カテゴリー: 子宮頸部

  • 内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    内視鏡認定医取得のための尿管と子宮動脈同定アプローチの選択ガイド

    「尿管と子宮動脈、どのアプローチが一番スマート?」


    そんな疑問、内視鏡認定医ビデオ撮影前に一度は頭をよぎりますよね。

    内視鏡認定医試験は、知識だけでなく、手技の選択眼も問われる試練。前方、側方、後方と3つのアプローチから選ぶ必要があり、どれを選ぶかで評価が大きく変わることも。

    今回は、この選択の迷宮から抜け出すための3つのポイントを届けします。

    1. 自身の経験を第一の羅針盤に

    「慣れた道を選べ」――迷ったらまずは足跡を辿る

    まず最初に言いたいのは、「試験本番で実験しないで!」ということ。10回以上こなしたアプローチがあれば、それがあなたのゴールデンルールです。

    「いや、他のやり方も試してみたいんだよな…」なんて冒険心は一旦棚に上げてください。本番での「未知のアプローチデビュー」はリスクが高すぎます。


    どんな迷路でも、何度も通った道ならば自然と足が進みますよね。同じように、試験でも自分が10回以上手掛けたことのあるアプローチを選ぶのが最も確実です。慣れた動作は緊張した場面でも手が覚えており、余計なミスを防ぎます。

    仮に複数の道が「慣れた道」ならば、次に考慮するのは採点者の視点です。それは、観光ガイドが観光客に一番の見どころを選ぶようなもの。採点者にとってなじみ深いアプローチを選ぶことで、評価も好印象となるでしょう。

    2. 採点者が見慣れた風景を意識せよ

    採点者が馴染みのある「風景」を再現する
    内視鏡認定医試験の採点者は多くの場合、50代前後のベテラン医師たち。彼らの経験に基づく偏りを逆手に取ることが試験攻略の鍵です。


    採点者は長年の経験から、特定のアプローチに馴染んでいます。腹腔鏡手術でよく選ばれる側方アプローチは、彼らにとって「定番の観光スポット」のようなもの。

    一方、開腹手術での経験もなじみがあります。開腹では上部靱帯の処理から入りますよね。それは前方アプローチ。開腹経験があるため前方アプローチも親しみのある選択肢です。


    後方アプローチは「知る人ぞ知る名所」――興味を引く一方で、理解が追いつかないことも。採点者の年齢層や背景を考慮すれば、側方か前方を選ぶのが無難です。

    3. 剥離しすぎない――「触りすぎると爆発する地雷」と考える

    「剥きすぎ注意」――過剰な展開はリスクを招く

    尿管の同定に関して、「見つけなくてOK」と言われると拍子抜けするかもしれませんが、実はこれ、真実。学会の指針にも書いてあります。腹膜越しに尿管の位置を確認し、適切な距離を保てれば合格ラインです。


    尿管の位置は「地図に書かれた地雷ポイント」のようなものです。それを大げさに探し回る必要はありません。

    腹膜越しに確認でき、広間膜を適切に展開できていれば問題なし。剥きすぎると尿管という繊細な地雷を爆発させるリスクが高まります。

    また、剥離が広範囲に及ぶと、脂肪組織を傷つけ静脈出血が多きやすく見にくくなったり、結果として大量出血や他臓器損傷のリスクが増大します。「適度な距離感を保つ」ことが安全への鍵です.

    結論:どのアプローチを選ぶべきなの?

    結局どれを選ぶべき?

    最優先すべきは、やり慣れているアプローチです。練習で培った自信が何よりも力になります。ただし、迷った場合は、採点者が見慣れている側方アプローチや、開腹でオーソドックスな前方アプローチを選ぶと無難です。

    注意点として、側方や後方アプローチは剥離範囲が広がりやすいため、必要以上の剥離をしないように心がけましょう。試験では、「確実性」と「適度な範囲」が評価されることを忘れずに!

    1. やり慣れた道を進む
       試験という迷路で迷わないためには、自分の経験という羅針盤を信じましょう。
    2. 採点者に馴染みのある風景を意識
       側方アプローチは最も採点者が慣れている道筋。前方も開腹に近い形で馴染みがあります。
    3. 剥離のリスクを抑える
       「触れすぎると爆発する地雷」を避けるように適切な距離を保ち、尿管の位置を確認しましょう。

    さらなる実践のヒント

    試験の練習では、側方アプローチを中心に、前方アプローチの手順も確認しておくと安心です。剥離作業は、適度な力加減とテンションを意識することが大切です。視野展開をスムーズに進めるためには、出血しない範囲での剥離を徹底しましょう。迷わない準備が、合格への第一歩です。

    剥離に関してはこちらでガッツリ解説していますのでぜひ参考にしてみてください!

    https://sogogyne.online/hakurinogokui/

    この記事が試験準備の道しるべとなれば幸いです。次回は、各工程で大切にすることについて詳しく掘り下げます。X(旧Twitter)で更新情報をお知らせしますので、ぜひフォローを!

  • 腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    腟管切開② 超具体的な腟管の切開方法

    膣切っている間に出血してしまった。見えなくなってきた・・・どうしよう。

    このような焦った経験はTLHをする上で誰しも味わう、嫌な汗が出る経験ですね。

    前回は切開ラインはすべて腟の輪のイメージがあるかで決まるという話を行いました。(こちら
    今回はより具体的な、超具体的な腟管切開を説明していきます。

    画像多めですので、イメージ膨らませながら説明していきます。ゆっくりみていってください。

    ①傍組織と腟リングの確認

    まずは切開ラインの確認を行います。

    前壁で膀胱がしっかり剥離できているか、リングの位置を見ながら確認します。

    横は子宮動静脈上行枝がリングのラインまでおりている確認します。画像では鉗子が握っているラインまで組織を処理しないといけません。

    後ろはザクロ(仙骨子宮靭帯)や腸が離れていることを確認します。

    ②腟パイプをはめ込む

    腟壁切開のコツは、円蓋部にしっかりと腟パイプをはめ込むことです。腟と子宮頸管腟部との間をリング状に把握することで頸管をかじることなく切開することが出来ます。

    図のように円蓋部にしっかりと腟パイプのリングが入り込むようにしましょう。

    押し込みが甘かったり、端が内子宮口にかかっていることがあるので注意してください。

    ここでのコツは次のようになります。

    ①まずはしっかり奥まで腟パイプを押し込む
    ②そこから腟パイプを左右上下に動かす
    ③動かしてみてリングが見えてなければ、入れなおす

    ここで腟パイプのラインが、夜の海の灯台のようなものになります。ここをしっかりクリアしておかないと見当違いのところを切開することになります。

    ③前壁切開

    腟の輪のイメージが取れたところで、切開に移っていきましょう。まずは前壁からになります。

    ここで注意すべき点としては2時と10時方向には膣からの血管が走っている事です。腟の静脈で凝固せずに切開すると出血します。切って出血してから凝固するのもいいのですが、上から出血すると横や下の視野が確保しにくいので注意しましょう。

    切開の時はリングの数ミリ奥を切開するとよいです。

    ③横切開

    次に左右に行きます。やりやすいほうからしていきます。どちらでもよいです。

    横切開時には結構出血します。特に3時9時には動脈があり、またそこを超えてくると腟静脈が発達しているので容易に出血します。

    円蓋部と腟のリングに沿って、凝固も併用しながら切開していきます。

    できれば細かく円蓋部をめくり返して頸管をかじっていないか確認できればなおよいです。

    ④後ろ切開

    最後は後ろの切開になります。実は後ろの切開が一番難しいです。

    子宮を持ち上げ、腟パイプで後壁を出そうとしても、かなり難しいです。腟パイプを持っている人の技量に寄りますし、何よりカメラが入りにくく視野が取りにくいです。

    そのため、円蓋部をめくりあげ、腟の粘膜を先に切開しラインを確保→その後筋層を切開という形がやりやすいです。

    マニュピレーターで先に後ろを切開するパターン

    実は、上記の画像はすべてRASH(ロボット支援下子宮全摘術)になります。パラレルTLHの時はどのようにするか見ていきましょう。

    TLHではロボットのようには鉗子の向きを自由に変えれない為、展開が最も重要になります。マニュピレーターがある状態で先に難しい後壁から行うようにしています。

    基本は上記と同じです。

    ①切開ラインの確認

    まず子宮を動かし腟まで組織が下りていることを確認にします。

    しかし、カップ付きではないマニュピレーターの場合どこまで処理が終わっているかわかりにくいですよね。この時にとても役に立つ基準があります。それは

    仙骨子宮靭帯

    これを目安に確認します。基本的に仙骨子宮靭帯は円蓋部のラインで付着しているので、仙骨子宮靭帯を切開したラインを見れば腟のラインがわかります

    そして、ラインが確認できれば切開を行います。まず後壁の切開から行います。

    ②後腟壁切開

    子宮を完全に前屈させて行います。

    この時に目安となるのが、マニュピレーターの動く部位の曲げた角になります。角を意識しながらマニュピレーターの形や円蓋部の大きさをイメージし、また、細かく動かすことでオリエンテーションを確認し切開します。

    そして、切ったラインを左右に広げていきます。基準としてはここでも仙骨子宮靭帯になります。

    仙骨子宮靭帯まで左右を切り広げて後壁は終了です。

    ③腟パイプに変更

    余り後壁切開をやりすぎると腹腔内のCO2が膣より排出され気腹圧が下がり危険になります。左右仙骨子宮靭帯あたりまで切れたら、マニュピレーターを腟パイプに変更します

    ④前壁切開

    ここからは上記と同じです。しっかりと腟パイプをはめ込み、少し奥を切開します。

    ⑤横切開

    最後に横切開して終了です。後ろの切開したラインと上の切開したラインをつなげるだけでよいです。

    一番最初に難しい後腟壁の切開が終わっているので、後ろの切開さえクリアできればこちらのやり方のほうが簡単ですね。

    以上になります。パラレル配置なのかダイヤモンド配置なのかでも変わりますし、マニュピレーターを入れているか入れていないかによってもやり方が変わってきます。

    いろいろ試してみてやりやすい方法で切開してみてください。

    次は腟断端部の縫合になります。やっと手術が終わる~
    更新はXで告知していますので、フォローお願いします!

    まとめ問題

    問題:
    子宮全摘出術(TLH)における腟壁切開の正しい手順は何ですか?

    選択肢:
    A. 切開ラインを確認せずに直接切開する。
    B. マニュピレーターを使用せずに後壁切開を最初に行う。
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。
    D. 切開ラインを無視して、子宮動静脈上行枝を最初に切除する。

    答え:
    C. 腟パイプを使用して、円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込んだ後、切開ラインを確認して切開する。

    解説:
    この問題の答えはCです。子宮全摘出術(TLH)において、腟壁の切開は非常に重要な手順です。適切な切開を行うためには、まず腟パイプを使用して円蓋部にしっかりと腟パイプのリングをはめ込む必要があります。これにより、腟と子宮頸管腟部の間を適切に分離し、切開ラインを正確に確認できます。その後、慎重に切開を行い、適切な手術を進めることができます。選択肢A、B、Dは不適切な手順を示しているため、これらは誤りです。

  • 側方アプローチと前方アプローチの患者負担の圧倒的な違い

    側方アプローチと前方アプローチの患者負担の圧倒的な違い

    TLH(腹腔鏡下腟式子宮全摘)において、側方アプローチと前方アプローチ、どちらが患者さんの負担が少ないか考えたことありますか?

    個人的には前方アプローチのほうが患者負担が少ないと考えて手術しています。

    側方アプローチが主流の中、なぜ前方アプローチを選択しているのか?

    その理由について説明していきます。

    側方アプローチと前方アプローチの違い 手技と剥離範囲

    側方アプローチと前方アプローチの違いは交差部同定の違いと、剥離範囲としての違いが大きくあります。

    交差部(尿管と子宮動脈)の見つけ方の違い

    側方アプローチでは
    骨盤漏斗の高さで尿管を同定します。
    ②その尿管を交差部までおっていき、子宮動脈を同定し処理します。

    前方アプローチでは 
    子宮頸管の高さで尿管や子宮動脈を同定します(詳しくはこちら
    ②見つけた尿管や子宮動脈を追っていき交差部を同定し処理します。

    側方アプローチでは、前方アプローチと比べてかなり頭側で尿管をまず見つけに行きます。これが個人的に患者さんにとってデメリットが大きい点と考えています。

    剥離範囲の違い

    もう少し詳しい話を行います。

    側方アプローチでは骨盤漏斗靭帯と外腸骨動脈の間を大きく開けて尿管を同定します。そのため、剥離範囲としては外腸骨~内腸骨~基靭帯の範囲になります。

    一方、前方アプローチでは子宮に沿って腹膜を切開していくため(詳しくはこちら)、切開は少なく、うまくいくと円靭帯~子宮~基靭帯の範囲になります。

    剥離範囲の広さが側方アプローチと前方アプローチの大きな違いになってくるわけです。

    実際どれほど違うか見ていきましょう。次の写真は帝王切開三回の方のTLH+BSO(腹腔鏡下に子宮と両側卵巣卵管切除)の術中写真になります。

    いつも前方アプローチで交差部を同定したのち、膀胱剥離は子宮頸管のサイドからの処理を行っている(詳しくはこちら)のですが、帝王切開による癒着が強く円靭帯の癒着が強く後葉がうまく剥がれなかったため、危険と判断し、側方アプローチ(骨盤漏斗靭帯の高さで尿管を同定)に切り替えました。

    珍しい写真になりますが、左が側方アプローチ後、右が前方アプローチ後のTLH終了時の写真になります。

    一目瞭然、右の前方アプローチのほうが組織がより患者さんに残せている状態になっていますね。

    実際に起こりえる合併症

    しっかり剥離できることは良いことですが、必要以上の剥離を行ってしまうと固定組織がなくなり、多くのデメリットが生じます。

    ・遺残卵巣の捻転
    ・術後臓器損傷のリスクの増加
    ・次回手術時のリスクの増加

    臓器に対して、周辺組織が残らないということは他臓器損傷や捻転などのリスクが高まります。そして、次回手術時のリスクも高まります。。

    外腸骨動脈と腸が直接くっついている状態と、間に組織があり外腸骨、組織、腸とくっついている状態どちらがいいかは述べるまでもないです。下の図で言うと左にS状結腸が癒着したのち、左半結腸切除が必要となった場合の困難さは想像もしたくないですよね。

    どこまで剥離して、逆にどこは剥離せずに済むのか。これをしっかり考えられると次なるステップに行けると信じています。

    特に卵巣温存の時は卵巣腫瘍による再手術の可能性や遺残卵巣茎捻転を考慮してなるべく少ない腹膜切開で行えるとよいですよね。

    以上、なぜ私が前方アプローチでTLHをしているかの雑記的な記事でした。Xやってます。ためになったよって方はフォローお願いします。

    アクションプラン

    ・必要な剥離範囲を考える。
    ・必要のない剥離がないか考える。

    まとめ問題と解説

    質問: 腹腔鏡下腟式子宮全摘(TLH)における側方アプローチと前方アプローチの違いとそれぞれの患者負担について、次のうち正しいものはどれでしょう?

    選択肢:

    1. 側方アプローチは前方アプローチよりも患者の負担が少ない。
    2. 側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、前方アプローチでは子宮頸管の高さで同定する。
    3. 前方アプローチでは剥離範囲が広いため、患者への負担が大きい。
    4. 前方アプローチでは次回の手術時のリスクが高まる。

    答え: 2. 側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、前方アプローチでは子宮頸管の高さで同定する。

    解説:
    このテキストには、TLH(腹腔鏡下腟式子宮全摘)の手術方法としての側方アプローチと前方アプローチの違いが説明されています。側方アプローチでは尿管を骨盤漏斗の高さで同定し、子宮動脈を同定して処理します。一方で、前方アプローチでは子宮頸管の高さで尿管や子宮動脈を同定し、処理します。前方アプローチは剥離範囲が狭く、患者にとっての負担が少ないとされています。そのため、選択肢2が正しいとされます。選択肢1、3、4はテキストの内容と矛盾しています。

  • 腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    腟管切開① もうミスらない腟管切開「たった一つのうまくいく基準は”とあるイメージ”」

    なんだか今日膣をうまいこと切れなかったなぁ、前と何が違ったのかなぁ

    TLH中にこんな風にモヤモヤした経験はありませんか?腟管切開はとあるポイントを押さえておくとすごくスムーズに進めることが出来ますが、一方でイメージが出来ていないとドツボにはまります。

    もやもやが少しでもある方に必見の内容になっています。お見逃しなく。
    ついにこのシリーズで子宮が”取れます”(笑)

    腟管切開、たった一つのうまくいく基準

    さっそく腟管切開におけるたった一つのうまくいく基準をお伝えします。それは

    腟管の輪のイメージがある事

    ちょっと抽象的でわかりにくいですよね。わかりやすく具体的に説明していきますね。

    腟管の輪のイメージとセンス

    腟管は筒になっていますよね。特に腟パイプやカップが入っていると円形の筒になっています。

    TLHにおいて、立体的に円状に切開するのは実は腟管切開だけです。あとの血管や靭帯は集簇結紮や凝固して直線的に切開していきますよね。

    そのため、腟管切開は他の手順よりも”センス”が必要な部分になります。

    ”センス”とはなかなか抽象的ですよね。深堀していきましょう。

    ”いいセンス”とは何でしょう。私が思う”いいセンス”とは認識などの入力後の”いい感じの出力”と考えています。

    わかりやすく例えて言うなら、会話のうまい人って、相手からの言葉(入力)を受けて、適切な言葉や態度(出力)を伝えることが出来ますよね。これを会話での”いいセンス”と呼ぶと思っています。

    例:仕事が向いているか悩んでて → 
    ×(食い気味にぶっきらぼうに)やるしかないやろ、俺ん時は・・・(自分語り)
    〇(目を見て、ゆっくりと)悩んでいるんだね(共感)、何かあったの?(他人への興味)

    例のように、同じ入力があったのにもかかわらず、二人の対応は全く違いますよね。出力の違いを”センス”ということが出来そうですよね。

    では腟管切開における、入力と”いいセンス(出力)”は何でしょう。

    入力は画面の頚部、腟、膀胱の視覚的情報ですよね。
    そしてセンスのいい出力とは腟管の輪のイメージ通りに切開できることになります。

    そのため、腟管を立体的に輪のイメージとしてとらえられる状態にしてから切開に移ることが、たった一つのうまくいく基準となるわけです。挟んで切るだけならだれでもできますからね。

    経験が高くなると、腟管のイメージは剥離せずともわかってきます。膨らみ具合や模様で何となくわかってくるわけです。逆に経験が詰めていない状態ではなかなかイメージは見えてきません。
    そのため、しっかりと剥離を行い腟管周りの処理をきれいに終えている必要があります。

    腟管のイメージのとらえ方

    腟管のイメージの大切さがわかったところで、そのとらえ方を見ていきましょう。
    といっても、実はかなり簡単です。

    カップや腟パイプの淵を見えるようにする。

    これだけです。

    前膣壁

    後腟壁

    そして横

    この輪のイメージをつかむことさえできれば、子宮を切りたい方向と逆側にテンションかけて切るだけできれいな腟管切開が出来ます。

    ギザギザになったり、切り込みすぎたり、逆に頚部が残ったりといった失敗がおこりにくくなります。

    そのためしっかりと子宮傍組織を処理した後で輪のイメージを確認し、それから腟管切開を行ってみてください。きっとうまくいきます。

    失敗パターン

    これらにより、腟の場所や輪のイメージをとらえ間違って失敗しやすいので注意してください。

    腟の輪のイメージ見誤りパターン

    ①頸管が伸びていて膣が思ったより奥にある 
     → 膣まで組織を処理できておらず、切開の時に組織が残って分厚くなる
     ☆よくあるのは閉経や巨大腫瘍で引っ張られているとき 

    ②子宮円蓋部と腟パイプやカップの大きさがあっていない時。
     → 頸部筋腫やナボット嚢胞で子宮円蓋部が大きくなっているとき
     or 個人特性や閉経で子宮円蓋部が小さくなっているとき

    結局は、思ったより奥にある場合や円蓋部が小さい時にイメージとのずれにより起こるわけですね。

    剥離できていないパターン

    膀胱脚やザクロ(仙骨子宮靭帯周り)といった後ろ側がしっかりと処理できていないことが多いです。上記の①と同じくそうすると、前壁切開後に分厚く組織が残り、困難を極めます。

    良いイメージと、失敗パターンを自分のものにして、”もう腟管切開に失敗しない”と自信もって言えるようにしてい行きましょう。

    では次回はいま行っている具体的な切開方法について解説していきます。お楽しみに。

    更新はXにてアナウンスしていますので少しでも気にいてくださった方はフォローをお願いします。

    まとめ問題

    問題:

    腟管切開において、以下の選択肢から、最も重要なポイントを選んでください。

    A. 腟管の輪のイメージを持つこと
    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること
    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること
    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること

    解答と解説:

    正解は A. 腟管の輪のイメージを持つこと です。

    この文章では、腟管切開における成功のために最も重要な要素は、「腟管の輪のイメージを持つこと」であると述べられています。腟管切開は他の手順よりもセンスと正確なイメージが必要であり、このイメージを持つことが切開を成功させる鍵とされています。

    他の選択肢について:

    B. 腟管切開の手順を正確に覚えること:手順の正確さは重要ですが、それだけでは腟管切開の成功には不十分です。イメージがないと手順の正確さも生かしきれません。

    C. 腟管切開の前に膀胱脚とザクロを処理すること:これは後ろ側の組織処理に関する内容ですが、最も重要なポイントではありません。成功の鍵は腟管のイメージにあります。

    D. 腟管切開のためのセンスを鍛えること:センスを鍛えることも重要ですが、それだけでは成功には足りません。センスを発揮するためにも腟管のイメージが必要です。

    したがって、最も重要なポイントは「腟管の輪のイメージを持つこと」であるため、選択肢 A が正解です。

  • 子宮傍組織② もう出血しない、子宮傍組織入門。「結局どの”高さ”で切ればいいの?」

    子宮傍組織② もう出血しない、子宮傍組織入門。「結局どの”高さ”で切ればいいの?」

    子宮動静脈をどの高さで切る?

    子宮動脈上行枝の処理を行うときに聞かれ、誰しもを返答に困ったことがあるはずです。

    この記事を見れば明確な返答を行うことが出来るようになります。具体的にどこで子宮動静脈の上行枝を処理すればいいのか説明していきたいと思います。

    知っているだけで、危ない状況から逃げれる場面が増えてきます。全産婦人科医が知っておくべき内容となっていますのでお見逃しなく!

    子宮動静脈切開の危険性

    手術中にピリつく瞬間はいつですか?というアンケートがあった時皆さんなら何と答えますか?

    私は、”子宮動静脈の処理の時”と答えます。

    なぜならここの処理を失敗すると大量出血につながり、一気に視野がなくなり、そして他臓器損傷という意思にとっても患者さんにとっても最悪の状況につながります。

    皆さんも経験ありますよね。

    子宮近くで出血、止めるには外を触るしかない、でも尿管見えてない・・・どうしよう・・・

    よくある話で、出血で焦る状態で対処しないといけないのでかなり焦ります。

    初歩の解剖知識となりますが、子宮は左右2束に血管が収束しています。子宮本体から木の根のように広がっていきますよね。

    出血をすると、より外側で処理をしないといけない(上流は外側の内腸骨系)ため。

    骨盤より、つまり危ない組織が広がっている場所を触る必要があり危険です。

    子宮動静脈での出血は絶対に避けるべきイベントになります。

    結局どの”高さ”で切ればいいの?

    では本題の単純子宮全摘で”子宮動静脈上行枝は結局どこで切ればいいの?”に移っていきます。

    子宮頸部のどこで切るかという話になります。

    大きく2パターンに分かれます。

    高め:子宮体部より(内子宮口当たり)
    低め:膣より(外子宮口あたり)

    つまり、①高めの体部に寄ったところでの切開と、②低めの膣に寄ったところでの切開になりますね。

    それぞれの処理位置とその後の展開について具体的にみていきましょう。

    子宮体部より(内子宮口当たり)での処理

    いわゆる”高い位置での処理”、”筋膜内での処理”、”アルドリッチ”などと言われる処理になります。

    具体的な場所としては、子宮体部が広がってくるこの部分になります。

    かなり体部よりですよね。頸管に子宮動静脈上行枝をつけながらの処理になります。

    この”高い”ラインでの処理の最大のメリットは出血時のリカバリーがしやすいことになります。
    なぜなら、骨盤からより離れる、つまり尿管や膀胱、大腸から離れることが出来るため他臓器損傷のリスクが低いため安心して凝固止血できるわけです。
    そのため、仮にに子宮から離れた部分の剥離が甘くても処理が出来ます。

    具体的な手順を見ていきましょう。

    ①まず子宮をしっかりと頭側に牽引します。子宮体部と頸部の間を確認します。

    ②内子宮口付近でバイポーラで凝固止血します。左右十分凝固止血したのち、子宮側で切開します。

    血管は分けて一本一本処理していってください。欲張ると出血します。

    「欲張って切開しない」これを意識して処理していきます。

    ③そして徐々に腟側に降りていきます。この時も凝固止血しながら進めるようにしてください。

    コツとしては

    まず、子宮頸管に沿って切開していくこと
    つぎに、子宮動静脈を切った後は上下の組織を別々に処理していくこと
    になります。

    降りていくにつれて骨盤底に近づくため、組織は広がっていきます。
    そのため、子宮動静脈を切った後は上下の組織を別々に処理していく必要があります。

    これを繰り返すことで子宮頸管から安全に血管を離すことが出来ました。

    デメリットとしては、

    ①処理の工数が多いこと
    ②子宮を一部削ってしまう可能性があること

    が挙げられます。

    膣切開より(外子宮口当たり)での処理

    次はより膣切開部位に近いところでの処理について説明していきます。

    いわゆる”低い位置”とか”外側”とか”筋膜内”と言われるような位置です。具体的な位置は子宮円蓋部あたりになります。

    これの大きなメリットは、腟の切開ラインに近いので処理する組織が少ないこと、膣切開の時に組織が薄くなること、子宮を削ってしまうリスクがひくことになります。

    具体的な手順を見ていきましょう。

    ①まず膣と子宮の境目を確認します。そして、十分に尿管および膀胱、大腸が剥離できていることを確認します。

    ②そして、膣切開ラインよりやや体部より(高め)から凝固止血します。

    ③そして切開を行い、これを数回繰り返して処理は終了となります。

    先ほどと比べて外側のみに切開創が広がっているのがわかるでしょうか。デメリットとしては

    ①子宮から離れた組織を触る必要がある。特に尿管をしっかりと剥離する必要がある。
    ②出血させたときのリカバリー時のリスクが高い

    が挙げられます。

    結局どちらがおすすめなの?

    ラインがわかったところで、高めと低めどのように使い分けたらいいのかという疑問がありますよね。場合に寄るのですが、はっきりと言えることは。これですね。

    高めが無難

    これには明確な理由があります。①の高めの切開が安全だからです。

    ここで1つ問題です。

    子宮周囲に関して、動静脈の中枢側ってどちらになりますか?

    中枢と聞くと子宮側!と答えたくなりますが、内腸骨が外側にあるので骨盤底側になります。

    そのため、より子宮に近い側が末梢側となるため、より末梢側の①の体部よりの切開のほうが安全と言えます。

    では外側の処理の存在価値は何でしょう。それは組織をかじるリスクが低いことになります。

    なので、解像度を高く答えると、

    ①他臓器損傷がおこりえる場合は、逃げるために高めで処理
    ②CIN3などで子宮の組織をかじりたくない時は、剥離をしっかりと行い低めで処理

    という形になります。

    基本はやはり、高め。出血させたときにリカバリーがしやすいので”高め”から始めるほうが良いと思います。

    以上になります。次回は膣切開になります。長々とやってきましたが、いよいよ子宮が取れます。お楽しみに。

    X(旧Twitter)にて更新のお知らせをしていますのでよければフォローのほどよろしくお願いいたします。(こちら

    まとめ問題

    問題:

    子宮動静脈上行枝の処理に関する次の記述のうち、正しいものを選択してください。

    1. 子宮動静脈上行枝の切開は、外子宮口付近で行うのが最も安全である。
    2. 子宮動静脈上行枝の切開は、内子宮口付近で行うのが出血時のリカバリーがしやすく、他臓器損傷のリスクが低い。
    3. 子宮周囲に関して、動静脈の中枢側は子宮側である。
    4. 高めの切開位置は子宮の組織を削ってしまうリスクが低い。
    5. 膣切開に近い位置での動静脈上行枝の処理は、他臓器損傷のリスクが低い。

    正解:

    1. 子宮動静脈上行枝の切開は、内子宮口付近で行うのが出血時のリカバリーがしやすく、他臓器損傷のリスクが低い。

    解説:

    内子宮口付近での切開は、骨盤から離れることができるため、尿管や膀胱、大腸から離れることができるため、他臓器損傷のリスクが低くなります。また、出血時のリカバリーがしやすいというメリットがあります。逆に、膣切開に近い位置での切開は、子宮から離れた組織を触る必要があり、特に尿管のリスクが高まります。

  • 子宮傍組織① もう出血しない、子宮傍組織入門。シャンパンタワーメタファーと癒着や剥離がグラスに与える影響

    子宮傍組織① もう出血しない、子宮傍組織入門。シャンパンタワーメタファーと癒着や剥離がグラスに与える影響

    子宮傍組織ってどんなイメージですか?

    何となく、走行がよくわからなくなったり、何の血管を処理しているのかわからなくなることってありませんか?

    他にも、いつもなら出血しなかったのに、なぜか今回だけるだけで出血することはありませんか?

    これらはすべて”あなたのイメージ”が悪いのかもしれません。

    出血と戦う産婦人科。そんな産婦人科にとって、子宮の血流を止めることはどの産婦人科にとっても必要な技術です。あとから怖い思いをしないようにぜひイメージをつかんでいきましょう。

    子宮傍組織は”シャンパンタワーとグラス”

    今回は、子宮傍組織を”シャンパンタワーとグラス”をメタファーにして考えてみましょう。

    え?っと思いますか?ちゃんと理由があります。

    皆さんは、最近記憶力落ちたなぁと思いませんか。私は絶賛実感中です。

    基本的に人間の記憶力は低下していきます。嫌ですよね。

    しかし、年を重ねるにつれ記憶力が低下していっても理解力が深まっていく人がいます。

    それは、

    これまでの知識やイメージに当てはめることが出来る人です。

    いろんな知識や考えをコネクティングしていく。そうすることで新たな視点や深みが出てくるわけです。

    なので、子宮傍組織をシャンパンタワーとグラス”で考えると、理解が深まり、今処理しているものを考えやすくなり全体感も把握することが可能になります。では本題に行きましょう。

    シャンパンタワーのメタファー

    シャンパンタワーのイメージはどのようなものですか?

    グラスが積み重なり、上から下に広がっていくイメージですよね。結婚式などでみられるものですね。

    これを子宮傍組織とつなげてみてください。

    どうすればいいですか?

    答えは、まず横にします。
    そして子宮から骨盤に向けて行っていってください。

    百聞は一見に如かず。今回イメージすべきシャンパンタワーはこちらになります。

    はい、わけわからんですよね。雑コラですね。

    これにわかるように名前を付けていくとこうなります。

    見えてきましたか?つまり

    子宮傍組織は子宮側の子宮動静脈から始まり、骨盤に向かってどんどん広がっていきます。

    シャンパンメタファーのとらえ方

    この画像を見て質問です。どこが危険ですか?

    そうですね。

    骨盤側(シャンパンタワーの下のほう)のほうが危険なものが多くないですか?

    尿管、子宮動脈本管など傷つけてはいけない臓器がたくさんあります。

    尿管にしろ、膀胱にしろ、動静脈にしろ骨盤側に行くにつれ危険なものが広がっていきます。

    つまり、子宮に近いほど安全で、離れれば離れるほど危険が広がっているというイメージが出来ますね。

    なるほど、子宮の近くで処理をしろ!と子宮全摘の初心者ほど言われるのはこういうわけがあるわけです。

    シャンパンタワーでいうと、なるべく上のほう、つまり子宮側を触ると安全ということが丸わかりですね。

    癒着の怖さとシャンパンタワー

    癒着って怖いですよね。癒着により血管や尿管や膀胱、腸などの位置が変わり思いがけない出血や他臓器損傷のリスクが高くなり、手が震え、動悸がしてきます。

    その怖い癒着をシャンパンタワーというふざけたメタファーでとらえてみましょう。

    癒着によりシャンパンタワーには何が起こりますか?

    たとえば、内膜症や腺筋症で後葉が引き連れている場合は、尿管が子宮によって来たりしますよね。
    帝王切開後の場合は膀胱が吊り上がっていたり血管が引き連れていることがあります。

    これを先ほどのシャンパンタワーで考えるとどうなりますか?

    実は、癒着によりグラスの位置が変わるんです。

    より具体的に言うと、グラス(尿管や血管)が上(子宮側)に変化します。

    上で示した傍組織の画像は,じつはCS3回のTLHの画像になります。膀胱剥離後です。

    そして、膀胱を処理する前の膀胱が吊り上がっている状態の画像はこちらになります。

    膀胱の位置がかなり吊り上がっています。そのため、膀胱及び尿管が子宮に寄ってきていますよね。

    つまり、シャンパンタワーで言うところの一つ子宮側に移動しているわけです。
    これはかなり危ないですよね。せっかく安全と思っていた、シャンパンタワーの頂点近くで切除したのに、そこには尿管がいて損傷した。こんな悲劇的なことが起きてしまうわけです。

    内膜症症例でも、仙骨子宮靭帯と思ったら尿管だったなんてこともよくある話ですね。

    癒着があると組織の場所がかかわる。これをシャンパンタワーで考えるとグラスの位置が変わる!という風にとらえることが出来ますね。

    グラスの位置を変えたい。

    グラスの位置変えたくないですか?グラスの位置を変えれたらすごいですよね。

    危ないグラス(臓器)はすべてシャンパンタワーの下のほう(骨盤側)に移動させれるわけです。

    ここでグラスを安全な位置に変えれるのが”剥離”となるわけです。

    ↑膀胱をずらした後の図。

    剥離をすることで組織(グラス)同士が離れ、シャンパンタワーのグラスの位置を変えることが出来ます。つまり子宮や切開ラインから離すことが可能になります。

    具体的には
    腹膜切除を行えば、前葉の場合は膀胱が離れ、後葉の場合は尿管が離れます。
    広間膜腔を広げる、つまり腹膜や血管周囲の組織を剥離すると尿管や大血管が離れます。

    このように、剥離を行うと、損傷してはいけない臓器や血管が離れる、シャンパンタワーでいうとグラスの下の段に行くわけです。

    どうでしょうか、子宮傍組織と”シャンパンタワーとグラス”というイメージはつかめましたでしょうか。

    わかりにくい場合は、扇のように広がっていくイメージを持ってもらえれば良いと思います。川が平地に向かうにつれて広がっていくイメージなどもよいと思います。

    ぜひ、ものが広がっていき、そして癒着があると傷つけてはいけないものの位置がより子宮に近づくというイメージを持ってみてください。

    皆様がより安全な手術が行えるますように。

    次回は、傍組織の切開方法を2パターンで説明していきます。お楽しみに。

    (X(Twitter)で更新のアナウンスをするのでぜひフォローしてみてください。)

    まとめ問題と解説


    問題1:

    「シャンパンタワー」というイメージを使って説明された「子宮傍組織」はどのような特性を持つとされていますか?

    1. 上部ほど危険な部分が多い
    2. 下部ほど危険な部分が多い
    3. 全体的に危険な部分が広がっている
    4. 危険な部分は特定できない

    答え: 2. 下部ほど危険な部分が多い

    解説: 「シャンパンタワー」のイメージを用いて、「子宮に近いほど安全で、離れれば離れるほど危険が広がっている」と説明されています。


    問題2:

    癒着が発生した場合、どのような変化が「シャンパンタワー」に影響を与えるとされていますか?

    1. 危険な部分が子宮側に移動する
    2. 危険な部分が更に広がる
    3. 危険な部分が縮小する
    4. 危険な部分が固定される

    答え: 1. 危険な部分が子宮側に移動する

    解説: 癒着が発生すると、通常は安全とされる子宮側の部分にも危険な部分(尿管や膀胱など)が移動してくるため、予期せぬ損傷のリスクが増えると説明されています。


    問題3:

    剥離を行うと、どのような効果が得られると説明されていますか?

    1. 危険な部分が子宮側に移動する
    2. 危険な部分を「シャンパンタワー」の下に向かわせることができる
    3. 危険な部分が縮小する
    4. 危険な部分が固定される

    答え: 2. 危険な部分をシャンパンタワーの下に向かわせることができる

    解説: 剥離を行うことで、損傷してはいけない臓器や血管を安全な位置、すなわちシャンパンタワーの下へ移動させることができると説明されています。これにより、危険な部分を避けながら処理を行うことが可能になります。

  • 膀胱剥離⑤ サイドからの剥離 手順

    膀胱剥離⑤ サイドからの剥離 手順

    手術で使える、サイドからの膀胱剥離の手順についてお伝えします。

    帝王切開後の方などで頸管の癒着が強い時に使うテクニックです。

    大雑把には横から頸管と膀胱の間に入っていく必要があります。吊り上がった膀胱を損傷しない為ですね。詳しく見ていきましょう。

    サイドからの剥離の意味とそのタイミング

    まずはサイドから剥離する必要が出てくるタイミングについて説明していきます。

    このサイドからの剥離方法は上達してきた人こそ大切な剥離方法になります。なぜなら帝王切開後の頸管に強い癒着がある状態での膀胱剥離で特に必要になってくるためです。

    帝王切開後の子宮頸管創部を下手に正面から突破しようとすると強固に固まっているため容易に膀胱を損傷します。

    そもそも膀胱が体部側にひきつれていて腹膜切開の時に損傷することもありますし、剥離の層ががずれてしまい膀胱を損傷することもあります。

    横からの剥離の場合は、膀胱の吊り上がりを考える必要がなく、頸管創部瘢痕部より奥(骨盤底側)で膀胱剥離できるため、安全に膀胱剥離を行えるため安全なのです。

    血管周囲を触るため、慣れないとかなり危ない感じがするのですが、身に着けてしまえばCS後のTLHも難なく完投できるため身に着ける価値は大いにあります。

    今回は手順をお伝えし、次回にそのコツをお伝えします。では手順を見ていきましょう。

    1.子宮動静脈を剥離する

    まずは子宮動静脈を大まかでいいので頸管や骨盤で同定します。

    そして子宮動静脈が直線的になるように血管周囲を剥離していきます。

    2.頸管を同定する

    次に子宮動静脈を基準に、その腹側で頸管を同定していきます。

    血管と、脂肪を基準にくぼんでいるところ(頸管)を探して鈍的に広げていきます。

    3.子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る

    膀胱を上につけるように、頸管に鉗子を押し当てて剥離をしていきます。

    12時方向を超え始めると、頸管に沿って剥離していくのことが難しくなるため、同様に反対側から剥離していき、繋げて終了です。

    4.子宮頸管の瘢痕部を切離する。

    最後に瘢痕部が残るように体部側に剥離を広げていきます。

    残った瘢痕部をなるべし薄くしてから根元で切除します。

    まとめ問題と解説

    問題:
    次のうち、サイドからの膀胱剥離の手順について正しい説明をしているのはどれでしょうか?

    A. 最初に子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作り、次に子宮動静脈を剥離する。

    B. 子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る前に、子宮動静脈を剥離し、次に頸管を同定する。

    C. 子宮頸管の瘢痕部を切離す前に、頸管に沿って12時方向を超えて剥離する。

    D. 子宮動静脈を剥離した後、すぐに子宮頸管の瘢痕部を切離す。

    解答:
    B. 子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る前に、子宮動静脈を剥離し、次に頸管を同定する。

    解説:
    サイドからの膀胱剥離の手順は次の通りです:

    1. 最初に子宮動静脈を剥離します。これは血管の位置を確定し、血管周囲を剥離して直線的にするためです。
    2. 次に、この子宮動静脈を基準に、その腹側で頸管を同定します。
    3. その後、子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作ります。ここでの重要なポイントは、12時方向を超え始めると、頸管に沿って剥離するのが難しくなるため、同様に反対側から剥離し、繋げていくことです。
    4. 最後に、瘢痕部を残すように体部側に剥離を広げていき、最終的に残った瘢痕部を薄くしてから根元で切除します。

    したがって、選択肢Bがこの手順に最も一致するため、正しい回答となります。

  • 膀胱剥離④ 正面突破できません。その理由3選とその対策

    膀胱剥離④ 正面突破できません。その理由3選とその対策

    膀胱剥離をしようにもなぜかうまいこと剥がれない。

    無理に力を加えてしまい出血をしてしまった・・・

    こんな経験ありませんか。

    それってあるポイントを見落としているだけかもしれません。

    今回は、膀胱剥離がうまくいかない理由3選とその理由と改善テクニックについて解説します。

    その1:テンションがかかっていない

    剥離部位にテンションがかかっていないと剥離は全くうまいこと行きません。

    お菓子の袋を開けるには、必ず2か所で引っ張る必要がありますよね。

    同様に、手術においても、反対向きのテンションつまり”カウンタートラクション”が取れていないと鈍的な剥離も切開もすることはできません。暖簾に腕押し状態です。

    こんなことはわかっていても、手術、特に腹腔鏡の限られた視野の中の場合見逃していることが多々あります。

    子宮の押し込みが甘いことでテンションが緩んでしまっていることがあります。

    特に、いつもと異なる状況やチームで手術を行っている場合は注意してください。

    前立が経験豊富な医師の場合は勝手にテンションをかけてくれるので意識せずとも良いテンションがかかっていることが多いですが、研修医や習練中の意思の場合は知らぬ間に力が緩んでいたりすることも多々あります。

    マニュピレーターは下の先生や看護師さんが持っていることが多いですし、女性医師が増えている現代では肉体的にも力が緩むことが多い印象です。

    そのため、改善方法としては、

    膀胱剥離の時は、自分でマニュピレーターや腟パイプの位置を確認し力を込めて押し込んでもらう、必要なら位置調整する。

    その2.子宮体部がねじれている

    次に、膀胱剥離時の”子宮体部がねじれ”について考えていきましょう。

    子宮のねじれはかなり危ないのにもかかわらず。わかりにくく、気づかずに進めていくと、大量出血、尿管膀胱損傷につながるかなり危ないピットフォールになります。

    なぜなら

    1. 頚部の子宮動静脈の位置がずれる
    2. ねじれがあることで、組織が巻き込まれていく

    この二つが生じるためです。

    この危険な”子宮のねじれ”の原因として多いのは、子宮筋腫で、重さや圧迫により大きくねじることによるものが多いです。

    特に子宮体部側方の筋腫の時に見落としがちになります。

    頚部筋腫ではなく、体部筋腫です。

    なぜなら、子宮の頚部筋腫の場合は、意識することが可能なので気づくことが多いですが、拡大視の視野の狭い状況で子宮体部がねじれていることには気が付きにくいためです。

    改善方法としては、

    子宮が直線化されているかどうか毎回確認する。特に円靭帯や子宮上行枝に着目し子宮がねじれていないかを確認する。

    その3.膀胱と子宮間の剥がれる層がくっついている

    最後は頸部で膀胱自体がはがれにくい場合をお伝えします。

    これはこれまでと違い、患者因子になります。特に炎症を起こしていたり、閉経後で組織が固い人に良く見られるもので、正しい層に入ってもはがれにくい時があります。

    この時に有効な方法としては、”層を乗り換える”という手法があります。

    以前、膀胱剥離をするなら安全性を取るならば腟膀胱筋膜の子宮側で剥離を行うべきだという話を行いました。

    実は、剥離しやすいのは腟膀胱筋膜の膀胱側になります。えいやと1膜破ることで膀胱剥離が容易になることがあります。

    そのため、改善方法としては

    頸管が萎縮や炎症を起こすような要因があるか確認し、層を意識して手術を行う。

    膀胱剥離が出来ない時に確認すること

    1. 子宮の押し込みが出来ているか確認する
    2. 子宮がねじれていないか確認する
    3. どの層に入っているか意識し、やりにくければ層を乗り換える

    まとめ問題と解説

    問題: 膀胱剥離がうまくいかない理由として最も適切でないものを次の選択肢から選びなさい。

    選択肢:

    • A. テンションがかかっていない
    • B. 子宮体部がねじれている
    • C. 膀胱と子宮間の剥がれる層がくっついている
    • D. 腹腔鏡の視野が広すぎる

    正解:D. 腹腔鏡の視野が広すぎる

    解説: 膀胱剥離がうまくいかない三つの主な理由として、「テンションがかかっていない」、「子宮体部がねじれている」、「膀胱と子宮間の剥がれる層がくっついている」。これらは、それぞれ剥離部位に必要なテンションがない場合、子宮がねじれている場合、そして膀胱と子宮間の剥がれる層が密接している場合に問題が生じます。それに対して選択肢Dの「腹腔鏡の視野が広すぎる」はむしろ、視野が限られていることが手術を難しくしています。

  • 膀胱剥離③ 正面突破 4ステップ

    膀胱剥離③ 正面突破 4ステップ

    前回は、膀胱は発生学的に、子宮と近く血管や膜を共有しているため、強いテンションや、腟膀胱筋膜の理解の必要性をお伝えしました。

    今回は、複雑怪奇な膀胱周囲の正面突破法についてお伝えします。

    膀胱剥離の正面突破の手順

    膀胱剥離の正面突破はオーソドックスな手技になります。

    特に、尿管や膀胱の安全を確保したいときや頸管の構造を明らかにしたいときに必要な手技になります。

    なぜなら膀胱が骨盤底側に降りることで、子宮と尿路系が離れるからです。

    具体的な手順は以下のようになります。

    step1.膀胱と子宮の位置の確認

    step2.膀胱子宮窩腹膜の切開

    step3.腟膀胱筋膜に沿って剥離

    step4.腟膀胱筋膜の前後の腔で頸管に沿って左右に広げる

    ではそれぞれのステップを画像と共に見ていきましょう。

    step1.膀胱と子宮の位置の確認

    まずは膀胱と子宮の位置関係の確認です。慣れたチームでやっている場合は無意識に確認が終わっていることもありますが毎回確認するようにしましょう。

    初めに、マニュピレーターや腟パイプを左右に振ることで子宮頸管の位置を確認し、カップ付きの場合はエッジを円蓋部に押し当て持ち上げることで腟や子宮頸管の位置を把握します。

    次に、膀胱の確認に移ります。見た目でふくらみを見ることもできますし、鉗子で押してみたり、持ち上げることで膀胱の位置を確認します。膀胱カテーテルも一助になりますね。

    とりあえず困ったら動かしたりして、2次元の情報を3次元にとらえるようにしましょう。

    step2.膀胱子宮窩腹膜の切開

    膀胱と子宮の位置を把握できれば、ステップ2に移行します。膀胱子宮窩腹膜の切開になります。

    ここではテンションをしっかりとかけて”膜”を切りきることを意識します。腹膜と筋膜ですね。(詳しくはこちら

    手順としては、まず子宮を器具で強く押し込みます。さらに補助鉗子で子宮体下部を押し上げてテンションを増します。これらにより子宮頸管を頭側に押し上げて膀胱と距離を離します。

    膀胱実質損傷しないように、薄くそして軽く腹膜と膀胱を持ちあげ、画面上腹側に引き上げます。最も薄くなった部分を切開し膀胱子宮窩腹膜を切開します。膀胱近くでも腹膜切開は可能ですが、安全を取って子宮よりで切開するほうがよいです。

    この時は子宮頸管にハーモニックや電気メスが当たるまでしっかりと腹膜を切開します。脂肪のある層をしっかりと切りきってください。

    step3.腟膀胱筋膜を同定する

    次が一番難しい工程の腟膀胱筋膜の同定の説明になります。ここを間違えると膀胱損傷にもつながるのでとても大切です。

    まず、腹膜を持ち直してください。腹膜と膀胱組織を一緒に持ち上げ、頸管よりしっかりと離します。

    腹膜を左右に切り広げて腔を広げて、子宮頸管を押し上げ腟膀胱筋膜を同定して行きます。

    この時に脂肪と毛細血管を意識してください。

    脂肪で考えると、腟膀胱筋膜は脂肪のある層を一層抜けてから見つかります。

    血管を見ると、膀胱側の細かい静脈は子宮頸管に対して横向きに走り、子宮側の細かい静脈は縦向きに走ります。

    これらを意識して腟膀胱筋膜を見つけてください。

    ちなみに腟膀胱筋膜は子宮側でも膀胱側でも剥がれていきます。おすすめは子宮側を進んでいくことです。理由としては、以下が挙げられます。

    • 膀胱の表面には細かい静脈が走っている
    • 膣切開の時に薄く切ることが出来る

    安全性を考えるなら子宮側がよいのです。(はがれやすいのは膀胱側にないります)

    step4.腟膀胱筋膜の前後の腔で頸管に沿って左右に広げる

    頸管における膀胱剥離は12時方向から膀胱剥離を開始することが大切です。なぜなら、2時10時方向には子宮動静脈から膀胱に対して分枝が存在するためです。

    そのため正中で筋膜を同定し、切開ラインまで奥に剥離したのち左右に広げてください。

    剥離方法は鈍的にも鋭的にも可能です。子宮頸管に鉗子を押しあて鈍的にも可能ですし、拡大視を駆使し、膀胱や頸管を動かしながら癒合筋膜をとらえて鋭的に切開することも可能です。よい層であればコールドナイフで切開しても出血はしません。

    残るは膀胱脚になりますが、こちらは子宮傍組織の部分で説明しますので、いったんは正面突破の膀胱剥離はここで完了とします。

    今日からできること

    膀胱剥離の手順と理由を理解しておく

    まとめ問題と解説

    以下の手順の中で、膀胱剥離の正面突破法において最も重要なステップはどれですか?

    • A) 子宮と膀胱の位置の確認
    • B) 膀胱子宮窩腹膜の切開
    • C) 腟膀胱筋膜の同定
    • D) 腟膀胱筋膜の前後の腔で頸管に沿って左右に広げる

    回答: C) 腟膀胱筋膜の同定

    解説: この問題では、膀胱剥離の正面突破法における最も重要なステップを尋ねています。腟膀胱筋膜の同定(選択肢C)が最も重要です。これは、膀胱周囲の正確な解剖構造を理解し、適切な剥離を行うための基本であり、後のステップに影響を与えます。膀胱と子宮の位置の確認、膀胱子宮窩腹膜の切開、そして腟膀胱筋膜の前後の腔で頸管に沿って左右に広げる手順も重要ですが、腟膀胱筋膜の同定が最も重要なステップとなります。

  • 膀胱剥離② 発生から見るコツ2選 力こそパワーだけじゃない。

    膀胱剥離② 発生から見るコツ2選 力こそパワーだけじゃない。

    今回は発生から見る膀胱剥離のコツは大きく2選になります。

    発生的な視点は知っているか知らないかで、上達度が全く違うためかなり大切な概念になります。わかりやすく解説していきますので着実に自分のものにしていきましょう。

    膀胱と子宮と腟の発生学的な関係

    まずは膀胱、腟、子宮の発生について説明します。

    執刀時において発生の理解というのは欠かせないものです。困難な症例ほど大切になってきます。

    なぜなら、より安全に剥離できる層が見つけやすくなるためです。

    発生が異なるものは、柔らかい組織によってつながっているため、剥がれていく層を見つけることで、カワハギの皮のようにつるつると剥けていきます。発生を知ることで安全な、剥がれやすい場所がわかってくるのです。

    早速ですが、次の問題に答えてください。

    Q1:膣は機能的にはどちらの臓器ですか?泌尿器系?それとも生殖系?

    これは簡単すぎましたか。機能的にはもちろん生殖系ですよね。では、次の問題です。

    Q2:膣は発生学的にはどちらの臓器ですか?泌尿器系?それとも生殖系?

    答えは、発生学的には、腟は泌尿器系でもあり生殖系でもある。

    解説に移りましょう。発生学的に考えると

    • 膀胱→尿生殖洞
    • 腟 →尿生殖洞、ミュラー管
    • 子宮→ミュラー管

    となりますよね。そのため、腟は発生学的には泌尿器系であり同時に生殖系なのです。

    腟の一部は膀胱と同じ発生であり、もう一部は子宮と同じ発生

    この異なる発生の臓器が交わっている事実が膀胱剥離を難しくしている原因のすべてと言っても過言ではありません。

    なぜなら、発生が違うのにも関わらず、血管や膜を共有してしまうからです。

    では膜についてもう少し深堀していきましょう。

    腟膀胱筋膜

    腟子宮と膀胱の間には膜があり、それは腟膀胱筋膜と言います。

    実は、この腟膀胱筋膜にはほかの筋膜とは少し違う意味合いがあります。

    筋膜はどのような意味がありますか?

    ”包む膜”という意味がありますね(詳しくはこちら

    では腟膀胱筋膜は何を包んでいますか?腟と膀胱を包む膜ですか?

    じつは腟膀胱筋膜は包むという意味ではなく、”癒合筋膜”の意味があります。膜は近くなると癒合する性質があり、筋膜同士が癒合したものを”癒合筋膜”と言います。

    他に例を挙げると、尿管と基靭帯が交わる部分も膜同士が癒合しています。

    つまり、筋膜の概念から話をしていくと、膀胱と腟子宮はそれぞれの管構造に包む膜である筋膜が存在していて、骨盤底に行くにつれて癒合して腟膀胱筋膜に変わっていきます。

    発生から見る剥離のコツ

    これまで二つのことを説明しました。

    1. 腟は発生で膀胱と子宮の両方と発生が一緒
    2. 膀胱と腟子宮の間には癒合筋膜が存在する

    この二つを理解したうえで膀胱剥離を開始することが必要になってきます。

    強いテンションをかける

    まずは組織が異なるものを剥離するときは必ず、テンションをかける必要があります。

    膀胱と子宮は発生学的に膣という発生の集合場所があります。そのためかなり強いテンションをかけないと、膀胱と子宮の位置関係がはっきりしないのです。

    マニュピレーターや膣パイプを強く押し込み、そのうえで膀胱を持ちあげることで子宮と膀胱の位置関係がはっきりさせる必要があります。

    癒合筋膜の把握

    鏡視下手術では癒合筋膜を特に意識して剥離を行う必要があります。

    なぜなら開腹の時代は腹腔内で操作しないといけないという縛りがなく、腹腔外まで引っ張り上げることでかなり強いテンションをかけることが可能でした。

    そのため、鈍的に”剥がれる層”でクーパーやガーゼを用いた鈍的剥離が簡単に行うことが出来ました。

    しかし、腹腔内で操作をしないといけない鏡視下手術では開腹手術ほどのテンションをかけることはできないため、拡大視野を取れるという強みを持って癒合筋膜を把握しながら剥離を行う必要が出てくるのです。

    ちなみに、癒合筋膜の上は膀胱側の腔となり、下は子宮側の腔となります。剥離自体はどちらでも行うこと可能です。

    次回以降は実際の手順を、正面突破とサイド突破に分けて説明していきます。お楽しみに。

    今日からできること

    癒合筋膜を意識する。

    まとめ問題

    以下の選択肢のうち、膀胱剥離に関して最も正確な説明をしているものはどれでしょうか?

    • A. 腟と膀胱は完全に異なる発生学的起源を持っており、癒合筋膜は存在しない。
    • B. 膀胱剥離では、強いテンションをかけずに膀胱と子宮の位置関係をはっきりさせることが可能である。
    • C. 癒合筋膜は、膀胱側の腔と子宮側の腔の間に存在し、膀胱剥離において重要な役割を果たす。
    • D. 鏡視下手術では、腹腔外まで引っ張り上げることが可能であるため、癒合筋膜を把握する必要はない。

    解答:C. 癒合筋膜は、膀胱側の腔と子宮側の腔の間に存在し、膀胱剥離において重要な役割を果たす。

    解説: 選択肢Cが正しい理由は、腟は膀胱側と子宮側に分かれる発生学的起源を持っており、膀胱と腟子宮の間には癒合筋膜が存在するからです。膀胱剥離を行う際には、強いテンションをかけて膀胱と子宮の位置関係をはっきりさせる必要があります。また、開腹では腹腔外まで空間を利用することが出来ますが、それが出来ない鏡視下手術では拡大視野を用いて、癒合筋膜を把握しながら剥離を行うことが重要です。