向かって腹膜を切開する必要が出てきます。

    勘のいい人はわかりますよね

    そう、切れば切るほどリスクも高くなりますし、方向的に子宮側の血管を傷つける可能性が出てきます。

    なので、子宮から遠ければ大丈夫ってわけでもないのです。

    円靭帯切開位置まとめ

    外側だと腹膜切開時に子宮に寄っていく動作が増えるが、内側だと血管をヒットする確率が増える

    これらを考えて症例ごとに変えていく必要があるのです。

    答え

    これでわかりましたね。

    答えは何ですか?

    正解は・・・

    ②③④の3か所でした。

    複数回答かい!!!

    いやいや、幅を取った答えにした理由はちゃんとあります。ちゃんと解説していきますのでご安心ください。

    卵巣温存の有無による位置の微調整

    今回はTLHで考えているためなるべく血管をヒットしないなるべく内側がよいと考えます。

    しかし、卵巣を残すかどうかで切開位置が若干変わります。

    卵巣を切除するときは、骨盤漏斗靭帯を単離する作業が出てくるので外側めにしたほうが後々スムーズですし、尿管も見つけやすいので外側でよくなります。

    BS  → 内側より (③④)

    BSO → 外側より (④⑤)

    個人の熟達度による位置の微調整

    初めは外側から始めたほうが無難です。

    動作が増えるだけで外側のほうが安全性は高いです。なぜなら、血管を傷つける可能性が低く尿管も見つけやすいです。

    血管をヒットしてしまうと第一刀で上級医とバトンタッチという悲しい結果に終わることがありますし、何より卵巣温存であった場合骨盤漏斗靭帯を傷つけると卵巣機能が落とすという結果につながってしまいます。

    そのため、子宮に近い場合は骨盤漏斗靭帯を避けるために、腹膜の切開ラインは骨盤漏斗靭帯に沿った狭い間を真横に切る必要が出てきます。少しでも奥に切り込むと子宮動静脈上行枝を傷つける可能性があります。こわいですね。

    そのため、血管かつかつに切れる自信がつくまでは、気持ち外側めで切開位置を決めましょう。

    症例の困難度による位置

    困難症例の場合はいかに出血しないか、他臓器損傷を起こさないかが問題となってきます。

    そのため、外側めで円靭帯の切開をしたほうが無難です。理由は上記と同じです。

    円靭帯切開を極めれば、かつかつで切ることでその後の展開をスムーズに行い手術時間もりすくも軽減することが出来ますが、そこは自分の技量との相談になってきますので、慢心せずに円靭帯切開部位を設定していきましょう。

    上達するためには

    リスクを取れると、それだけ早く上達することが出来ます。できないことをやることでしか人は効率よく成長することが出来ませんよね。わかりやすく言うならスライムを倒し続けても成長はできますが、効率が悪すぎますよね。全滅のリスクがあったとしてもドラゴンを倒したほうが経験値は高いです。

    ただ、相手は人間であまりリスクを取る行動は手術中はとれません。

    おすすめは、

    普通のTLHで附属器切除症例。片方の子宮動脈を止めた後、反対側でいつもより内側でトライする。

    というかなり方法が安牌となります。ぜひトライしてみてください。

    今日からできること

    円靭帯を切開する時に、なぜそこを切るのか説明してから切開する。

    まとめ問題

    問題:円靱帯の切開位置として正しい位置のはどれでしょうか?

    選択肢:

    • ① 子宮動静脈上行枝の近く位置
    • ② 子宮動静脈上行枝から遠く、骨盤漏斗靭帯からも遠い位置
    • ③ 骨盤漏斗靭帯から遠く、子宮から遠すぎない位置
    • ④ 子宮にかなり近い位置

    解答と解説:

    正解はすべてです。円靱帯の切開位置は、手術の上手さや症例によって変わるためです。適切な切開位置を選ぶためには以下の3つのポイントが重要です。

    1. 子宮動静脈上行枝から離れている
    2. 骨盤漏斗靭帯から離れている
    3. 子宮から遠すぎない

    切開位置は手術の状況や個人の技量によって調整されるべきです。卵巣温存の有無によっても切開位置が変わり、卵巣を切除する場合は外側に、卵巣を温存する場合は内側に切開位置を調整します。また、初心者は血管を傷つけるリスクが低い外側で切ることが無難です。困難な症例の場合も、出血や他臓器損傷を避けるために外側で切ることが望ましいです。

    上達するためには、普通のTLH(子宮摘出術)で附属器切除症例を扱い、片方の子宮動脈を止めた後、反対側でいつもより内側で切ることを試みることがおすすめです。これにより、技量を向上させることができます。

    次回は円靭帯と”あるもの”の距離を見れば広間膜の癒着がわかる。です。お楽しみに。

  • 円靭帯処理① 円靭帯なめてません?

    円靭帯処理① 円靭帯なめてません?

    前方アプローチはとっつきにくいと感じたことありますか?

    難しい、怖いとの意見をかなり受けるので苦手意識が強い人も多いのかもしれません。

    慣れてしまえばどんな大きい子宮でも安全に手術が出来るという大きなメリットがあります。

    これからなるべく詳しく、なるべく丁寧に言語化して説明していきますので手ぶらで楽しんでいってください。

    もちろんほかのアプローチでも、同様の理論が使える部分も多いため、側方、後方アプローチをメインの先生も楽しんでいってください。

    円靭帯切開がすべてを決める

    次のように前方アプローチを行っております。

    円靱帯の切除→広間膜腔の展開→子宮動脈尿管交差部の同定→膀胱剥離→附属器処理→傍組織処理→膣切開→縫合

    本日は円靱帯の切除の切開方法についてです。

    前方アプローチでなかなか上手に広間膜腔を展開できないと悩んでいませんか?

    実はその原因、円靭帯の切開にあるかもしれません。

    ”え、円靭帯なんて”と思っていませんか?

    実はかなり重要でして、その後の広間膜腔の展開、そして子宮動脈、尿管の同定に強い影響があります。

    もう少し簡単に言うと、円靭帯は周りの組織も含めてしっかり切りきらないと広間膜腔の展開がかなりやりにくくなるのです。

    円靭帯の切り方

    円靭帯の切り方ですが、一言でいうなら。

    ”凝固した後”に切開が必要です。

    必ず凝固してください。円靭帯の裏には血管が走っています。

    具体的な方法としては、テンションをかけて切るだけなのですが先に腹膜を切っておくと単離できて便利です。安全に手術をすることが出来ます。

    円靭帯自体は出血しないので半分ほど切ってから腹膜を展開して、凝固切開でもよいです。

    つまりパターンとしてはこの3パターンになります。

    円靭帯処理 3パターン

    ①腹膜ごと凝固して切開

    ②円靭帯を半切開して、腹膜を展開し単離し凝固して切開

    ③腹膜を切開し、単離し凝固して切開

    の3つになります。もう少し詳しく言うと

    ①:円靭帯をもってテンションかけて腹膜ごと円靭帯を凝固し切開します。切りきれないことも多いので2.3回繰り返さないといけないこともしばしば。

    ②:①同じテンション。切開モードで円靭帯を腹膜ごと一部切開。腹膜と円靭帯の間に鉗子を入れ剥離し腹膜を展開。単離し凝固切開。場所決めが最も大切。

    ③:まず円靭帯と骨盤漏斗靭帯の間の腹膜を切開。(その後円靭帯奥の腹膜も切開し、)円靭帯を単離し凝固切開。手間はかかるが一番安全。

    結局どれがいいの?

    一番安全で安定するのは③(腹膜をあけてから凝固切開)になります。

    円靭帯とその裏の血管を単離できるので一番良いです。特に子宮動脈の上行枝や附属器系の血管を傷つけるリスクが減ります。

    剥離せずに行うと、癒着の時や大きな子宮の時に血管が近くなって出血することがあります。

    癒着も全くなく、急ぐなら①(腹膜ごと強くけん引して凝固)でよいかと思いますが腹膜は開けたほうがよりしっかりと切開でき、その後の広間膜腔の展開が楽になると思います。腹膜ごと切ると切り残しが多い印象があります。

    ちなみに②と③の違いは円靭帯の切開場所の選択を腹膜展開前にするかどうかが一番大きな違いになります。これがわからない方は次の記事が役に立つこと間違いなしです。

    次回は円靱帯の切開場所の決め方になります。

    今日からやれること

    円靭帯を切開時は、腹膜の処理をどのタイミングでするか考える。

    まとめ問題

    円靭帯切開の方法に関して、以下の選択肢から最も適切なものを選んでください。

    • A. 腹膜ごと凝固して切開
    • B. 円靭帯を半切開して、腹膜を展開し単離し凝固して切開
    • C. 腹膜を切開し、単離し凝固して切開
    • D. 凝固せずに切開

    正解:C. 腹膜を切開し、単離し凝固して切開

    解説:

    円靭帯切開の方法は、以下の3つのパターンがあります。

    1. 腹膜ごと凝固して切開
    2. 円靭帯を半切開して、腹膜を展開し単離し凝固して切開
    3. 腹膜を切開し、単離し凝固して切開

    この中で最も安全で安定する方法は、「腹膜を切開し、単離し凝固して切開」です。円靭帯とその裏の血管を単離できるため、子宮動脈の上行枝や附属器系の血管を傷つけるリスクが減ります。

    剥離せずに行うと、癒着の時や大きな子宮の時に血管が近くなって出血することがあります。癒着も全くなく、急ぐ場合には腹膜ごと強くけん引して凝固する方法でよいかもしれませんが、腹膜は開けたほうがよりしっかりと切開でき、その後の広間膜腔の展開が楽になると思います。腹膜ごと切ると切り残しが多い印象があります。

    次回、円靱帯の切るのってどこがいいんですか  です。お楽しみに。